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ServerView Resource Orchestrator Cloud Edition V3.0.0 導入ガイド

E.3.6 オーバーコミット

ここでは、L-Serverのオーバーコミットについて説明します。


オーバーコミット

本製品では、Hyper-VのCPUのオーバーコミットや動的メモリを利用できます。

Hyper-VのCPUのオーバーコミットとは、サーバに実装されているCPUのリソース量よりも、多くのリソースをゲストOSに対して仮想的に割り当てられる機能のことです。

Hyper-Vの動的メモリとは、サーバに実装されているメモリのリソース量以内で、ゲストOSに対して効率的にメモリを割り当てられる機能のことです。

注意

動的メモリやメモリ割当て優先度を使用する場合、VMホストに対して、Windows Server 2008 R2 Service Pack 1(SP1)以降を適用し、SCVMMをSystem Center Virtual Machine Manager 2008 R2 Service Pack 1(SP1)以降にアップグレードする必要があります。

上記のVMホストとSCVMMが存在しない場合、動的メモリやメモリ割当て優先度を有効にするL-Serverの作成と仕様変更は失敗します。

動的メモリを利用できるゲストOSは、Windowsの一部の製品に限定されます。詳細はMicrosoft社のWebサイトで確認してください。

URL: http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ff817651(WS.10).aspx (2012年2月時点)

本製品では、L-Serverを作成する際に、Hyper-VのCPUのオーバーコミットや動的メモリを利用するため以下の機能を提供します。

前提条件

管理サーバ

本製品とHyper-VとCPUのオーバーコミットおよび動的メモリとの連携機能を利用する場合、管理サーバのOSは、Windowsだけサポートします。


導入手順

以下の手順で、オーバーコミットを導入します。

  1. オーバーコミット用のVMプールの作成

    VMプールの作成方法については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「12.2 リソースプールの操作」を参照してください。

    注意

    オーバーコミットのVMプールには、オーバーコミットをサポートしているVMホスト(Hyper-V、VMware)だけを登録してください。Hyper-V、VMware以外のVMホストが登録されている場合、そのVMホストを、ほかのVMプールへ移動してください。

    オーバーコミットのVMプールに登録されているHyper-V、VMware以外のVMホストに対して、以下の操作はできません。

    • L-Serverの作成

    • 構築済み仮想マシンのL-Serverへの関連付け

  2. VMプールに対するオーバーコミット設定ファイルの作成

    手順1.で作成したVMプールに、オーバーコミットの設定、およびオーバーコミットで使用するVMプールに対する空き容量を計算し、予約値または上限値を指定します。

    VMプールに対するオーバーコミット設定ファイルを作成します。

    定義ファイルについては、「E.1.1 定義ファイル」を参照してください。

    ポイント

    オーバーコミットを使用するL-Serverと使用しないL-Serverを作成する場合、オーバーコミットを使用するVMプールと使用しないVMプールの両方を作成する必要があります。

  3. 定義ファイルを作成します。

    定義ファイル(VM固有情報定義ファイル)は、L-Serverテンプレートにオーバーコミットの値を設定せず、ユーザーグループごとに異なる設定を行う場合に作成してください。

    VM固有情報定義ファイルの作成については、「E.1.1 定義ファイル」を参照してください。

  4. L-Serverテンプレートのエクスポート

    L-Serverテンプレートのエクスポートについては、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「8.2.1 エクスポート」を参照してください。

  5. L-Serverテンプレートの編集

    L-Serverテンプレートにオーバーコミットを設定します。

    L-ServerテンプレートのXML定義については、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「2.2.2 仮想L-Serverテンプレート」に従って編集してください。

    • オーバーコミットに関する値をL-ServerテンプレートとVM固有情報定義ファイルで設定した場合

      L-Serverテンプレートで設定した値が優先されます。

    • VM固有情報定義ファイルを使用してオーバーコミットの各値を設定する場合

      L-Serverテンプレートには以下の要素だけを設定してください。

      • オーバーコミットの有効/無効

      以下の要素は、設定しないでください。

      • CPU予約性能

      • CPU割当て優先度

      • 初期メモリ量

      • メモリバッファー

      • メモリ割当て優先度

    参考

    L-Serverテンプレート名を編集せずにインポートすると、既存のL-Serverテンプレートの内容が上書きされます。エクスポートした際のL-Serverテンプレートと異なる名前に変更してインポートすると、L-Serverテンプレートが追加されます。

    L-Serverテンプレートを編集する際は、動的メモリ設定の有効/無効、初期メモリ量、メモリバッファーの組合せについて確認してください。

    • 動的メモリが有効に設定

      L-Server作成時に、初期メモリ量、メモリバッファーが有効になる

    • 動的メモリが無効に設定

      L-Server作成時に、初期メモリ量、メモリバッファーが無視される

  6. L-Serverテンプレートのインポート

    L-Serverテンプレートのインポートについては、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「8.2.3 インポート」を参照してください。

  7. L-Serverの作成

    手順5.で作成したL-Serverテンプレートを利用してL-Serverを作成します。
    詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「10.1 L-Serverテンプレートを利用したL-Serverの作成」を参照してください。

    L-Serverテンプレートを利用しない場合、コマンドを利用してL-Serverを作成します。「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第10章 L-Serverの作成」に従ってL-ServerのXMLを編集したあと、rcxadm lserver createコマンドを実行します。

    詳細は、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.3.1 rcxadm lserver」と「2.2.2 仮想L-Serverテンプレート」を参照してください。

  8. L-Serverに対するオーバーコミットの設定確認

    L-Serverに対するオーバーコミットの設定を確認するには、rcxadm lserver showコマンドを実行します。

    コマンドの出力結果に、"OverCommit: true"の行が含まれているか確認してください。

    また、動的メモリ設定、初期メモリ量、メモリバッファーの組合せも確認してください。

    rcxadm lserverコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.3.1 rcxadm lserver」を参照してください。

    注意

    L-Serverの起動に失敗した場合、L-Serverの設定により手順が異なります。以下の手順を実行してください。

    • L-Serverの設定で、"運用位置"が"起動毎に変更"の場合

      L-Serverの起動を再実行してください。リソースに空き領域があるVMホストがあれば、何回か起動を行うと空き領域のあるVMホストで起動できます。

    • L-Serverの設定で、"運用位置"が"固定"の場合

      VMホストを自動選択しないため、L-Serverの運用位置を変更して起動するか、同じVMホスト上のほかのL-Serverを移動または停止させたあとに起動してください。

      運用位置の変更については「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「10.3 個々のパラメーターを指定した仮想L-Serverの作成」、移動については「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「11.7 VMホスト間の移動(マイグレーション)」を参照してください。


L-Serverの仕様変更

ここでは、L-Serverの仕様変更について説明します。

L-Serverの仕様変更は、rcxadm lserver modifyコマンドを実行します。

詳細は、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.3.1 rcxadm lserver」を参照してください。

注意

L-Serverの仕様を変更する場合、VMホストの稼動している物理サーバのリソース(CPU数、CPU周波数、メモリ容量)がCPU予約性能、メモリ容量よりも小さい場合、L-Serverの仕様変更は失敗します。

また、CPU性能やメモリ容量が、CPU予約性能やメモリ予約容量の値よりも小さくなる場合も、L-Serverの仕様変更は失敗します。

リソースを割り当てたL-Serverの仕様変更を行う際は、L-Serverに設定済みの値が優先されるため、VM固有情報定義ファイルの情報は反映されません。そのようなL-Serverの仕様変更を行う際は、XMLに変更する値を記載し、コマンドを実行して変更してください。