統合の最初の作業は、外部からサービスを操作するためのWebサービスを実装することです。このWebサービスをプロビジョニングサービスと呼びます。サービス利用部門がサービスの利用申請をするときや、利用中のサービスの管理をおこなうときは、Systemwalker Service Catalog Managerはこのプロビジョニングサービスを呼び出します。また、ユーザーの追加や管理をおこなう場合も、プロビジョニングサービスを呼び出すことがあります。
アクセス種別がエクスターナルアクセスの場合にはプロビジョニングサービスの実装は不要です。アクセス種別の詳細は“第2章 アクセス種別の決定”を参照してください。
実装には以下についての検討が必要です。
インスタンスの提供方法
サービス利用部門がサービスの利用申請をした場合、アプリケーションはサービスの利用に必要なすべての処理を実行し、サービスの識別子をSystemwalker Service Catalog Managerに返す必要があります。アプリケーション側でサービスのために提供されるもののことを「インスタンス」と呼びます。
実際の動作や作成するインスタンスは、アプリケーションの性質や機能によって決まります。たとえば、アプリケーション使用中にサービス利用部門がデータを作成して保存したとします。このとき、アプリケーションはデータコンテナの中に独立したワークスペースを作成する場合もありますが、独立したデータベースのインスタンスを作成する場合もあります。
プロビジョニングのモード
インスタンスプロビジョニングには、同期モードと非同期モードがあります。
インスタンスを直ちに用意できる場合に利用します。アプリケーションは必要な処理をすべて実行し、処理の完了を確認します。これによりSystemwalker Service Catalog Managerはサービスを公開し、サービス利用部門がサービスを利用できる状態になります。
手作業が必要になる場合、あるいは大量のデータや仮想マシンをセットアップする必要がある場合など、処理に時間を要するときに利用します。この場合、アプリケーションは処理が保留されていることをSystemwalker Service Catalog Managerに通知します。つまり、アプリケーション側で開始した処理が終了していない状態です。処理が終了したら、アプリケーションは改めてSystemwalker Service Catalog Managerに完了を通知する必要があります。何らかの理由で処理が終了しなかった場合も、その旨をSystemwalker Service Catalog Managerに通知する必要があります。
Systemwalker Service Catalog Managerは、非同期プロビジョニングプラットフォーム(APP)を利用した非同期プロビジョニングサービスの開発をサポートしています。APPは、非同期でアプリケーションを統合する際に必要なプロビジョニングサービスや、関数・データ永続・通知機能を提供するフレームワークです。フレームワーク本体・サンプル・ドキュメントは、非同期プロビジョニング用統合パッケージ(fujitsu-bss-integration-app-pack.zipファイル)に同梱されています。
アプリケーションのパラメーターとオプション
アプリケーションが、Systemwalker Service Catalog Managerのサービスプロビジョニングに関連するパラメーターを必要とする場合もあります。パラメーターは、異なる構成を提供したり、サービスを制限したりするために提供します。たとえば、作成可能なフォルダ、ファイル、あるいはオブジェクトの上限値を指定する場合などに利用できます。
Systemwalker Service Catalog Managerは、プロビジョニングの際にアプリケーションへパラメーターを渡します。パラメーターの処理はアプリケーション側でおこないます。特に、パラメーターの内容でサービスに制限が加えられている場合は、アプリケーションが制限を正しく処理する必要があります。たとえば、ユーザーが作成できるファイル数の上限値がパラメーターで決まっている場合、アプリケーションはファイルの数を記憶し、上限値を超えないようにする必要があります。
技術サービス定義のパラメーターの詳細は“付録B 技術サービス定義のXMLファイル要素”を参照してください。
ユーザー管理
ユーザーがSystemwalker Service Catalog Manager経由でアプリケーションにアクセスする場合には、ユーザー管理のオペレーションを実装しておく必要があります。このオペレーションは、Systemwalker Service Catalog Managerでサービスに新しいユーザーが割り当てられたとき、ユーザーの割り当てがサービスから解除したとき、あるいはユーザーのプロファイルが更新されたときに呼び出されます。アプリケーションが独自のユーザー管理をおこなっている場合などは、ユーザーのアカウントを作成するなど、これらのオペレーションに対応する処理を実行する必要があります。
プロビジョニングサービスの実装の詳細は“アプリケーション開発ガイド 3.2 プロビジョニングサービスの実装”を参照してください。