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ETERNUS SF Express 16.1 / Storage Cruiser 16.1 / AdvancedCopy Manager 16.1 移行ガイド
FUJITSU Storage

9.4.2 クラスタ環境の場合のバージョンアップインストール

クラスタ運用をしている場合のバージョンアップインストール手順について説明します。

注意

本手順により、15.0Bから本バージョンレベルへバージョンアップ後、クラスタアンセットアップを実行しても、旧版のstgclsetで始まるコマンドにより作成されたクラスタリソースおよびスクリプトは削除されません。

9.4.2.1 バージョンアップインストール前の作業

AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストールを実施する前に、行っておくべき作業について説明します。

ポイント

バージョンアップインストールを行う前に、以下をバックアップすることを推奨します。
バックアップを採取しておくと、バージョンアップインストール中に異常が発生した場合にバックアップから復元(リストア)することで、バージョンアップインストール前の状態に戻すことができます。

  • システム(プライマリノードとセカンダリノード)

  • 管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスク

  1. 作業を行うサーバにログインします。ログイン後の操作は、root(スーパーユーザー)で実施してください。

  2. セカンダリノードで、管理対象サーバ業務が停止していることを確認します。

    管理対象サーバ業務が停止していない場合は、セカンダリノードで管理対象サーバ業務を停止します。
    停止方法は、使用しているクラスタ製品のマニュアルを参照してください。

    管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のセカンダリノードで本手順を実施します。

  3. プライマリノードで、管理対象サーバ業務を停止します。

    使用しているクラスタ製品のマニュアルを参照して、管理対象サーバ業務を停止します。
    ただし、管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクはマウントした状態にします。

    管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで本手順を実施します。

  4. すべてのノードのローカル業務を停止します。

    以下のコマンドを実行します。

    # /opt/swstorage/bin/stopacm
  5. すべてのノードで旧バージョンレベルをバックアップします。

    バージョンアップインストールに失敗した時のリカバリ用に、旧バージョンレベルのAdvancedCopy Managerエージェントの運用環境をバックアップします。

    • プライマリノードとセカンダリノードで、旧バージョンレベルをバックアップします。

    • 管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで、管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクをオンラインにします。

    参考

    バックアップに必要な容量は、以下の合計値になります。

    • 『ETERNUS SF 導入ガイド』の「静的ディスク容量」の「Solaris環境の場合」、「Linux環境の場合」の「Fixed configuration directory」と「Modifying configuration directory」

    • 『ETERNUS SF 導入ガイド』の「動的ディスク容量」の「Solaris環境、Linux環境、HP-UX環境、AIX環境の場合」

    管理対象サーバ業務を運用しているプライマリノードの場合、バックアップに必要な容量に以下を加算してください。

    • 『ETERNUS SF クラスタ適用ガイド』の「共有ディスクの容量」

    手順は以下のとおりです。

    1. 本バージョンレベルのDVD-ROM「ETERNUS SF SC/ACM/Express メディアパック エージェントプログラム & マニュアル」を、DVD-ROMドライブに挿入します。
      DVD-ROMの構成および格納物は、本バージョンレベルの『ETERNUS SF 導入ガイド』の「DVD-ROMの構成」を参照してください。

    2. DVD-ROMをマウントします。

      • Solaris環境の場合のマウント例

        # mount -F hsfs -o ro /dev/dsk/c0t4d0s0 <DVD-ROMマウントポイント>

        DVD-ROMドライブのデバイス名は装置によって異なります。例では、DVD-ROMドライブのデバイス名を「/dev/dsk/c0t4d0s0」としています。

      • RHEL5/RHEL6環境の場合のマウント例

        # mount /dev/cdrom <DVD-ROMマウントポイント>

        DVD-ROMドライブのデバイス名は装置によって異なります。例では、DVD-ROMドライブのデバイス名を「/dev/cdrom」としています。

    3. Red Hat Enterprise Linux 5 (for Intel64)の場合、fileコマンドを実行して、インストールされているAdvancedCopy Managerエージェントのアーキテクチャーを確認します。

      # file /opt/FJSVswstf/bin/stgenvdisp

      例えば、以下のようにコマンドの表示内容に"ELF 32-bit"が含まれる場合は、32bit版のAdvancedCopy Managerエージェント(RHEL5 x86版エージェント)がインストールされています。

      # file /opt/FJSVswstf/bin/stgenvdisp
      /opt/FJSVswstf/bin/stgenvdisp: ELF 32-bit LSB executable, Intel 80386, version 1 (SYSV), for GNU/
      Linux 2.6.9, dynamically linked (uses shared libs), for GNU/Linux 2.6.9, not stripped

      表示内容に"ELF 32-bit"が含まれない場合は、64bit版のAdvancedCopy Managerエージェント(RHEL5 x64版エージェント)がインストールされています。

    4. 旧バージョンレベルをバックアップします。
      DVD-ROM内の以下のシェルスクリプトを実行します。backupDir には、バックアップデータを格納するディレクトリを絶対パスで指定します。

      [RHEL5 x86版エージェントの場合]

      # <DVD-ROMマウントディレクトリ>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel5_x86/esfacmapreinst.sh backupDir

      [RHEL5 x64版エージェントの場合]

      # <DVD-ROMマウントディレクトリ>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel5_x64/esfacmapreinst.sh backupDir

      [RHEL6版エージェントの場合]

      # <DVD-ROMマウントディレクトリ>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel6_x86/esfacmapreinst.sh backupDir

      [Solaris版エージェントの場合]

      # <DVD-ROMマウントディレクトリ>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/Solaris/esfacmapreinst.sh backupDir

      バックアップに失敗した場合は、出力されたエラーメッセージを確認して失敗した原因を取り除いたあと、シェルスクリプトを再実行してください。

    5. 以下のコマンドを実行した後、インストールに使用したDVD-ROM媒体を装置から取り出します。

      # cd /
      # umount <DVD-ROMマウントポイント>
    6. 管理対象サーバ業務のAdvancedCopy Managerデーモン起動停止スクリプトを退避します。

      プライマリノードとセカンダリノードで、管理対象サーバ業務のAdvancedCopy Managerデーモン起動停止スクリプト退避します。

9.4.2.2 バージョンアップインストール手順(プライマリノード)

プライマリノードで動作するAdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストール手順は、以下のとおりです。なお、手順1~手順3がすでに実施されている場合、再実施は不要です。

  1. 作業を行うサーバにログインします。ログイン後の操作は、root(スーパーユーザー)で実施してください。

  2. 本バージョンレベルのDVD-ROM「ETERNUS SF SC/ACM/Express メディアパック エージェントプログラム & マニュアル」を、DVD-ROMドライブに挿入します。

  3. DVD-ROMをマウントします。

    • Solaris環境の場合のマウント例

      # mount -F hsfs -o ro /dev/dsk/c0t4d0s0 <DVD-ROMマウントポイント>

      DVD-ROMドライブのデバイス名は装置によって異なります。例では、DVD-ROMドライブのデバイス名を「/dev/dsk/c0t4d0s0」としています。

    • RHEL5/RHEL6環境の場合のマウント例

      # mount /dev/cdrom <DVD-ROMマウントポイント>

      DVD-ROMドライブのデバイス名は装置によって異なります。例では、DVD-ROMドライブのデバイス名を「/dev/cdrom」としています。

  4. AdvancedCopy Managerエージェントをインストールします。

    以下のコマンドを実行して、AdvancedCopy Managerエージェントをインストールします。
    環境別ディレクトリは「表9.2 Solaris環境、RHEL5/RHEL6環境のディレクトリ」を参照してください。

    # cd <環境別ディレクトリ>
    # ./swsetup
    表9.2 Solaris環境、RHEL5/RHEL6環境のディレクトリ

    環境

    ディレクトリ

    Solaris

    <DVD-ROMマウントポイント>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/Solaris

    Red Hat Enterprise Linux 5 (for x86)

    <DVD-ROMマウントポイント>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel5_x86

    Red Hat Enterprise Linux 5 (for Intel64)でSymfoware連携機能を利用する場合

    Red Hat Enterprise Linux 5 (for Intel64)でSymfoware連携機能を利用しない場合

    <DVD-ROMマウントポイント>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel5_x64

    Red Hat Enterprise Linux 6 (for x86)
    Red Hat Enterprise Linux 6 (for Intel64)

    <DVD-ROMマウントポイント>/Agent_unix/AdvancedCopy_Manager/rhel6_x86

  5. インストール情報が表示されます。

    swsetup: Installer is preparing for installation...
    
    +-----------------------------------------------------------+
    |              ETERNUS SF AdvancedCopy Manager              |
    |                           16.1                            |
    |                  Copyright FUJITSU LIMITED 2013-2014      |
    +-----------------------------------------------------------+
    
    
    Welcome to Setup.
    This program will install "AdvancedCopy Manager" on your system.
    
    
    Agent setup...
  6. バージョンアップインストールを問い合わせる以下のメッセージが出力されます。
    インストールを続行する場合は"y"、中断する場合は"q"を入力して、Enterキーを押します。

    An old version is installed in this system.
    Do you want to upgrade? [y,q]:
  7. 手順6で"y"を入力した場合は、バージョンアップインストールが開始されます。
    バージョンアップインストールに成功すると、以下のメッセージが表示されます。

    swsetup: AdvancedCopy Manager was installed successfully.
  8. 以下のコマンドを実行した後、インストールに使用したDVD-ROM媒体を装置から取り出します。

    # cd /
    # umount <DVD-ROMマウントポイント>

ポイント

バージョンアップインストールが異常終了した場合は、「11.2.5 AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストールで異常が発生した場合の対処(Solaris、RHEL5/RHEL6環境)」を参照し、正常な状態に復旧してください。

9.4.2.3 バージョンアップインストール後の作業(プライマリノード)

プライマリノードのバージョンアップインストール後に、以下の作業を行います。

  1. プライマリノードで動作するAdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストール後に、以下の作業を行います。

    管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで本手順を実施します。

    管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスク上の、管理対象サーバ業務の環境設定ファイルを編集します。
    以下のファイルを編集します。

    • <管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクのマウントポイント>/etc/opt/swstorage/clsetup.ini

    • <管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクのマウントポイント>/etc/opt/swstorage/swstg.ini

    それぞれのファイル内のVersion情報を、移行後の文字列に変更します。

    移行パターン

    Version情報の記述内容

    移行前

    移行後

    15.0Bから16.1

    Version=V15.0

    Version=V16.1

    15.1から16.1

    Version=V15.1

    15.2から16.1

    Version=V15.2

    15.3から16.1

    Version=V15.3

    注意

    Version行以外は、変更しないでください。

  2. ETERNUS SF Manager 15.0Bがインストールされていた環境の場合は、以下の作業を実施します。

    /opt/FJSVswstf/cluster/swcluster.iniの"System="で始まる行を、以下のように編集します。

    System=GEN

    注意

    "System="で始まる行以外は、変更しないでください。

9.4.2.4 バージョンアップインストール手順(セカンダリノード)

セカンダリノードでバージョンアップインストールをします。

バージョンアップの手順はプライマリノードと同じです。「9.4.2.2 バージョンアップインストール手順(プライマリノード)」を参照してください。

ポイント

本セカンダリノードが別の管理対象サーバ業務のプライマリノードを兼ねている場合は、プライマリノードとしてバージョンアップインストールを行っているため、本手順は不要です。

9.4.2.5 バージョンアップインストール後の作業(セカンダリノード)

ETERNUS SF Manager 15.0Bがインストールされていた環境の場合は、以下の作業を実施します。

/opt/FJSVswstf/cluster/swcluster.iniの"System="で始まる行を、以下のように編集します。

System=GEN

注意

"System="で始まる行以外は、変更しないでください。

9.4.2.6 管理対象サーバ業務の起動

以下の作業を行います。なお、本作業には、管理対象サーバでの操作に加えて、運用管理サーバとWebコンソールから実行する操作があります。

  1. プライマリノードで、管理対象サーバ業務を開始します。

    使用しているクラスタ製品のマニュアルを参照して、管理対象サーバ業務を開始します。

    管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務に対して本手順を実施します。

  2. すべてのノードのローカル業務を起動します。

    以下のコマンドを実行します。

    # /opt/swstorage/bin/startacm
  3. データの整合性を確保するために、運用管理サーバで、stgxfwcmmodsrv(サーバ情報変更コマンド)を使用してサーバ情報を変更します。
    -nオプションに管理対象サーバ名を指定して、stgxfwcmmodsrvコマンドを実行します。

    • 運用管理サーバがWindows環境の場合

      <プログラムディレクトリ>\ACM\bin\stgxfwcmmodsrv -n <サーバ名>
    • 運用管理サーバがSolaris環境またはLinux環境の場合

      /opt/FJSVswstf/bin/stgxfwcmmodsrv -n <サーバ名>

    管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務に対して本手順を実施します。

    なお、ローカル業務を運用しているノードがある場合は、対象のノードで本手順を実施してください。

    注意

    サーバ情報の変更は、コマンド実行用に新しく画面を起動し、その画面で実施してください。

    参照

    コマンドの詳細は、運用管理サーバのOSに対応する、本バージョンレベルの『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド』の「stgxfwcmmodsrv(サーバ情報変更コマンド)」を参照してください。

  4. Webコンソールで以下の操作を実施し、サーバ情報を再読込みします。

    1. グローバルナビゲーションタブの[サーバ]をクリックします。
      登録されているサーバの一覧が、メインペインに表示されます。

    2. メインペインで、操作対象のサーバのチェックボックスをチェックします。

    3. アクションペインで、[サーバ]の下にある[設定の再読み込み]をクリックします。

ポイント

AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップ後に正常動作を確認できたら、「9.4.2.1 バージョンアップインストール前の作業」の手順5-dで作成したバックアップ先ディレクトリ内のバックアップデータを削除して問題ありません。