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PRIMECLUSTER 導入運用手引書 4.3

8.2 業務LANのIPアドレスの変更

PRIMECLUSTERシステムを導入した後に、業務LANおよび管理LANのIPアドレスが変更となった場合のIPアドレスを変更する方法について説明します。なお、IPアドレスを変更する際は、ホスト名の変更は行わないでください。

◆操作手順

  1. いずれかのクラスタノードで以下のコマンドを実行し、RMSの運用を停止します。

    # hvshut -a
  2. すべてのノードで以下のコマンドを実行し、システムをシングルユーザモードで起動します。

    # /usr/sbin/shutdown -y -g0 -i0
    ok> boot -s
  3. すべてのノードで以下のコマンドを実行し、ファイルシステムをマウントします。

    # /usr/sbin/mountall -l
    # /usr/sbin/zfs mount -a
  4. /etc/inet/hosts ファイルを編集し、各ノードのIPアドレスを変更します。

    Solaris 11の場合、さらに、ipadmコマンドによる設定が必要です。

  5. 各ノードにおいて、Web-Based Admin Viewで使用する業務LANのIPアドレスの変更を行います。

    参照

    詳細は“PRIMECLUSTER Web-Based Admin View 操作手引書”の“7.1 ネットワークアドレスの変更”、“7.3 管理サーバの変更”、および“7.5 管理サーバにおけるネットワークの分離”を参照してください。

  6. 引継ぎIPアドレスの変更が必要な場合には、各ノードの/etc/inet/hostsファイルに対し、引継ぎIPアドレスで使用するIPアドレスを修正します。

  7. userApplication Configuration Wizardを使ってIpaddressリソースを作成している場合には、再起動時 RMSが自動で起動しないよう、各クラスタノードの/opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvenv.localファイルをvi等のエディタで編集し、以下のように設定してください。

    export HV_RCSTART=0
  8. シャットダウン機構で使用するIPアドレスを変更する場合、各クラスタノードで/etc/opt/SMAW/SMAWsf/rcsd.cfgファイルに変更が必要かを判断します。

    • rcsd.cfgファイルの“admIP”に、/etc/inet/hostsファイルで登録されたホスト名が定義されている場合、rcsd.cfgファイルの変更は不要です。

    • rcsd.cfgファイルの“admIP”に、IPアドレスが定義されている場合、rcsd.cfgファイルの変更が必要です。“admIP”の定義を変更してください。

    rcsd.cfgファイルの詳細は、rcsd.cfg(4M)のマニュアルページを参照してください。

  9. すべてのノードでシステムを再起動します。

    # /usr/sbin/shutdown -y -g0 -i6
  10. XSCF、ALOMまたはILOMのIPアドレスを変更する場合、各クラスタノードで以下のコマンドを実行し、シャットダウン機構を停止します。

    # sdtool -e
  11. 各ノードの/etc/inet/hostsファイルに記載されている XSCF、ALOMまたはILOMのIPアドレスを修正します。

  12. シャットダウン機構に登録した以下のIPアドレスを、必要に応じて変更します。

    1. XSCFのIPアドレス

      XSCFの場合は“5.1.2.1.2 シャットダウン構成ウィザードによる設定”を参照して、XSCFのIPアドレスを再設定してください。

      XSCF名に/etc/inet/hostsファイルで登録されたホスト名が表示されている場合、変更は不要です。

      図8.1 XSCFの場合

    2. ALOMのIPアドレス

      ALOMの場合は“5.1.2.2.2 シャットダウン構成ウィザードによる設定”を参照して、ALOMのIPアドレスを再設定してください。

      ALOM名には変更後のIPアドレスを指定してください。

      図8.2 ALOMの場合

    3. ILOMのIPアドレス

      ILOMの場合は“5.1.2.3.2 シャットダウン構成ウィザードによる設定”を参照して、ILOMのIPアドレスを再設定してください。

      ILOM名に/etc/inet/hostsファイルで登録されたホスト名が表示されている場合、変更は不要です。

      図8.3 ILOMの場合

  13. シャットダウン機構に登録したIPアドレスの変更後は、シャットダウン機構の構成状態の表示画面で各ノードのシャットダウン機構の構成状態を確認してください。

    図8.4 シャットダウン機構の構成状態の表示

    停止状態

    通常のシステム運用時にはUnknown と表示されており、ノードに異常が発生し、シャットダウン機構がノードの停止に成功すると、KillWorked に変わります。

    テスト状態

    ノード異常発生時にノードを停止させる経路をテストした状態を表しています。経路のテストが完了していない時はUnknown と表示されますが、構成されたシャットダウンエージェントが正常に動作した場合、TestWorked に変わります。

    初期状態

    シャットダウンエージェントを初期化した状態を表しています。

    構成ウィザードを終了する時は、<完了>をクリックするとポップアップ画面が表示されますので、<はい>をクリックします。

    注意

    • この画面でシャットダウン機構が正常に動作していることを確認してください。
      シャットダウン機構の設定が完了しているのに、初期状態がInitFailed と表示されたり、テスト状態にUnknown や赤字でTestFailedと表示された場合は、シャットダウン機構に登録されたIPアドレスに誤りがある可能性があります。IPアドレスを再設定してください。

    • XSCF への接続が SSH 接続の場合、IP アドレス変更後にシャットダウン機構用のログインユーザアカウントを使用して、クラスタノードから XSCFへ SSH 接続し、SSH 初回接続時のユーザ問い合わせ (RSA 鍵の生成など) が完了していることを確認してください。

  14. userApplication Configuration Wizardを使用してIpaddressリソースを設定していた場合、以下の手順を実施し、リソースデータベースの引継ぎIPアドレスを変更します。

    1. リソースデータベースの変更する引継ぎIPアドレスのリソースを特定します。

      特定には、クラスタノードの1つのノードにおいて、clgettree(1)コマンドを使用します。引継ぎIPアドレスのリソースは、IPアドレスのリソースクラス名のリソースです。

      例) 以下の例の場合、リソースのリソースIDが56と57のリソースが、引継ぎIPアドレスのリソースです。

       # /etc/opt/FJSVcluster/bin/clgettree
       Cluster 1 cluster
            Domain 2 RC2
                    Shared 7 SHD_RC2
                            SHD_Host 58 config_Ipaddress0_ip1 UNKNOWN
                                    IP_Address 56 hme0:1 UNKNOWN narcissus
                                    IP_Address 57 hme0:1 UNKNOWN sweetpea
                    Node 3 narcissus ON
                            Ethernet 21 hme0 UNKNOWN
                                    IP_Address 56 hme0:1 UNKNOWN
                            Application 31 proc1 UNKNOWN
                            DISK 19 c0t0d0 UNKNOWN
                    Node 5 sweetpea ON
                            Ethernet 22 hme0 UNKNOWN
                                    IP_Address 57 hme0:1 UNKNOWN
                            Application 32 proc1 UNKNOWN
                            DISK 20 c0t0d0 UNKNOWN
    2. 引継ぎIPアドレスの共用リソースを特定します。

      特定には、クラスタノードの1つでclgettree(1)コマンドを使用します。

      引継ぎIPアドレスの共用リソースは、SHD_Hostのリソースクラス名のリソースです。

      例) 手順1.の例の場合、リソースのリソースIDが58のリソースが、引継ぎIPアドレスの共用リソースです。

    3. 引継ぎIPアドレスを変更します。

      変更には、clsetrsc(1M)コマンドを使用します。引継ぎIPアドレスは、手順2.で特定した引継ぎIPアドレスの共用リソースの属性に定義されています。

      各クラスタノードにおいて、以下の形式でclsetrsc(1M)コマンドを実行し、引継ぎIPアドレスを変更します。

      # /etc/opt/FJSVcluster/sys/clsetrsc -A ip_addr=変更後のIPアドレス IPアドレスの共用リソースのリソースID

      例) 引継ぎIPアドレスの共用リソース(リソースのリソースID=58)の引継ぎIPアドレスを 10.10.10.10 に変更する場合

      # /etc/opt/FJSVcluster/sys/clsetrsc -A ip_addr=10.10.10.10 58
    4. 引継ぎIPアドレスが変更されたことを確認します。

      確認には、clgetrsc(1)コマンドを使用します。

      以下の形式でクラスタノードの1つでclgetrsc(1)コマンドを実行し、引継ぎIPアドレスが変更されたことを確認します。

      # /etc/opt/FJSVcluster/sys/clgetrsc -a ip_addr IPアドレスの共用リソースのリソースID

      例) 引継ぎIPアドレスの共用リソース(リソースのリソースID=58)の引継ぎIPアドレスを 10.10.10.10 に変更した場合

      # /etc/opt/FJSVcluster/sys/clgetrsc -a ip_addr 58
      ip_addr 10.10.10.10
  15. 手順7.において、/opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvenv.localファイルを編集していた場合、元の設定に戻してください。

注意

  • すでにMACアドレス引継ぎが設定されているインタフェース、もしくはIPアドレスをWeb-Based Admin Viewで使用することはできません。

  • 引継ぎIPアドレスがGLSにより定義されている場合で、かつ、GLSの環境設定およびGlsリソースの設定において、引継ぎIPアドレスを、ホスト名でなく直接IPアドレスの値で指定している場合には、まず、Glsリソースを削除し、その後、/etc/inet/hosts およびGLSの環境設定を変更し、Glsリソースを再登録してください。
    詳細は、“8.9.3 クラスタアプリケーション、リソース削除についての補足”、“6.2.1 GLSの設定”、および“6.7.1.4 Glsリソースの作成”を参照してください。