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PRIMECLUSTER 導入運用手引書 4.3

H.5.1 ノングローバルゾーン上での保守作業

ノングローバルゾーンはグローバルゾーンに設定したCmdlineリソースによって監視、制御されます。このため、グローバルゾーンのRMSが動作している間に、ノングローバルゾーン上のRMSやアプリケーションを操作すると、グローバルゾーン側でそれが異常として検知されることがあります。さらにそれを契機としてノングローバルゾーンの強制停止や切替えなどが発生することがあります。

このため、以下の操作を含む保守作業を実施する場合、以降で説明する保守作業手順にしたがってください。

基本的な考え方としては、ノングローバルゾーン上の保守のためには、グローバルゾーン上で保守モードを使用します。

以下の手順は、グローバルゾーンの保守対象のクラスタアプリケーションがOnline状態であることを前提としています。ノングローバルゾーン上で何らかの異常が発生し、Online状態にすることができない場合の対処方法については、“H.5.4 ノングローバルゾーン異常発生時の復旧作業”を参照してください。

注意

共有IPゾーンの環境で、高速切替方式、GS/SURE連携方式の仮想IPアドレスを共有している場合、ノングローバルゾーンを停止する前に、以下の手順で共有状態を解除してください。

ノングローバルゾーン停止時に、共有されている論理インタフェースは削除されます。このため、GLSが制御する論理仮想インタフェースを消されないよう、事前に解除する必要があります。

本手順は、グローバルゾーンで実施します。

  1. ifconifgコマンドで、高速切替方式、GS/SURE連携方式の論理仮想インタフェース(shaで 始まるインタフェース) に、停止対象のノングローバルゾーン名 のzone設定(共有状態の設定)が表示されていることを確認します。

    # ifconfig -a
    sha10:65: flags=1000863<UP,BROADCAST,NOTRAILERS,RUNNING,... zone zone-a inet 192.168.100.101 netmask ffffff00 broadcast 192.168.110.255
  2. 設定されている場合、共有状態を解除します。

    # ifconfig sha10:65 -zone
    # ifconfig -a
    sha10:65: flags=1000863<UP,BROADCAST,NOTRAILERS,RUNNING,...
    inet 192.168.100.101 netmask ffffff00 broadcast 192.168.110.255

なお、誤って手順を実行する前に停止したことで、GLSの論理仮想インタフェースが削除されてしまった場合、必要に応じて、“PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)”の“トラブルシューティング”の“仮想インタフェースをifconfigコマンドで誤って削除した”を参考に復旧させてください。

ノングローバルゾーンイメージを共有する場合

ノングローバルゾーンイメージを共有する場合で、ノングローバルゾーンにパッチ適用を行う場合は、以下の例のような手順で行ってください。ノングローバルゾーンイメージを共有する場合は、ローリングアップデートによるパッチの適用はできません。

  1. 保守モードへの移行

    グローバルゾーンから、対応するクラスタアプリケーションを保守モードに移行させます。GUIおよびCLIが利用できます。手順は“PRIMECLUSTER RMS導入運用手引書”の“7.3 保守モードの使用法”を参照してください。

  2. ノングローバルゾーンでの保守作業の実施

    Online状態のノングローバルゾーン上で必要な保守作業を実施します。グローバルゾーン上で保守モードが設定されている間は、必要に応じて、ノングローバルゾーンのRMSのコマンド(hvcm, hvshut, hvswitch, hvutil, hvdispなど)を使用しても構いませんし、ノングローバルゾーンの起動/停止を行っても構いません。

    例えば、ノングローバルゾーンにパッチを適用する場合、以下のような手順を実施します。

    1. ノングローバルゾーンを停止します。グローバルゾーンからzloginでログインし、shutdownコマンドを実行するか、以下のようにzloginコマンドでグローバルゾーンから直接shutdownコマンドを実行します。

      # zlogin zone-a shutdown -y -g0 -i0   *1

      *1: “zone-a”はゾーン名です(以下同様)

    2. ノングローバルゾーンが停止したこと確認します。具体的には、zoneadm listコマンドでSTATUSが"installed "の状態になることを確認します。

      # zoneadm list -vc
      ID NAME STATUS PATH BRAND IP 0 global running / native shared - zone-a installed /zone-a-system native shared
    3. ノングローバルゾーンをシングルユーザモードで起動します。

      # zoneadm -z zone-a boot -s
    4. ノングローバルゾーンにパッチを適用します。

    5. ノングローバルゾーンの再起動を実施します。

      # zlogin zone-a shutdown -y -g0 -i6

    注意

    • ノングローバルゾーンイメージを共有しない場合、各グローバルゾーンに配置してあるクラスタシステムを構成するすべてのノングローバルゾーンで同じパッチを適用してください。

    • 各グローバルゾーンに配置してあるノングローバルゾーンのクラスタアプリケーションが同時にOnlineにならないよう注意してください。

  3. ノングローバルゾーンの状態回復

    保守モード解除の前に、ノングローバルゾーンを保守モードに移行した時と同じ状態に戻します。つまり、ノングローバルゾーンが起動していて、その上のRMSとクラスタアプリケーションも起動した状態に戻します。Gds、Gls、Fsystemなどの他のリソースを手動で非活性状態にしていた場合は、それらのリソースも活性状態に戻してください。

    1. ノングローバルゾーンが再起動したことを確認します。これはzlogin -C zone-aでコンソールを取得することでその状況が確認できます。

      # zlogin -C zone-a
    2. ノングローバルゾーンにログイン後、以下の手順でRMSを起動します。

      # hvcm
    3. Online状態だったノングローバルゾーン上のクラスタアプリケーションを元の状態に戻します。

      # hvswitch userApp_0   *1

      *1: “userApp_0”はノングローバルゾーン上のクラスタアプリケーション名です。

  4. 保守モードの解除

    グローバルゾーンで、対応するクラスタアプリケーションを保守モードから解除します。GUIおよびCLIが利用できます。手順は“PRIMECLUSTER RMS導入運用手引書”の“7.3 保守モードの使用法”を参照してください。

ノングローバルゾーンイメージを共有しない場合

ノングローバルゾーンイメージを共有しない場合は、ローリングアップデートによるパッチ適用が可能です。ノングローバルゾーンにローリングアップデートによるパッチ適用を行う場合は、以下の例のような手順で行ってください。

例)運用系グローバルゾーンGZA、および待機系グローバルゾーンGZBにあるノングローバルゾーンに、ローリングアップデートによるパッチ適用を行う場合。

  1. GZA上で以下のコマンドを実行し、保守対象のノングローバルゾーンを制御するクラスタアプリケーションを待機系GZBに切替えます。

    # hvswitch userApp_0 GZBRMS   *1

    *1: “userApp_0”はノングローバルゾーンを制御しているクラスタアプリケーション名、“GZBRMS”はSysNode名です。

  2. 保守対象のノングローバルゾーンを制御するクラスタアプリケーションを保守モードに移行させます。

  3. ノングローバルゾーンの状態を確認します。

    # zoneadm list -vc
  4. STATUSがconfiguredの場合、ノングローバルゾーンをアタッチします。

    # zoneadm -z zone-a attach
  5. STATUSがrunningの場合、ノングローバルゾーンを停止します。GZAからzloginでログインし、shutdownコマンドを実行するか、以下のようにzloginコマンドでグローバルゾーンから直接shutdownコマンドを実行します。

    # zlogin zone-a shutdown -y -g0 -i0   *2

    *2: “zone-a”はゾーン名です(以下同様)。

  6. ノングローバルゾーンが停止したこと確認します。具体的には、GZAでzoneadm listコマンドを実行し、STATUSが"installed"の状態になることを確認します。

    # zoneadm list -cv
    ID NAME STATUS PATH BRAND IP
    0 global running / native shared
    - zone-a installed /zone-a-system native excl
  7. GZAから保守対象のノングローバルゾーンをシングルユーザモードで起動します。

    # zoneadm -z zone-a boot -s
  8. ノングローバルゾーンにパッチを適用します。

  9. 手順3.で、STATUSがconfiguredの場合、ノングローバルゾーンをデタッチします。

    # zoneadm -z zone-a detach
  10. STATUSがrunningの場合、ノングローバルゾーンを再起動し、ノングローバルゾーン上のRMSを起動します。

    # zlogin zone-a shutdown -y -g0 -i6   *3
    # zlogin -C zone-a
    # hvcm *4

    *3: その後、ノングローバルゾーンが再起動したことを確認します。これはzlogin -C zone-aでコンソールを取得することでその状況が確認できます。

    *4: ノングローバルゾーンにログイン後、RMSを起動します。

  11. 対応するクラスタアプリケーションの保守モードを解除します。

  12. GZBに配置してあるノングローバルゾーンにもパッチを適用します。 1)から 9)の手順を繰り返します。ただし、手順中のGZAはGZBに、GZBはGZAに置き換えてください。

ノングローバルゾーンのOracle, NetWorker, NAS装置, NetBackupのメンテナンス

ノングローバルゾーンのOracle, NetWorker, NAS装置, NetBackupの保守作業を行うには、PRIMECLUSTERまたはWizard製品による監視を一時的に中断する必要があります。

Wizard製品の保守の手順や留意点については各Wizard製品のマニュアルを参照してください。

ノングローバルゾーンのWizard製品への修正適用

ノングローバルゾーンのWizard製品に対して緊急修正を適用する場合は、ノングローバルゾーンをシングルユーザモードにして適用してください。このとき“H.5.1 ノングローバルゾーン上での保守作業”のようにグローバルゾーン上で保守モードを使用してください。

Wizard製品の修正適用の手順や留意点については、各Wizard製品のマニュアルを参照してください。