富士通メインフレームと全銀RCとのパススルー通信の制御について説明します。
セション制御は、FNAセションとホスト間の論理的な通信経路を開設・閉塞することにより全銀RCとのTCPコネクションの接続・切断を制御します。
通信経路の開設は、全銀RCとのTCPコネクションを接続します。
通信経路の閉塞は、全銀RCとのTCPコネクションを切断します。
セション制御の方式は、通信経路の開設・閉塞する契機の違いにより、以下の2つの方式があります。
連動方式
FNAセションの確立・解放と連動して、通信経路の開設・閉塞を行います。連動方式は、FNAセションの確立時に通信経路を開設し、TCPコネクションを接続します。なお、全銀RCへのTCPコネクションの接続が異常となった場合、5秒間隔で最大6回のTCPコネクションの接続要求を再試行します。再試行によるTCPコネクションの接続が異常となった場合、TCPコネクションの接続処理は停止します。
非連動方式
FNAセションの確立・解放とは連動せず、host資源の活性化・非活性化を契機に、通信経路の開設・閉塞を行います。非連動方式は、常にTCPコネクションを接続しておくことができるため、FNAセション確立後に通信可能状態となります。
セション制御の方式は、sys定義文のpathcntlオペランドで指定します。連動方式と非連動方式の処理について、以下に説明します。
連動方式には、通信経路の開設・閉塞契機に応じて、以下の方式があります。
完全連動方式
業務連動方式
セション連動方式
連動方式による通信経路の開設・閉塞契機を表1.1に示します。
通信経路 | 通信経路の開設・閉塞契機 | ||
---|---|---|---|
完全連動方式 | 業務連動方式 | セション連動方式 | |
通信経路の開設 | host資源配下のすべてのFNAセションの確立要求時 | host資源配下のすべてのFNAセション確立要求時※1 | host資源配下の最初のFNAセションの確立要求時 |
通信経路の閉塞 | host資源配下の最初のFNAセション解放時 | host資源配下のすべての送信用またはすべての受信用のFNAセション解放時 | host資源配下のすべてのFNAセション解放時 |
全銀RCからのTCPコネクション切断時 |
※1: sys定義文のpathwttmオペランドの時間が経過後、host資源配下の送信用および受信用FNAセションがそれぞれ1つ確立した場合、通信経路を開設します。
host資源配下のすべてのFNAセションの確立を契機として、通信経路を開設し、全銀RCとのTCPコネクションを接続します。
完全連動方式のFNAセション確立による通信経路の開設を図1.5に示します。
host資源配下の最初のFNAセションの解放時に、通信経路を閉塞し、TCPコネクションを切断します。
完全連動方式のFNAセション解放による通信経路の閉塞を図1.6に示します。
通信経路を閉塞時、sys定義文のpathwttmオペランドに指定した時間が経過後、host資源配下のすべてのFNAセションを強制解放します。
全銀RCよりTCPコネクションを切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知および通信経路を閉塞します。
なお、sys定義文のrlswattmオペランド値に指定した時間が経過するまで、確立状態のFNAセションへの強制解放の通知および通信経路の閉塞を保留し、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからの業務終了によるFNAセション解放要求を受け入れて肯定応答を通知します。
完全連動方式使用時のTCPコネクション切断による通信経路の閉塞を図1.7に示します。
host資源配下のすべてFNAセション確立を契機として、通信経路を開設し、全銀RCとのTCPコネクションを接続します。
業務連動方式のFNAセション確立による通信経路の開設を図1.8に示します。
なお、host配下の最初のFNAセションの確立要求後、sys定義文のpathwttmオペランドに指定した時間が経過した場合、host資源配下の送信用および受信用のFNAセションがそれぞれ1つ以上確立されていれば、業務通信可能と判断し、通信経路を開設します。
host資源配下の送信用または受信用のいずれかのFNAセションがすべて解放された時点で、通信経路を閉塞し、TCPコネクションを切断します。
業務連動方式のFNAセション解放による通信経路の閉塞を図1.9に示します。
通信経路を閉塞時、sys定義文のpathwttmオペランドに指定した時間が経過後、host資源配下のすべてのFNAセションを強制解放します。
全銀RCからTCPコネクションを切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知および通信経路を閉塞します。
なお、sys定義文のrlswattmオペランド値に指定した時間が経過するまで、確立状態のFNAセションへの強制解放の通知および通信経路の閉塞を保留し、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからの業務終了によるFNAセション解放要求を受け入れて肯定応答を通知します。
TCPコネクション切断による通信経路の閉塞は、完全連動方式と同じです。
host資源配下の最初のFNAセションの確立を契機として、通信経路を開設し、全銀RCとのTCPコネクションを接続します。
セション連動方式のFNAセション確立による通信経路の開設を図1.10に示します。
host資源配下のすべてのFNAセションが解放された時点で、通信経路を閉塞し、TCPコネクションを切断します
セション連動方式のFNAセション解放による通信経路の閉塞を図1.11に示します。
全銀RCからTCPコネクションを切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知および通信経路を閉塞します。
なお、sys定義文のrlswattmオペランド値に指定した時間が経過するまで、確立状態のFNAセションへの強制解放の通知および通信経路の閉塞を保留し、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからの業務終了によるFNAセション解放要求を受け入れて肯定応答を通知します。
TCPコネクション切断による通信経路の閉塞は、完全連動方式と同じです。
host資源が活性になった時点で、通信経路を開設し、全銀RCとのTCPコネクションを接続します。その後、FNAセションが確立した時点で、富士通メインフレームとの通信が可能となります。
なお、host資源が活性となるのは、以下の契機です。
host定義文のautoactオペランドに“yes”を指定し、NETSTAGE/FIC 全銀RC接続オプションを起動する。
状態操作コマンド(nficcntl)でhost資源を活性化する。
host資源の強制非活性を実施することで、TCPコネクションを切断、およびhost資源配下のすべてのFNAセションを強制解放し、通信経路を閉塞します。
非連動方式には、TCPコネクション未接続時、FNAセションの確立を受け付けるかどうか、全銀RCセンタからのTCPコネクション切断時にFNAセションを解放するどうかを選択する以下の方式があります。
非連動(セション解放)方式
非連動(セション未解放)方式
完全非連動方式
TCPコネクションの状態によるFNAセションの確立・解放の制御を表1.2に示します。
FNAセションを制御する契機 | 非連動 | 非連動 | 完全非連動方式 |
---|---|---|---|
TCPコネクション未接続時のFNAセション確立要求に対する制御 | FNAセションの確立要求を拒否します。 | FNAセション確立要求を拒否します。 | FNAセション確立要求を受け付けます。 |
TCPコネクション切断時のFNAセションに対する制御 | FNAセションを強制解放します。 | FNAセションの確立状態を維持します。 | FNAセションの確立状態を維持します。 |
TCPコネクションが接続されていない場合、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからのFNAセションの確立要求を拒否します。
非連動(セション解放)方式のFNAセション確立要求を図1.12に示します。
富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからhost資源配下のすべてのFNAセションを解放した場合でも、NETSTAGE/FIC 全銀RC接続オプションからはTCPコネクションを切断しません。
全銀RCよりTCPコネクションが切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知します。
なお、sys定義文のrlswattmオペランド値に指定した時間が経過するまで、確立状態のFNAセションへの強制解放の通知を保留し、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからの業務終了によるFNAセション解放要求を受け入れて肯定応答を通知します。
TCPコネクションが接続されていない場合は、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからのFNAセション確立要求を拒否します。
富士通メインフレーム上の業務アプリケーションよりhost資源配下のすべてのFNAセションを解放した場合でも、NETSTAGE/FIC 全銀RC接続オプションからはTCPコネクションを切断しません。
全銀RCからTCPコネクションが切断された場合でも、FNAセションを解放しません。
TCPコネクションが接続されていない場合でも、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからのFNAセション確立要求を受け付けます。ただし、FNAセションの確立要求を受け付け後、TCPコネクションが接続する前の電文送信は異常となります。
完全非連動方式のFNAセション確立要求を図1.13に示します。
富士通メインフレーム上の業務アプリケーションよりhost資源配下のすべてのFNAセションを解放した場合でも、NETSTAGE/FIC 全銀RC接続オプションからはTCPコネクションを切断しません。
全銀RCからTCPコネクションが切断された場合でも、FNAセションを解放しません。
FNAセションと対応づけられたTCPコネクションを使用して電文を送信します。
全銀RCへの電文送信を図1.14に示します。
全銀RCから論理ACKを受信した場合、富士通メインフレームに正常応答を、論理NAKを受信した場合、否定応答(センスコード:08020000)を送信します。
なお、全銀RCから18秒以内に応答を受信しなかった場合、sys定義文のsenseunkオペランドで指定されたセンスコードで富士通メインフレームに否定応答を送信します。
全銀RCへの電文送信時のフロー制御
sys定義文のflowdwnmオペランドを指定した場合、sys定義文のflowdwtmオペランドで指定された時間内に指定された数の電文を全銀RCへ送信した後、指定された時間まで富士通メインフレームが次の電文を送信しないよう、富士通メインフレームへの論理ACKの送信を保留します。
全銀RCへの電文送信時のフロー制御を図1.15に示します。
全銀RCが電文中で指定したLCN番号に対応するFNAセションで電文を受信します。
全銀RCからの電文受信を図1.16に示します。
富士通メインフレームから正常応答を受信した場合、全銀RCに論理ACKを、異常応答を受信した場合、論理NAKを送信します。
なお、送信権が富士通メインフレームにある状態で、全銀RCから電文を受信し、16秒以内に富士通メインフレームから送信権が委譲されなかった場合、全銀RCに論理NAKを送信します。
全銀RCからの電文受信時のフロー制御
sys定義文のflowupnmオペランドを指定した場合、sys定義文のflowuptmオペランドで指定された時間内に指定された数の電文を全銀RCから受信した後、指定された時間まで全銀RCが次の電文を送信しないよう、全銀RCへの論理ACKの送信を保留します。
全銀RCからの電文受信時のフロー制御を図1.17に示します。