GLSの仮想アダプターをHyper-Vの仮想ネットワーク マネージャに登録し、Hyper-V環境のネットワークを二重化する場合に適した構成です。
構成
図A.6 Hyper-V環境の構成
設定手順
図A.6の構成を例に設定手順を示します。
物理アダプターを設定します。
詳細は、“3.4.2 物理アダプターの設定(事前作業)”を参照してください。
仮想アダプターを設定します。
hanetconfigコマンドを実行して、物理アダプター(ローカル エリア接続 1とローカル エリア接続 2)を束ねるHyper-V用の仮想アダプター(sha0)を作成します。
> hanetconfig create -n sha0 -v hv -t "ローカル エリア接続 1","ローカル エリア接続 2" FJSVhanet: INFO: 00000: The command ended normally. |
ping監視を設定します。
以下を指定して、hanetpollコマンドを実行します。
ローカル エリア接続 1が運用時の監視先:192.168.2.10、192.168.2.20
ローカル エリア接続 2が運用時の監視先:192.168.2.10、192.168.2.20
> hanetpoll create -t "ローカル エリア接続 1" -p 192.168.2.10,192.168.2.20 FJSVhanet: INFO: 00000: The command ended normally. > hanetpoll create -t "ローカル エリア接続 2" -p 192.168.2.10,192.168.2.20 FJSVhanet: INFO: 00000: The command ended normally. |
参考
通信相手システムをping監視先に設定する場合、監視先で異常が検出されたときに、ネットワークアダプターを切替えないように動作を指定できます。
以下に、ネットワークアダプターの切替えを行わない場合の例を示します。
> hanetpoll create -t "ローカル エリア接続 1" -p 192.168.2.2 -f no FJSVhanet: INFO: 00000: The command ended normally. > hanetpoll create -t "ローカル エリア接続 2" -p 192.168.2.2 -f no FJSVhanet: INFO: 00000: The command ended normally. |
hanetpollコマンドの詳細は、“6.2.4 hanetpoll”を参照してください。
仮想アダプターを活性化させます。
strhanetコマンドを実行して、仮想アダプターを活性化させます。
> strhanet FJSVhanet: INFO: 00000: The command ended normally (sha0). FJSVhanet: INFO: 00007: Start the ping monitor using the hanetpoll command if needed. |
Hyper-Vの仮想ネットワークに仮想アダプター(sha0)を登録します。
[スタート]メニューの[管理ツール]メニューから、[Hyper-V マネージャ]を選択します。
[Hyper-V マネージャ]画面から、[仮想ネットワーク マネージャ]を選択します。
[新しい仮想ネットワーク]の[仮想ネットワークの作成]から、[外部]を選択して[追加]ボタンをクリックします。
新しい仮想ネットワークとして、仮想アダプター(sha0)を選択し、[適用]ボタンをクリックします。
注意
Windows Server 2008 R2では、[管理オペレーティングシステムにこのネットワークアダプターの共有を許可する]チェックボックスがあります。
本チェックボックスでは、仮想ネットワークに接続しているネットワークアダプターを、管理OSで共有するかどうかの選択ができます。
チェックボックスをチェックした場合
管理OSで、仮想ネットワークに接続しているネットワークアダプターの設定ができます。
この場合、Hyper-Vの仮想ネットワーク マネージャによって、GLSの仮想アダプター上にアダプターが生成されます。生成されたアダプターにIPアドレスを設定することにより、ping監視が利用できます。
チェックボックスをチェックしなかった場合
管理OSで、仮想ネットワークに接続しているネットワークアダプターの設定ができません。
この場合、ネットワークアダプターは、仮想マシン専用として認識されます。そのため、Hyper-Vの仮想ネットワークマネージャによって、GLSの仮想アダプター上にアダプターが生成されず、ping監視が利用できません。
詳細は、Hyper-Vのマニュアルを参照してください。
Hyper-Vの仮想ネットワーク マネージャによって、仮想アダプター(sha0)上に生成されたアダプター(ローカル エリア接続 3)にIPアドレスを手動で設定します。
IPアドレスの設定方法については、OSのマニュアルを参照してください。
システムを再起動します。
システム起動時にping監視が開始されます。
ゲストOS1に仮想アダプター(sha0)をVLAN ID2として登録します。
[Hyper-V マネージャ]から、ゲストOS1の設定画面を開きます。
[ハードウェアの追加]から[ネットワーク アダプタ]を選択し、[追加]ボタンをクリックします。
[ネットワーク]に仮想アダプター(sha0)を選択し、[仮想LAN IDの有効化]をチェックします。
[VLAN ID]に“2”を入力して、[適用]ボタンをクリックします。
詳細は、Hyper-Vのマニュアルを参照してください。
ゲストOS1上のアダプター(ローカル エリア接続 1)にIPアドレスを手動で設定します。
ゲストOSの起動方法については、Hyper-Vのマニュアルを参照してください。
IPアドレスの設定方法については、OSのマニュアルを参照してください。
ゲストOS2に仮想アダプター(sha0)をVLAN ID3として登録します。
設定については、手順8、手順9を参照してください。
Hyper-Vの仮想ネットワーク マネージャに登録した仮想アダプター(sha0)から、各OSのMACアドレスの情報をネットワークスイッチへ通知する設定をします。
本設定により、ネットワーク切替え時の通信が即時再開できます。
仮想アダプター(sha0)上にある管理OSとゲストOSのアダプター情報を確認します。
管理OSについては、ipconfigコマンドの表示結果等から確認してください。
ゲストOSについては、[仮想ネットワーク マネージャ]の[ネットワークアダプタ]にある、“MAC アドレス”および“VLAN ID”を参照してください。なお、ゲストOSの“MAC アドレス”は、“動的”を設定した場合、ゲストOSを起動した後に表示されます。
マシン名 | VLAN ID | MACアドレス | |
---|---|---|---|
管理OS | HOST-A | なし | ZZ-ZZ-ZZ-ZZ-ZZ-ZZ |
ゲストOS1 | VM1 | タグ2 | XX-XX-XX-XX-XX-XX |
ゲストOS2 | VM2 | タグ3 | YY-YY-YY-YY-YY-YY |
Hyper-V用のユーザースクリプト実行機能を設定します。
> copy GLSインストールディレクトリ\usr\script\adapter\hyperv.sam GLSインストールディレクトリ\usr\script\adapter\sha0.bat |
“GLSインストールディレクトリ\usr\script\adapter\maclist.txt”のファイルに、各アダプターの情報を設定します。
以下の順序で設定してください。
仮想スイッチに接続されているGLSの仮想アダプター名
ローカル エリア接続のアダプター情報(1.VLAN ID、2.MACアドレス、3.マシン名)
仮想アダプター名 VLAN ID MACアドレス マシン名 |
各項目は、タブを入れて区切ってください。
なお、以下の場合は、半角ハイフン(-)を指定してください。
タグVLANの設定がない場合のVLAN ID
管理OSに所属するローカル エリア接続のマシン名
[設定例]
sha0 - ZZ-ZZ-ZZ-ZZ-ZZ-ZZ - sha0 2 XX-XX-XX-XX-XX-XX VM1 sha0 3 YY-YY-YY-YY-YY-YY VM2 |
参考
運用開始後、GLSの仮想アダプターを非活性化する場合は、Hyper-Vの設定からGLSの仮想アダプターを削除した後、stphanetコマンドを実行してください。
Windows Server 2008 R2環境において、仮想ネットワークマネージャに登録した仮想アダプターを管理OS上で使用しない場合、管理OSのMACアドレスはmaclist.txtに記載する必要はありません。