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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 15.3 運用ガイド
ETERNUS

7.8.2 論理ボリューム単位のレプリケーション運用(GDS Snapshotを使用する方式)

GDSのSDXオブジェクトを、論理ボリューム単位で複製することが可能です。GDS Snapshotと連携した複製が行われます。

対象ボリュームとしてGDSの論理ボリューム名を指定できるため、SDXオブジェクトの物理ディスク構成は意識不要です。

スライス単位運用では、ミラーボリュームを構成するすべての物理スライスを指定する必要があるため、物理構成を意識した設計・運用が必要です。

図7.51 論理ボリューム単位のバックアップ運用

GDSの論理ボリュームをAdvancedCopy Managerコマンドに指定する場合は、GDS論理ボリューム名を指定します。

/dev/sfdsk/クラス名/dsk/ボリューム名

注意

運用できないSDXオブジェクトの構成や条件

運用可能なボリュームは、シングルボリュームおよびミラーボリュームです。以下のSDXオブジェクト(ボリューム)は、AdvancedCopy Managerで運用できません。

  • シャドウクラスのボリューム

  • ストライプボリューム

  • スイッチボリューム

  • コンカチネーショングループ内のボリューム

ただし、ミラーグループの下位グループとして、ストライプグループおよびコンカチネーショングループを使用することは可能です。

同期型レプリケーションやスナップショット型レプリケーションの開始において、「複写元ボリュームを構成するスライス数」と「複写元ボリュームに関連付けられているすべての複写先ボリュームを構成するスライス数」の合計が、33個以上になる場合はコピー処理を実行できません。

また、複写元ボリュームがINVALID状態の場合、コピー処理を実行できません。

ポイント

使用しているボリュームが、シングル、ミラー、ストライプ、コンカチネーション、スイッチのうち、どれに該当するかは、“sdxinfo -e long”を実行したときに表示されるボリュームのタイプ属性(OBJ欄にvolumeと表示されている行のTYPE欄の値)で判断できます。

【ボリュームオブジェクトのタイプ属性】

  • single: シングルボリューム(運用可能)

  • mirror: ミラーボリューム(運用可能)

  • stripe: ストライプボリューム(運用不可)

  • concat: コンカチネーショングループ内のボリューム(運用不可)

  • switch: スイッチボリューム(運用不可)

7.8.2.1 レプリケーション運用の設計

レプリケーション運用では、以下の点に留意して設計してください。

GDS Snapshot連携機能では、AdvancedCopy ManagerがGDS Snapshot機能を使用してボリュームの結合・分離操作を行うことで、レプリケーションを実施します。そのため、複製元/複製先ボリュームは、GDS Snapshotのマスタオブジェクト/プロキシオブジェクトとして利用可能なSDXオブジェクトである必要があります。

複写元ボリュームはマスタオブジェクト、複写先ボリュームはプロキシオブジェクトとして運用します。

GDSのボリューム構成の設定は、AdvancedCopy Managerに登録する前に行ってください。

よって、物理スライス単位のレプリケーション運用と異なり、以下の点に留意する必要があります。マスタ・プロキシボリュームを構成するための詳細条件は、『PRIMECLUSTER(TM) Global Disk Services 説明書 (Linux版)』の「留意事項」の「プロキシ構成の前提条件」を参照してください。

また、AdvancedCopy Managerでは、ボリュームが分離状態かつコピーセッションがない場合、複製未実施状態とみなします。以下の運用を行った場合に、この状態へ移行します。

10.4.2.1 swsrpstartsync(複製開始コマンド)」、「10.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド)」、「10.4.1.3 swsrpdelvol(複製ボリューム情報削除コマンド)」は、指定された複製ボリュームのペアがこの分離状態であった場合、自動的に解除します。

運用上、このコピーセッションがない分離状態を解除する必要がある場合は、「10.4.1.3 swsrpdelvol(複製ボリューム情報削除コマンド)」で複製ボリューム情報を削除するか、『PRIMECLUSTER(TM) Global Disk Services 説明書 (Linux版)』を参照してsdxproxyコマンドで解除してください。

7.8.2.2 複製ボリューム

アドバンスト・コピーを使用するには、複製先ボリュームおよび複製元ボリュームのボリューム構成に関して、以下の条件を満たす必要があります。

複写元ボリュームのボリューム構成

アドバンスト・コピーを使用するには、複写元ボリュームは以下のどれかのボリューム構成を満たす必要があります。

したがって、下位グループが接続されているミラーグループ内のミラーボリュームに対しては、ソフトコピーだけ起動可能です。

以下のSDXオブジェクト(ボリューム)は、AdvancedCopy Managerで運用できません。

同期処理やスナップショット型レプリケーションの開始において、「複写元ボリュームを構成するスライス数」と「複写元ボリュームに関連付けられているすべての複写先ボリュームを構成するスライス数」の合計が、33個以上になる場合はコピー処理を実行できません。

また、複写元ボリュームがINVALID状態の場合、コピー処理を実行できません。

図7.52 アドバンスト・コピー可能な複写元ボリューム構成

複写先ボリュームのボリューム構成

アドバンスト・コピーを使用するには、複写先ボリュームは以下のボリューム構成を満たす必要があります。

複写先ボリュームがミラーボリュームの場合は、ソフトコピーだけ起動可能です。双方向でアドバンスト・コピーを実施するには、両ボリュームがシングル構成である必要があります。
ストライプ、コンカチネーションは、複写先として運用できません。

図7.53 アドバンスト・コピー可能な複写先ボリューム構成

7.8.2.3 GDS構成別使用可能なコピー機能

GDS Snapshotのコピー動作には次の2種類があり、SDXオブジェクトの構成により、使用される機能が異なります。

SDXオブジェクトの構成と使用可能なコピー機能の関係は、以下のとおりです。

表7.6 SDXオブジェクトの構成と使用可能なコピー機能

レプリケーション構成

単位

コピー元/コピー先

SDXオブジェクト構成(注)

使用可能なコピー機能

サーバ内

論理ボリューム

コピー元

シングル

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

ミラー

下位グループがない

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

下位グループがある

ソフトコピー

コピー先

シングル

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

ミラー

1つのディスクで構成されている

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

2つ以上のディスクで構成されている

ソフトコピー

注: ストライプ/コンカチネーション/スイッチタイプのオブジェクトはコピーできません。

7.8.2.4 管理対象サーバ配下のデバイス情報の取込み

レプリケーション運用を行うサーバを管理対象サーバ(Storageサーバ)として登録し、管理対象サーバ配下のデバイスの情報を取得します。手順は、「7.4.4 管理対象サーバ配下のデバイス情報の取込み」を参照してください。

7.8.2.5 複製ボリュームの設定

複製元/複製先ボリュームを設定する際は、以下の点を確認してください。

GDSの論理ボリュームを複製元/複製先として登録します。

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol -h SRC-SV /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1 /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2
swsrpsetvol completed
#

7.8.2.6 レプリケーションの実行

SDXオブジェクトのレプリケーションを実行する場合、以下の点に留意する必要があります。

同期処理の開始・再開(「10.4.2.1 swsrpstartsync(複製開始コマンド)」)やスナップショット処理の開始(「10.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド)」)を行うには、コピー先論理ボリュームは停止状態である必要があります。

コマンド実行時にコピー先論理ボリュームが起動中の場合、コマンド内でボリューム停止処理を行います。コピー先ボリュームがファイルシステムボリュームの場合は、レプリケーション前処理によってファイルシステムをアンマウントしたあと、ボリュームを停止します。

ボリューム停止処理に失敗した場合(例えば、ボリュームがアプリケーションなどからアクセス中の場合)、コマンドは異常終了します。

[同期型レプリケーションの例]

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync -h SRC-SV /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1 /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2
FROM=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1, TO=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 swsrpstartsync completed

等価性維持状態後

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -h SRC-SV /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1 /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2
FROM=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1, TO=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 swsrpmake completed

[スナップショット型レプリケーションの例]

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -h SRC-SV /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1 /dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2
FROM=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL1, TO=/dev/sfdsk/CLS1/dsk/VOL2 swsrpmake completed
#

7.8.2.7 運用中の注意事項

sdxproxyコマンドを直接使用してレプリケーション機能に登録されているボリュームの状態変更操作を行わないでください。レプリケーション機能の管理情報と実際のボリューム状態が、不整合な状態になる可能性があります。
sdxproxyコマンドを直接使用して不整合な状態になった場合は、「10.4.2.4 swsrpcancel(複製解除コマンド)」を使用して複製運用を解除してください。