クラスタ運用をしている場合のバージョンアップインストール手順について説明します。
注意
本手順により、15.0Bから本バージョンレベルへバージョンアップ後、クラスタアンセットアップを実行しても、旧版のstgclsetで始まるコマンドにより作成されたクラスタリソースおよびスクリプトは削除されません。
AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストールを実施する前に、行っておくべき作業について説明します。
ポイント
バージョンアップインストールを行う前に、以下をバックアップすることを推奨します。
バックアップを採取しておくと、バージョンアップインストール中に異常が発生した場合にバックアップから復元(リストア)することで、バージョンアップインストール前の状態に戻すことができます。
システム(プライマリノードとセカンダリノード)
管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスク
作業を行うサーバにログインします。ログイン後の操作は、root(スーパーユーザー)で実施してください。
セカンダリノードで、管理対象サーバ業務が停止していることを確認します。
管理対象サーバ業務が停止していない場合は、セカンダリノードで管理対象サーバ業務を停止します。
停止方法は、使用しているクラスタ製品のマニュアルを参照してください。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のセカンダリノードで本手順を実施します。
プライマリノードで、管理対象サーバ業務を停止します。
使用しているクラスタ製品のマニュアルを参照して、管理対象サーバ業務を停止します。
ただし、管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクはマウントした状態にします。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで本手順を実施します。
すべてのノードのローカル業務を停止します。
以下のコマンドを実行します。
# /opt/swstorage/bin/stopacm |
すべてのノードで旧バージョンレベルをバックアップします。
バージョンアップインストールに失敗した時のリカバリ用に、旧バージョンレベルのAdvancedCopy Managerエージェントの運用環境をバックアップします。
プライマリノードとセカンダリノードで、旧バージョンレベルをバックアップします。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで、管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクをオンラインにします。
参考
バックアップに必要な容量は、以下の合計値になります。
『ETERNUS SF 導入ガイド』の「静的ディスク容量」の「Solaris環境の場合」、「Linux環境の場合」の「Fixed configuration directory」と「Modifying configuration directory」
『ETERNUS SF 導入ガイド』の「動的ディスク容量」の「Solaris環境、Linux環境、HP-UX環境、AIX環境の場合」
管理対象サーバ業務を運用しているプライマリノードの場合、バックアップに必要な容量に以下を加算してください。
『ETERNUS SF クラスタ適用ガイド』の「共有ディスクの容量」
手順は以下のとおりです。
本バージョンレベルのDVD-ROM「ETERNUS SF SC/ACM/Express メディアパック エージェントプログラム & マニュアル」を、DVD-ROMドライブに挿入します。
DVD-ROMの構成および格納物は、本バージョンレベルの『ETERNUS SF 導入ガイド』の「DVD-ROMの構成」を参照してください。
DVD-ROMをマウントします。
Solaris環境の場合のマウント例
# mount -F hsfs -o ro /dev/dsk/c0t4d0s0 <DVD-ROMマウントポイント>
DVD-ROMドライブのデバイス名は装置によって異なります。例では、DVD-ROMドライブのデバイス名を「/dev/dsk/c0t4d0s0」としています。
RHEL5/RHEL6環境の場合のマウント例
# mount /dev/cdrom <DVD-ROMマウントポイント>
DVD-ROMドライブのデバイス名は装置によって異なります。例では、DVD-ROMドライブのデバイス名を「/dev/cdrom」としています。
Red Hat Enterprise Linux 5 (for Intel64)の場合、fileコマンドを実行して、インストールされているAdvancedCopy Managerエージェントのアーキテクチャーを確認します。
# file /opt/FJSVswstf/bin/stgenvdisp
例えば、以下のようにコマンドの表示内容に"ELF 32-bit"が含まれる場合は、32bit版のAdvancedCopy Managerエージェント(RHEL5 x86版エージェント)がインストールされています。
# file /opt/FJSVswstf/bin/stgenvdisp /opt/FJSVswstf/bin/stgenvdisp: ELF 32-bit LSB executable, Intel 80386, version 1 (SYSV), for GNU/ Linux 2.6.9, dynamically linked (uses shared libs), for GNU/Linux 2.6.9, not stripped
表示内容に"ELF 32-bit"が含まれない場合は、64bit版のAdvancedCopy Managerエージェント(RHEL5 x64版エージェント)がインストールされています。
旧バージョンレベルをバックアップします。
DVD-ROM内の以下のシェルスクリプトを実行します。backupDir には、バックアップデータを格納するディレクトリを絶対パスで指定します。
[RHEL5 x86版エージェントの場合]
# <DVD-ROMマウントディレクトリ>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel5_x86/esfacmapreinst.sh backupDir
[RHEL5 x64版エージェントの場合]
# <DVD-ROMマウントディレクトリ>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel5_x64/esfacmapreinst.sh backupDir
[RHEL6版エージェントの場合]
# <DVD-ROMマウントディレクトリ>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel6_x86/esfacmapreinst.sh backupDir
[Solaris版エージェントの場合]
# <DVD-ROMマウントディレクトリ>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/Solaris/esfacmapreinst.sh backupDir
バックアップに失敗した場合は、出力されたエラーメッセージを確認して失敗した原因を取り除いたあと、シェルスクリプトを再実行してください。
以下のコマンドを実行した後、インストールに使用したDVD-ROM媒体を装置から取り出します。
# cd /
# umount <DVD-ROMマウントポイント>
管理対象サーバ業務のAdvancedCopy Managerデーモン起動停止スクリプトを退避します。
プライマリノードとセカンダリノードで、管理対象サーバ業務のAdvancedCopy Managerデーモン起動停止スクリプト退避します。
プライマリノードで動作するAdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストール手順は、以下のとおりです。なお、手順1~手順3がすでに実施されている場合、再実施は不要です。
作業を行うサーバにログインします。ログイン後の操作は、root(スーパーユーザー)で実施してください。
本バージョンレベルのDVD-ROM「ETERNUS SF SC/ACM/Express メディアパック エージェントプログラム & マニュアル」を、DVD-ROMドライブに挿入します。
DVD-ROMをマウントします。
Solaris環境の場合のマウント例
# mount -F hsfs -o ro /dev/dsk/c0t4d0s0 <DVD-ROMマウントポイント>
DVD-ROMドライブのデバイス名は装置によって異なります。例では、DVD-ROMドライブのデバイス名を「/dev/dsk/c0t4d0s0」としています。
RHEL5/RHEL6環境の場合のマウント例
# mount /dev/cdrom <DVD-ROMマウントポイント>
DVD-ROMドライブのデバイス名は装置によって異なります。例では、DVD-ROMドライブのデバイス名を「/dev/cdrom」としています。
AdvancedCopy Managerエージェントをインストールします。
以下のコマンドを実行して、AdvancedCopy Managerエージェントをインストールします。
環境別ディレクトリは「表9.2 Solaris環境、RHEL5/RHEL6環境のディレクトリ」を参照してください。
# cd <環境別ディレクトリ>
# ./swsetup
環境 | ディレクトリ |
---|---|
Solaris | <DVD-ROMマウントポイント>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/Solaris |
Red Hat Enterprise Linux 5 (for x86) | <DVD-ROMマウントポイント>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel5_x86 |
Red Hat Enterprise Linux 5 (for Intel64)でSymfoware連携機能を利用する場合 | |
Red Hat Enterprise Linux 5 (for Intel64)でSymfoware連携機能を利用しない場合 | <DVD-ROMマウントポイント>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel5_x64 |
Red Hat Enterprise Linux 6 (for x86) | <DVD-ROMマウントポイント>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel6_x86 |
インストール情報が表示されます。
swsetup: Installer is preparing for installation... +-----------------------------------------------------------+ | ETERNUS SF AdvancedCopy Manager | | 16.1 | | Copyright FUJITSU LIMITED 2013-2014 | +-----------------------------------------------------------+ Welcome to Setup. This program will install "AdvancedCopy Manager" on your system. Agent setup...
バージョンアップインストールを問い合わせる以下のメッセージが出力されます。
インストールを続行する場合は"y"、中断する場合は"q"を入力して、Enterキーを押します。
An old version is installed in this system. Do you want to upgrade? [y,q]:
手順6で"y"を入力した場合は、バージョンアップインストールが開始されます。
バージョンアップインストールに成功すると、以下のメッセージが表示されます。
swsetup: AdvancedCopy Manager was installed successfully.
以下のコマンドを実行した後、インストールに使用したDVD-ROM媒体を装置から取り出します。
# cd /
# umount <DVD-ROMマウントポイント>
ポイント
バージョンアップインストールが異常終了した場合は、「11.2.5 AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストールで異常が発生した場合の対処(Solaris、RHEL5/RHEL6環境)」を参照し、正常な状態に復旧してください。
プライマリノードのバージョンアップインストール後に、以下の作業を行います。
プライマリノードで動作するAdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストール後に、以下の作業を行います。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで本手順を実施します。
管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスク上の、管理対象サーバ業務の環境設定ファイルを編集します。
以下のファイルを編集します。
<管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクのマウントポイント>/etc/opt/swstorage/clsetup.ini
<管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクのマウントポイント>/etc/opt/swstorage/swstg.ini
それぞれのファイル内のVersion情報を、移行後の文字列に変更します。
移行パターン | Version情報の記述内容 | |
---|---|---|
移行前 | 移行後 | |
15.0Bから16.1 | Version=V15.0 | Version=V16.1 |
15.1から16.1 | Version=V15.1 | |
15.2から16.1 | Version=V15.2 | |
15.3から16.1 | Version=V15.3 |
注意
Version行以外は、変更しないでください。
ETERNUS SF Manager 15.0Bがインストールされていた環境の場合は、以下の作業を実施します。
/opt/FJSVswstf/cluster/swcluster.iniの"System="で始まる行を、以下のように編集します。
System=GEN
注意
"System="で始まる行以外は、変更しないでください。
セカンダリノードでバージョンアップインストールをします。
バージョンアップの手順はプライマリノードと同じです。「9.4.2.2 バージョンアップインストール手順(プライマリノード)」を参照してください。
ポイント
本セカンダリノードが別の管理対象サーバ業務のプライマリノードを兼ねている場合は、プライマリノードとしてバージョンアップインストールを行っているため、本手順は不要です。
ETERNUS SF Manager 15.0Bがインストールされていた環境の場合は、以下の作業を実施します。
/opt/FJSVswstf/cluster/swcluster.iniの"System="で始まる行を、以下のように編集します。
System=GEN
注意
"System="で始まる行以外は、変更しないでください。
以下の作業を行います。なお、本作業には、管理対象サーバでの操作に加えて、運用管理サーバとWebコンソールから実行する操作があります。
プライマリノードで、管理対象サーバ業務を開始します。
使用しているクラスタ製品のマニュアルを参照して、管理対象サーバ業務を開始します。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務に対して本手順を実施します。
すべてのノードのローカル業務を起動します。
以下のコマンドを実行します。
# /opt/swstorage/bin/startacm
データの整合性を確保するために、運用管理サーバで、stgxfwcmmodsrv(サーバ情報変更コマンド)を使用してサーバ情報を変更します。
-nオプションに管理対象サーバ名を指定して、stgxfwcmmodsrvコマンドを実行します。
運用管理サーバがWindows環境の場合
<プログラムディレクトリ>\ACM\bin\stgxfwcmmodsrv -n <サーバ名>
運用管理サーバがSolaris環境またはLinux環境の場合
/opt/FJSVswstf/bin/stgxfwcmmodsrv -n <サーバ名>
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務に対して本手順を実施します。
なお、ローカル業務を運用しているノードがある場合は、対象のノードで本手順を実施してください。
注意
サーバ情報の変更は、コマンド実行用に新しく画面を起動し、その画面で実施してください。
参照
コマンドの詳細は、運用管理サーバのOSに対応する、本バージョンレベルの『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド』の「stgxfwcmmodsrv(サーバ情報変更コマンド)」を参照してください。
Webコンソールで以下の操作を実施し、サーバ情報を再読込みします。
グローバルナビゲーションタブの[サーバ]をクリックします。
登録されているサーバの一覧が、メインペインに表示されます。
メインペインで、操作対象のサーバのチェックボックスをチェックします。
アクションペインで、[サーバ]の下にある[設定の再読み込み]をクリックします。
ポイント
AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップ後に正常動作を確認できたら、「9.4.2.1 バージョンアップインストール前の作業」の手順5-dで作成したバックアップ先ディレクトリ内のバックアップデータを削除して問題ありません。