Linux 標準コマンドによるバックアップについて説明します。
マウントされた状態で、ファイルまたはディレクトリ単位のバックアップをする場合は、cpio(1L) または tar(1) を使用してください。
以下に cpio(1L), tar(1) を使用しテープへバックアップする例を説明します。
cpio(1L) でのバックアップ方法
cd /userdata <Enter> find . -depth -print | cpio -oc > /dev/st0 <Enter> |
tar(1) でのバックアップ方法
cd /userdata <Enter> tar cvf /dev/st0 . <Enter> |
注意
バックアップしたテープは、バックアップ方法がわかるように、ラベルをはって保管してください。
cron(8)を利用すると特定時間にバックアップを開始できます。
ファイルシステム単位で DSS ファイルシステムをバックアップするには、dd(1) を使用します。以下に dd(1) を使用したバックアップ手順を説明します。
ファイルシステム単位のバックアップは、ファイル単位のバックアップに比べてファイルシステム全体を高速にバックアップできます。ただし、この方法でバックアップされたファイルシステムは、リストアの際にファイル単位でリストアすることはできません。
バックアップを実施する前には、以下に示す手順で対象となる DSS ファイルシステムのパーティション情報を確認します。そして、バックアップに必要なバックアップ媒体の容量と本数を見積もった後、対象となる DSS ファイルシステムをアンマウントしてください。
以下に、各構成でのテープへバックアップする例を説明します。
sfcinfo(8)でパーティション情報を表示して、シングルパーティションである (特殊ファイル名が同じ) こと、容量がバックアップ先のデバイスに収まることを確認しておきます。パーティションの容量は size フィールドに表示された値 (キロバイト単位) の合計に 1メガバイトを加えた値で見積もってください。
例)シングルパーティションの場合のバックアップ
sfcinfo /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter> FSID special size Type mount 1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 (864) 14422 META ----- 1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 (864) 5116 LOG ----- 1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 (864) 95112 DATA ----- dd if=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 of=/dev/st0 bs=1024k <Enter> |
dd(1) が扱えるのはパーティション単位です。したがって、マルチパーティション構成の場合には各パーティションに分けてバックアップする必要があります。sfcinfo(8)でパーティション構成を確認した後、各パーティションをシングルパーティション構成の場合と同様の方法でバックアップします。
例)パーティションが 2つ (ファイルデータ領域追加) のバックアップ
sfcinfo /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter> FSID special size Type mount 1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 (864) 14422 META ----- 1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 (864) 5116 LOG ----- 1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 (864) 95112 DATA ----- 1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107 (880) 95112 DATA ----- dd if=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 of=/dev/st0 bs=1024k <Enter> (テープを交換します) dd if=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107 of=/dev/st0 bs=1024k <Enter> |
注意
バックアップは、対象の DSS を構成するパーティションのすべてに対して行ってください。一部のパーティションだけをバックアップして保管しないでください。
バックアップしたテープは、バックアップしたパーティションがわかるようにラベルをはり、一組にして保管してください。
dd(1) はマルチテープボリュームをサポートしていません。ファイルシステムの大きさがテープ 1巻に収まらない場合には、分割してバックアップする必要があります。その際、bs (ブロック長)、count (ブロック数)を設定して、skip (入力側のオフセット(ブロック数))は count 数分だけ増やしてください。
例) パーティションを 1ギガバイト単位に分割してバックアップ
dd if=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 of=/dev/st0 bs=1024k count=1024 <Enter> (テープを交換します) dd if=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 of=/dev/st0 bs=1024k count=1024 skip=1024 <Enter> (テープを交換します) dd if=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 of=/dev/st0 bs=1024k count=1024 skip=2048 <Enter> (テープを交換します) dd if=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 of=/dev/st0 bs=1024k count=1024 skip=3072 <Enter> ... |