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ServerView Resource Orchestrator Cloud Edition V3.0.0 導入ガイド

4.3.1 ストレージ環境の決定

ここでは、本製品の導入に必要になる、ストレージ環境の構成と設定値の決定について説明します。


4.3.1.1 ストレージの事前準備

ここでは、ストレージの事前準備について説明します。

物理サーバや仮想マシンを構築する場合、ストレージ装置とストレージネットワークの設定が必要なため、迅速なサーバ提供の妨げになっていました。

本製品では、以下の機能を利用して迅速なサーバ提供を実現します。


仮想L-Serverに対するストレージの割当

仮想L-Serverに対するストレージの割当て方法には、以下の2つがあります。

仮想L-Serverを利用する場合に必要な定義ファイル

仮想L-Serverを利用する場合に必要な定義ファイルは、以下のとおりです。

物理L-Serverに対するストレージの割当

物理L-Serverに対するストレージの割当て方法には、以下の2つがあります。

ストレージの割当て方法とストレージの種類

利用するストレージ装置により、ストレージの割当て方法が異なります。
ストレージの割当て方法とストレージの種類については、「4.3.1.2 ストレージの構成」の「表4.10 物理L-Serverに対するストレージの割当て方法とストレージの種類」を参照してください。

物理L-Serverと接続できるストレージ装置

物理L-Serverと接続できるストレージ装置については、「1.5 ハードウェア環境」の「表1.60 物理サーバ上のL-Serverと接続できるストレージ装置」を参照してください。


シン・プロビジョニングを利用したストレージの有効活用

シン・プロビジョニングとは、ストレージ容量を仮想化する技術です。

ストレージの効率的な活用を実現します。

事前に、必要な容量を確保する必要がなく、実際に利用している容量に応じて容量を確保し、必要に応じて拡張できる機能です。

シン・プロビジョニングの実現には、以下の方法があります。

シン・プロビジョニングとの連携については、「4.3.1.2 ストレージの構成」を参照してください。


ストレージ自動階層制御を利用したストレージの有効活用

ストレージ自動階層制御は、ストレージへのデータアクセスを監視し、異種ドライブ混在環境で、データのアクセス頻度を検出し、設定したポリシーに応じて、ドライブ間で自動的にデータ再配置を行う機能です。

本製品では、ETERNUSストレージのストレージ自動階層制御と連携できます。ストレージ自動階層制御との連携については、「4.3.1.2 ストレージの構成」を参照してください。


物理L-Serverを作成する場合の前提条件

物理L-Serverを作成する場合の前提条件については、「4.3.1.2 ストレージの構成」の「物理L-Serverを作成する場合の前提条件」を参照してください。


物理サーバをL-Serverにする場合のストレージ構成について

物理サーバをL-Serverにする場合のストレージ構成については、「4.3.1.2 ストレージの構成」の「物理L-Serverを作成する場合のストレージ構成について」を参照してください。

ストレージリソースには、以下の2つがあります。
ストレージリソースの種類によってリソースの登録方法が異なります。

ストレージ管理製品で事前に作成したディスクを、ディスクリソースとして共通の操作で管理できます。
検出された仮想ストレージリソースとディスクリソースは、ストレージプールへの登録が必要です。
ストレージプールへの登録については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「7.5 ストレージリソース」を参照してください。


ストレージリソースの自動検出

ストレージ管理製品やVM管理製品を操作してストレージの追加や変更を行った場合も、ストレージ管理製品やVM管理製品に対して定期的に問合せが行われ、ストレージの構成や状態の変化が検出されます。定期更新する間隔は、ストレージリソースの数によって変化します。
なお、RORコンソールのオーケストレーションツリーでストレージリソースを右クリックし、表示されたメニューで[更新]を選択すると、定期的な問合せを待たずに、ストレージ管理製品やVM管理製品からストレージの構成や状態をすぐに取得できます。
そのあと、ストレージプールへの登録を行ってください。


物理L-Serverを利用する場合に必要な定義ファイル

物理L-Serverを利用する場合に必要な定義ファイルは、以下のとおりです。

4.3.1.2 ストレージの構成

ここでは、本製品の導入に必要な、ストレージ環境の構成と設定値の決定について説明します。


ストレージの割当方法とストレージの種類

利用するストレージ装置により、ストレージの割当て方法が異なります。
物理L-Serverに対するストレージの割当て方法とストレージの種類は、以下のとおりです。

表4.10 物理L-Serverに対するストレージの割当て方法とストレージの種類

割当て方法

ストレージの種類

仮想ストレージリソースから自動生成したディスクリソースの割当て

  • ETERNUSストレージ

  • NetApp FASストレージ

事前に作成されたディスクリソースの割当て

  • ETERNUSストレージ

  • NetApp FASストレージ

  • EMC CLARiXストレージ

  • EMC Symmetrix DMXストレージ

  • EMC Symmetrix VMAXストレージ


ストレージの構成

システムに必要なストレージの構成を決定します。
本製品がサポートするストレージ構成は以下のとおりです。

表4.11 サポートするストレージ構成

サーバ(VMホスト)種別

L-Serverのシステムディスク

L-Serverのデータディスク

物理

SANストレージ

SANストレージ

iSCSIストレージ (*1、2)

iSCSIストレージ (*1、*3)

VMware

ESX/ESXiのデータストアとして構成されたストレージ(VMFSのVersion 3以降またはNFSマウント)

Hyper-V

MSFCのCluster Shared Volume(CSV)として構成されたストレージ

*1: ETERNUSストレージとNetAppストレージの場合、利用できます。
*2: 物理L-ServerがLinuxで、システムディスクがiSCSIストレージの場合、クローニングイメージを利用したL-Serverの作成はできません。
*3: L-Server作成時にiSCSIストレージはデータディスクとして割り当てられません。L-Serverが起動したあと、手動で割り当ててください。L-Serverに対するiSCSIストレージの増設や削減は本製品ではできないため、手動で行ってください。iSCSIストレージのデータディスクの割当てについては、「参考 iSCSIブートの物理L-Serverのデータディスク」を参照してください。

参考

iSCSIブートの物理L-Serverのデータディスク

  • ETERNUSストレージの場合

    ストレージ管理製品を利用して、同じAffinityグループにiSCSIブートディスクのLUNとデータディスクのLUNを定義すると、管理対象サーバからデータディスクを利用できます。

  • NetAppストレージの場合

    ストレージ管理製品を利用して、同じigroupにiSCSIブートディスクのLUNとデータディスクのLUNを定義すると、管理対象サーバからデータディスクを利用できます。


ン・プロビジョニングとの連携

本製品では、ストレージ装置やサーバ仮想化ソフトウェアのシン・プロビジョニングと連携できます。

ストレージ自動階層制御との連携

本製品では、ストレージ装置のストレージ自動階層制御と連携できます。

物理L-Serverを作成する場合のストレージ構成について

物理L-Serverを作成する場合のストレージ構成は、以下のとおりです。

注意

ローカルディスクはサポートしていません。ローカルディスクを接続しないでください。

必須になるVM管理製品、ストレージ管理製品などについては、「1.4.2.2 必須ソフトウェア」を参照してください。
サポートするストレージ装置やファイバーチャネルスイッチについては、「1.5 ハードウェア環境」を参照してください。


物理L-Serverを作成する場合の前提条件

HBAストレージ装置の設定値

サーバでは物理サーバとHBAのWWN、ストレージではHBAのWWNとストレージのボリュームとの関係を定義し、システムを設計します。


SANストレージ環境の設定

利用するL-Serverが物理L-Serverか仮想L-Serverかによって、SANストレージ環境の事前設定が異なります。
物理サーバをL-Serverとして利用する場合、「付録D 物理L-Server作成のための設計と設定」を参照してください。
サーバ仮想化ソフトウェアを利用する場合、「付録E 仮想L-Server作成のための設計と設定」のうち、利用するサーバ仮想化ソフトウェアを参照してください。


iSCSIストレージ環境の設定

物理L-Serverで、iSCSIブートを利用する場合、L-Serverに接続できるLUNを事前に作成してください。
詳細は、「D.3.1 ETERNUSストレージを利用する場合」と「D.3.2 NetApp FASストレージを利用する場合」を参照してください。


ダイナミックLUNミラーリングの設定

物理L-Serverで、ダイナミックLUNミラーリングを利用する場合は、ETERNUSストレージで筐体間コピーが利用できるように設定してください。
設定方法は、「ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 Copy Control Module編」を参照してください。


4.3.1.3 HBA・ストレージ装置の設定値

サーバ側では物理サーバとHBAのWWN、ストレージ側ではHBAのWWNとストレージのボリュームとの関係を定義し、システムを設計します。
以下にHBAの2ポートを使いマルチパスでストレージに接続するときの例を示します。
詳細は、各ストレージ製品のマニュアルを参照してください。

注意

管理対象サーバにHBAのポートが合計3ポート以上搭載されている構成は、サポートしていません。

図4.21 WWNのシステム設計


使用するWWNの決定

HBA address renameまたはVIOM利用時には、使用するWWNを決定します。
HBA address renameまたはVIOMで使用するWWNを決定し、サーバ側にはOS(業務)と物理サーバを関連付け、ストレージ側にはボリュームを関連付けます。
HBA address renameまたはVIOMを利用することで、サーバに搭載されたHBAのWWNを意識しなくても、仮想化されたWWNを利用してサーバとストレージの設計が行えます。物理サーバが存在しないなどの、サーバに搭載されたHBAのWWNが把握できない場合でも、サーバとストレージを設計できます。

HBA address renameを利用する場合、WWNは"I/O仮想化オプション"で提供された値を使用します。
VIOMを利用する場合、WWNは以下のどれかの値を使用します。

WWNの衝突によるデータの破損を防ぐため、"I/O仮想化オプション"で提供された値を使用することをお勧めします。

参考

"I/O仮想化オプション"は、全世界で一意のWWNを提供します。これにより予期しないWWNの衝突を防ぐことができます。

注意

HBA address renameとVIOMで同じWWNを使用しないでください。同じWWNを使用した場合、データが破損する危険性があります。

HBA address renameまたはVIOMで使用するWWNの形式を、以下に示します。

提供されたWWNの先頭"2x"を以下のようにWWNNとWWPNに割り当てて利用します。

HBA address renameでは、xはHBAのI/Oアドレスの降順に割り当てられます。
なお、HBAのI/Oアドレスは、HBAのBIOS上またはHBAベンダーが提供しているツールで確認してください。

注意

HBA address renameでは、HBAのI/Oアドレスの降順にWWNを割り当てるため、HBAに記載されているポート番号順と一致しない場合があります。

詳細は、「C.2 HBA address rename設定時のWWNの割当て順序」を参照してください。

決定したWWNは、サーバ側の設計とストレージ側の設計で使用します。

使用するWWNの決定(VIOM利用時)

VIOMを利用する場合、VIOMの設定を先に行います。それによって決定したWWNと同じ値をストレージ側にも設定します。


4.3.1.4 iSCSIインターフェース・ストレージ装置の設定値(iSCSI)

サーバ側では物理サーバとiSCSIアダプターのIQN、ストレージ側ではiSCSIアダプターのIQNとストレージのボリュームとの関係を定義し、システムを設計します。
以下にiSCSIインターフェースの2ポートを使い、マルチパスでストレージに接続するときの例を示します。
詳細は、各ストレージ製品のマニュアルを参照してください。

図4.22 IQNのシステム設計


使用するIQNの決定

iSCSIを利用するには、使用するIQNを決定します。
iSCSIで使用するIQNを決定し、サーバ側にはOS(業務)と物理サーバを関連付け、ストレージ側にはボリュームを関連付けます。
IQNは以下で構成されます。

IQNは、一意である必要があります。
サーバ名や、"I/O仮想化オプション"で提供された該当するサーバのネットワークインターフェースに割り当てる予定のMACアドレスなどを、IQNの一部として使用することで、一意のIQNを作成してください。
IQNが重複している状態で、同時にアクセスを行うとデータが破損する危険性があります。
"I/O仮想化オプション"で提供された仮想MACアドレスを使用する場合の例を以下に示します。

MACアドレスが00:00:00:00:00:FFの場合

IQN iqn.2010-04.com.fujitsu:0000000000ff

決定したIQNは、サーバ側の設計とストレージ側の設計で使用します。