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PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 4.2 (伝送路二重化機能編)

2.1.2 RIP方式

本方式では、複数のNIC(Network Interface Card)をそれぞれ異なるネットワークに接続し、これらのNICをすべて活性化します。また、高速切替方式の場合と同様に、仮想インタフェースを生成し、このインタフェースに仮想ネットワークを割り当てます。TCP/IPアプリケーションは、この仮想インタフェースに設定されたIPアドレス(以下、仮想IPアドレスと呼びます)を自システムのIPアドレスとして使用することにより、物理的なネットワークの冗長構成を意識することなく相手システムと通信を行うことが可能となります。

伝送路の監視は、インターネット上の標準プロトコルであるRIP(Routing Information Protocol)に従って行われます。RIPは、Solarisシステムのルーティングデーモン(in.routed)により制御されます。Solarisシステムがサポートするルーティングデーモンのバージョンは1です。

図2.6 RIP方式による二重化運用例

接続形態

通信するシステム間にルータを配置して、それぞれ別ネットワークに接続します。

特徴

インターネット標準のルーティングプロトコルであるRIPを使用しているため、グローバルなネットワーク環境下で、機種を限定せずに様々な装置と通信することが可能です。ただし、RIPによる経路切替えは緩やかに行われるため、切替えには時間を要します。

推奨適用分野

Webサーバや、3階層クライアント/サーバシステムにおけるアプリケーションサーバとクライアントマシン間の通信に適しています。

システム構成

RIP方式のシステム構成を、図2.7 RIP方式のシステム構成に示します。

図2.7 RIP方式のシステム構成

各構成要素とその意味は以下の通りです。

物理インタフェース

二重化したNICの物理インタフェース(hme0,hme1等)を表します。

物理IP

物理インタフェースに付与するIPアドレスを表します。このIPアドレスは、常に活性化された状態となっています。指定可能なアドレス形式はIPv4アドレスです。IPv6アドレスは指定できません。

仮想インタフェース

二重化したNICを1つに見せるための仮想インタフェース(sha0等)を表します。

仮想IP

相手装置と通信するため、仮想インタフェースに割り当てる自側のIPアドレスを表します。指定可能なアドレス形式はIPv4アドレスです。IPv6アドレスは指定できません。

監視先ルータ1

ルータ監視機能使用時、最初に監視するルータのIPアドレスを表します。

監視先ルータ2

ルータ監視機能使用時、切替え発生後に監視するルータのIPアドレスを表します。

2.1.2.1 障害監視機能

障害監視

隣接ルータから受信するRIPパケットを元に、相手システムとの最短の経路を選択し、その伝送路を使用して通信を行います。その後、ルータからのRIPパケット受信を監視し、正常に受信した場合にはその伝送路は正常であると判断します。一定時間内にRIPパケットの受信がなかった場合には、その伝送路は異常であると判断し、別のルータから受信するルーティング情報に従って通信に使用する伝送路の切替えを行います。監視はNICに接続されているルータ単位に行われます。なお、RIPによるルーティング制御は、Solarisシステムにより実行されます。

図2.8 RIP方式における監視方法(ルータ監視機能未使用時)

切替え時間

伝送路上に障害が発生した場合のRIPによるネットワーク経路の切替えには、最大で約5分程度の時間を要します。

検出可能な障害

以下の障害を検出する事ができます。

図2.9 RIP方式における有効監視範囲

(1)~(4)は同一の障害として見えるため、これらのうちのいずれであるかを特定することはできません。それぞれの機器の調査が更に必要となります。

監視の開始/停止

仮想インタフェースの活性化時に自動的に監視を開始します。また、仮想インタフェースが非活性化された場合に自動的に監視を停止します。またクラスタ運用の場合は、クラスタアプリケーションの起動、停止に連動して、監視の開始、停止が実行されます。

2.1.2.2 切替え機能

切替え動作

それまでRIPを受信していたルータとは別のルータから受信するルーティング情報に従って、通信に使用する伝送路の切替えを行います。

図2.10 RIP方式における異常発生時の切替え動作概要

切戻し動作

伝送路が復旧すると、RIP情報に従って自動的に経路を元の状態に変更します。なお、手動で切戻し動作を行う事はできません。

2.1.2.3 通信可能な相手ホスト

任意のシステムとの接続が可能です。なお、自システム側のネットワークに接続するルータには、富士通LINKRELAYシリーズを推奨します。

2.1.2.4 使用可能なアプリケーション

本方式にて動作可能なユーザアプリケーションの条件は以下の通りです。

2.1.2.5 注意事項