災対サイトにTSMバックアップ/リストア環境を復旧します。
災対サイトのテープサーバに接続されたETERNUS テープライブラリのコントローラー部、ドライブ部を認識させる必要があります。(/dev/rmt/*st、/dev/rmt/*lbファイル作成)
装置設定の詳細は、「5.7.1 ETERNUS テープライブラリのドライバ設定」を参考にしてください。
「18.7.2 TSM管理情報の準備」の1で復元したdevconfigファイルはTSMデータベースの復元処理で使用します。
そのため、災対サイトで使用するETERNUS テープライブラリの構成に対応した内容に編集する必要があります。
変更内容を以下に示します。
ライブラリ定義変更
DEFINE LIBRARYコマンドのライブラリタイプをSCSIからMANUALへ変更し、LIBTYPEオペランドより後のオペランドは削除します。
また、本コマンドのライブラリ名は変更しないでください。
DESTTYPE=LIBRARYが指定されているDEFINE PATHコマンドを削除します。
上記処置により、TSMデータベース復元処理ではライブラリ制御機能を使用しないようにします。
青字部分を変更、赤字部分を削除します。黒字部分は変更しないでください。
[編集前]
/* Device Configuration */ : DEFINE LIBRARY LT270-A LIBTYPE=SCSI WWN="200000E0000100C" SERIAL="0006L0" SHARED=NO AUTOLABEL=NO RESETDRIVE=NO : DEFINE PATH TSM_SERVER LT270-A SRCTYPE=SERVER DESTTYPE=LIBRARY DEVICE=/dev/rmt/11b : |
[編集後]
/* Device Configuration */
:
DEFINE LIBRARY LT270-A LIBTYPE=MANUAL
: |
ドライブ定義変更
当ファイルに定義されているDEFINE DRIVE、DEFINE PATHコマンドをドライブ装置1台分の定義に変更します。
用意したETERNUS テープライブラリが複数ドライブ装置搭載モデルの場合であっても、ここでの定義は1台分のドライブ定義としてください。
また、定義を変更するコマンドのライブラリ名、ドライブ名は変更しないでください。
DEFINE DRIVEコマンドのドライブ名パラメーターより後のオペランドは削除します。
DEFINE PATHコマンドのdeviceパラメーターは、「18.7.3 TSMバックアップ環境の復旧」での処置で認識させた災対サイトのテープサーバに接続されているドライブ装置のデバイスファイルを定義します。
青字部分を変更、赤字部分を削除します。黒字部分は変更しないでください。
[編集前]
/* Device Configuration */ : DEFINE DRIVE LT270-A DRV0 ELEMENT=500 ONLINE=Yes WWN="201000E0000E100C" SERIAL="1210021100" |
[編集後]
/* Device Configuration */ : DEFINE DRIVE LT270-A DRV0 DEFINE PATH TSM_SERVER DRV0 SRCTYPE=SERVER DESTTYPE=DRIVE LIBLARY=LT270-A DEVICE=<「TSMバックアップ環境の復旧」で認識させたデバイスファイル> : : |
ライブラリインベントリ情報を削除
当ファイルに定義されているライブラリインベントリ情報(格納ボリューム情報)を削除します。
赤字部分を削除します。黒字部分は変更しないでください。
[編集前]
/* Device Configuration */ : /* LIBRARYINVENTORY SCSI LT270-A LT0044 1100 101*/ |
[編集後]
/* Device Configuration */ : |
以下にdevconfigファイルの編集例を示します。
[例]
運用サイトで使用していたETERNUS テープライブラリ
ライブラリ装置機種 : ETERNUS LT270
ドライブ機種 : LTO G3
ドライブ数 : 2台
災対サイトに接続されたETERNUS テープライブラリ
ライブラリ装置機種 : ETERNUS LT60
ドライブ機種 : LTO G4
ドライブ数 : 2台
青字部分を変更、赤字部分を削除します。黒字部分は変更しないでください。
[編集前]
/* Device Configuration */ DEFINE DEVCLASS DRIVECLASS1 DEVTYPE=LTO FORMAT=DRIVE MOUNTLIMIT=DRIVES MOUNTRETENTION=60 LIBRARY=LT270-A SET SERVERNAME TSM_SERVER DEFINE LIBRARY LT270-A LIBTYPE=SCSI WWN="200000E0000E100C" SERIAL="0006L0" SHARED=NO AUTOLABEL=NO RESETDRIVE=NO DEFINE DRIVE LT270-A DRV0 ELEMENT=500 ONLINE=Yes WWN="201000E0000E100C" SERIAL="1210021100" |
[編集後]
/* Device Configuration */ DEFINE DEVCLASS DRIVECLASS1 DEVTYPE=LTO FORMAT=DRIVE MOUNTLIMIT=DRIVES MOUNTRETENTION=60 LIBRARY=LT270-A SET SERVERNAME TSM_SERVER DEFINE LIBRARY LT270-A LIBTYPE=MANUAL DEFINE DRIVE LT270-A DRV0 DEFINE PATH TSM_SERVER DRV0 SRCTYPE=SERVER DESTTYPE=DRIVE LIBRARY=LT270-A DEVICE=/dev/rmt/5mt |
テープへバックアップされたTSMデータベースのデータを「5.7.4 データベースとログファイルのフォーマット」で用意したTSMデータベース、ログファイルへリストアするための手順を以下に説明します。
なお、TSMデータベースのリストア処理は、最新のTSMデータベースバックアップテープから実施してください。
ポイント
本手順でのパネル操作はETERNUS テープライブラリ装置によって異なるため、装置添付のマニュアルを参照してください。
TSMデータベースバックアップテープをドライブ装置に挿入
「18.5.2 ACMバックアップ運用後の作業」の2で採取した最新のTSMデータベースバックアップテープを、ETERNUS テープライブラリのパネル操作により投入口(CAS)から「18.7.3.1 devconfigファイルの編集」でdevconfigファイルに定義したドライブ装置に挿入してください。
TSMデータベースのリストア
上記、1.でドライブ装置に挿入したテープからTSMデータベースデータをリストアします。
# cd /opt/tivoli/tsm/server/bin # ./dsmserv restore db devclass=<デバイス・クラス名> volumenames=<ボリューム名> commit=yes |
デバイス・クラス名
「18.7.3.1 devconfigファイルの編集」で編集したdevconfigファイル内に定義されている「DEFINE DEVCLASS」コマンドに指定されており、使用するETERNUS テープライブラリに対応したデバイス・クラスを指定します。
ボリューム名
上記、1.の処理でドライブ装置に挿入したテープのボリューム名を指定します。
なお、「dsmserv restore db」コマンドの詳細は『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』の「IBM Tivoli Storage Manager ユーティリティー」の「DSMSERV RESTORE DB(データベースのリストア)」の説明を参考にしてください。
[例]
デバイス・クラス名 : DRIVERCLASS1
ボリューム名 : LTO005
# cd /opt/tivoli/tsm/server/bin # ./dsmserv restore db devclass=DRIVECLASS1 volumenames=LTO005 commit=yes |
ドライブ装置に挿入されたテープの取出し
上記、1.でドライブ装置に挿入したテープをETERNUS テープライブラリのパネル操作により排出口(CAS)に移動し取り出します。
TSMサーバを起動して、以下に記載するTSMの設定を行います。
TSMサーバデーモンの起動
「18.7.1.2 テープマネージャーのカスタマイズ」の手順7.の「デーモンの自動起動設定」で設定した、/etc/init.d/initTSMファイルを実行してTSMサーバデーモンを起動します。
# /etc/init.d/initTSM start |
TSM管理クライアント起動
テープライブラリ情報を更新するために、TSM管理クライアントを起動します。
# cd /opt/tivoli/tsm/client/ba/bin # ./dsmadmc IBM Tivoli Storage Manager コマンド行管理インターフェース - バージョン 5、リリース 5、レベル 3.0 (c) Copyright by IBM Corporation and other(s) 1990, 2010. All Rights Reserved. ユーザー ID の入力: admin パスワードの入力 : セッションの確立、サーバー:TAPESERVER1: Solaris SPARC サーバーのバージョン 5、リリース 5、レベル 5.0 サーバー日付/時刻 : 03/11/2011 10:56:13 最終アクセス : 03/11/2011 09:10:09 tsm: TAPESERVER1> |
「ユーザーIDの入力」にはTSMの管理者IDを入力しリターンキーを押します。
「パスワードの入力」にはTSMの管理者パスワードを入力しリターンキーを押します。
注意
以降で、“ TSM: TSM_SERVER >”プロンプトが表示されている場合は、TSM管理クライアントの起動後(dsmadmcコマンド実行後)に操作を行ってください。
また、TSM管理クライアントを停止する場合には、以下のコマンドを実行します。
TSM: TSM_SERVER > quit |
ライセンスの登録
TSMにライセンスの登録を行います。本手順は、最初のTSM管理クライアント起動後、1回だけ実施します。以下に手順を示します。
ライセンスを登録します。
テープサーバのライセンスにはtsmee.licだけを指定してください。
TSM: TSM_SERVER > register license file=tsmee.lic |
登録したライセンス情報を確認します。
TSM: TSM_SERVER > query license |
参照
ライセンスの登録に関する詳細は、『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者ガイド』の「サーバー操作の管理」を参照してください。
テープライブラリ情報の更新
TSMサーバ起動完了後、接続されているETERNUS テープライブラリの情報を定義します。
そのために、以下の手順に従い作業を実施してください。
なお、本処理はTSMサーバプロンプト上からコマンドを実行してください。
運用サイトのテープライブラリ情報の削除
運用サイトのテープライブラリ情報、ドライブ情報を削除します。
ドライブ情報の削除
ドライブ情報を削除します。
本処理を定義されているドライブ数分行います。
定義されているパス情報は、「QUERY PATH」コマンドで確認してください。
定義されているドライブ情報は、「QUERY DRIVE」コマンド結果で確認してください。
各コマンドの詳細は『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』のコマンドの説明を参照してください。
TSM: TSM_SERVER > delete path <TSMサーバ名> <ドライブ名> srctype=<ソース・タイプ> desttype=drive library=<ライブラリ名> TSM: TSM_SERVER > delete drive <ライブラリ名> <ドライブ名> |
TSMサーバ名
TSMサーバ名を指定します。
TSMサーバプロンプト上から、「QUERY STATUS」コマンドを実行し出力結果の「サーバ名」欄に表示された名前です。
「QUERY STATUS」コマンドの詳細は『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』の「QUERY STATUS」コマンドの説明を参照してください。
ドライブ名
削除するドライブ名を指定します。
ライブラリ名
削除するドライブが搭載されたライブラリの名前を指定します。
ソース・タイプ
NASバックアップ専用テープドライブの場合「datamover」を指定します。NASバックアップ専用テープドライブ以外は、「server」を指定します。ドライブのソース・タイプは、TSMサーバプロンプト上から、「QUERY PATH」コマンドを実行し出力結果の「Source Type」欄に表示された名前で確認できます。「QUERY PATH」コマンドの詳細は『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』の「QUERY PATH」コマンドの説明を参照してください。
[例]
運用サイトのテープライブラリ情報
TSMサーバ名 : TSM_SERVER
ライブラリ名 : LT270-A
ソース・タイプ : server
ドライブ名 : DRV0
ドライブ名 : DRV1
TSM: TSM_SERVER > delete path TSM_SERVER DRV0 srctype=server desttype=drive library=LT270-A TSM: TSM_SERVER > delete drive LT270-A DRV0 TSM: TSM_SERVER > delete path TSM_SERVER DRV1 srctype=server desttype=drive library=LT270-A TSM: TSM_SERVER > delete drive LT270-A DRV1 |
ライブラリ情報の削除
ライブラリ情報を削除します。
定義されているライブラリ情報は、「QUERY LIBRARY」コマンド結果で確認してください。
「QUERY LIBRARY」コマンドの詳細は『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』の「QUERY LIBRARY」コマンドの説明を参照してください。
TSM: TSM_SERVER > delete path <TSMサーバ名> <ライブラリ名> srctype=server desttype=library TSM: TSM_SERVER > delete library <ライブラリ名> |
TSMサーバ名
TSMサーバ名を指定します。
TSMサーバプロンプト上から、「QUERY STATUS」コマンドを実行し出力結果の「サーバ名」欄に表示された名前です。
「QUERY STATUS」コマンドの詳細は『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』の「QUERY STATUS」コマンドの説明を参照してください。
ライブラリ名
削除するライブラリの名前を指定します。
[例]
運用サイトのテープライブラリ情報
TSMサーバ名 : TSM_SERVER
ライブラリ名 : LT270-A
TSM: TSM_SERVER > delete path TSM_SERVER LT270-A srctype=server desttype=library TSM: TSM_SERVER > delete library LT270-A |
災対サイトに接続されたテープライブラリ情報の定義
災対サイトのテープサーバに接続したテープライブラリのライブラリ情報、ドライブ情報を定義します。
ライブラリ情報の定義
ライブラリ情報を定義します。
TSM: TSM_SERVER > define library <ライブラリ名> libtype=scsi TSM: TSM_SERVER > define path <TSMサーバ名> <ライブラリ名> srctype=server desttype=library device=<デバイスファイル名> |
TSMサーバ名
TSMサーバ名を指定します。
TSMサーバプロンプト上から、「QUERY STATUS」コマンドを実行し出力結果の「サーバ名」欄に表示された名前です。
「QUERY STATUS」コマンドの詳細は『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』の「QUERY STATUS」コマンドの説明を参照してください。
ライブラリ名
定義するライブラリ名を指定します。
デバイスファイル名
「18.7.3 TSMバックアップ環境の復旧」の処理で作成されたETERNUS テープライブラリのデバイスファイルです。
[例]
災対サイトのテープライブラリ情報
TSMサーバ名 : TSM_SERVER
ライブラリ名 : LT60-B
デバイスファイル名 : /dev/rmt/5lb
TSM: TSM_SERVER > define library LT60-B libtype=scsi TSM: TSM_SERVER > define path TSM_SERVER LT60-B srctype=server desttype=library device=/dev/rmt/5lb |
ドライブ情報の定義
ドライブ情報を定義します。
本処理を定義されているドライブ数分行います。
TSM: TSM_SERVER > define drive <ライブラリ名> <ドライブ名> TSM: TSM_SERVER > define path <TSMサーバ名> <ドライブ名> srctype=server desttype=drive library=<ライブラリ名> device=<デバイスファイル名> |
TSMサーバ名
TSMサーバ名を指定します。
TSMサーバプロンプト上から、「QUERY STATUS」コマンドを実行し出力結果の「サーバ名」欄に表示された名前です。
「QUERY STATUS」コマンドの詳細は『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』の「QUERY STATUS」コマンドの説明を参照してください。
ライブラリ名
定義するドライブのライブラリ名を指定します。
デバイスファイル名
「18.7.3 TSMバックアップ環境の復旧」の処理で作成されたドライブ装置のデバイスファイルです。
[例]
災対サイトのドライブ情報
TSMサーバ名 : TSM_SERVER
ライブラリ名 : LT60-B
ドライブ名 : DRVA
デバイスファイル名 : /dev/rmt/6st
ドライブ名 : DRVB
デバイスファイル名 : /dev/rmt/7st
TSM: TSM_SERVER > define drive LT60-B DRVA TSM: TSM_SERVER > define path TSM_SERVER DRVA srctype=server desttype=drive library=LT60-B device=/dev/rmt/6st TSM: TSM_SERVER > define drive LT60-B DRVB TSM: TSM_SERVER > define path TSM_SERVER DRVB srctype=server desttype=drive library=LT60-B device=/dev/rmt/7st |
参照
各コマンドのオプションは、運用環境により変わることがあります。各コマンドの詳細は、『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』を参照してください。
デバイス・クラスの更新
定義されていたデバイス・クラスは、運用サイトのテープライブラリ情報のままであるため、災対サイト用に新たに定義したETERNUS テープライブラリの情報に更新する必要があります。
「QUERY DEVCLASS F=D」コマンドの実行結果の「装置タイプ」欄に「LTO」と表示されているすべてのデバイス・クラスに対し本処理を実行してください。
「QUERY DEVCLASS」コマンドの詳細は、『Tivoli Storage Manager for Solaris 管理者解説書』の「QUERY DEVCLASS」コマンドの説明を参照してください。
なお、本処理はTSMサーバプロンプト上から実行してください。
TSM: TSM_SERVER > update devclass <デバイス・クラス名> library=<ライブラリ名> |
デバイス・クラス名
情報を変更するデバイス・クラス名を指定します。
ライブラリ名
災対サイトに定義したライブラリ名を指定します。
[例]
デバイス・クラス名 : DRIVECLASS1
災対サイトのライブラリ名 : LT60-B
TSM: TSM_SERVER > update devclass DRIVECLASS1 library=LT60-B |
TSMクライアントセッションの確立
TSMサーバ/クライアント間セッションが開始できる準備をします。
/opt/tivoli/tsm/client/ba/bin/dsm.sysファイルのnodenameオプションに指定されているTSMクライアントノードと、当該TSMクライアントノードに対応するパスワードを使用しTSMクライアントを起動し、停止します。
この処理は、当該TSMクライアントノードを使用したTSMサーバ/クライアント間セッションで使用するパスワードをTSMに記憶させるために実施します。
なお、本作業はTSMサーバデーモンが起動している状態で実施する必要があります。
# cd /opt/tivoli/tsm/client/ba/bin # ./dsmc IBM Tivoli Storage Manager コマンド行バックアップ/アーカイブ・クライアント・インターフェース クライアント・バージョン 5、リリース 5、レベル 3.0 クライアント日付/時刻: 04/05/2011 12:19:27 (c) Copyright by IBM Corporation and other(s) 1990, 2010. All Rights Reserved. ノード名: PW-230 セッションの確立、サーバー:PW-230: Solaris SPARC サーバーのバージョン 5、リリース 5、レベル 5.0 サーバー日付/時刻 : 04/05/2011 12:19:27 最終アクセス : 04/05/2011 12:19:27 tsm> quit |