複写元ボリュームのレプリケーション前処理では、他アプリケーションとの一時的なアクセス競合を回避するため、ロックに失敗した場合にロック処理をリトライします。複写元ボリュームとしてLogical Unit(ディスク)が指定された場合は、Logical Unit(ディスク)に含まれるパーティションに対してロック処理を行います。ロックに失敗した場合は、ロック処理をリトライします。標準のリトライ動作は以下のとおりです。
ロックに失敗した場合、1秒間待ったあと、ロック処理をリトライします。
20回(初回と合わせて計21回)リトライしてもロックできない場合、処理を中断してコマンドを異常終了させます。
リトライの回数と間隔は、「複写元ボリュームロック動作指定ファイル」で変更できます。
このファイルでは、複写元ボリュームの前処理に対して、以下の動作も指示できます。
ロック処理をリトライする前に、そのボリューム内のすべてのファイルハンドルを無効にする(強制ロック機能)。
ロック/ロック解除の代わりに、ファイルシステムバッファーをフラッシュする(-Xflushオプションと同等の機能)。
AdvancedCopy Manager 13.1以降では、複写元ボリュームロック動作指定ファイルで、レプリケーションの前後処理を実施しない指定も可能です。
ファイル名と格納場所
複写元ボリュームロック動作指定ファイルは、複写元ボリュームが存在するサーバ上に、以下の名前で作成してください。
クラスタ運用でない場合
<環境設定ディレクトリ>\etc\repl\data\SRCLOCK.INI |
クラスタ運用の場合
<共用ディスク>:\etc\opt\swstorage\etc\repl\data\SRCLOCK.INI |
ファイルの記述例と記述規約
ファイルの記述例は、以下のとおりです。
[g1d1p1] BufferFlushOnly=off LockForceMode=on LockRetryNumber=10 LockRetryInterval=5000 [g1d1p2] BufferFlushOnly=on [ANY] BufferFlushOnly=off LockForceMode=off LockRetryNumber=20 LockRetryInterval=2000 |
ファイルの記述規約は、以下のとおりです。
ロック動作を変更するボリュームのセクションを作成し、パラメーターを記述します。上記の例では、g1d1p1およびg1d1p2のセクションが作成されています。変更できるパラメーターは、「表C.5 SRCLOCK.INIファイルに指定できるパラメーター」の4つです。変更したいパラメーターだけを記述してください。記述のないパラメーターは、デフォルト値が使用されます。
デフォルトのロック動作は、「ANY」セクションを作成して、そのセクション内にパラメーターを記述することで変更できます。このファイルに記述されているボリューム以外のすべてのボリュームのロック動作を変更できます。上記の例では、g1d1p1およびg1d1p2以外のすべてのボリュームのロック動作が「ANY」セクションの値に従います。
パラメーター | 説明 |
---|---|
BufferFlushOnly | 複写元ボリュームをロックする代わりに、複写元ボリュームのファイルシステムバッファーをフラッシュすることを指定します。 on(デフォルト値): バッファーをフラッシュする(ロックしない) swsrpmakeコマンドに-Xflushオプションが指定され、かつ、BufferFlushOnly=offの場合は、-Xflushオプションが優先されます。 BufferFlushOnlyがoffに指定されていない場合は、ほかのパラメーター(LockForceMode、LockRetryNumber、LockRetryInterval)は、すべて無効となります。 本パラメーターをonにする場合、複写元ボリュームへのすべての書込み処理を事前に停止する必要があります。書込み処理を停止しない状態で複製を作成した場合、複写元ボリュームのデータ内容は保証されません。 NoPrePostがonの場合、本パラメーターは無効となります。 NoPrePostがonに指定されておらず、かつ、BufferFlushOnlyがoffに指定されていない場合、ほかのパラメーター(LockForceMode、LockRetryNumber、LockRetryInterval)は無効となります。 |
LockForceMode | ロック処理をリトライする前に、ボリュームのマウントを解除するかを指定します。 off(デフォルト値): マウントを解除しない ボリュームのマウントが解除されると、そのボリュームに対して開いているすべてのハンドルが無効となります。 ※マウント解除後にすぐにボリュームが使用中になる場合は、ロックできないことがあります。 BufferFlushOnly=onまたはNoPrePost=onの場合、本パラメーターは無効となります。 |
LockRetryNumber | ロック処理のリトライ回数を指定します。指定できる値は、1~10000です。デフォルト値は20(回)です。 指定回数分リトライしても複写元ボリュームをロックできない場合は、処理を中断してコマンドを異常終了させます。 BufferFlushOnly=onまたはNoPrePost=onの場合、本パラメーターは無効となります。 |
LockRetryInterval | ロック処理のリトライの間隔(ミリ秒単位)を指定します。指定できる値は、1~600000(10分)です。デフォルト値は1000(1秒)です。 BufferFlushOnly=onまたはNoPrePost=onの場合、本パラメーターは無効となります。 |
NoPrePost | レプリケーションの前後処理を実施するかを指定します。 off(デフォルト値): 実施する NoPrePost=onの場合、ほかのパラメーター(BufferFlushOnly、LockForceMode、LockRetryNumber、LockRetryInterval)は無効となります。 本パラメーターは、AdvancedCopy Manager 13.1以降の場合に指定できます。 |