PRIMECLUSTER Wizard for Oracle の留意事項について説明します。
要件・前提条件
本製品を使用するための要件、前提条件に関する留意事項です。
同一ノード上に、バージョン・リリースの異なる複数の Oracle をインストールすることができます。ただし、運用・待機ノードでバージョン・リリースを一致させる必要があります。サポートするOracle 製品名称などは、ソフトウェア説明書やソフトウェアガイドを参照してください。
Oracle をインストールする際に使用するユーザー名、ユーザーID、グループ名、グループIDは、全ノードで同一にする必要があります。
1台のサーバーに複数の $ORACLE_HOME を作成する場合は、それぞれ異なるユーザー名で作成してください。
Oracle のデータベースは、共用ディスク上に配置する必要があります。
Oracle のログ出力先を共用ディスク装置に設定することは推奨しません。ディスク装置の障害発生時にログが出力されず、調査ができなくなる場合があります。
Oracle のアーカイブログファイルについては、ローカルディスク、共用ディスクに配置した場合、それぞれ以下の点に注意してください。
ローカルディスク
Oracle のリカバリが必要な場合には、両系のノードにある Oracle アーカイブログファイルを集結してリカバリ作業を実施してください。
共用ディスク
共用ディスクの容量の枯渇に注意してください。アーカイブログ領域不足に陥ると、監視用 SQL によるデータ更新処理がハングアップし、リソース異常となる場合があります。
その後 userApplication がフェイルオーバしてもフェイルオーバ先の待機ノードでも共用ディスク上の領域不足により Oracle データベースの起動に失敗するため、最終的に両系停止となり業務が停止する場合があります。
Oracle の TWO_TASK 環境変数は使用できません。詳しくは、「2.2.6 データベースの作成/設定」を参照してください。
Oracle ユーザーの login.sql に、Oracle データベースに接続するような処理を記述しないでください。詳しくは、「2.2.6 データベースの作成/設定」を参照してください。
本製品は、Oracle インスタンスの起動/停止を行う際に SYSDBA システム権限で接続しますが、このときオペレーティング・システム認証 (OS認証) を使ったローカル接続を行います。そのため、次の条件を満たしている必要があります。 (これらを満たしていない場合、userApplication による Oracle インスタンスの操作に失敗します。)
「2.2.7.1 Oracle リソースの作成と userApplication への登録」で Oracle インスタンスリソースに設定した OS ユーザー (Oracle ユーザー) が、OSDBA グループに所属していること。
sqlnet.ora ファイルに SQLNET.AUTHENTICATION_SERVICES パラメータが設定されていないこと。
本製品の接続は OS 認証を使用しますが、それ以外の接続 (例えば、システム管理者がメンテナンスのために手動で SYSDBA または SYSOPER システム権限で接続する場合) では、パスワード・ファイル認証を使用することができます。
Oracle ユーザーのプロファイルにおいて、対話型のコマンド (例 script) を実行しないでください。userApplication の起動・停止、Oracle リソースの監視が正常に動作しない場合があります。プロファイルは、/etc/profile, .bash_profile, .cshrc, .profile などを指します。詳しくは、「2.2.2 Oracle ソフトウェアのインストール/設定」を参照してください。
Oracle ユーザーのホームディレクトリ、プロファイルを共用ディスクに配置した環境は、サポート対象外です。Oracle ユーザーのホームディレクトリ、プロファイルは各ノードのローカルディスクに配置してください。
リスナーのオペレーティング・システム認証 (OS認証) を有効にしてください。詳しくは、「2.2.6 データベースの作成/設定」を参照してください。
/tmp ディレクトリに Oracle ユーザーの書き込み権限を付与してください。
本製品では、Oracle ユーザー権限で動作するプログラムが /tmp ディレクトリを使用します。書き込み権限がない場合、Oracle の起動や停止に失敗します。
Oracle 11g R2でASMを使用する場合はOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。Oracle Grid Infrastructureをインストールする場合はOracle DatabaseのインストールユーザーとOracle Grid Infrastructureのインストールユーザーを分割する構成をサポートします。単一インストールユーザーの構成はサポートしません。
Oracle 11g R2 で ASM を使用する場合、Oracle Database のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数と、 Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数は異なるディレクトリを指定してください。
PRIMECLUSTER Wizard for Oracleで、Oracle 11g R2のASMをスタンバイ運用またはシングルノードクラスタ運用で使用する場合、Oracleのサービスリソースは使用できません。
Oracleソフトウェアがローカルディスク上に配置されている場合、ローカルディスク上にアップグレードしてください。
Oracleソフトウェアが共用ディスク上に配置されている場合、共用ディスク上にアップグレードしてください。
アップグレード前後でOracleソフトウェアの配置先を変更することはサポート対象外です。
仕様・機能
本製品の仕様、機能に関する留意事項です。
本製品は、Oracle インスタンスの監視のため、SYSTEM ユーザーでデータベースに接続します。また、SYSTEM ユーザーのデフォルト表領域上に監視用テーブルを作成して Oracle の動作確認を行います。この監視用テーブルは数バイトの小さなものです。ただしデータの更新を定期的に行っているため、微量の REDO ログの更新が行われ、アーカイブ REDO ログが出力されます。
Oracle インスタンスの IMMEDIATE モードによる停止がオンライン・バックアップ実施中に行われると、停止に失敗します。この場合本製品は、ABORT で停止を行います。
Oracle インスタンスの起動時間、停止時間はデータベースの規模によって異なります。本製品のデフォルトでは Oracle インスタンス起動時間のタイムアウトは10分、停止時間のタイムアウトは3分となっています。また、RMS の停止コマンド hvshut は独自のタイムアウト時間が設定されています。hvshut コマンドがタイムアウトしても RMS 停止に伴う userApplication の停止処理は継続されます。
Oracleインスタンスの起動時にデータベースのバックアップ・モードまたはメディア障害を検出したとき、バックアップ・モードの解除またはリカバリを自動的に実行します。
起動優先度 (StartPriority) が "Instance" または "Listener" を指定した場合、MonitorOnly を有効にすることはできません。MonitorOnly を有効にしたい場合は、起動優先度 (StartPriority) を "Same" に指定してください。詳しくは、「2.2.7.1 Oracle リソースの作成と userApplication への登録」を参照してください。
環境構築
環境構築に関する留意事項です。
PreOnlineScript などのスクリプトを設定した場合は、exit code と タイムアウト時間に注意してください。詳しくは、「2.3.1 Oracle 起動・停止時のスクリプトの設定」を参照してください。
同一の Oracle インスタンス、リスナーなどに対して、複数のリソースを作成してはいけません(二重作成してはいけません)。
運用
運用に関する留意事項です。
クラスタ運用中にOracle SYSTEMユーザーパスワードを変更する場合は、PRIMECLUSTER Wizard for Oracleに変更後のOracle SYSTEMユーザーパスワードを登録する必要があります。"3.3 クラスタ運用中の Oracle SYSTEM ユーザーパスワード変更手順"を参照してください。Oracleユーザー、Gridユーザー、Oracle SYSユーザーのパスワードを変更する場合は、PRIMECLUSTER Wizard for Oracleの設定変更は不要です。
その他
上記以外の留意事項です。
ABORT での停止では、次回起動時に Oracle インスタンスの自動リカバリが実行されます。