手動操作によるサーバ切替え・切戻しおよび自動リカバリが正常に動作するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
予備サーバの条件
予備サーバとして使用するサーバは、以下の条件が運用サーバと同じである必要があります。
これらの条件を満たしていない場合、予備サーバに設定できない、サーバの切替えの失敗や切替え後のサーバが正常に動作できないなどの影響があります。
サーバのモデル
サーバのハードウェア構成
オプションカードと拡張ボードの以下の設定が同じであること。
搭載位置
ローカルディスクの個数、サイズ
RAID設定
上記以外(CPU数、CPUクロック、メモリ容量など)については予備サーバの条件ではありませんが、業務で使用するOSとアプリケーションが動作できる構成である必要があります。
BIOSの設定
「導入ガイド VE」の「4.1.2 サーバ環境の設定」の「管理対象サーバのBIOS設定」に従って同じBIOS設定がされていること。
OBP設定
SPARC Enterpriseの場合、「導入ガイド VE」の「4.1.2 サーバ環境の設定」の「OBP(Open Boot Prom)の設定(SPARC Enterprise)」に従って、同じターゲットのディスクからSANブートで自動起動するOBP設定がされていること。
ストレージアフィニティ切替え方式は、サーバ切替え時にファイバーチャネルスイッチ・ストレージ装置に対してだけ設定変更を行うため、サーバ切替え時に変更を行わない予備サーバ、およびHBAのOBP設定を事前に行う必要があります。
LAN、SANの接続
同じ冗長化方式、冗長パス数で、同一のネットワーク装置やストレージ装置にアクセスできること。なお、カスケード接続されたLANスイッチやファイバーチャネルスイッチは、1台の装置とみなします。
ファイアーウォールによる隔離状況
運用サーバと予備サーバの間にファイアーウォールがないこと。
サブネット
ブレードサーバ以外の場合、運用サーバと予備サーバが同一サブネットに属していること。
なお、物理OSとVMゲスト(サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能)で予備サーバを共有している場合、予備サーバもI/O仮想を利用したSANブート構成である必要があります。
詳細は、「8.2 構成」の「図8.3 物理OSとVMゲスト(サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能)で予備サーバを共有する構成」を参照してください。
サーバOSが動作しているサーバを予備サーバに使用する場合、運用サーバ、予備サーバ共にI/O仮想を利用した構成である必要があります。
詳細は、「8.2 構成」の「図8.4 サーバOSが動作しているサーバを予備サーバに使用する構成」を参照してください。
また、バックアップ・リストア方式で、予備サーバに2台以上のローカルディスクが接続されている場合、2台目以降のローカルディスクのパーティション構成が異なっていると、起動時に警告が表示されることや、OSが起動できなくなり切替えが失敗することなどがあります。設定が完了したあとに、切替え・切戻し操作を行って、動作を確認してください。
正しく動作しない場合、2台目以降のローカルディスクのパーティションを事前に設定しておくか、OSが起動する際に2台目以降のローカルディスクに依存しないように、自動起動するサービスの設定や、Windowsのドライブの割当てなどを変更してください。
ブレードサーバで、運用サーバと予備サーバが同一サブネットに属していない場合、予備サーバに切り替えたとき、LANスイッチの内部ポートのVLAN IDまたはポートグループの設定が自動的に変更される必要があります。
設定方法については、「8.6 サーバ切替えの設定」を参照してください。
サーバ切替えの条件
サーバ切替えは、以下の条件を満たしている場合に行えます。
条件を満たしていない場合、自動リカバリによる切替えも行われません。
サーバが切り替わった状態ではない(運用サーバが稼動中である)
予備サーバの状態が"normal"、"warning"、"stop"のどれかである。VMホストを予備サーバに設定した場合、"normal"、"warning"のどちらかである
複数の運用サーバで予備サーバを共有している場合、ほかの運用サーバが、その予備サーバに切り替わっていない
ローカルブート環境のサーバの場合、システムイメージがバックアップされている
サーバの切戻しの条件
サーバの切戻しは、以下の条件を満たしている場合に行えます。
サーバが切り替わった状態である
運用サーバの状態が"stop"である
ローカルブート環境のサーバの場合、システムイメージがバックアップされている