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PRIMECLUSTER Wizard for Oracle 4.3 導入運用手引書

3.2.2 パッチ適用

Oracle PSR (Patch Set Release) など Oracle パッチの適用を行う場合、データベースをマウントする必要性の有無に応じて、手順が異なります。

パッチ適用前後にデータベースをマウントする必要がない場合は、RMS を完全に停止した状態で、適用を行ってください。パッチ適用前後にデータベースをマウントする必要がある場合は、以降の手順のようにuserApplication を保守モードにした状態で、適用を行ってください。

参考

Oracle 11g R2 より Oracle PSR (Patch Set Release) の適用方法は以下が提供されています。

3.2.2.1 In-place アップグレードによるパッチ適用

Oracle 11g R1 以前の場合や、Oracle 11g R2 で In-place アップグレードによる PSR 適用を行う場合は、以下の手順を実施してください。

  1. userApplication の起動(運用ノード)

    Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースが含まれている userApplication が停止している場合は、起動してください。

  2. 保守モード移行(運用ノード)

    運用ノード上で、userApplication を保守モードに移行してください。

    全ての userApplication を保守モードに移行する場合

    # /opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvutil -M on

    全てのノード上で userApplication の状態が "Maintenance" になったことを確認してください。

  3. Oracle リソース監視の中断(全てのノード)

    全てのノード上で hvoradisable コマンドを実行し、Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースの監視を中断してください。

    ローカルノード上の全ての Oracle リソースの監視を中断する場合

    # /opt/FJSVclora/sbin/hvoradisable -a

    全てのノード上で Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースの状態が"Warning" になったことを確認してください。

    参考

    スタンバイ運用の場合、待機ノードでも監視を行っているため、パッチ適用時に問題が発生する可能性があります。そのため、待機ノードでも監視を停止してください。

  4. Oracle の停止 (必要に応じて)

    # su - <Oracle ユーザー>
    $ sqlplus /nolog
    SQL> connect / as sysdba
    SQL> shutdown immediate
  5. パッチの適用

    Oracle ソフトウェアの配置先に応じて、パッチを適用してください。

    参照

    詳しくは Oracle のマニュアルを参照してください。

  6. Oracle の起動 (3.で停止していた場合)

    # su - <Oracle ユーザー>
    $ sqlplus /nolog
    SQL> connect / as sysdba
    SQL> startup
  7. Oracle リソース監視の再開(全てのノード)

    全てのノード上で hvoraenable コマンドを実行し、Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースの監視を再開してください。

    ローカルノード上の全ての Oracle リソースの監視を再開する場合

    # /opt/FJSVclora/sbin/hvoraenable -a

    全てのノード上で Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースの状態が"Warning" から元の状態("Online"、"Offline")になったことを確認してください。

  8. 保守モードの解除(運用ノード)

    運用ノード上で、userApplication の保守モードを解除してください。

    全ての userApplication を保守モードに解除する場合

    # /opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvutil -M off

    全てのノード上で userApplication の状態が "Maintenance" から元の状態("Online"、"Standby"、"Offline")になったことを確認してください。

3.2.2.2 Out-of-place アップグレードによるパッチ適用(スタンバイ運用、シングルノードクラスタ運用)

Oracle 11g R2 のスタンバイ運用およびシングルノードクラスタ運用において Out-of-place アップグレードによる PSR 適用を行う場合は、以下の手順を実施してください。

注意

  • Oracle ソフトウェアがローカルディスク上に配置されている場合、ローカルディスク上にアップグレードしてください。

  • Oracle ソフトウェアが共用ディスク上に配置されている場合、共用ディスク上にアップグレードしてください。

  • アップグレード前後で Oracle ソフトウェアの配置先を変更することはサポート対象外です。

  1. userApplication の起動(運用ノード)

    Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースが含まれている userApplication が停止している場合は、起動してください。

  2. 保守モード移行(運用ノード)

    運用ノード上で、userApplication を保守モードに移行してください。

    全ての userApplication を保守モードに移行する場合

    # /opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvutil -M on

    全てのノード上で userApplication の状態が "Maintenance" になったことを確認してください。

  3. Oracle リソース監視の中断(全てのノード)

    全てのノード上で hvoradisable コマンドを実行し、Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースの監視を中断してください。

    ローカルノード上の全ての Oracle リソースの監視を中断する場合

    # /opt/FJSVclora/sbin/hvoradisable -a

    全てのノード上で Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースの状態が"Warning" になったことを確認してください。

    参考

    スタンバイ運用の場合、待機ノードでも監視を行っているため、パッチ適用時に問題が発生する可能性があります。そのため、待機ノードでも監視を停止してください。

  4. Oracle に依存するリソースの停止(運用ノード)

    Oracle に依存するリソースがある場合は、手動停止してください。

  5. PSR の適用、データベースのアップグレード

    1. PSR の適用

      • Oracle ソフトウェアをローカルディスクに配置する場合

        Oracle のマニュアルに従い、全てのノードで Out-of-place アップグレードを実施してください。

      • Oracle ソフトウェアを共用ディスクに配置する場合

        Oracle のマニュアルに従い、運用ノードで Out-of-place アップグレードを実施してください。

      注意

      • 「インストール・オプションの選択」画面では、"データベース・ソフトウェアのみインストール" を選択してください。

      • 詳しくは、Oracle のマニュアルを参照してください。

    2. データベースのアップグレード(運用ノード)

      運用ノードで dbua(Database Upgrade Assistant) を実行し、データベースをアップグレードしてください。

      注意

      • "<新ORACLE_HOME>/bin/dbua" を実行してください。

      • 詳しくは、Oracle のマニュアルを参照してください。

    3. SPFILE の共用ディスク上への移動と参照設定(運用ノード)

      データベースのアップグレード実施後、SPFILE(サーバー・パラメータ・ファイル)がローカルディスク上に新たに生成された場合は、共用ディスク上へ移動してください。移動後、PFILE(初期化パラメータ・ファイル "<新ORACLE_HOME>/dbs/init<SID>.ora")に SPFILE のパスを指定するか、または SPFILE へのシンボリックリンクを作成して、SPFILE の参照設定を行ってください。

      注意

      Oracle ソフトウェアを共用ディスクに配置する場合、本手順は不要です。

      参照

      詳しくは、“2.2.6 データベースの作成・設定”を参照してください。

  6. PRIMECLUSTER Wizard for Oracle の設定

    1. ログインプロファイルの設定変更(全てのノード)

      Oracle ユーザーのログインプロファイルを vi などで開き、ORACLE_BASE および ORACLE_HOME 環境変数の設定を、アップグレード後のパスに変更してください。本手順は、全てのノードで実施してください。

      • 変更前

        ORACLE_HOME=/u01/app/oracle/product/11.2.0/dbhome_1
      • 変更後

        ORACLE_HOME=/u01/app/oracle/product/11.2.0/dbhome_2

      参照

      詳しくは、“2.2.2 Oracle ソフトウェアのインストール・設定”を参照してください。

    2. PFILE の待機ノードへの転送(運用ノード、待機ノード)

      運用ノードの "<新ORACLE_HOME>/dbs" ディレクトリを tar アーカイブにまとめてください。

      # su - oracle
      $ tar cfpvP /tmp/dbs.tar <新ORACLE_HOME>/dbs

      その後、待機ノードへFTP転送し、展開してください。

      # su - oracle
      $ tar xfpvP /tmp/dbs.tar

      注意

      • Oracle ソフトウェアを共用ディスクに配置する場合、本手順は不要です。

      • シングルノードクラスタ運用の場合、本手順は不要です。

      • ここでは、PRIMECLUSTER Wizard for Oracle の cloracpy コマンドを使用しないでください。

      • 待機ノード側で展開したファイルのアクセス権限が、運用ノード側と一致していることを確認してください。

      参照

      詳しくは、“2.2.6 データベースの作成・設定”を参照してください。

    3. Oracle Net Services 構成ファイルの配置

      Oracle Net Services 構成ファイルを <旧ORACLE_HOME> 配下から<新ORACLE_HOME> 配下へコピーしてください。

      • Oracle ソフトウェアをローカルディスクに配置する場合
        本手順を、全てのノードで実施してください。

      • Oracle ソフトウェアを共用ディスクに配置する場合
        本手順を、運用ノードで実施してください。

      $ cp -p <旧ORACLE_HOME>/network/admin/*.ora <新ORACLE_HOME>/network/admin/

      注意

      • Oracle Net Services 構成ファイル内のパラメータに、ORACLE_BASE や ORACLE_HOME に依存する設定がある場合、コピー後、必要に応じて "<新ORACLE_HOME>/network/admin/*.ora" ファイルを編集してください。

      • ここでは、PRIMECLUSTER Wizard for Oracle の cloracpy コマンドを使用しないでください。

  7. Oracle の起動確認(運用ノード)

    Oracle インスタンス、リスナーが起動していることを確認してください。停止している場合は、手動起動してください。

    注意

    • Oracle インスタンスは OPEN 状態で起動している必要があります。

    • リスナープロセスが "<新ORACLE_HOME>/bin/tnslsnr" で起動していることを確認してください。

      "<旧ORACLE_HOME>/bin/tnslsnr" となっている場合、それを停止して "<新ORACLE_HOME>/bin/tnslsnr" として起動してください。

  8. Oracle に依存するリソースの起動(運用ノード)

    手順 4) で Oracle に依存するリソースを停止した場合は、手動起動してください。

  9. Oracle リソース監視の再開(全てのノード)

    全てのノード上で hvoraenable コマンドを実行し、Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースの監視を再開してください。

    ローカルノード上の全ての Oracle リソースの監視を再開する場合

    # /opt/FJSVclora/sbin/hvoraenable -a

    全てのノード上で Oracle インスタンスリソース、リスナーリソースの状態が"Warning" から元の状態("Online"、"Offline")になったことを確認してください。

  10. 保守モードの解除(運用ノード)

    運用ノード上で、userApplication の保守モードを解除してください。

    全ての userApplication を保守モードに解除する場合

    # /opt/SMAW/SMAWRrms/bin/hvutil -M off

    全てのノード上で userApplication の状態が "Maintenance" から元の状態("Online"、"Standby"、"Offline")になったことを確認してください。

  11. 待機ノードへの切替確認

    userApplication を待機ノードへ切替えて、正しく起動することを確認してください。

    注意

    • シングルノードクラスタ運用の場合、本手順は不要です。

    • 待機ノード上で userApplication が正しく起動できない場合、手順 6) を確認してください。

  12. 業務の再開

    必要に応じて userApplication を運用ノードへ切戻し、問題がない場合は業務を再開してください。