マルチシステム機能を使用する場合の、CORBAサービスの設計について説明します。
CORBAサービスのIIOP通信では、TCP/IPを使用します。このため、マルチシステム機能を使用する場合には、システムごとにTCP/IPのあて先を割り当て、TCP/IPの通信上、システムを区別できるようにする必要があります。
あて先の設定方法として、システムごとに、IPアドレスによる識別を行うか、または、同一IPアドレスでポート番号を分けるかどうかを選択します。
システムごとのTCP/IPのあて先は、次の定義で指定します。
IPアドレス(Interstage動作環境定義ファイルのCorba Host Name)
ポート番号(Interstage動作環境定義ファイルのCorba Port Number)
Interstage動作環境定義の詳細については、“A.3 Interstage動作環境定義”を参照してください。
■IPアドレスを分ける場合
ここではシステム単位にIPアドレスを分けて運用する場合の設定方法について説明します。
この場合“Corba Host Name”および“Corba Port Number”を以下のようにカストマイズする必要があります。省略することはできません。
Interstage動作環境定義の詳細については、“運用ガイド(基本編)”を参照してください。
デフォルトシステムのInterstage動作環境定義の“Corba Host Name”を指定する必要があります。以下にデフォルトシステムを“TYPE1”でセットアップする場合の定義例を示します。(IPアドレスは、10.1.1.1、ポート番号は、8002として説明します。)
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.1 Corba Port Number = 8002 IR DB = ObjectFile : : |
拡張システムのInterstage動作環境定義の“Corba Host Name”および、“Corba Port Number”のカストマイズを行う必要があります。以下に拡張システムを“TYPE1”でセットアップする場合の定義例を示します。(IPアドレスは、10.1.1.2、ポート番号は、8002として説明します。)
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.2 |
■ポート番号を分ける場合
ここではシステム単位にポートを分けて運用する場合の設定方法について説明します。
この場合“Corba Host Name”および“Corba Port Number”を以下のようにカストマイズする必要があります。なお、IPアドレスが同一の場合は、“Corba Host Name”は省略することが可能です。
以下に示す注意事項以外のInterstage動作環境定義の詳細については、“運用ガイド(基本編)”を参照してください。ただし、マルチシステム機能にあてはめて参照する場合は、Interstageのサーバを、マルチシステム機能の“システム”として読み替えてください。
デフォルトシステムのInterstage動作環境定義は特にカストマイズの必要はありません。以下にデフォルトシステムを“TYPE1”でセットアップする場合の定義例を示します。(IPアドレスは、10.1.1.1、ポート番号は、8002として説明します。)
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.1 Corba Port Number = 8002 IR DB = ObjectFile : : |
拡張システムのInterstage動作環境定義は“Corba Port Number”のカストマイズを行う必要があります。以下に拡張システムを“TYPE1”でセットアップする場合の定義例を示します。(IPアドレスは、10.1.1.1、ポート番号は、8003として説明します。)
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.1 |
ネーミングサービスとインタフェースリポジトリ(以降、NS/IRと略します)は、各システムで独立して配置するか、システムで共用して配置するかを選択します。
配置方法についてはInterstageのサーバが複数台ある場合と同様の手法で配置を設計します。
マルチシステム機能を利用する場合は、同一サーバ内に、NS/IRをシステムごとに動作させることも可能です。
■システム単位にNS/IRを分ける場合
この場合、デフォルトシステム、拡張システムともに、Interstageの初期化時に、“TYPE1”を選択してセットアップを実施します。ただしシステムをIPアドレスで識別する場合には、両方のシステムのInterstage動作環境定義ファイルに“Corba Host Name”の値を指定する必要があります。
以下に示す注意事項以外のInterstage動作環境定義の詳細については、“運用ガイド(基本編)”を参照してください。ただし、マルチシステム機能にあてはめて参照する場合は、Interstageのサーバを、マルチシステム機能の“システム”として読み替えてください。
デフォルトシステムのInterstage動作環境定義は、特にカストマイズする必要はありませんが、システムをIPアドレスで識別する場合には“Corba Host Name”を指定する必要があります。以下にデフォルトシステムを“TYPE1”でセットアップする場合の定義例を示します。IPアドレスは、10.1.1.1、ポート番号は、8002として説明します。
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.1 Corba Port Number = 8002 IR DB = ObjectFile : : |
拡張システムのInterstage動作環境定義の“Corba Host Name”および、“Corba Port Number”のカストマイズを行う必要があります。以下に拡張システムを“TYPE1”でセットアップする場合の定義例を示します。IPアドレスは、10.1.1.2、ポート番号は、8002として説明します。
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.2 |
■システム間でNS/IRを共用する場合
この場合、デフォルトシステムまたは拡張システムのどちらかを“TYPE1”でセットアップし、もう片方のシステムを“TYPE3”でセットアップし、“TYPE1”でセットアップを実施したNS/IRを参照するシステム形態となります。
ここでは、デフォルトシステムを“TYPE1”、拡張システムを“TYPE3”でセットアップを行う場合について説明します。
この場合、以下のようにカストマイズを行います。
以下に示す注意事項以外のInterstage動作環境定義の詳細については、“運用ガイド(基本編)”を参照してください。ただし、マルチシステム機能にあてはめて参照する場合は、Interstageのサーバを、マルチシステム機能の“システム”として読み替えてください。
“TYPE1”でセットアップするデフォルトシステムのInterstage動作環境定義には“Corba Host Name”を指定する必要があります。以下に拡張システムを“TYPE1”でセットアップする場合の定義例を示します。IPアドレスは、10.1.1.1、ポート番号は、8002として説明します。
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.1 |
拡張システムを“TYPE3”でセットアップする場合、以下の定義をカストマイズします。
Corba Host Name
システムの区別としてIPアドレスで識別する場合は、自システムのホスト名またはIPアドレスを指定します。
Corba Port Number
システムが使用するポート番号を指定します。
IR path for DB file
指定値を空白とします。
IR USE
インタフェースリポジトリを、自システムに配置しない場合は“remote”を指定します。
IR Host Name
インタフェースリポジトリを、自システムに配置しない場合はインタフェースリポジトリを配置するシステムのホスト名またはIPアドレスを指定します。
IR Port Number
インタフェースリポジトリを動作させるポート番号を指定します。
NS USE
ネーミングサービスを、自システムに配置しない場合は“remote”を指定します。
NS Host Name
ネーミングサービスを、自システムに配置しない場合はネーミングサービスを配置するシステムのホスト名またはIPアドレスを指定します。
NS Port Number
ネーミングサービスを動作させるポート番号を指定します。
以下に拡張システムを“TYPE3”でセットアップする場合の定義例を示します。IPアドレスは、10.1.1.2、ポート番号は、8002、参照先のシステムのIPアドレスは、10.1.1.1、参照先のシステムのポート番号は、8002として説明します。
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.2 |
■両システムともに他サーバにあるNS/IRを共用する場合
この場合、デフォルトシステムおよび拡張システムの両方を“TYPE3”でセットアップし、別のサーバに存在するInterstageのNS/IRを参照するシステム形態となります。
ここでは、デフォルトシステム、拡張システムともに“TYPE3”でセットアップを行ったと仮定して説明します。
以下に示す注意事項以外のInterstage動作環境定義の詳細については、“運用ガイド(基本編)”を参照してください。ただし、マルチシステム機能にあてはめて参照する場合は、Interstageのサーバを、マルチシステム機能の“システム”として読み替えてください。
デフォルトシステムを“TYPE3”でセットアップした場合、以下の例のように定義をカストマイズします。
Corba Host Name
システムの区別としてIPアドレスで識別する場合は、デフォルトシステムのホスト名またはIPアドレスを指定します。
Corba Port Number
システムが使用するポート番号を指定します。
IR path for DB file
指定値を空白とします。
IR USE
インタフェースリポジトリを、他サーバに配置するため“remote”を指定します。
IR Host Name
インタフェースリポジトリを、他サーバに配置するためインタフェースリポジトリを配置するシステムのホスト名またはIPアドレスを指定します。
IR Port Number
インタフェースリポジトリを動作させるポート番号を指定します。
NS USE
ネーミングサービスを、他サーバに配置するため“remote”を指定します。
NS Host Name
ネーミングサービスを、他サーバに配置するためネーミングサービスを配置するシステムのホスト名またはIPアドレスを指定します。
NS Port Number
ネーミングサービスを動作させるポート番号を指定します。
以下にデフォルトシステムを“TYPE3”でセットアップする場合の定義例を示します。IPアドレスは、10.1.1.1、ポート番号は、8002、参照先のシステムのホスト名は、“server001”、参照先のシステムのポート番号は、8002として説明します。
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.1 |
拡張システムを“TYPE3”でセットアップした場合、以下の例のように定義をカストマイズします。カストマイズする項目に関しては、デフォルトシステムと同様です。
以下に拡張システムを“TYPE3”でセットアップする場合の定義例を示します。IPアドレスは、10.1.1.1、ポート番号は、8003、参照先のシステムのホスト名は、“server001”、参照先のシステムのポート番号は、8002として説明します。
#Interstage Operation environment definition Corba Host Name = 10.1.1.1 |