ここでは、Linkexpress Replication optionのセットアップの方法について説明します。
セットアップの手順は、複写元システムと複写先システムで異なります。
セットアップの手順を以下に示します。
複写元システム | 複写先システム |
---|---|
1.インストール | 1.インストール (注) |
2.動作環境ファイルの作成 | |
3.トランザクションログデータベースの作成 |
注)複写先システムがSymfoware Parallel Serverの場合は、複写先システムのインストールは必要ありません。
Linkexpress Replication optionのインストールの方法については、Linkexpress Replication optionのソフトウェア説明書を参照してください。
Linkexpress Replication optionのOracle抽出レプリケーションを使用する場合には、複写元システムで以下の環境変数を設定してください。
環境変数名 | 指定内容 |
---|---|
/opt/FSUNlnkre/bin | |
/opt/FSUNlnkre/lib | |
Oracleシステム名(DB名) | |
以下が指定可能です。
| |
LANG | NLS環境に合わせます。
|
Oracleのインストールパス |
注)レプリケーションはOracleシステム単位(ORACLE_SID)に運用します。Oracleシステムを認識するために、環境変数“ORACLE_SID”を指定する必要があります。
参照
Oracleを運用するために必要な環境変数については、Oracleのソフトウェア説明書およびマニュアルを参照してください。ただし、64bit版Oracleをご使用になる場合は、環境変数LD_LIBRARY_PATHに設定するOracleのライブラリは、“$ORACLE_HOME/lib32”をご使用ください。(詳細は、Oracleのマニュアルを参照してください)
64bit版のOracle Database 11g Release 2を使用する場合、次の32bit版クライアントをインストールする必要があります。
Oracle Database 11g Release2 Client for Solaris Operation System(SPARC 32-bit)
32bit版クライアントのインストール後は、以下のシンボリックリンクを作成することで前述のLD_LIBRARY_PATHが有効となります。
$ORACLE_HOME配下で、シンボリックリンク名:"lib32"を作成します。実体は、32bit版クライアントのlibです。以下に、32bit版クライアントを /work へインストールした場合の例を示します。
ln -s /work/ora/app/oracle/product/11.2.0/client_1/lib $ORACLE_HOME/lib32
さらにLinkexpressを運用するための環境変数が必要です。Linkexpressの運用で必要な環境変数については、“Linkexpress 運用ガイド”を参照してください。
Linkexpress Replication optionのOracle抽出レプリケーションを使用する場合には、複写先システムでSymfoware/RDBの運用で必要な環境変数とLinkexpressを運用するための環境変数が必要です。Symfoware/RDBの運用で必要な環境変数については、“Symfoware Server セットアップガイド”を参照してください。また、Linkexpressの運用で必要な環境変数については、“Linkexpress 運用ガイド”を参照してください。
Linkexpress Replication optionの動作環境ファイルには、Linkexpress Replication optionの動作条件や、Linkexpress Replication optionが管理するファイルの配置先などを指定します。
Linkexpress Replication optionをインストールすると、動作環境ファイルの雛形が作成されます。
格納先ディレクトリ:/opt/FSUNlnkre/etc/
インストール直後の動作環境ファイルの内容は以下のとおりです。
# Config for Linkexpress Replication option(ORACLE抽出レプリケーション) CIRCULATING_TIME = 10 DEFMNGPATH = /home/rep/defmng WORKPATH = /home/rep/workpath ORACLE_VERSION = 1010
備考:「#」で始まる行はコメント行です。
動作環境ファイルは、上記の雛形を編集して作成します。なお、動作環境ファイルはOracleシステム名(ORACLE_SID)ごとに作成してください。作成するときのファイル名は、“ORACLE_SID.cfg(すべて半角文字で記述します)”です。
ここでは、動作環境ファイルに指定するオペランドについて説明します。
CIRCULATING_TIME = 差分ログ収集間隔
トランザクションログデータベースから差分ログを収集する間隔を指定します。本オペランドに指定された間隔でトランザクションログデータベースから差分ログの収集を行い、差分ログファイルに出力します。この間隔を差分ログ収集スケジュールと呼びます。なお、差分ログ収集スケジュールの開始、終了タイミングについては、“差分ログ収集スケジュール”を参照してください。
指定単位は分です。指定値は1から10080(1週間)までの符号なし整数が指定可能です。本オペランドは省略不可です。
本オペランドは、動作環境ファイルの雛形には10が指定されていますので、実際に運用に合った差分データ収集間隔に変更してください。
本指定値は、レプリケーション業務の業務スケジュールより小さい値を指定してください。
DEFMNGPATH (抽出定義管理ファイルの配置パス指定)
DEFMNGPATH = 抽出定義管理ファイルの格納ディレクトリパス名
抽出定義管理ファイルを管理するディレクトリパス名を指定します。
任意のパス名を214バイト以内の絶対パス名で指定します。ディレクトリパス名に空白を含むことはできません。本オペランドを省略することはできません。
指定するパス名には、すでに存在するディレクトリパスを指定してください。
指定したディレクトリパスは、Linkexpress Replication optionの起動以降で使用されます。
複数のOracleシステムで運用する場合は、システムごとに異なる配置ディレクトリパス名を指定してください。
WORKPATH = 一括差分複写用の作業域パス名
Oracleからの差分データ抽出用の作業域パス名を指定します。本領域は一括差分複写用の差分ログを取得するために使用します。
任意のパス名を170バイト以内の絶対パス名で指定します。パス名に空白を含むことはできません。本オペランドを省略することはできません。
指定するパス名には、すでに存在するパスを指定してください。
指定したパスは、Linkexpress Replication optionの起動以降で使用されます。
複数のOracleシステムで運用する場合は、システムごとに異なる作業域パス名を指定してください。
ORACLE_VERSION (Oracleのバージョンレベル)
ORACLE_VERSION = Oracleのバージョンレベル
複写元データベースであるOracleのバージョンレベルを指定します。
Oracleのバージョンレベルを“.”を省略して指定します。
901:Oracle 9.0.1を複写元データベースとする場合に指定します。
920:Oracle 9.2.0を複写元データベースとする場合に指定します。
1010:Oracle 10.1.0を複写元データベースとする場合に指定します。
1020:Oracle 10.2.0を複写元データベースとする場合に指定します。
1110:Oracle 11.1を複写元データベースとする場合に指定します。
1120:Oracle 11.2を複写元データベースとする場合に指定します。
本オペランドは省略できません。
REPCMD_NUM = レプリケーションのコマンド多重度
以下のレプリケーションコマンドの多重度を指定してください。
差分ログの取得開始コマンド
差分ログの取得終了コマンド
差分ログの追出しコマンド
レプリケーション起動コマンド
レプリケーション停止コマンド
レプリケーションコマンドの多重度を指定します。多重度は1から1000までの符号なし整数が指定可能です。本パラメタの値を超える多重度でコマンドを実行するとコマンドが異常終了します。本オペランドを省略すると“50”が指定されたものとみなされます。
本オペランドは、動作環境ファイルの雛形には記述されていません。レプリケーションコマンドの多重度を変更する場合に指定してください。
LOGDB_NAME(トランザクションログデータベースのスキーマ名)
LOGDB_NAME = スキーマ名.テーブル名
トランザクションログデータベースを作成したスキーマ名、テーブル名を指定します。
トランザクションログデータベースのスキーマ名、テーブル名を“.”で区切って指定します。トランザクションログデータベース作成用シェルスクリプトのテーブル定義に指定したスキーマ名、テーブル名を指定してください。
指定値はOracleのスキーマ・オブジエクトの命名規則に従ってください。半角の英字の大文字と小文字は区別されます。小文字を指定するために“"”で括る必要はありません。
本オペランドを省略するとREPUSER.REPTABLEが指定されたものとみなされます。
本オペランドは、動作環境ファイルの雛形には記述されていません。トランザクションログデータベースを指定する場合に指定してください。
REPPROJECT_CODE(レプリケーションのコード名)
REPPROJECT_CODE = レプリケーションが使用するIPCキーの最上位1バイトの値
レプリケーションが使用するIPCキーの最上位1バイトの値を16進表記で指定します。デフォルトは0xdeです。デフォルトの名前で運用上支障がない場合は、なるべくデフォルト値で運用してください。本オペランドは省略可能です。
本オペランドは、動作環境ファイルの雛形には記述されていません。レプリケーションが使用するIPCキーを変更する場合に指定してください。
REPSYSTEM_ID = レプリケーションに与えるシステムID
Oracleシステム単位に起動するレプリケーションに対して、一意なIDを指定してください。
レプリケーションに対して与えるシステムIDを1から31までの10進数で指定します。複数のレプリケーションを起動する場合には、省略できません。レプリケーションごとに違う値を設定してください。レプリケーションが1つの場合には省略可能です。省略した場合には1が指定されたものとみなされます。
本オペランドは、動作環境ファイルの雛形には記述されていません。レプリケーションのシステムIDを指定する場合に指定してください。
レプリケーション運用中に以下のファイルの更新は行わないでください。
Linkexpress Replication optionの動作環境ファイル
Linkexpress Replication optionでは、一括差分複写を行うために、Oracleの差分データを抽出します。この時、差分データは、トリガを使用してOracleデータベースに蓄積されます。このデータベースをトランザクションログデータベースと呼びます。
トランザクションログデータベースは、あらかじめ利用者によってレプリケーションの運用前(起動前)に、作成しておく必要があります。作成は、Linkexpress Replication optionが提供するシェルスクリプトを実行することにより行います。
トランザクションログデータベースをチューニングする場合や、ユーザ名、表名を省略する場合には、シェルスクリプトのシェル変数を修正してください。以下にトランザクションログデータベースを作成するシェルスクリプトの概要を説明します。シェルスクリプトの詳細については、“付録F トランザクションログデータベースの作成”を参照してください。
格納場所
/opt/FSUNlnkre/ORACLE/SETUP/lxcrtdb.sh
シェルスクリプトの内容
シェルスクリプトの実行方法
シェルスクリプトの内容を運用に合わせて修正を行い、シェルスクリプトの実行権限のあるユーザIDで実行してください。
注意
トランザクションログデータベースは、レプリケーションを行うOracleシステムごとに必要です。
トランザクションログデータベースを作成するシェルスクリプトには、レプリケーション管理者用のユーザIDやパスワードなどを記述して実行します。このため、トランザクションログデータベースを作成後はセキュリテイを考慮してシェルスクリプトを管理してください。
複写元サーバでLinkexpress Replication optionを起動します。起動方法の詳細については、“6.29 lxrpostrコマンド”を参照してください。
Linkexpress Replication optionの起動までに以下の準備が必要です。
詳細は“3.3.5.3 動作環境ファイルの作成”を参照してください。
詳細は“付録F トランザクションログデータベースの作成”を参照してください。
Linkexpress Replication optionでは、以下の作業域を使用します。必要な容量を準備してください。作業域見積りの詳細は“付録A 容量見積り”を参照してください。
抽出定義管理ファイル
差分ログファイル
一括差分複写用作業域
なお、Linkexpress Replication optionの起動・停止により、差分ログ収集スケジュールが開始・終了されます。差分ログ収集スケジュールについては、以下を参照してください。
差分ログ収集スケジュールは、トランザクションログデータベースから一定間隔で差分データを収集するスケジュールです。差分ログ収集スケジュールは、動作環境ファイルで指定します。指定方法の詳細は“3.3.5.3 動作環境ファイルの作成”を参照してください。
なお、差分ログ収集スケジュールの開始または終了は、レプリケーションの起動または停止により行われます。以下に、差分ログ収集スケジュールの開始または終了タイミングについて説明します。
差分ログ収集スケジュールはレプリケーションの起動完了により開始します。
なお、レプリケーション起動コマンドで起動モードを指定することにより、差分ログ収集スケジュールの開始点を指定できます。以下に起動モードごとの差分ログ収集スケジュールの開始動作を説明します。詳細は“6.29 lxrpostrコマンド”を参照してください。
差分ログ収集スケジュールはレプリケーションの停止処理により終了します。
なお、レプリケーション停止コマンドで停止モードを指定することにより、差分ログ収集スケジュールが処理中の場合の待合せ処理を指定できます。以下に停止モードごとの動作を説明します。詳細は“6.30 lxrpostpコマンド”を参照してください。