ボリュームが性能目標を達成していてもアプリケーションとして性能目標が達成できていない場合、利用者はQoS自動化優先度または目標レスポンスタイムを変更する必要があります。
QoS自動化優先度を設定しているボリュームの性能調整が達成されない場合、競合ボリュームの優先度を下げるか、またはレスポンスタイムを遅くする必要があります。目標レスポンスタイムを設定しているボリュームの目標が達成されない場合、競合ボリュームの優先度を下げるか、またはレスポンスタイムを遅くする必要があります。
また、QoS自動化階層制御の設定が無効である場合、有効に設定することでI/O性能が改善されることがあります。
ただし、この設定が有効に働くのは、ストレージ自動階層制御の実行モードが"Auto"、かつストレージ自動階層制御が"Start"の場合に加え、QoS自動化優先度に"Unlimited"および"No Set"以外を設定している、または目標レスポンスタイムに"0"以外を設定している場合だけです。
競合ボリュームの優先度を下げる、または目標レスポンスタイムを遅くしても性能目標を達成できない場合は、ボリュームの構成を変えることによって性能目標を達成できることがあります。以下に例を示します。
優先度の高い複数のボリュームが同一リソースを共有していると、同一リソースの負荷が高くなり、1つのボリュームあたりの帯域が狭くなります。この場合、複数のリソースに各ボリュームを配分することにより、I/O性能が改善されることがあります。
Tierプールを構成するRAIDグループのCMとホストアフィニティを構成するCMが異なる場合、CM間の通信が発生して十分なI/O性能を得られないことがあります(クロスアクセス)。この場合、Tierプールを構成するRAIDグループのCMとホストアフィニティを構成するCMを一致させることにより、I/O性能が改善されることがあります。
Tierプール内のRAIDの構成を見直すことでI/O性能が改善することがあります。例えば、ストライピングを構成するディスクの数を増やすことで、I/O性能が改善されます。
また、I/Oの特性(リード、ライト、ランダムアクセス、シーケンシャルアクセス)に著しい偏りがある場合も、目標値を達成できないことがあります。このため、I/O特性に応じて、ハードの性能情報を基に目標値を設定する必要があります。
なお、アドバンスト・コピーを利用する場合、大量コピーによって調整に誤差が生じてしまうため、QuickOPCやREC等の初期コピー中は、QoS自動化を停止することを推奨します。
アプリケーションとして性能目標を達成できていない場合は、そのアプリケーションが使用するボリュームのQoS自動化優先度または目標レスポンスタイムを変更してください。変更後のQoS自動化優先度または目標レスポンスタイムに実際のレスポンスタイムが到達しない場合は、ハード構成を見直す必要があります。
Webコンソールを利用する場合
『ETERNUS SF Webコンソール説明書』の「QoS自動化機能の設定変更」を参照してください。
コマンドを利用する場合
esfadm volume qossetコマンドを実行します。
QoS自動化優先度または目標レスポンスタイムの変更後、性能グラフで性能情報を確認します。確認方法は、「5.5.3 性能グラフによる確認」を参照してください。
システムの性能限界における考慮
QoS自動化は業務間のI/O負荷バランスをとることで、装置のI/O性能を有効に活用します。つまり、装置の持つI/O性能の範囲内で調整を行うものであり、装置の能力を超えた性能目標を設定しても、その目標に到達することはありません。