クラスタシステム:Oracle Solaris Clusterが相互待機構成である場合の設定方法について説明します。
以下に設定手順を図に示します。
注意
Systemwalker for OracleおよびOracle Solaris Clusterのコマンドを実行する際は、スーパーユーザで実行する必要があります。
相互待機型のクラスタシステムにて複数のデータサービスが存在し、かつ、その複数のデータサービスでOracleインスタンスの運用を管理するように定義されている環境において、Systemwalker for Oracleを使用して相互待機型のクラスタシステムで管理されているOracleインスタンスを監視する場合は、各々のデータサービスで動作するようにSystemwalker for Oracleのクラスタリソースを登録する必要があります。
以降の設定手順では、以下のように構成されているクラスタシステムに対して、クラスタ環境設定を実施する場合を例としています。
クラスタシステム上に2つのデータサービスが定義されており、各々のデータサービスではそれぞれ2つのOracleインスタンスが定義・管理されている
[図5:クラスタシステムリソース構成図(相互待機)]
環境設定手順で使用するOracleのリソース情報は、以下の情報を例としています。
[表7-1:データサービス1に登録されているリソース情報(Oracle)]
リソースグループ名 | USER_APP1 | |
Oracleクラスタリソース1 | リソース名 | ORACLE_APP1 |
インスタンスのSID名 | ora10_ins1 | |
Oracleクラスタリソース2 | リソース名 | OARCLE_APP2 |
インスタンスのSID名 | ora10_ins2 |
[表7-2:データサービス2に登録されているリソース情報(Oracle)]
リソースグループ名 | USER_APP2 | |
Oracleクラスタリソース3 | リソース名 | ORACLE_APP3 |
インスタンスのSID名 | ora10_ins3 | |
Oracleクラスタリソース4 | リソース名 | OARCLE_APP4 |
インスタンスのSID名 | ora10_ins4 |
クラスタシステムに登録するSystemwalker for Oracleのリソース情報には以下の情報を設定してください。
[表8-1:データサービス1に登録するリソース情報1(Systemwalker for Oracle)]
リソースタイプ | MPOR1 |
リソース名 | FJSVmpor_app1 |
リソースタイプ登録ファイル格納先 | /opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1 |
[表8-2:データサービス2に登録するリソース情報2(Systemwalker for Oracle)]
リソースタイプ | MPOR2 |
リソース名 | FJSVmpor_app2 |
リソースタイプ登録ファイル格納先 | /opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc2 |
Systemwalker for Oracleのクラスタ環境設定コマンドを実行します。
以下のコマンドを実行してください。
コマンドは全ノードで実行してください。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporsetclst -s suncluster3 -t multi_standby <ENTER> |
クラスタ環境設定コマンドの実行後、以下のコマンドを実行してクラスタ環境設定の設定状態を確認してください。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporsetclst -v <ENTER> mporsetclst : mporsetclst information. Configured cluster system on suncluster3. (The cluster configuration is ‘multi_standby’.) |
suncluster3:クラスタシステムが「Oracle Solaris Cluster」で設定されていることを示しています。
multi_standby:運用モードが「相互待機モード」で設定されていることを示しています。
相互待機構成のクラスタシステムでSystemwalker for Oracleを使用する場合、各々のデータサービスで動作し、Systemwalker for Oracleの監視デーモンプロセスの起動・停止制御を行う「クラスタリソースファイル」(リソースタイプ登録ファイル、起動・停止メソッド等) をそれぞれに作成する必要があります。
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースファイルの作成は、構成されているノードのいずれか1ノードで行います。
起動・停止メソッドは、以下のコマンドで複写して作成します。
コマンドは、スーパーユーザで実行する必要があります。
# mkdir -p /opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svcXX <ENTER> |
上記のsvcXX のXXの箇所はクラスタシステムに作成されているデータサービスの数に応じて、任意の文字列 (英数字) に置き換えて作成してください。
以下に例を示します。
1つ目のデータサービス用に「/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1」のディレクトリを作成します。
# mkdir -p /opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1 <ENTER> |
作成したディレクトリ配下にSystemwalker for Oracleのクラスタリソースファイル群を複写します。
# cp -p /opt/FJSVmpor/sample/cluster/suncl/multi/* \ |
2つ目のデータサービス用に「/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc2」のディレクトリを作成します。
# mkdir -p /opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc2 <ENTER> |
作成したディレクトリ配下にSystemwalker for Oracleのクラスタリソースファイル群を複写します。
# cp -p /opt/FJSVmpor/sample/cluster/suncl/multi/* \ |
複写するSystemwalker for Oracleクラスタリソースファイル群のサンプルファイルには以下のファイルがあります。
ファイル名 | ファイル種別 |
sfosc30_multi_rsc | リソースタイプ登録ファイル |
sfostart_multi_mtd | 起動メソッドファイル |
sfostop_multi_mtd | 停止メソッドファイル |
sfostart_multi_fmon | フォルトモニタ起動ファイル |
sfostop_multi_fmon | フォルトモニタ停止ファイル |
sfosc30_multi_fmon | フォルトモニタファイル |
注意
クラスタリソースファイルの作成を行う場合の注意事項
クラスタリソースファイルのサンプルファイル群(/opt/FJSVmpor/sample/cluster/suncl/multi配下)は、削除しないでください。
複写したクラスタリソースファイルの属性、権限、およびオーナー情報は、サンプルファイルと同じにしてください(必ず、-pオプションを使用して複写してください)。
サンプルから複写した「リソースタイプ登録ファイル」を、各々のデータサービスで動作できるように修正する必要があります。
以下に修正を行う変数(パラメタ)を示します。
パラメタ | 内容 |
RESOURCE_TYPE | データサービスに登録するSystemwalker for Oracleのリソースタイプ名を指定します。リソースタイプ名は「MPORxx」の形式で指定してください(「MPOR」で始まり、xxの箇所には数値を指定してください)。 例 2つのデータサービスが存在するシステムでは、1つ目のデータサービス用のリソースタイプ登録ファイルには「RESOUECE_TYPE=”MPOR1”;」と設定し、2つ目のデータサービス用のリソース登録ファイルには「RESOURCE_TYPE=”MPOR2”;」と設定します。 |
RT_BASEDIR | RT_BASEDIRは相対パス(起動・停止メソッドのパスなど) を補完するためのディレクトリパスです。起動・停止メソッドは本リソースタイプ登録ファイルと同じディレクトリに格納されるため、本リソースタイプ登録ファイルが格納されているディレクトリを指定してください。 例 「/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1」配下にリソースタイプ登録ファイルおよび起動・停止メソッド等が配置されている場合、「RT_BASEDIR=/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1;」 と設定します。 |
注意
リソースタイプ登録ファイルの修正を行う際の注意事項
「RESOURCE_TYPE」および「RT_BASEDIR」パラメタの定義行は、必ずセミコロン(;)で完結させる必要があります。
以下にリソースタイプ登録ファイルの修正例を示します。
修正例は、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表7-1:データサービス1に登録されているリソース情報(Oracle)]および[表7-2:データサービス2に登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
データサービス1に対するリソースタイプ登録ファイルの修正
今回の環境設定手順例では以下のファイルを修正します。
/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1/sfosc30_multi_rsc
: ## User customize block ========================================================= ## RESOUECE_TYPE NAME : example MPOR1, MPOR2, MPOR3,.... ## RT_BASEDIR : /opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1, svc2, .... RESOURCE_TYPE = "MPOR1"; RT_BASEDIR=/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1; ## User customize block end ===================================================== : |
データサービス2に対するリソースタイプ登録ファイルの修正
今回の環境設定手順例では以下のファイルを修正します。
/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc2/sfosc30_multi_rsc
: ## User customize block ========================================================= ## RESOUECE_TYPE NAME : example MPOR1, MPOR2, MPOR3,.... ## RT_BASEDIR : /opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1, svc2, .... RESOURCE_TYPE = "MPOR2"; RT_BASEDIR=/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc2; ## User customize block end ====================================================== : |
サンプルから複写した「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」を、各々のデータサービスで管理されているOracleインスタンスに合わせて修正する必要があります。
作成した各々の「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」内の以下に示す変数を、監視対象とするOracleインスタンスに合わせて修正してください。
以下に修正を行う変数(パラメタ)を示します。
パラメタ | 内容 | 備考 |
TARGET_ORASID_X | 監視対象とするOracleインスタンスのORACLE_SID名を指定してください。監視対象とするOracleインスタンスは、Systemwalker for Oracleのクラスタリソースを登録するデータサービスで制御されるようにクラスタシステムに登録されている必要があります。 TARGET_ORASID_Xパラメタの「X」は監視対象となるOracleインスタンス数に合わせて、1より始まる数字を指定します。 | |
TARGET_CNT | 監視対象とするOracleインスタンス数を指定してください。 上記のTARGET_ORASID_Xのパラメタの数を指定する必要があります。 例 TARGET_ORASID_1からTARTGET_ORASID_2まで指定されている場合は「2」を指定します。 | |
MS_TIME | 本状態遷移プロシジャ内でSystemwalker for Oracleの監視デーモンの起動および停止の制御処理を実施するまでの待ち時間を指定してください。 MS_TIME値はデータサービスの数に応じて、2以上の値を指定してください。 | 参照 補足事項1 |
[補足事項1:MS_TIMEパラメタについて]
複数のデータサービスにSystemwalker for Oracleの起動・停止メソッドを定義して運用する場合、クラスタシステムより複数のデータサービスに対して、同時にリソースの状態遷移指示(起動・停止)が発行される場合があります。
同時に複数のデータサービスに対して状態遷移指示が発行された場合、まれにSystemwalker for Oracleの起動・停止メソッドで実行されるSystemwalker for Oracleの監視デーモンに対する制御処理が正常に完了しない場合があります。
Systemwalker for Oracleの監視デーモンの制御処理を確実に実施されるようにするためには、制御処理の実行タイミングを調整する必要があります。制御処理の実行タイミングを調整は、MS_TIMEパラメタで指定します。
MS_TIME値はデータサービスに登録する「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」で一意な値を設定する必要があります。
なお、1つのデータサービスに登録する「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」内の定義では、同一の値を設定する必要があります。
例
3つのSystemwalker for Oracleのクラスタリソースをクラスタシステムに登録して運用する場合
1つ目のデータサービスに登録するSystemwalker for Oracleの起動・停止メソッドでは MS_TIME=2 を設定する。
2つ目のデータサービスに登録するSystemwalker for Oracleの起動・停止メソッドでは MS_TIME=3 を設定する。
3つ目のデータサービスに登録するSystemwalker for Oracleの起動・停止メソッドでは MS_TIME=4 を設定する。
以下に「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」の修正例を示します。
以下の例は、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表7-1:データサービス1に登録されているリソース情報(Oracle)]および[表7-2:データサービス2に登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
データサービス1に対する「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」の修正
今回の環境設定手順例では以下のファイルを修正します。
なお、「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」は同一の修正内容とする必要があります。
/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1/sfostart_multi_mtd
/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1/sfostop_multi_mtd
#!/bin/sh
:
# = User customize block ===================================================
# TARGET_ORASID_X : set ORACLE SID of monitoring oracle
# TARGET_CNT : set ORACLE instance count
# MS_TIME : for Oracle daemon control wait time (second)
# ==========================================================================
TARGET_ORASID_1=”ora10_ins1”
TARGET_ORASID_2=”ora10_ins2”
TARGET_CNT=2
MS_TIME=2
|
データサービス2に対する「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」の修正
今回の環境設定手順例では以下のファイルを修正します。
なお、「起動メソッドファイル」および「停止メソッドファイル」は同一の修正内容とする必要があります。
/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc2/sfostart_multi_mtd
/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc2/sfostop_multi_mtd
#!/bin/sh
:
# = User customize block ===================================================
# TARGET_ORASID_X : set ORACLE SID of monitoring oracle
# TARGET_CNT : set ORACLE instance count
# MS_TIME : for Oracle daemon control wait time (second)
# ==========================================================================
TARGET_ORASID_1=”ora10_ins3”
TARGET_ORASID_2=”ora10_ins4”
TARGET_CNT=2
MS_TIME=3
|
作成および修正したクラスタリソースファイル群を、作成したクラスタノードと対となる他のクラスタノードにファイル転送等を使用して複写してください。
複写する際は、複写するクラスタリソースファイル群が格納されているディレクトリ名、リソースファイル名およびファイルのアクセス権限は、複写元のクラスタノードと同じになるように複写を行ってください。
例えば、複写元のクラスタリソースファイルが格納されているディレクトリパスが「/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1」の場合は、複写先でも「/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1」配下となるように配置してください。
また、ファイルのアクセス権限およびオーナー情報は、UNIXのlsコマンドで確認後、変更が必要であればchmodコマンドおよびchownコマンドで変更を行ってください。
データサービスへSystemwalker for Oracleのクラスタリソースを登録します。
以下を実行してください。
データサービスの登録は構成されているノードのいずれか1ノードで実行してください。
# /opt/FJSVmpor/bin/mpor_setrc_sun3.sh <リソースグループ名> <Systemwalker for Oracleのリソース名> <Systemwalker for Oracleのリソースタイプ> <Systemwalker for Oracleのリソースタイプ登録ファイルパス> <ENTER> |
[パラメタ説明]
リソースグループ名
監視対象のOracleインスタンスのデータサービスが登録されており、かつ、Systemwalker for Oracleのリソースを登録するリソースグループ名を指定します。
リソースグループ名はOracle Solaris Clusterのscstatコマンドで確認可能です。
Systemwalker for Oracleのリソース名
リソースグループに登録するSystemwalker for Oracleのリソース名を指定します。
リソース名は任意の名前を指定することが可能です。なお、クラスタシステムで指定可能な文字に制限がありますので、詳細はOracle Solaris Clusterのマニュアルを参照してください。
Systemwalker for Oracleのリソースタイプ
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースのリソースタイプ名を指定します。
リソースタイプ名は“3.2.2.3 リソースタイプ登録ファイルの修正[Systemwalker for Oracleのクラスタリソースファイルの作成を行ったノードでの操作]”の操作で設定した、RESOURCE_TYPEパラメタの値を指定します。
Systemwalker for Oracleのリソースタイプ登録ファイルパス
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースのリソースタイプ登録ファイルをフルパスで指定します。
以下にデータサービスの登録例を示します。
以下の例では、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表7-1:データサービス1に登録されているリソース情報(Oracle)]および[表7-2:データサービス2に登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
また、クラスタシステムに登録するSystemwalker for Oracleのリソース情報は、[表8-1:データサービス1に登録するリソース情報1(Systemwalker for Oracle)]および[表8-2:データサービス2に登録するリソース情報2(Systemwalker for Oracle)]の内容を設定してください。
データサービス1に対するクラスタリソースの登録を行う場合
リソースグループ名:USER_APP1
Systemwalker for Oracleのリソース名:FJSVmpor_app1
Systemwalker for Oracleのリソースタイプ名:MPOR1
リソースタイプ登録ファイルパス:/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc1/sfosc30_multi_rsc
# /opt/FJSVmpor/bin/mpor_setrc_sun3.sh USER_APP1 FJSVmpor_app1 MPOR1 \ |
データサービス2に対するクラスタリソースの登録を行う場合
リソースグループ名:USER_APP2
Systemwalker for Oracleリソース名:FJSVmpor_app2
Systemwalker for Oracleリソースタイプ名:MPOR2
リソースタイプ登録ファイルパス:/opt/FJSVmpor/usr/custom/cluster/sun3/svc2/sfosc30_multi_rsc
# /opt/FJSVmpor/bin/mpor_setrc_sun3.sh USER_APP2 FJSVmpor_app2 MPOR2 \ |
監視対象とするOracleの構成(アラートログファイル格納先ディレクトリ、トレースファイル格納先ディレクトリ)によって、Systemwalker for Oracleの内部データを格納するために、共有ディスク上(ファイルシステム)に存在する領域(約300KB)が必要となります。共有ディスクを必要とするか否かについては、以下の項を参照してください。
Systemwalker for Oracleの内部データを格納するための共有ディスク上の領域は、すでに存在する共有ディスク上の領域を使用することも可能です。また、Systemwalker for Oracle専用に共有ディスク上の領域を作成・使用する場合、事前に共有ディスクに対する論理ボリューム作成操作等が必要となります。共有ディスクに関する設定方法については、Oracle Solaris Clusterのマニュアルを参照してください。
注意
共有ディスクの論理ボリュームについて
Systemwalker for Oracleが内部データを格納するために使用する共有ディスクの論理ボリュームは、Oracleパッケージのフェールオーバ等のノード切り替え時に追従し、切り替え先ノードで使用可能となるように制御される必要がありますので注意してください。
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースが登録されたことを確認します。
クラスタリソースの登録確認は、クラスタシステムのscstatコマンドを使用します。
“3.2.2.6 データサービスへの登録[1ノードでの操作]”の操作で指定したSystemwalker for Oracleのクラスタリソースが存在し、指定したリソースグループに登録されていることを確認してください。
以下にscstatコマンドの実行結果例を示します。
実行結果例は、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表7-1:データサービス1に登録されているリソース情報(Oracle)]および[表7-2:データサービス2に登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
なお、表示される情報は、クラスタシステムに登録されているデータサービスおよびクラスタリソースの設定によって表示内容は異なります。
# /usr/cluster/bin/scstat -g <ENTER> -- Resource Groups and Resources -- Group Name Resources ---------- --------- Resources: USER_APP1 jpsuncls1 ORACLE_APP1 OEACLE_APP2 FJSVmpor_app1 } (*1) Resources: USER_APP2 jpsuncls2 ORACLE_APP3 ORACLE_APP4 FJSVmpor_app2 } (*2) -- Resource Groups -- Group Name Node Name State ---------- --------- ----- Group: USER_APP1 mpor01 Online Group: USER_APP1 mpor02 Offline Group: USER_APP2 mpor01 Offline Group: USER_APP2 mpor02 Online -- Resources -- Resource Name Node Name State Status Message ------------- --------- ----- -------------- Resource: jpsuncls1 mpor01 Online Online - LogicalHostname online Resource: jpsuncls1 mpor02 Offline Offline Resource: FJSVmpor_app1 mpor01 Offline Offline } (*3) Resource: FJSVmpor_app1 mpor02 Offline Offline } (*3) Resource: ORACLE_APP1 mpor01 Online Online Resource: ORACLE_APP1 mpor02 Offline Offline Resource: ORACLE_APP2 mpor01 Online Online Resource: ORACLE_APP2 mpor02 Offline Offline Resource: jpsuncls2 mpor01 Offline Offline Resource: jpsuncls2 mpor02 Online Online - LogicalHostname online Resource: FJSVmpor_app2 mpor01 Offline Offline } (*4) Resource: FJSVmpor_app2 mpor02 Offline Offline } (*4) Resource: ORACLE_APP3 mpor01 Offline Offline Resource: ORACLE_APP3 mpor02 Online Online Resource: ORACLE_APP4 mpor01 Offline Offline Resource: ORACLE_APP4 mpor02 Online Online |
(*1)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor_app1」が 監視対象のOracleデータベースのクラスタリソース(本例では「ORACLE_APP1」/「ORACLE_APP2」)が登録されているリソースグループ(本例では「USER_APP1」)に登録されているか確認してください。
(*2)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor_app2」が 監視対象のOracleデータベースのクラスタリソース(本例では「ORACLE_APP3」/「ORACLE_APP4」)が登録されているリソースグループ(本例では「USER_APP2」)に登録されているか確認してください。
(*3)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor_app1」が クラスタシステムの各ノードに登録されているか確認してください。
(*4)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor_app2」が クラスタシステムの各ノードに登録されているか確認してください。
Systemwalker for Oracleのデータサービスを開始します。
データサービスの起動はクラスタシステムのscswitchコマンドを使用し、“3.2.2.6 データサービスへの登録[1ノードでの操作]”を行ったノードで行います。
# /usr/cluster/bin/scswitch -e -j <Systemwalker for Oracleリソース名> <ENTER> |
“3.2.2.6 データサービスへの登録[1ノードでの操作]”で指定したSystemwalker for Oracleのリソース名を指定します。
以下にscswitchコマンドの実行例を示します。
実行結果例は、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表7-1:データサービス1に登録されているリソース情報(Oracle)]および[表7-2:データサービス2に登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
# /usr/cluster/bin/scswitch -e -j FJSVmpor_app1 <ENTER> |
注意
データサービスを開始した際の注意事項
データサービスを起動した場合、SystemwalkerコンソールにSystemwalker for OracleのOracle環境情報が作成されていないことを示す、「FOR-00416 Oracle環境情報の設定をしてください。」または「FOR-05000 Oracle environment information has not been configured.」のメッセージが通知される場合がありますが、無視してください。
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースが起動されていることを確認します。
クラスタリソースの起動確認は、クラスタシステムのscstatコマンドを使用します。
以下にscstatコマンドの実行結果を示します。
以下の例では、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表7-1:データサービス1に登録されているリソース情報(Oracle)]および[表7-2:データサービス2に登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
なお、表示される情報は、クラスタシステムに登録されているデータサービスおよびクラスタリソースの設定によって表示内容は異なります。
# /usr/cluster/bin/scstat -g <ENTER> -- Resource Groups and Resources -- Group Name Resources ---------- --------- Resources: USER_APP1 jpsuncls1 ORACLE_APP1 ORACLE_APP2 FJSVmpor_app1 Resources: USER_APP2 jpsuncls2 ORACLE_APP3 ORACLE_APP4 FJSVmpor_app2 -- Resource Groups -- Group Name Node Name State ---------- --------- ----- Group: USER_APP1 mpor01 Online Group: USER_APP1 mpor02 Offline Group: USER_APP2 mpor01 Offline Group: USER_APP2 mpor02 Online -- Resources -- Resource Name Node Name State Status Message ------------- --------- ----- -------------- Resource: jpsuncls1 mpor01 Online Online - LogicalHostname online Resource: jpsuncls1 mpor02 Offline Offline Resource: FJSVmpor_app1 mpor01 Online Online } (*1) Resource: FJSVmpor_app1 mpor02 Offline Offline } (*1) Resource: ORACLE_APP1 mpor01 Online Online Resource: ORACLE_APP1 mpor02 Offline Offline Resource: ORACLE_APP2 mpor01 Online Online Resource: ORACLE_APP2 mpor02 Offline Offline Resource: jpsuncls2 mpor01 Offline Offline Resource: jpsuncls2 mpor02 Online Online - LogicalHostname online Resource: FJSVmpor_app2 mpor01 Offline Offline } (*2) Resource: FJSVmpor_app2 mpor02 Online Online } (*2) Resource: ORACLE_APP3 mpor01 Offline Offline Resource: ORACLE_APP3 mpor02 Online Online Resource: ORACLE_APP4 mpor01 Offline Offline Resource: ORACLE_APP4 mpor02 Online Online |
(*1)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor_app1」がノード「mpor01」ではOnline状態であり、ノード「mpor02」ではOffline状態であることを確認します。
(*2)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor_app2」がノード「mpor01」ではOffline状態であり、ノード「mpor02」ではOnline状態であることを確認します。
以下の手順でクラスタリソース情報の設定を実行してください。
クラスタリソース情報の設定は、全ノードで行います。
クラスタシステムリソース情報の確認
Systemwalker for Oracleのリソースが登録されているデータサービスの情報を確認します。データサービスの情報確認は、クラスタシステムのscstatコマンドで行います。
scstatコマンドの実行結果については、“3.2.2.10 クラスタリソースの起動確認[「データサービスの開始」を行ったノードでの操作]”を参照してください。
“3.2.2.10 クラスタリソースの起動確認[「データサービスの開始」を行ったノードでの操作]”の結果からは、リソースグループ名が「USER_APP1」、Systemwalker for Oracleのクラスタリソース名が「FJSVmpor_app1」であること、また、リソースグループ名が「USER_APP2」、Systemwalker for Oracleのクラスタリソース名が 「FJSVmpor_app2」であることが確認できます。
クラスタリソース定義ファイルの生成
クラスタシステムに登録されたSystemwalker for Oracleのクラスタリソースの情報を定義する外部ファイルを「クラスタリソース定義ファイル」とよびます。
クラスタリソース定義ファイルは、業務サーバ上でサンプルファイルを複写してクラスタリソース定義ファイルを作成してください。
クラスタリソース定義ファイルは、以下のコマンドで複写して作成します。
コマンドは、スーパーユーザで実行する必要があります。
# cp -p /opt/FJSVmpor/sample/cluster/swfo-cl.env \ |
注意
クラスタリソース定義ファイルを作成する際の注意事項
製品のインストールを行ってもクラスタリソース定義ファイルは存在しません。
必ずサンプルファイルを複写してクラスタリソース定義ファイルを作成してください。
クラスタリソース定義ファイルのサンプルファイル(/opt/FJSVmpor/sample/cluster/swfo-cl.env)は、削除しないでください。
クラスタリソース定義ファイルの属性、権限、およびオーナー情報は、サンプルファイルと同じにしてください(必ず、-pオプションで複写してください)。
クラスタリソース定義ファイルの修正
クラスタリソース定義ファイルには、Systemwalker for Oracleのクラスタリソースが登録されている「リソースグループ名」、Systemwalker for Oracleの「リソース名」、およびSystemwalker for Oracleが監視対象とする「Oracle SID名」の情報を設定します。
注意
クラスタリソース定義ファイルを修正する際の注意事項
設定する各項目は必ずコロン(:)で区切って設定してください。
クラスタリソース定義ファイルの文字コードはASCIIコードで指定します。
行の最後には必ず改行を設定してください。
セミコロン(;)から始まる行はコメント行となります。
行の途中からコメントを記入することはできません。
空白行は挿入可能です。
各定義は以下の形式で設定します。
USER_APP_NAME:FOR_ORACLE_RESOURCE_NAME:ORACLE_SID <改行> |
以下に設定項目の詳細を示します。
項目 | 説明 |
USER_APP_NAME | Systemwalker for Oracleのリソースが登録されているリソースグループ名を指定します。“3.2.2.6 データサービスへの登録[1ノードでの操作]”で追加したリソースグループ名を指定してください。 |
FOR_ORACLE_RESOURCE_NAME | 上記のリソースグループに登録したSystemwalker for Oracleのリソース名を指定します。 「1.クラスタシステムリソース情報の確認」の操作で確認したSystemwalker for Oracleのクラスタリソース名を指定してください。 |
ORACLE_SID | Systemwalker for Oracleで監視するOracleインスタンスのORACLE_SIDを指定してください。 |
以下に、クラスタリソース情報ファイルの設定例を示します。
以下の例では、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表7-1:データサービス1に登録されているリソース情報(Oracle)]および[表7-2:データサービス2に登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
また、クラスタシステムに登録するSystemwalker for Oracleのリソース情報は、[表8-1:データサービス1に登録するリソース情報1(Systemwalker for Oracle)]および[表8-2:データサービス2に登録するリソース情報2(Systemwalker for Oracle)]の内容を設定してください。
USER_APP1:FJSVmpor_app1:ora10_ins1<改行> |
クラスタリソース定義ファイルの確認
作成および修正したクラスタリソース定義ファイルの内容を以下のコマンドを実行して確認します。
なお、クラスタリソース定義ファイルの確認を実施する場合、両ノードでデータサービスが起動されている必要があります。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporclst_check <ENTER> |
各々のノードで確認コマンドを実行した結果の例を以下に示します。
注意
クラスタリソース定義ファイル確認時の注意
実行結果の表示内容は、クラスタシステムのデータサービスの状態によって異なります。
本コマンドはリソース定義行内に指定されたOracle SIDが実際に存在するか否かの確認までは行いません。本コマンドの実行結果の[Oracle SID]のフィールドに表示された内容で確認を行ってください。
例
<例1>ノードAでリソースグループ (USER_APP1) がOnline状態であり、リソースグループ (USER_APP2) がOffline状態である場合
以下は、ノードAでリソースグループ (USER_APP1) がOnline状態であり、リソースグループ (USER_APP2) がOffline状態である場合を示しています。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporclst_check <ENTER> ============================================================= Determine cluster system status ============================================================= [ Cluster Service name : USER_APP1 ] ← リソースグループ名 |
例
<例2>ノードBでリソースグループ (USER_APP1) がOffline状態であり、リソースグループ (USER_APP2) がOnline状態である場合
以下は、ノードBではリソースグループ (USER_APP1) がOffline状態であり、リソースグループ (USER_APP2) がOnline状態である場合を示しています。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporclst_check <ENTER> ============================================================= Determine cluster system status ============================================================= [ Cluster Service name : USER_APP1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor_app1 ] [ Oracle SID : ora10_ins1 ] Cluster system is currently Offline. (0) ------------------------------------------------------------ [ Cluster Service name : USER_APP1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor_app1 ] [ Oracle SID : ora10_ins2 ] Cluster system is currently Offline. (0) ------------------------------------------------------------ [ Cluster Service name : USER_APP2 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor_app2 ] [ Oracle SID : ora10_ins3 ] Cluster system is currently Online. (1) ------------------------------------------------------------ [ Cluster Service name : USER_APP2 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor_app2 ] [ Oracle SID : ora10_ins4 ] Cluster system is currently Online. (1) ------------------------------------------------------------ |
注意
クラスタリソース定義ファイルの設定に誤りがある場合
クラスタリソース定義ファイルの設定に誤りがある場合、指定された情報に誤りがある旨のメッセージが通知されますので、通知されたメッセージを確認後、再度クラスタリソース定義ファイルを修正してください。
以下に例を示します。
リソースグループ名またはSystemwalker for Oracleのリソース名の指定に誤りがある場合
: [ Cluster Service name : Application1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor_app1 ] [ Oracle SID : ora10_ins1 ] The specified resource ‘Application1’ does not exist. ← リソースグループ「Application1」が存在しない ------------------------------------------------------------ : [ Cluster Service name : USER_APP1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor_APP1 ] [ Oracle SID : ora10_ins2 ] The specified resource ‘FJSVmpor_APP1’ does not exist. ← リソース「FJSVmpor_APP1」が存在しない |
クラスタリソース定義ファイルが存在しない、またはサイズがゼロである場合
============================================================= Determine cluster system status ============================================================= Cannot find the cluster resource file 'swfo-cl.env'. |
クラスタリソース定義ファイル内に有効な定義情報が存在しない場合
(リソース定義行が全てコメントアウトされている場合)
============================================================= Determine cluster system status ============================================================= Cluster resource is not defined. Check the cluster resource file 'swfo-cl.env'. |
注意
クラスタ環境設定コマンドの実行(設定)が未実施の場合
“3.2.2.1 クラスタ環境設定コマンドの実行(設定)[全ノードでの操作]”が未実施の場合、以下に示すメッセージが通知されます。“3.2.2.1 クラスタ環境設定コマンドの実行(設定)[全ノードでの操作]”を実施してください。その他の手順については再度実施する必要はありません。
============================================================= Determine cluster system status ============================================================= This host does not have clustering configured for Systemwalker for Oracle. |