プロビジョニング機能では、1台目のサーバよりマスタイメージを採取し、サーバ追加時にマスタイメージの情報を反映します。
プロビジョニング機能を使用するサーバグループを運用する場合は、まず操作対象とするサーバグループを作成し、1台目の管理対象サーバを追加します。この管理対象サーバに対して、マスタイメージとなるInterstage環境(マスタ環境)を構築します。
手順の概要を以下に説明します。
注意
Systemwalker Resource Coordinatorによるプロビジョニングの対象のサーバグループおよびサーバに対しては、サーバグループ環境の初期構築/削除時以外で、Interstage管理コンソールによるサーバグループの作成/削除、管理対象サーバの追加/削除の操作を行わないでください。
環境の構築手順について以下に説明します。
(1) Systemwalker Resource Coordinatorによるサーバグループの作成
Systemwalker Resource Coordinatorを使用して、サーバグループを作成します。
(2) Systemwalker Resource Coordinatorによるサーバグループへのサーバ追加
Systemwalker Resource Coordinatorを使用して、サーバグループへサーバを追加します。
この時点では、追加したサーバにInterstageがインストールされていないため、追加したサーバは、Interstageのサイトに所属していない状態になります。
注意
Systemwalker Resource Coordinatorによるプロビジョニング操作対象のサーバグループに、Interstage Application Serverを運用しないサーバグループが存在する場合、Interstage Application Serverのサイト内に、そのサーバグループと同名のサーバグループを作成しないでください。
(3) Interstage Application Serverのインストール
Interstage Application Serverのアプリケーションサーバ機能をインストールします。
インストール後、Systemwalker Resource Coordinatorで保守モードを解除します。本操作により、Systemwalker Resource Coordinatorの設定が完了します。
その後、再度、Systemwalker Resource Coordinatorで保守モードを設定し、以降の操作を実行してください。
注意
Windows Server 2003を使用する場合は、Service Pack 1を適用する必要があります。
(4) Systemwalker Resource Coordinatorとの連携定義(rc.properties)の設定
プロビジョニング機能を運用する上で必要な定義情報を、管理サーバと管理対象サーバのSystemwalker Resource Coordinatorとの連携定義「rc.properties」に記述します。
本連携定義には、プロビジョニングの操作対象とするサーバグループの管理情報を設定します。
連携定義について以下に説明します。
Systemwalker Resource Coordinatorとの連携定義ファイル「rc.properties」は、以下のディレクトリに配置されています。
連携定義ファイルの設定変更時には、以下のファイルを編集してください。
なお、定義内容は、編集後のサーバグループへのサーバ追加/削除操作より有効となります。
[Interstageインストールフォルダ]\jmx\etc\rc\rc.properties
/etc/opt/FJSVisjmx/rc/rc.properties
連携定義ファイルに対する定義項目は、以下の記述形式で設定します。
定義項目名=設定値
定義項目名、「=」、設定値の間には、スペースを含めないでください。
管理サーバのrc.propertiesの編集について以下に示します。
定義項目
連携定義ファイルには、プロビジョニング操作の対象とするサーバグループ単位に、以下の定義情報を設定します。すべての定義項目を記述する必要があります。
以下の[servergroupname]には、定義対象のサーバグループ名を記述してください。
また、管理対象サーバに定義するrc.propertiesと重複する項目には、管理対象サーバと同一の値を指定してください。管理対象サーバのrc.propertiesについては、「管理対象サーバのrc.propertiesの編集」を参照してください。
サーバグループ[servergroupname]が使用する業務IPアドレスのネットワークアドレスを指定します。Interstage Application Server(IJServer)が要求を受信するために使用するIPアドレスのネットワークアドレス(例:192.168.10.0)です。
[servergroupname].businessIpAddress.networkに対するサブネットマスク(例:255.255.255.0)です。
サーバグループへ追加するサーバの管理者権限を持つユーザのユーザ名を指定します。
サーバグループに追加するすべてのサーバにおいて、管理者権限を持つユーザとして本項目に指定したユーザが登録されている必要があります。
[servergroupname].userに指定したユーザのパスワードを指定します。なお、本パスワードによる認証は、Systemwalker Resource Coordinatorによるサーバグループへのサーバ追加時にだけ使用されます。
サーバグループへ追加するサーバのInterstage JMXサービスが通信に使用するプロトコルを指定します。
「RMI」または「HTTPS」のどちらかを指定します。
サーバグループへ追加するサーバのInterstage JMXサービスが通信に使用するポート番号を指定します。
例
サーバグループ名が「svrgrp001」の場合
svrgrp001.businessIpAddress.network=192.168.10.0 svrgrp001.businessIpAddress.subnetmask=255.255.255.0 svrgrp001.user=user1 svrgrp001.password=userpasswd svrgrp001.jmxProtocol=RMI svrgrp001.jmxPort=12200
注意
本定義ファイルでは、セキュリティ情報(ユーザ名、パスワードなど)を扱います。管理者権限を持つユーザだけがファイル参照・更新可能とするようにファイル管理するなど、セキュリティ対策を行ってください。
管理対象サーバのrc.propertiesの編集について以下に示します。
定義項目
連携定義ファイルには、プロビジョニング操作の対象とするサーバグループ単位に、以下の定義情報を設定します。
以下の[servergroupname]には、定義対象のサーバグループ名を記述してください。
サーバグループ[servergroupname]が使用する業務IPアドレスのネットワークアドレスを指定します。Interstage Application Server(IJServer)が要求を受信するために使用するIPアドレスのネットワークアドレス(例:192.168.10.0)です。
[servergroupname].businessIpAddress.networkに対するサブネットマスク(例:255.255.255.0)です。
サーバグループに対してIPCOMを使用したIIOP負荷分散を行う場合に、負荷分散対象サーバ側(後段)に位置付けられるサーバグループに対して指定する項目です。本項目には、IPCOMに指定した仮想IPアドレスに対応するホスト名(例:vhost)を指定します。
注意
サーバグループでIJServer(EJBアプリケーション)、CORBAワークユニットを運用し、IPCOMを使用したIIOP負荷分散を行う場合に、仮想ホスト名を指定します。WebサーバやServletへの負荷分散で指定する必要はありません。
例
サーバグループ名が「svrgrp001」の場合
svrgrp001.businessIpAddress.network=192.168.10.0 svrgrp001.businessIpAddress.subnetmask=255.255.255.0 svrgrp001.trdVirtualHost=vhost
(5) Systemwalker Resource Coordinatorとの連携登録
isregistrcコマンドで、Interstage Application ServerとSystemwalker Resource Coordinatorとの連携機能を有効にします。isregistrcコマンドの実行時は、プロビジョニング対象のサーバグループ名とそのサーバの業務LANのIPアドレスを指定します。業務LANのIPアドレスは、Systemwalker Resource Coordinatorで確認してください。
なお、連携機能の使用を中止する場合は、isunregistrcコマンドで連携設定を解除します。
> isregistrc servergroup1 192.168.10.11
# /opt/FJSVisjmx/bin/isregistrc servergroup1 192.168.10.11
注意
isregistrcコマンドは、プロビジョニング対象とするサーバでの実行時に、サーバグループ名と業務LANのIPアドレスを指定してください。管理サーバでの実行時は、これらのパラメタを指定する必要はありません。
isregistrcコマンドを実行した管理対象サーバは、業務LANのIPアドレスに対応したホスト名でOD_set_envコマンドが実行された状態となります。
isregistrcコマンドを実行するとhostsファイルに「isas」という文字列で始まるホスト名を持つホスト情報が自動的に追加されます。これらの自動的に追加されたホスト情報は、編集しないでください。
また、連携登録が完了したら、isprintrcコマンドを使用して登録が成功したかを確認してください。
> isprintrc
# /opt/FJSVisjmx/bin/isprintrc
連携登録が完了している場合は、以下の内容を表示します。埋め込み文字としてサーバグループ名と業務LANのIPアドレスが表示されるので、指定内容が正しいかを確認してください。
This server is registered(servergroup1,192.168.10.11)
参照
isregistrcコマンドの詳細については、「リファレンスマニュアル(コマンド編)」の「マルチサーバ管理コマンド」-「isregistrc」を参照してください。
(6) Interstage環境に対する業務LANのIPアドレスの設定
以下の手順で、Interstage環境に対して業務LANのIPアドレスの情報を設定します。
isstop -fコマンドなどで、Interstageを停止します。
isinitserviceコマンドで、Interstageを初期化します。
isstartコマンドなどで、Interstageを起動します。
OD_or_adm -lコマンドを実行し、その実行結果より、以下の下線部のホスト名が、「isas」で始まるホスト名となっているかを確認してください。「isas」で始まるホスト名となっていない場合は、再度、1.の手順から実行してください。
ImplementationRepository IDL:FJ/ImplementationRep:1.0 (ISAS-SITE0002:8002:1.0:) FJ_LightInterfaceRepository IDL:FJ/Repository:1.0 (ISAS-SITE0002:8002:1.0:) FJ_ORB_admin IDL:OM_ORB/admin:1.0 (ISAS-SITE0002:8002:1.0:) nill_oref InterfaceRep IDL:CORBA/InterfaceRep:1.0 (isasC0A80B83:8002:1.0:) InterfaceRep_e IDL:CORBA/InterfaceRep:1.0 (isasC0A80B83:8002:1.0:) InterfaceRepLock IDL:CORBA/IrOBF/backup:1.0 (isasC0A80B83:8002:1.0:) InterfaceRepository IDL:CORBA/Repository:1.0 (isasC0A80B83:8002:1.0:) InterfaceRepository_e IDL:CORBA/Repository:1.0 (isasC0A80B83:8002:1.0:) NameService IDL:CosNaming/NamingContextExt:1.0 (isasC0A80B83:8002:1.0:)
(7) Interstage JMXサービスへの管理LANのIPアドレス情報の反映
Interstage JMXサービスが使用するIPアドレスに、管理LANのIPアドレスを指定します。
エディタで以下のファイルを開きます。
[Interstageインストールフォルダ]\jmx\etc\isjmx.xml
/etc/opt/FJSVisjmx/isjmx.xml
hostタグを追加し、localhost属性に管理LANのIPアドレスを指定します。
管理LANのIPアドレスが「192.168.0.130」の場合の記述例を以下に示します。
<isjmx> : <host localhost="192.168.0.130"/> : </isjmx>
「Interstage JMX」サービスを再起動します。
「Interstage Operation Tool」サービスおよび「Interstage JServlet(OperationManagement)」サービスを再起動します。
Interstage JMXサービス、およびInterstage管理コンソール用Servletサービスを再起動します。
(8) Interstage管理コンソールによるサーバグループの作成
管理サーバのInterstage管理コンソールで、Systemwalker Resource Coordinatorを使用して作成したサーバグループと同一名のサーバグループを作成します。
(9) Interstage管理コンソールによるサイトへのサーバ追加
管理サーバのInterstage管理コンソールを使用で、サイトにサーバを追加します。このとき、リザーブサーバとして追加してください。
また、以下の項目は、Systemwalker Resource Coordinatorが、操作対象の管理対象サーバを管理する際に使用している情報と一致させてください。各情報は、Systemwalker Resource Coordinatorで確認してください。
管理対象サーバ名
管理用LANのIPアドレス
業務LANのIPアドレス(Interstage Application Serverが使用するネットワークの業務LANのIPアドレス)
(10) Interstage管理コンソールによるサーバグループへのサーバ追加
管理サーバのInterstage管理コンソールで、サーバグループにサーバを追加します。
(11) Interstage運用環境の構築
サーバグループへ追加した管理対象サーバに対して、Interstage Application Serverおよび業務の運用環境を構築します。
なお、Systemwalker Resource Coordinatorとの連携登録を行った環境でIJServerの作成やサーバグループへのサーバ追加を行うと、hostsファイルにホスト情報が追加されます。
注意
hostsファイルには、「isas」という文字列で始まるホスト名を持つホスト情報が自動的に追加されます。これらの自動的に追加されたホスト情報は、編集しないでください。
(12) サーバの再起動
サーバを再起動します。
上記の手順で設定が完了します。必要に応じてSystemwalker Resource Coordinatorの保守モードを解除してください。