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PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 4.2 (伝送路二重化機能編)

2.2.7 ルータ/HUB監視機能

RIP方式におけるルータ監視機能、およびNIC切替方式におけるHUB監視機能について説明します。

2.2.7.1 ルータ監視機能

ルータ監視機能とは、近隣のルータ(1仮想インタフェース当たり2台まで登録可能)に対してpingを一定間隔で実行し、伝送路に異常を検出した場合、またはpingのハングアップを検出した場合にin.routedを再起動することにより伝送路の切替えを行う機能です。本機能は、RIP方式の場合のみ使用できます。

ポイント

ルータ監視機能を使用しない運用では、障害が発生した場合の切替えに約5分程度の時間を要しますが、ルータ監視機能を使用することにより、切替え時間は約1分程度に短縮することができます。

注意

  • 同一ネットワーク内にルーティングデーモンが起動された別ノードが存在する場合、切替え時間を短縮することができない場合があります。

  • 伝送路上の異常発生箇所によっては、切替え時間を短縮することができない場合があります。

  • RIP方式におけるルータ監視機能では、仮想インタフェースごとの監視先情報の設定、およびルータ監視の起動/停止は未サポートです。

  • 本機能は、実行したpingが30秒間無反応になった場合、pingのハングアップとして検出します。pingのハングアップ検出は、Solaris10かつGLSのパッチ914233-10以降を適用している場合に有効になります。

ルータ監視機能の概要を図2.30 ルータ監視機能に示します。

運用開始時は1次監視先(以下の図のルータA)に対してping監視を行います。1次監視先に対して異常を検出した時に、ルーティングデーモンを再起動し、1次監視先への監視を中止し、2次監視先(以下の図のルータB)に対して監視を開始します。接続形態は、別ネットワーク間の接続のみが可能です。

トラフィック制御は、RIP情報に従い、単一の伝送路を使用します。

図2.30 ルータ監視機能

2.2.7.2 HUB監視機能

HUB監視機能とは、近隣のHUBに対してpingを一定間隔で実行し、伝送路に異常を検出した場合、またはpingのハングアップを検出した場合に使用するインタフェースを切替える機能です。1つの仮想インタフェースにつき2台まで登録が可能です。本機能は、NIC切替方式の場合のみ使用できます。

ポイント

NIC切替方式におけるHUB監視機能は、仮想インタフェースごとに監視先情報の設定、および監視の起動/停止が可能です。

また、HUB-HUB間の伝送路監視を行うことも可能です。(HUB-HUB間監視機能)
HUB-HUB間監視を行うことにより、HUB-HUB間の伝送路異常を検出することができます。
インタフェースの切替え事象が発生した場合、HUB-HUB間の伝送路が異常な状態では通信不可能となりますが、これを未然に防ぐことができます。

注意

本機能は、実行したpingが30秒間無反応になった場合、pingのハングアップとして検出します。pingのハングアップ検出は、Solaris10かつGLSのパッチ914233-10以降を適用している場合に有効になります。

参考

待機パトロール機能を使用する場合、待機パトロール機能がHUB-HUB間監視を兼ね備えているため、HUB-HUB間監視機能は未使用でも構いません。待機パトロール機能については、“2.2.9 待機パトロール機能”を参照してください。

HUB監視機能の概要を図2.31 HUB監視機能に示します。

図2.31 HUB監視機能

ポイント

接続するHUBにIPアドレスが設定できない場合には、監視先としてルータや他ホストを設定することができます。
ただし、このような場合には、監視先が停止した場合にping監視に失敗し切替えが発生する場合があるため、監視先を2つ設定し、かつ、HUB-HUB間監視を有効にしてください。
これにより、設定した監視先の一方が停止した場合でも、他の監視先が動作していれば不要な切替は発生しなくなります。

注意

  • HUB-HUB監視機能の設定方法については、“7.7 hanetpollコマンド”を参照してください。

  • 使用するHUBが1台の場合、監視先の設定は1つのみで設定することができますが、監視先であるHUBが故障した場合、冗長化しているすべての伝送路が使用できなくなるため、HUBが1台での運用は推奨しません。

2.2.7.2.1 HUB-HUB間監視機能を使用しない

HUB-HUB間監視機能を使用しない運用では、はじめにプライマリHUB(図2.32 HUB-HUB間監視なしのスイッチ/HUB1)に対してping監視を行い、プライマリHUBに対して異常を検出した場合に、現運用系のNICを非活性化し、現待機系NICを活性化します。現待機系NICが活性化された後はセカンダリHUB(図2.32 HUB-HUB間監視なしのスイッチ/HUB2)に対してping監視を行います。

図2.32 HUB-HUB間監視なし

2.2.7.2.2 HUB-HUB間監視機能を使用する

HUB-HUB間監視機能を使用する運用では、はじめにセカンダリHUB(図2.33 HUB-HUB間監視あり(セカンダリ監視異常時)のスイッチ/HUB2)に対してping監視を行います。
セカンダリHUBに対して異常を検出した場合、セカンダリHUBへの監視に加え、プライマリHUB(図2.33 HUB-HUB間監視あり(セカンダリ監視異常時)のスイッチ/HUB1)への監視を開始します。(この時、セカンダリHUBへの監視が失敗した旨のメッセージ(873番)が出力されますので、原因を調査してください。)
プライマリHUBへの監視を開始した後は、セカンダリHUBとプライマリHUBの両方に対して交互に監視を行います。セカンダリHUBへの監視は復旧監視であり、セカンダリHUBの復旧が検出された時点でプライマリHUBへの監視を停止します。
セカンダリHUBとプライマリHUBの両方に対する一定間隔(デフォルトは5秒)の監視が一定回数(デフォルトは5回)連続で失敗した場合は、伝送路異常と判断します。なお、セカンダリHUBに異常があったことはメッセージ(873番)により通知されるため、プライマリHUBでの切替え事象が発生する前にセカンダリHUBの復旧を行うことが可能です。

図2.33 HUB-HUB間監視あり(セカンダリ監視異常時)


図2.34 HUB-HUB間監視あり(プライマリ監視異常時)

2.2.7.2.3 仮想インタフェースごとの伝送路監視

NIC切替方式におけるHUB監視機能では、仮想インタフェースごとに、伝送路監視の起動/停止、監視回数、監視間隔、ネットワーク異常時のクラスタ間フェイルオーバが設定できます。これにより、以下のように設定できます。

図2.35 仮想インタフェースごとの監視

監視間隔および監視回数を変更する場合

  1. pingの監視先を設定した後、hanetpoll onコマンドでパラメタを設定します。なお、オプションが指定されなかったパラメタは、共通の監視情報(Standard Polling Parameter)の値が設定されます。以下の例は、sha1に監視間隔(-s)と監視回数(-c)を設定しています。

    /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll on -n sha1 -s 2 -c 3
  2. 個別パラメタを確認します。

    # /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll print
    [ Standard Polling Parameter ]
             interval(idle)     =      5( 60) sec
             times              =      5 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =    YES
    
    [ Polling Parameter of each interface ]
     Name    Hostname/Polling Parameter
    +-------+---------------------------------------------------------------+
     sha0    192.13.80.251,192.13.80.252
             hub-hub poll       =    OFF
             interval(idle)     =      5( 60) sec
             times              =      5 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =    YES
    
     Name    Hostname/Polling Parameter
    +-------+---------------------------------------------------------------+
     sha1    192.13.81.251,192.13.81.252
             hub-hub poll       =    OFF
             interval(idle)     =      2( 60) sec
             times              =      3 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =    YES

HUB監視故障時のフェイルオーバを抑止する場合

  1. pingの監視先を設定した後、hanetpoll onコマンドでパラメタを設定します。なお、オプションが指定されなかったパラメタは、共通の監視情報(Standard Polling Parameter)の値が設定されます。以下の例では、監視間隔(-s)、監視回数(-c)などが指定されていないため、共通の監視情報の値が設定されます。

    /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll on -n sha0 -f no
  2. 個別パラメタを確認します。

    # /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll print
    [ Standard Polling Parameter ]
             interval(idle)     =      5( 60) sec
             times              =      5 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =    YES
    
    [ Polling Parameter of each interface ]
     Name    Hostname/Polling Parameter
    +-------+---------------------------------------------------------------+
     sha0    192.13.80.251,192.13.80.252
             hub-hub poll       =    OFF
             interval(idle)     =      5( 60) sec
             times              =      5 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =     NO
    
     Name    Hostname/Polling Parameter
    +-------+---------------------------------------------------------------+
     sha1    192.13.81.251,192.13.81.252
             hub-hub poll       =    OFF
             interval(idle)     =      2( 60) sec
             times              =      3 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =    YES

個別設定した仮想インタフェースのパラメタを元に戻す場合

  1. 個別に設定した仮想インタフェースのパラメタを元に戻す場合は、hanetpoll onコマンドを実行します。以下の例は、仮想インタフェースsha0に設定したパラメタを元に戻しています。

    /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll on -n sha0 -d
  2. 個別パラメタが削除されたことを確認します。

    # /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll print
    [ Standard Polling Parameter ]
             interval(idle)     =      5( 60) sec
             times              =      5 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =    YES
    
    [ Polling Parameter of each interface ]
     Name    Hostname/Polling Parameter
    +-------+---------------------------------------------------------------+
     sha0    192.13.80.251,192.13.80.252
             hub-hub poll       =    OFF
             interval(idle)     =      5( 60) sec
             times              =      5 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =    YES
    
     Name    Hostname/Polling Parameter
    +-------+---------------------------------------------------------------+
     sha1    192.13.81.251,192.13.81.252
             hub-hub poll       =    OFF
             interval(idle)     =      2( 60) sec
             times              =      3 times
             max_retry          =      5 retry
             repair_time        =      5 sec
             failover mode      =    YES

参照

  • 仮想インタフェースごとの監視先設定方法については、“7.7 hanetpollコマンド”を参照してください。

  • NIC共有の設定をしている場合は、フェイルオーバのパラメタだけを仮想インタフェース単位で設定できます。その他のパラメタは、最初に定義した仮想インタフェースのパラメタの値で動作します。