非同期アプリケーション連携実行基盤のセットアップを行う前に、以下の準備作業を行う必要があります。
資源の見積り
ローデバイスの作成
セットアップ情報ファイルの作成
カーネル編集
環境変数の設定
環境変数設定ファイルの記述
ここでは、上記の準備作業の手順について説明します。
非同期アプリケーション連携実行基盤で使用する各資源を見積ります。
見積り項目と方法を以下に示します。
見積り項目 | 見積り方法 |
---|---|
IPCパラメタ | 共有メモリ資源、セマフォ資源、メッセージキュー資源については、“5.2.2.4 カーネル編集”、および、“Interstage Business Application Server チューニングガイド”の“データベースの設定(Symfoware/RDBを使う場合)”を参照してください。 |
コネクション数 | コネクション数については、“Interstage Business Application Server チューニングガイド”の“データベースの設定(Symfoware/RDBを使う場合)”を参照してください。 |
RDB構成パラメタ | rdbsetupコマンドのパラメタとしてコネクション数に応じたシステム規模を指定することによって、雛形のRDB構成パラメタファイルが作成されます。rdbsetupコマンドが作成するRDB構成パラメタファイルについては、“■RDB構成パラメタファイルの作成”を参照してください。 |
システム用の動作環境ファイルのパラメタ | rdbsetupコマンドのパラメタとしてコネクション数に応じたシステム規模を指定することによって、雛形のシステム用の動作環境ファイルが作成されます。rdbsetupコマンドが作成するシステム用の動作環境ファイルについては、“■システム用の動作環境ファイルの作成”を参照してください。 |
デフォルトの共用バッファ定義ファイルのパラメタ | rdbsetupコマンドのパラメタとしてコネクション数に応じたシステム規模を指定することによって、雛形のデフォルトの共用バッファ定義ファイルが作成されます。rdbsetupコマンドが作成するデフォルトの共用バッファ定義ファイルについては、“■デフォルトの共用バッファ定義ファイルの作成”を参照してください。 |
ログ管理ファイルおよびテンポラリログファイル | rdbsetupコマンドのパラメタとしてコネクション数に応じたシステム規模を指定することによって、ログ管理ファイルおよびテンポラリログファイルが作成されます。 |
RDBディクショナリ |
|
アーカイブログファイル (注3) | アーカイブログファイルについては、“Interstage Business Application Server 運用ガイド(高信頼性ログ編)”を参照してください。 |
データベーススペース(フロー定義DB用) |
|
データベーススペース(メッセージトラッキングDB用) (注4) |
|
注1) ローデバイスを使用する場合です。
注2) ログ管理ファイルと、テンポラリログファイルのログインデックス域、AIログ域およびBIログ域はすべて同じローデバイスを使用します。
注3) 同梱のSymfoware/RDBを利用する場合は、アーカイブログファイルは使用しません。ただし、高信頼性ログ機能を利用する場合はアーカイブログファイルを使用できます。同一のRDBシステムで高信頼性ログ機能を利用する場合は、“Interstage Business Application Server 運用ガイド(高信頼性ログ編)”を参照してください。
注4) メッセージトラッキング機能を使用する場合に作成します。
見積り式の詳細は、“Interstage Business Application Server チューニングガイド”の“データベースの設定(Symfoware/RDBを使う場合)”を参照してください。
非同期アプリケーション連携実行基盤の運用に必要なローデバイスを確保します。
RDBディクショナリ、ロググループ管理ファイル、ログ管理ファイル、テンポラリログファイル、アーカイブログファイル、データベースおよび監査ログデータベースを格納するローデバイスを作成します。ローデバイスは、資源ごとに作成する必要があります。
アーカイブログファイルおよびデータベースを格納するローデバイスは、異なるディスク上に作成してください。同じディスク上に作成した場合に媒体破壊が発生すると、データベースをリカバリすることができなくなります。
以下のファイルは、同じローデバイスに作成することができます。
ロググループ管理ファイル
ログ管理ファイル
システムロググループのログ管理ファイルは、ロググループ管理ファイルと同一のローデバイスに作成することはできません。
テンポラリログファイル
ログインデックス域は、ログ管理ファイルと同じローデバイスに作成することができます。
AIログ域とBIログ域は、ログインデックス域と同じローデバイスに作成することができます。
使用可能なログファイルの配置構成を以下に示します。
例
スライス0にロググループ管理ファイル、ログ管理ファイルおよびテンポラリログファイルを作成します。
パーティションにロググループ管理ファイル、ログ管理ファイルおよびテンポラリログファイルを作成します。
■ローデバイスの作成方法
ディスクから必要な大きさのパーティションを切り出してローデバイスを作成します。ローデバイスの作成は、formatユーティリティで、パーティションを切り出すディスクの番号を入力したあと、“partition”を選択し、メニューの指示に従って行います。
なお、ローデバイスに対して初期化を行う必要はありません。
参照
ローデバイスの作成方法およびformatユーティリティの詳細は、使用しているシステムのドキュメントを参照してください。
注意
ローデバイス作成時に、シリンダ0は指定しないでください。
スライス2は、ディスク全体を表すため、ローデバイスとして使用できません。
ローデバイスはformatユーティリティで作成したものを使用してください。非同期アプリケーション連携実行基盤の運用に必要なローデバイスに対してリンクを作成しないでください。
OSのユーティリティでパーティションを切り出す場合、ユーティリティで指定したサイズと、実際に切り出されるサイズが若干異なることがあります。また、複数のパーティションを切り出す場合に、OSのユーティリティにそれぞれ同一のサイズを指定しても、実際に切り出されるパーティションによってサイズが異なることがあります。そのため、実際に切り出されたパーティションのサイズについては、OSのユーティリティで確認してください。
以下の機能を使用してパーティションまたはボリュームを作成します。
OS機能のpartedコマンドで作成
PRIMECLUSTER GDSのボリュームを作成
PRIMECLUSTER GDSを使用している場合は、上記の作業でローデバイスの作成は完了となります。
以降の作業は、PRIMECLUSTER GDSを使用していない場合に実施してください。
ディスクのパーティションに対応するudevのブロックデバイス名を特定します。
udevのブロックデバイス名には、by-id名とby-path名があり、接続されているディスク装置により、使用するデバイス名が異なります。なお、特定したudevのブロックデバイスとディスクパーティションの情報は対応表などを作成することを推奨します。
ETERNUSのディスクに対してローデバイスを作成する場合:
by-id名を使用してください。
ETERNUS以外のディスクに対してローデバイスを作成する場合:
by-path名を使用してください。PRIMECLUSTER GDSのボリュームの場合、ブロック特殊ファイルを指定してください。
例
ETERNUS以外のディスク(/dev/sda5)に対するudevのブロックデバイス名の特定をする場合の例を以下に示します。なお、/dev/sda5のudevのブロックデバイス名は、/dev/disk/by-path/pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5となります。
cd /dev/disk/by-path ls -l lrwxrwxrwx 1 root root 9 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0 -> ../../sda lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part1 -> ../../sda1 lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part2 -> ../../sda2 lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part3 -> ../../sda3 lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part4 -> ../../sda4 lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5 -> ../../sda5 |
udevのブロックデバイスへシンボリックリンクを作成します。
シンボリックリンクの作成先は、/dev_symfowareディレクトリを作成後、/dev_symfoware配下に作成します。/dev_symfowareディレクトリのアクセス権は、データベース管理者からアクセス可能なようにchownコマンドおよびchmodコマンドを使用してアクセス権の設定を行ってください。
例
udevのブロックデバイス(/dev/disk/by-path/pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5)へシンボリックリンク(raw1)を作成する場合の例を以下に示します。なお、/dev_symfoware/raw1をローデバイス名と呼びます。
cd /dev_symfoware ln -s /dev/disk/by-path/pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5 raw1 ls -l lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 raw1 -> pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5 |
なお、ローデバイスに対して初期化を行う必要はありません。
参照
partedコマンド、udev、chownコマンドおよびchmodコマンドの詳細については、使用しているシステムベンダのドキュメントを参照してください。
PRIMECLUSTER GDSの詳細については、“PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書”を参照してください。
注意
OSのユーティリティでパーティションを切り出す場合、ユーティリティで指定したサイズと、実際に切り出されるサイズが若干異なることがあります。また、複数のパーティションを切り出す場合に、OSのユーティリティにそれぞれ同一のサイズを指定しても、実際に切り出されるパーティションによってサイズが異なることがあります。そのため、実際に切り出されたパーティションのサイズについては、OSのユーティリティで確認してください。
■アクセス権の設定
複数の動作環境を作成する場合は、ほかのSymfoware/RDB環境とローデバイスを重複して使用しないよう注意が必要です。ローデバイスの作成後に、各システムの起動ユーザしかアクセスできないように、chownコマンドおよびchmodコマンドを使用して、アクセス権の設定を行ってください。
参照
chownコマンドおよびchmodコマンドの詳細は、使用しているシステムのドキュメントを参照してください。
PRIMECLUSTER GDSを使用している場合
“PRIMECLUSTER Global Disk Services説明書”の“注意事項”を参照して設定してください。
PRIMECLUSTER GDSを使用していない場合
ローデバイスへのアクセス権の設定ルールを記述します。
設定ルールは、“/etc/udev/rules.d/99-symfoware.rules”を作成して記述します。
設定ルールは、すべてのローデバイス分記述します。
ETERNUSのディスクに対してルールを設定する場合
/dev/disk/by-id/scsi-SFUJITSU_MAN3367MC_UFD8P2602PTJ-part1にアクセス権(オーナ:symfo、グループ:symfogrp、アクセス権:0600)を設定する場合の例を以下に示します。
KERNEL=="*[1]", ENV{ID_BUS}=="scsi", ENV{ID_SERIAL}=="SFUJITSU_MAN3367MC_UFD8P2602PTJ", OWNER="symfo", GROUP="symfogrp", MODE="0600" |
ETERNUS以外のディスクに対してルールを設定する場合
/dev/disk/by-path/pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5にアクセス権(オーナ:symfo、グループ:symfogrp、アクセス権:0600)を設定する場合の例を以下に示します。
KERNEL=="*[5]",ENV{ID_PATH}=="pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0",OWNER="symfo",GROUP="symfogrp", MODE="0600" |
■ローデバイスの作成例
以下に、作成例を示します。
注意
ローデバイスを指定する場合は、formatコマンドやdfコマンドなどを実行して指定するローデバイスの存在の有無や他で使用されていないかを必ず確認してください。
セットアップ情報ファイルは、rdbsetupコマンドによってRDBシステムをセットアップするときに、入力となるファイルです。RDBディクショナリ、テンポラリログ、およびアーカイブログを格納するローデバイス名またはディレクトリ名を指定します。
セットアップ情報ファイルは、/opt/FSUNrdb2b/etc/RDBシステム名.iniというファイル名で作成します。
/opt/FSUNrdb2b/etc/RDBSYS.iniファイルから、RDBシステム名.iniへ複写し、ファイルを編集してください。
セットアップ情報ファイルは、/opt/FJSVrdb2b/etc/RDBシステム名.iniというファイル名で作成します。
/opt/FJSVrdb2b/etc/RDBSYS.iniファイルから、RDBシステム名.iniへ複写し、ファイルを編集してください。
セットアップ情報ファイルは、C:\SFWETC\RDB\ETC\RDBシステム名.iniというファイル名で作成します。
セットアップ情報ファイルの指定形式は以下のとおりです。
# コメント パラメタ名 パラメタ値 パラメタ名 パラメタ値 ... |
注意
パラメタ値に空白を含む値を利用することはできません。空白を指定した場合には、空白以降の指定値が無視されます。
パラメタ値にパス名を指定する場合には、パス名に以下の文字を利用することはできません。
“#”、“&”、“^”、“;”、“,”、“<”、“>”
セットアップ情報ファイルのパラメタ名およびパラメタ値は、以下のとおりです。
なお、以下に示すディレクトリまたはローデバイスは、コマンド実行前にあらかじめ作成しておく必要があります。またコマンド実行者の読込み書込み権限が必要です。
パラメタ名 | パラメタ値 | 記述数 | 記述の省略 |
---|---|---|---|
DIRECTORY_PATH |
| 単一 | 省略不可 |
DICTIONARY_PATH |
| 単一 | 省略不可 |
TEMPORARY_LOG_PATH |
| 単一 | 省略不可 |
ARCHIVE_LOG_PATH |
1行につき1つのアーカイブログファイルを指定します。
/WORK/arclog/RDBAPFW | 2 | 省略不可 |
ARCHIVE_LOG_SIZE | アーカイブログファイルのサイズを指定します。単位はメガバイトです。 | 単一 | 省略不可 |
CORE_PATH | Symfoware/RDBプロセスで異常が発生した場合のダンプ出力先ディレクトリを、絶対パス名で指定します。(注1) | 単一 | 省略不可 |
PROJECT_CODE | IPCキーの重複使用を避けるために、“0x”で始まる16進数を指定します。(注4) | 単一 | 省略可 |
注1) ローデバイスまたはディレクトリは事前に作成して“Symfoware/RDBを起動するユーザID”および“RDBコマンドを実行するユーザID”への書込み権を与えておく必要があります。
注2) 同梱のSymfoware/RDBを利用する場合は、アーカイブログファイルは使用しません。ただし、高信頼性ログ機能を利用する場合はアーカイブログファイルを使用できます。同一のRDBシステムで高信頼性ログ機能を利用する場合は、“Interstage Business Application Server 運用ガイド(高信頼性ログ編)”を参照してください。
注3) 他のRDBシステムが使用しているディレクトリと重複しないようにしてください。
注4) Symfoware/RDBは、通信その他の目的でIPCを使用します。このIPCの使用時のキーとなる値が他プロダクトと重複することを避けるために、キーの最上位バイトがプロジェクトを表すようにするという方式をお勧めします。PROJECT_CODEの値はIPCキーの最上位1バイトめにあたります。
例) セットアップ情報ファイルの定義例
DICTIONARY_PATH /dev/rdsk/c1t2d0s1 TEMPORARY_LOG_PATH /dev/rdsk/c1t2d0s3 ARCHIVE_LOG_PATH /WORK/arclog/RDBAPFW ARCHIVE_LOG_PATH /WORK/arclog/RDBAPFW ARCHIVE_LOG_SIZE 1 CORE_PATH /WORK/CORE |
DICTIONARY_PATH /dev/raw/raw12 TEMPORARY_LOG_PATH /dev/ raw/raw13 ARCHIVE_LOG_PATH /WORK/arclog/RDBAPFW ARCHIVE_LOG_PATH /WORK/arclog/RDBAPFW ARCHIVE_LOG_SIZE 1 CORE_PATH /WORK/CORE |
DICTIONARY_PATH C:\WORK\DICTIONARY_PATH TEMPORARY_LOG_PATH C:\WORK\TEMPORARY_LOG_PATH ARCHIVE_LOG_PATH C:\WORK\arclog\RDBAPFW ARCHIVE_LOG_PATH C:\WORK\arclog\RDBAPFW ARCHIVE_LOG_SIZE 1 CORE_PATH C:\WORK\CORE |
非同期アプリケーション連携実行基盤で使用するRDBシステムを動作するためには、非同期アプリケーション連携実行基盤の運用に応じたカーネル資源を確保しておく必要があります。
以下に設定が必要なカーネル資源を示します。
共用メモリ資源
セマフォ資源
メッセージキュー資源
カーネル資源の設定方法について説明します。
■カーネル構成ファイル(/etc/systemファイル)
カーネル構成ファイル(/etc/systemファイル)は、カーネル資源を設定するファイルです。
以下の値は、ユーザログテーブルが動作するために必要な値です。
注意
カーネル構成ファイルに値が設定されている場合は、値を確認し、追加や変更を行ってください。カーネル構成ファイルに値が設定されていない場合は、OSの省略値が使用されています。この場合には、OSの省略値を基準にして追加や変更を行ってください。OSが使用している値は、sysdefコマンドにより表示できます。sysdefコマンドの詳細は、OSのmanコマンドで参照してください。
各パラメタの説明で、“設定値”とあるパラメタについては、すでに設定されている値または省略値と比較して大きい方の値を設定し、“加算値”とあるパラメタについては、すでに設定されている値または省略値に加算した値を設定してください。
カーネル編集が完了したら、システムを再起動してください。
カーネル構成ファイル内のパラメタは、Solaris OEのリリースにより省略値が変更されたり廃止されたりすることがあります。廃止されたパラメタについては設定の必要はありません。
Solaris 10、Solaris 11オペレーティングシステムの資源制御を使用してプロセス間通信機能(共用メモリ、セマフォ、メッセージキュー)の動作を定義する場合、Solaris 10、Solaris 11のprojectデータベースおよびprctlコマンドを使用してください。定義する際には本節を参照して設定値を見積もってください。
参照
Solaris 10、Solaris 11の資源制御の詳細は、システムのドキュメントを参照してください。
カーネル構成ファイル内のパラメタの詳細は、使用しているシステムのドキュメントを参照してください。
■共用メモリ資源
共用メモリ資源の設定について説明します。
Solaris 10、Solaris 11では、資源制御によってproject.max-shm-memory、project.max-shm-idsに、以下の値を設定、または加算してください。
資源制御 | 必要数 | 備考 |
---|---|---|
project.max-shm-memory | RDBEXTMEMの値 × 1024 × 10 × 同時起動RDBシステム数 以上 (注) | 加算値 |
project.max-shm-ids | 10 × 同時起動RDBシステム数 | 加算値 |
注) RDBEXTMEMの詳細は、“5.3.2.3 RDB構成パラメタファイルの編集”を参照してください。
■セマフォ資源
セマフォ資源の設定について説明します。
Solaris 10、Solaris 11では、資源制御によってproject.max-sem-ids、process.max-sem-nsemsに、以下の値を設定、または加算してください。
資源制御 | 必要数 | 備考 |
---|---|---|
project.max-sem-ids | 同時起動RDBシステム数 × 300 | 加算値 |
process.max-sem-nsems | (RDBCNTNUM+ 3) / 15 以上 (注3) | 設定値 |
注1) RDBCNTNUMの詳細は、“5.3.2.3 RDB構成パラメタファイルの編集”を参照してください。
注2) クライアントプロセス多重度は、同時に実行するアプリケーションおよびRDBコマンド数を規定する値となります。この値の概算方法は以下のようになります。
クライアントプロセス多重度 = 同時にローカルアクセスを行うアプリケーションのプロセス数 + 同時に実行するRDBコマンド数 |
注3) 割り切れない場合は、小数点以下を切り上げて設定してください。ただし、上記の計算式で算出された値がデフォルト値(Solaris 10、Solaris 11は512)より小さい場合には、デフォルト値以上の値を設定してください。
■メッセージキュー資源
メッセージキュー資源の設定について説明します。
Solaris 10、Solaris 11では、資源制御によってprocess.max-msg-qbyte、project.max-msg-ids、およびprocess.max-msg-messagesに、以下の値を設定、または加算してください。
資源制御 | 必要数 | 備考 |
---|---|---|
process.max-msg-qbyte | 65536 以上 | 設定値 |
project.max-msg-ids | 2 × 同時起動RDBシステム数 | 加算値 |
process.max-msg-messages | クライアント多重度 × 同時起動RDBシステム数 (注) | 設定値 |
注) クライアント多重度は、同時に実行するアプリケーションおよびRDBコマンドの数を規定する値となります。この値の概算方法は以下のようになります。
クライアント多重度 = 同時にローカルアクセスを行うすべてのアプリケーションの コネクションの数の合計値 + 同時に実行するRDBコマンド数 |
■/etc/sysctl.confファイル
/etc/sysctl.confを編集し、パラメタ値を変更します。変更後は、“sysctl -p /etc/sysctl.conf”を実行するか、システムを再起動してください。
/etc/sysctl.confファイル内のパラメタの指定形式を以下に示します。
パラメタ名 = 値 |
注意
/etc/sysctl.confに値が設定されていない場合は、OSの省略値が使用されています。この場合には、OSの省略値を基準にして追加や変更を行ってください。OSが使用している値は、sysctlコマンドのaオプションにより表示できます。sysctlコマンドの詳細については、OSのmanコマンドで確認してください。
各パラメタの説明で、“最大値”とあるパラメタについては、すでに設定されている値または省略値と比較して大きい方の値を設定し、“加算”とあるパラメタについては、すでに設定されている値または省略値に加算した値を設定してください。
“一括獲得方式”と“分割獲得方式”の選択基準については、Symfoware Serverのマニュアルの“解説書”を参照してください。
■共用メモリ資源
共用メモリ資源の設定について説明します。
◆共用メモリの獲得方式を一括獲得方式にする場合
/etc/sysctl.confファイル内のkernel.shmmax、kernel.shmmniパラメタに、以下の値を設定してください。
パラメタ名 | 必要数 | 備考 |
---|---|---|
kernel.shmmax | RDBEXTMEM × 1024 以上 (注) | 設定値 |
kernel.shmmni | 10 × 同時起動RDBシステム数 | 加算値 |
注) RDBEXTMEMの詳細は、“5.3.2.3 RDB構成パラメタファイルの編集”を参照してください。
◆共用メモリの獲得方式を分割獲得方式にする場合
/etc/sysctl.confファイル内のkernel.shmmax、kernel.shmmniパラメタに、以下の値を設定してください。
パラメタ名 | 必要数 | 備考 |
---|---|---|
kernel.shmmax | COMMUNICATION_BUFFERの値 × 1024 + 16384 以上 (注1) | 設定値 |
kernel.shmmni | (クライアント多重度 + 10) * 同時起動RDBシステム数 (注2) | 加算値 |
注1) COMMUNICATION_BUFFERの詳細は、“5.3.2.4 システム用の動作環境ファイルの編集”を参照してください。上記の計算式で算出された値が20480より小さい場合は、20480以上の値を指定してください。
注2) クライアント多重度は、同時に実行するアプリケーションおよびRDBコマンドの数を規定する値となります。この値の概算方法は以下のようになります。
クライアント多重度 = 同時にローカルアクセスを行うすべてのアプリケーション のコネクションの数の合計値 + 同時に実行するRDBコマンド数 |
■セマフォ資源
セマフォ資源の設定について説明します。
◆共用メモリの獲得方式を一括獲得方式にする場合
/etc/sysctl.confファイル内のkernel.semパラメタに、以下の形式で指定します。
kernel.sem = para1 para2 para3 para4 |
para1、para2、para3、para4に以下の値を設定してください。
パラメタ名 | 必要数 | 備考 |
---|---|---|
para1 | (RDBCNTNUM + 3) / 15 以上 (注1) | 設定値 |
para2 | 同時起動RDBシステム数 × (400 + RDBCNTNUM) (注2) | 加算値 |
para3 | すでに設定されている値 (注3) |
|
para4 | 同時起動RDBシステム数 × 300 | 加算値 |
注1) 割り切れない場合は、小数点以下を切り上げて設定してください。ただし、この値が25より小さい場合には、25以上の値を設定してください。
注2) RDBCNTNUMの詳細は、“5.3.2.3 RDB構成パラメタファイルの編集”を参照してください。
注3) 値が設定されていない場合は、OSの省略値を設定してください。
◆共用メモリの獲得方式を分割獲得方式にする場合
/etc/sysctl.confファイル内のkernel.semパラメタに、以下の形式で指定します。
kernel.sem = para1 para2 para3 para4 |
para1、para2、para3、para4に以下の値を設定してください。
パラメタ名 | 必要数 | 備考 |
---|---|---|
para1 | 25 以上 | 設定値 |
para2 | (クライアント多重度 * 4 + 300) * 同時起動RDBシステム数 (注1) | 加算値 |
para3 | すでに設定されている値 (注2) |
|
para4 | (クライアント多重度 * 2 + 300) * 同時起動RDBシステム数 (注1) | 加算値 |
注1) クライアント多重度は、同時に実行するアプリケーションおよびRDBコマンドの数を規定する値となります。この値の概算方法は以下のようになります。
クライアント多重度 = 同時にローカルアクセスを行うすべてのアプリケーション のコネクションの数の合計値 + 同時に実行するRDBコマンド数 |
注2) 値が設定されていない場合は、OSの省略値を設定してください。
■メッセージキュー資源
/etc/sysctl.confファイル内のkernel.msgmax、kernel.msgmnb、kernel.msgmniパラメタに、以下の値を設定してください。
パラメタ名 | 必要数 | 備考 |
---|---|---|
kernel.msgmax | 128 以上 | 設定値 |
kernel.msgmnb | 4096 以上 | 設定値 |
kernel.msgmni | 2 × 同時起動RDBシステム数 | 加算 |
カーネル編集の例を以下に示します。
# set shminfo (Shared Memory) kernel.shmmax = 68431044 kernel.shmmni = 78 # set msginfo (IPC Messages) kernel.sem = 567 10037 50 1547 # set semsys (Semaphores) kernel.msgmax = 16384 kernel.msgmnb = 32768 kernel.msgmni = 531 |
一括獲得方式の場合の同時起動RDBシステム数:3、コネクション多重度:512とした場合の目安です。アプリケーションサーバの設定値は、システム構築シートの出力値を参照してください。
RDBコマンドおよびmanコマンドを使用するために必要な環境変数を設定します。
環境変数LANGに、以下のSymfoware/RDBのロケール(OSのデフォルトロケール)を設定します。
ja (Solaris 10のみ)
ja_JP.eucJP (Solaris 11のみ)
ja_JP.PCK
ja_JP.UTF-8
C
異なるロケールをLANGに指定した場合、RDBコマンドはエラーになります。なお、Symfoware/RDBやRDBコマンドが出力するqdgメッセージを英語で出力するには、環境変数LANGにCを指定してください。
日本語EUCコードのS90コード:
ja (Solaris 10のみ)
ja_JP.eucJP (Solaris 11のみ)
シフトJISコード:
ja_JP.PCK
UNICODE:
ja_JP.UTF-8
その他:
C、海外で使用されているロケールなど
ロケールを指定する環境変数には、LANGのほかに、LC_ALL、LC_MESSAGES があります。これらの環境変数が複数設定されている場合、LC_ALL、LC_MESSAGES、LANGの順で有効となります。
環境変数PATHに/opt/FSUNrdb2b/binを追加します。
Symfoware Server Enterprise Extended Editionを利用する場合は、環境変数LD_LIBRARY_PATH_64に/opt/FSUNrdb2b/libを追加します。
環境変数LD_LIBRARY_PATHに/opt/FSUNrdb2b/libと/etc/opt/FSUNiconv/libを追加します。
環境変数RDBNAMEにRDBシステム名を設定します。ただし、RDBシステム名を付けない運用の場合は、本設定は不要です。
環境変数MANPATHに/opt/FSUNrdb2b/manを設定します。
環境変数LANGに、以下のSymfoware/RDBのロケール(OSのデフォルトロケール)を設定します。
ja_JP.eucJP
ja_JP.UTF-8
C
異なるロケールをLANGに指定した場合、RDBコマンドはエラーになります。なお、Symfoware/RDBやRDBコマンドが出力するqdgメッセージを英語で出力するには、環境変数LANGにCを指定してください。
日本語EUCコードのS90コード:
ja_JP.eucJP
UNICODE:
ja_JP.UTF-8
その他:
C、海外で使用されているロケールなど
ロケールを指定する環境変数には、LANGのほかに、LC_ALL、LC_MESSAGES があります。これらの環境変数が複数設定されている場合、LC_ALL、LC_MESSAGES、LANGの順で有効となります。
環境変数PATHに/opt/FJSVrdb2b/binを追加します。
環境変数LD_LIBRARY_PATHに/opt/FJSVrdb2b/libを追加します。
環境変数RDBNAMEにRDBシステム名を設定します。ただし、RDBシステム名を付けない運用の場合は、本設定は不要です。
環境変数MANPATHに/opt/FJSVrdb2b/manを設定します。
■環境設定の例
以下にRDBコマンド使用時の環境設定の例を示します。
LANG=ja_JP.UTF-8 ; export LANG (注1) PATH=/opt/FSUNrdb2b/bin:$PATH ; export PATH LD_LIBRARY_PATH_64=/opt/FSUNrdb2b/lib:$LD_LIBRARY_PATH_64 ;export LD_LIBRARY_PATH_64 (注2) LD_LIBRARY_PATH=/opt/FSUNrdb2b/lib:/etc/opt/FSUNiconv/lib:$LD_LIBRARY_PATH ; export LD_LIBRARY_PATH RDBNAME=rdbsys1 ; export RDBNAME (注3) MANPATH=/opt/FSUNrdb2b/man:$MANPATH ; export MANPATH |
注1)ここでは、Symfoware/RDBのロケールとして“ja_JP.UTF-8”を設定しています。実際に設定するときは、対象となる環境に合わせて設定してください。
注2)Symfoware Server Enterprise Extended Editionを利用する場合に設定してください。
注3)ここでは、RDBシステム名として“rdbsys1”を設定しています。実際に設定するときは、対象となるRDBシステムのRDBシステム名を設定してください。
setenv LANG ja_JP.UTF-8 (注1) setenv PATH /opt/FSUNrdb2b/bin:$PATH setenv LD_LIBRARY_PATH_64 /opt/FSUNrdb2b/lib:$LD_LIBRARY_PATH_64 (注2) setenv LD_LIBRARY_PATH /opt/FSUNrdb2b/lib:/etc/opt/FSUNiconv/lib:$LD_LIBRARY_PATH setenv RDBNAME rdbsys1 (注3) setenv MANPATH /opt/FSUNrdb2b/man:$MANPATH |
注1)ここでは、Symfoware/RDBのロケールとして“ja_JP.UTF-8”を設定しています。実際に設定するときは、対象となる環境に合わせて設定してください。
注2)Symfoware Server Enterprise Extended Editionを利用する場合に設定してください。
注3)ここでは、RDBシステム名として“rdbsys1”を設定しています。実際に設定するときは、対象となるRDBシステムのRDBシステム名を設定してください。
LANG=ja_JP.UTF-8 ; export LANG (注1) PATH=/opt/FJSVrdb2b/bin:$PATH ; export PATH LD_LIBRARY_PATH=/opt/FJSVrdb2b/lib:$LD_LIBRARY_PATH ; export LD_LIBRARY_PATH RDBNAME=rdbsys1 ; export RDBNAME (注2) MANPATH=/opt/FJSVrdb2b/man:$MANPATH ; export MANPATH |
注1)ここでは、Symfoware/RDBのロケールとして“ja_JP.UTF-8”を設定しています。実際に設定するときは、対象となる環境に合わせて設定してください。
注2)ここでは、RDBシステム名として“rdbsys1”を設定しています。実際に設定するときは、対象となるRDBシステムのRDBシステム名を設定してください。
setenv LANG ja_JP.UTF-8 (注1) setenv PATH /opt/FJSVrdb2b/bin:$PATH setenv LD_LIBRARY_PATH /opt/FJSVrdb2b/lib:$LD_LIBRARY_PATH setenv RDBNAME rdbsys1 (注2) setenv MANPATH /opt/FJSVrdb2b/man:$MANPATH |
注1)ここでは、Symfoware/RDBのロケールとして“ja_JP.UTF-8”を設定しています。実際に設定するときは、対象となる環境に合わせて設定してください。
注2)ここでは、RDBシステム名として“rdbsys1”を設定しています。実際に設定するときは、対象となるRDBシステムのRDBシステム名を設定してください。
環境変数設定ファイルの記述方法については、“8.3.4 環境変数設定ファイルの記述”を参照してください。