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ServerView Resource Orchestrator Virtual Edition V3.0.0 操作ガイド

8.1 概要

サーバが故障した場合や保守のために停止させる場合に、事前に予備サーバを指定しておくことで、サーバを切り替えて起動する機能です。
また、サーバ異常検出時に自動的に予備サーバに切り替える自動リカバリも行えます。
予備サーバへの切替え方式には以下の4つがあり、どの方式を使用するかは、サーバ切替えを設定する時点で、そのサーバに対してHBA address renameの設定、またはVIOM上でサーバプロファイルが設定されているかに応じて決まります。
ただし、ハードウェア環境によって、利用できる方式は異なります。
詳細は、「導入ガイド VE」の「1.5 ハードウェア環境」の「注意」を参照してください。

HBA address rename方式とVIOMサーバプロファイル切替え方式を合わせて、I/O仮想化方式とも表現します。
PRIMERGY BXシリーズのサーバでは、バックアップ・リストア方式、HBA address rename方式、VIOMサーバプロファイル切替え方式の場合、サーバ切替え時にネットワークの設定(LANスイッチの内部ポートのVLAN IDまたはポートグループ)を予備サーバに引き継げます。
VIOMサーバプロファイル切替え方式や、バックアップ・リストア方式の場合、サーバに対してVIOMのサーバプロファイルで仮想MACアドレス、ブート設定およびネットワーク設定が設定されているときは、これらの設定も予備サーバに引き継ぎます。これにより、MACアドレスを意識するソフトウェアやネットワーク機器の設定変更は必要ありません。


切り替えられた状態のサーバに対して、再度同じサーバ切替え方式によって、動作中の予備サーバを停止させて元の運用サーバを起動する操作を"切戻し"と呼びます。また、切戻しを行わず、起動した予備サーバをそのまま運用サーバに変更する操作を"継続"と呼びます。

注意

  • 管理LAN上でServerView Deployment Managerを使用する場合、バックアップ・リストア方式とHBA address rename方式は無効です。詳細は、「導入ガイド VE」の「付録F ServerView Deployment Managerとの共存」を参照してください。

  • 自動リカバリによるサーバ切替えは、ハードウェア故障を検出した場合に動作します。ソフトウェアの異常によるOS停止や、OSの自動再起動では動作しません。
    詳細は、「8.4 自動リカバリの発生条件」を参照してください。
    また、自動リカバリは、ハードウェア故障を契機に動作するため、OSの異常を調査するメモリダンプを採取することよりも、サーバを強制停止して高速に切り替えることを優先します。
    そのため、サーバ切替えでは、OS異常時のメモリダンプ採取が設定されていても、メモリダンプは採取されません。

  • 予備サーバへの切替え方式は、以下のどれか1つを利用できます。

    • バックアップ・リストア方式

    • HBA address rename方式

    • VIOMサーバプロファイル切替え方式

    • ストレージアフィニティ切替え方式

  • HBA address renameによる切替えを利用する場合、HBA address renameの設定が完了したことを確認してから、サーバ切替えの設定を行ってください。

  • Hyper-VのVMホストについてサーバ切替えを利用する場合、物理NICを2つ以上用意してください。
    VMホストの管理LAN用などの、VMホストが外部のサーバと通信するためのネットワークは、物理サーバ専用にし、仮想ネットワークを構成しないでください。
    また、外部仮想ネットワーク環境を構成したネットワーク上では、VMホスト用の仮想ネットワークをすべて無効にしてください。詳細は、「導入ガイド VE」の「E.2 利用する製品別の設定」を参照してください。

  • VMゲストに対しては、個別に予備サーバを設定できません。VMゲストをSANまたはNAS上の共有ディスクに配置したうえで、VMホストに対して予備サーバを設定するか、サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能を利用してください。
    サーバ仮想化ソフトウェアごとの高可用性機能については、「導入ガイド VE」の「E.3 利用する製品別の機能」を参照してください。
    なお、本製品による切替えとサーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能は併用できます。
    ただし、サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能利用時は、構成するVMホストに本製品による予備サーバを含まないでください。

    【VMware】
    サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能(VMware HA)利用時に、本製品のサーバ切替えまたは切戻しを行った場合、高可用性機能の再構成を行ってください。

  • 運用サーバと予備サーバが別のシャーシに存在し、それぞれのサーバに接続されたLANスイッチブレードがIBPモードの場合にサーバ切替えを行うには、以下の条件を満たしている必要があります。

    • LANスイッチブレードがPRIMERGY BX900/BX400シリーズである

    • 両方のLANスイッチブレードに同じ名前のポートグループが設定されている

  • Intel PROSetでLANを冗長化している場合、Intel PROSetがMACアドレスを内部で保持しているため、サーバ切替え後、切替え元のMACアドレスが引き継がれます。このため、切替え元サーバ動作時にMACアドレスが競合し通信に影響を与えることがあります。サーバ切替え後、Intel PROSetの再設定を行ってください。

  • ブレードサーバ以外の場合、運用サーバと異なるサブネットに属する管理対象サーバは予備サーバに設定できません。

  • 管理LANのNICの設定が運用サーバと異なる管理対象サーバは、予備サーバに設定できません。

  • HBA address rename設定サービスに使用するNICの設定が運用サーバと予備サーバで異なっても、サーバ切替えは行えます。ただし、ネットワークの構成によっては、サーバ切替え後にHBA address rename設定サービスが動作しない場合があります。このため、HBA address rename設定サービスに使用するNICの設定は、運用サーバと予備サーバで同じにしてください。

また、物理OSが動作しているサーバと、VMホストとVMゲストが動作しているサーバがある環境で、両方がHBA address renameまたはVIOMを利用してSANブート構成にしている場合、以下の設定を組み合わせることで、物理OSとVMゲストで予備サーバを共有できます。
詳細は、「8.2 構成」の「図8.3 物理OSとVMゲスト(サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能)で予備サーバを共有する構成」を参照してください。

  1. VMゲストに対するサーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能(VMware HAなど)の予備サーバとして、VMホストを指定する。

  2. 物理OSのサーバ切替えの設定で、予備サーバとしてa.で指定したVMホストが動作している物理サーバを指定する。

この設定を行うことで、物理OSの動作しているサーバが故障した場合、予備サーバ上のVMホストが停止されたあとに切り替わります。VMゲストが動作している物理サーバが故障した場合、サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能により、VMゲストが予備サーバに切り替わります。どちらか一方の切替えを行った状態では、もう一方の切替えは行えません。

参考

  • バックアップ・リストアによるサーバの切替え時間は、約3分 + システムイメージのリストアにかかる時間です。システムイメージのリストアにかかる時間は、ディスク容量やネットワークの状態などに応じて異なりますが、目安として、ディスク容量が73GBの場合でおよそ30~40分(システムイメージの転送に10~20分、システム再起動(複数回)と設定変更などの処理に20分)かかります。

  • HBA address renameによるサーバの切替え時間は、約5分 + サーバの起動時間です。サーバの起動時間は、OSの起動時間と、OS起動時に自動起動するサービスの起動時間に応じて異なります。また、予備サーバでサーバOSが動作している場合、予備サーバの停止時間も加算されます。