GDSのSDXオブジェクトを、論理ボリューム単位で複製することが可能です。GDS Snapshotと連携した複製が行われます。
対象ボリュームとしてGDSの論理ボリューム名を指定できるため、SDXオブジェクトの物理ディスク構成は意識不要です。
スライス単位運用では、ミラーボリュームを構成するすべての物理スライスを指定する必要があるため、物理構成を意識した設計・運用が必要です。
図7.51 論理ボリューム単位のバックアップ運用
GDSの論理ボリュームをAdvancedCopy Managerコマンドに指定する場合は、GDS論理ボリューム名を指定します。
/dev/sfdsk/クラス名/dsk/ボリューム名 |
注意
運用できないSDXオブジェクトの構成や条件
運用可能なボリュームは、シングルボリュームおよびミラーボリュームです。以下のSDXオブジェクト(ボリューム)は、AdvancedCopy Managerで運用できません。
シャドウクラスのボリューム
ストライプボリューム
スイッチボリューム
コンカチネーショングループ内のボリューム
ただし、ミラーグループの下位グループとして、ストライプグループおよびコンカチネーショングループを使用することは可能です。
同期型レプリケーションやスナップショット型レプリケーションの開始において、「複写元ボリュームを構成するスライス数」と「複写元ボリュームに関連付けられているすべての複写先ボリュームを構成するスライス数」の合計が、33個以上になる場合はコピー処理を実行できません。
また、複写元ボリュームがINVALID状態の場合、コピー処理を実行できません。
ポイント
使用しているボリュームが、シングル、ミラー、ストライプ、コンカチネーション、スイッチのうち、どれに該当するかは、“sdxinfo -e long”を実行したときに表示されるボリュームのタイプ属性(OBJ欄にvolumeと表示されている行のTYPE欄の値)で判断できます。
【ボリュームオブジェクトのタイプ属性】
single: シングルボリューム(運用可能)
mirror: ミラーボリューム(運用可能)
stripe: ストライプボリューム(運用不可)
concat: コンカチネーショングループ内のボリューム(運用不可)
switch: スイッチボリューム(運用不可)
レプリケーション運用では、以下の点に留意して設計してください。
GDS Snapshot連携機能では、AdvancedCopy ManagerがGDS Snapshot機能を使用してボリュームの結合・分離操作を行うことで、レプリケーションを実施します。そのため、複製元/複製先ボリュームは、GDS Snapshotのマスタオブジェクト/プロキシオブジェクトとして利用可能なSDXオブジェクトである必要があります。
複写元ボリュームはマスタオブジェクト、複写先ボリュームはプロキシオブジェクトとして運用します。
GDSのボリューム構成の設定は、AdvancedCopy Managerに登録する前に行ってください。
よって、物理スライス単位のレプリケーション運用と異なり、以下の点に留意する必要があります。マスタ・プロキシボリュームを構成するための詳細条件は、『PRIMECLUSTER(TM) Global Disk Services 説明書 (Linux版)』の「留意事項」の「プロキシ構成の前提条件」を参照してください。
複製元/複製先ボリュームは、同一種別のSDXオブジェクトである必要があります。論理ボリュームとスライス、または、論理ボリュームと他OSのボリュームの組合せでは、複製ボリューム情報を設定できません。論理ボリュームの場合、複製元/複製先ボリュームが同一サイズである必要があります。
また、AdvancedCopy Managerでは、ボリュームが分離状態かつコピーセッションがない場合、複製未実施状態とみなします。以下の運用を行った場合に、この状態へ移行します。
「10.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド)」でOPCを開始し、コピー処理が完了した場合
「10.4.2.1 swsrpstartsync(複製開始コマンド)」をソフトコピー指定で実行し、そのあと、「10.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド)」で同期処理をサスペンドした場合
「10.4.2.1 swsrpstartsync(複製開始コマンド)」、「10.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド)」、「10.4.1.3 swsrpdelvol(複製ボリューム情報削除コマンド)」は、指定された複製ボリュームのペアがこの分離状態であった場合、自動的に解除します。
運用上、このコピーセッションがない分離状態を解除する必要がある場合は、「10.4.1.3 swsrpdelvol(複製ボリューム情報削除コマンド)」で複製ボリューム情報を削除するか、『PRIMECLUSTER(TM) Global Disk Services 説明書 (Linux版)』を参照してsdxproxyコマンドで解除してください。
アドバンスト・コピーを使用するには、複製先ボリュームおよび複製元ボリュームのボリューム構成に関して、以下の条件を満たす必要があります。
複写元ボリュームのボリューム構成
アドバンスト・コピーを使用するには、複写元ボリュームは以下のどれかのボリューム構成を満たす必要があります。
シングルボリュームである。
ルートクラスではない。
ミラーボリュームであり、かつ、そのボリュームが属しているミラーグループに下位グループが接続されていない。
したがって、下位グループが接続されているミラーグループ内のミラーボリュームに対しては、ソフトコピーだけ起動可能です。
以下のSDXオブジェクト(ボリューム)は、AdvancedCopy Managerで運用できません。
シャドウクラスのボリューム
ストライプボリューム
スイッチボリューム
コンカチネーショングループ内のボリューム
ただし、ミラーグループの下位グループとして、ストライプグループおよびコンカチネーショングループを使用することは可能です。
同期処理やスナップショット型レプリケーションの開始において、「複写元ボリュームを構成するスライス数」と「複写元ボリュームに関連付けられているすべての複写先ボリュームを構成するスライス数」の合計が、33個以上になる場合はコピー処理を実行できません。
また、複写元ボリュームがINVALID状態の場合、コピー処理を実行できません。
図7.52 アドバンスト・コピー可能な複写元ボリューム構成
複写先ボリュームのボリューム構成
アドバンスト・コピーを使用するには、複写先ボリュームは以下のボリューム構成を満たす必要があります。
シングル構成である
ボリュームのTYPE属性が“single”である。または、
ボリュームのTYPE属性が“mirror”で、ディスクグループを構成するディスク数が1である。
ルートクラスではない
複写先ボリュームがミラーボリュームの場合は、ソフトコピーだけ起動可能です。双方向でアドバンスト・コピーを実施するには、両ボリュームがシングル構成である必要があります。
ストライプ、コンカチネーションは、複写先として運用できません。
図7.53 アドバンスト・コピー可能な複写先ボリューム構成
GDS Snapshotのコピー動作には次の2種類があり、SDXオブジェクトの構成により、使用される機能が異なります。
アドバンスト・コピー: ETERNUS ディスクアレイのハードウェア機能によるコピー
ソフトコピー: PRIMECLUSTER GDSのディスクドライバによるコピー
SDXオブジェクトの構成と使用可能なコピー機能の関係は、以下のとおりです。
レプリケーション構成 | 単位 | コピー元/コピー先 | SDXオブジェクト構成(注) | 使用可能なコピー機能 | |
---|---|---|---|---|---|
サーバ内 | 論理ボリューム | コピー元 | シングル | アドバンスト・コピー、 | |
ミラー | 下位グループがない | アドバンスト・コピー、 | |||
下位グループがある | ソフトコピー | ||||
コピー先 | シングル | アドバンスト・コピー、 | |||
ミラー | 1つのディスクで構成されている | アドバンスト・コピー、 | |||
2つ以上のディスクで構成されている | ソフトコピー |
注: ストライプ/コンカチネーション/スイッチタイプのオブジェクトはコピーできません。
レプリケーション運用を行うサーバを管理対象サーバ(Storageサーバ)として登録し、管理対象サーバ配下のデバイスの情報を取得します。手順は、「7.4.4 管理対象サーバ配下のデバイス情報の取込み」を参照してください。
複製元/複製先ボリュームを設定する際は、以下の点を確認してください。
「7.8.3.1.1 運用可能なボリューム構成」で説明されているボリューム構成であること
複製元/複製先ボリュームがマスタボリューム、プロキシボリュームになっていないこと
GDSの論理ボリュームを複製元/複製先として登録します。
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol -h SRC-SV /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1 /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 swsrpsetvol completed # |
SDXオブジェクトのレプリケーションを実行する場合、以下の点に留意する必要があります。
同期処理の開始・再開(「10.4.2.1 swsrpstartsync(複製開始コマンド)」)やスナップショット処理の開始(「10.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド)」)を行うには、コピー先論理ボリュームは停止状態である必要があります。
コマンド実行時にコピー先論理ボリュームが起動中の場合、コマンド内でボリューム停止処理を行います。コピー先ボリュームがファイルシステムボリュームの場合は、レプリケーション前処理によってファイルシステムをアンマウントしたあと、ボリュームを停止します。
ボリューム停止処理に失敗した場合(例えば、ボリュームがアプリケーションなどからアクセス中の場合)、コマンドは異常終了します。
[同期型レプリケーションの例]
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync -h SRC-SV /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1 /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 FROM=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1, TO=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 swsrpstartsync completed 等価性維持状態後 # /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -h SRC-SV /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1 /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 FROM=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1, TO=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 swsrpmake completed |
[スナップショット型レプリケーションの例]
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -h SRC-SV /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1 /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 FROM=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1, TO=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 swsrpmake completed # |
sdxproxyコマンドを直接使用してレプリケーション機能に登録されているボリュームの状態変更操作を行わないでください。レプリケーション機能の管理情報と実際のボリューム状態が、不整合な状態になる可能性があります。
sdxproxyコマンドを直接使用して不整合な状態になった場合は、「10.4.2.4 swsrpcancel(複製解除コマンド)」を使用して複製運用を解除してください。