ここでは、前述の方法で作成したバックアップテープをリストアする手順を説明します。
リストア方法としては、以下の 2種類があります。
Linux 標準コマンドを使用したファイル単位のリストア方法
dd(1) を使用したファイルシステム単位のリストア方法
dd(1) を使用して、バックアップテープに保存された各パーティションの情報をディスクへ戻します。
注意
リストア先のパーティションのサイズは、バックアップ元のパーティションのサイズと同じでなければいけません。異なる場合、dd(1) の実行は成功しますが、リストア先のパーティションを DSS ファイルシステムとして使用することはできません。
リストアを実施する前には、対象となる DSS ファイルシステムを使用するすべてのノードでファイルシステムをアンマウントしてください。
例) シングルパーティションの場合のリストア
dd if=/dev/st0 of=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 bs=1024k <Enter> |
例) パーティション2つ (ファイルデータ領域追加) の場合のリストア
dd if=/dev/st0 of=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 bs=1024k <Enter> dd if=/dev/st0 of=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107 bs=1024k <Enter> |
dd(1) はマルチテープボリュームをサポートしていません。分割バックアップしたテープからリストアする際には、dd(1) の bs および count パラメタは必ずバックアップ時と同じ値を指定してください。また、seek はバックアップ時の skip と同じ値を指定してください。
例) 1ギガバイト単位に分割バックアップされたパーティションのリストア
dd if=/dev/st0 of=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 bs=1024k count=1024 <Enter> (テープを交換します) dd if=/dev/st0 of=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 bs=1024k count=1024 seek=1024 <Enter> (テープを交換します) dd if=/dev/st0 of=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 bs=1024k count=1024 seek=2048 <Enter> (テープを交換します) dd if=/dev/st0 of=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 bs=1024k count=1024 seek=3072 <Enter> ... |
リストア後の設定方法について説明します。
dd(1) コマンドを使用して、バックアップ元とは異なるパーティションへ DSS ファイルシステムをリストアした場合、媒体の内部にあるパーティション情報が実際のパーティション構成と一致しません。このため、パーティション情報を再設定する必要があります。
参考
バックアップ元とまったく同じパーティションに DSS ファイルシステムをリストアする場合は、媒体の内部にあるパーティション情報に変更はないので、この作業は必要ありません。
パーティション情報の変更は、sfcadm(8)コマンドで行います。
バックアップ元とは異なったパーティションへリストアを行う場合は、リストア先のパーティションが DSS ファイルシステムで使用可能な状態かどうかによって方法が異なります。以下にそれぞれの場合の方法を示します。
DSS ファイルシステムで未使用のパーティションへリストアを行う場合
3つのパーティションで構成されたファイルシステムを、以下の3つの、作成元と異なる未使用のパーティションへリストアした後に、sfcadm(8)でパーティション情報を再設定する方法を以下に示します。
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370108
なお、代表パーティションは /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 で、ポート名は sfcfs-1、共用ノードは host01, host02 です。
sfcadm -m host01,host02 -g host01,host02 -p sfcfs-1,sfcfs-1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106,/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107,/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370108 <Enter>
DSS ファイルシステムで使用中のパーティションへリストアを行う場合
3つのパーティションで構成されたファイルシステムを、以下の3つの、作成元と構成が同じファイルシステムが存在するパーティションへリストアした後に、sfcadm(8)でパーティション情報を再設定する方法を以下に示します。
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370108
なお、代表パーティションは /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 で、ポート名と共用ノードは同じものになります。
sfcadm /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106,/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107,/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370108 <Enter>
なお、リストア先のファイルシステムの作成状況は、sfcinfo(8)で確認できます。
注意
バックアップ時とリストア後とでファイルシステムの共用ノード範囲が変わる場合は、共用ノード範囲の変更も必要です。
パーティション情報の再設定後、ファイルシステムの構成情報ファイルを作成し、生成されたファイルをすべての DSS クライアントに配付する必要があります。その後、DSS サーバに接続を許可する DSS クライアントのホスト名を登録します。
参照
マウント状態のファイルシステムをファイルシステム単位でバックアップを行った場合、バックアップの途中でファイルアクセスが発生し、バックアップ内容に不整合が発生する可能性があります。
この状態を修復するには、システム管理者が sfcfsck(8)でファイルシステムの整合性チェック、および修復を実施する必要があります。
ファイルシステム修復の例を以下に示します。代表パーティションは /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 です。すべてのノードからマウントされていないことを確認した後に行ってください。
sfcfsck -y /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter> |