仮想アダプターの運用に必要なping監視の構成情報の設定/削除/表示、ping監視の開始/停止は、hanetpollコマンドを使用します。
hanetpollコマンドは、以下の表に示すサブコマンドを使用して実行します。
サブコマンド | 処理概要 | 実行権限 |
---|---|---|
create | ping監視の設定の作成 | Administrators |
delete | ping監視の設定の削除 | Administrators |
ping監視の設定内容表示 | AdministratorsまたはUsers | |
param | ping監視の間隔/回数の変更 | Administrators |
on | ping監視の開始 | Administrators |
off | ping監視の停止 | Administrators |
ping監視を設定するには、createサブコマンドを使用します。
形式
hanetpoll create -t adapter -p ping_target1[,ping_target2] [-f yes|no]
機能説明
ping監視を設定します。
オプション
-t adapter
仮想アダプターに束ねられる物理アダプター名(hanetconfig createコマンドの-tオプションで指定した物理アダプター名)を指定します。この物理アダプターが運用アダプターになったときに、-pオプションで指定した監視先に対してping監視を実行します。なお、物理アダプター名の“ローカル エリア接続 ”の文字列を省略して指定することもできます。
省略しない場合(通常指定)
> hanetpoll create -t "ローカル エリア接続 1" -p 192.168.2.10 |
省略する場合
> hanetpoll create -t 1 -p 192.168.2.10 |
以下に、Windows上で表示されるアダプター名と、GLSのコマンドでの省略形を示します。
Windows上でのアダプター名 | GLSのコマンド指定時の省略形 |
---|---|
“ローカル エリア接続” | 0 |
“ローカル エリア接続 0” | 省略なし |
“ローカル エリア接続 1” | 1 |
“ローカル エリア接続 2” | 2 |
-p ping_target1[,ping_target2]
監視先のIPアドレスを指定します。複数指定する場合は、コンマ(,)で区切って指定します。このIPアドレスの並びを“IPアドレスリスト”と呼びます。1つのリストには、IPアドレスが最大3つまで指定できます。また、1つの物理アダプターに対して、IPアドレスリストは最大3つまで指定できます。
IPアドレスリストのすべてのIPアドレスでpingが無応答になった場合、IPアドレスリストが故障になります。物理アダプターに設定されるIPアドレスリストのうち、どれか1つが故障した場合、NICが切り替わります。
仮想アダプター配下の物理アダプターに監視先のIPアドレスを指定する場合、その仮想アダプターが束ねているもう1つの物理アダプターについても、監視先のIPアドレスを設定してください。
-f {yes|no}
IPアドレスリストに対する属性付けを行います。
“yes”を指定した場合、IPアドレスリストが故障した場合に、通信異常が検出され、アダプターを切り替えます。“no”を指定した場合、通信異常だけが検出され、アダプターの切替えは行われません。
本オプションは省略可能です。省略した場合、“yes”を指定した場合と同様に動作します。
なお、IPアドレスリストは、“yes”、“no”のそれぞれの場合で最大3つまで指定できます。
注意事項
ping監視を停止してから実行してください。ping監視の停止は、offサブコマンドを使用します。詳細は、“6.2.4.6 off”を参照してください。
本コマンドは、セーフモードでは使用できません。
使用例
例1
物理アダプター(ローカル エリア接続 1)が運用アダプターの場合に、192.168.10.10をping監視先として設定します。
> hanetpoll create -t "ローカル エリア接続 1" -p 192.168.10.10 |
例2
物理アダプター(ローカル エリア接続 2)が運用アダプターの場合に、192.168.10.10と192.168.10.20をping監視先として設定します。
> hanetpoll create -t "ローカル エリア接続 2" -p 192.168.10.10,192.168.10.20 |
例3
物理アダプター(ローカル エリア接続 1)が運用アダプターの場合に、192.168.10.10と192.168.2.2(通信相手システム)をping監視先とし、ping監視による異常が検出された場合に、ネットワークアダプターの切替えを行わない設定をします。
> hanetpoll create -t "ローカル エリア接続 1" -p 192.168.10.10,192.168.2.2 -f no |
例4
“ローカル エリア接続 ”を省略して、物理アダプター(ローカル エリア接続 1)が運用アダプターの場合に、192.168.10.10をping監視先として設定します。
> hanetpoll create -t 1 -p 192.168.10.10 |
例5
192.168.10.10または192.168.10.20のいずれかが故障した場合、切替えを行います。
> hanetpoll create -t 1 -p 192.168.10.10 > hanetpoll create -t 1 -p 192.168.10.20 |
例6
192.168.10.10と192.168.10.20の両方が故障、または、192.168.10.30と192.168.10.40の両方が故障した場合、切替えを行います。
> hanetpoll create -t 1 -p 192.168.10.10,192.168.10.20 > hanetpoll create -t 1 -p 192.168.10.30,192.168.10.40 |
pingの監視先の設定を削除するには、deleteサブコマンドを使用します。
形式
hanetpoll delete -t {adapter|all}
機能説明
ping監視先の設定を削除します。
オプション
-t adapter
ping監視の設定を行った物理アダプター名を指定します。物理アダプター名の“ローカル エリア接続 ”の文字列を省略して指定することができます。
省略しない場合(通常指定)
> hanetpoll delete -t "ローカル エリア接続 1" |
省略する場合
> hanetpoll delete -t 1 |
以下に、Windows上で表示されるアダプター名と、GLSのコマンドでの省略形を示します。
Windows上でのアダプター名 | GLSのコマンド指定時の省略形 |
---|---|
“ローカル エリア接続” | 0 |
“ローカル エリア接続 0” | 省略なし |
“ローカル エリア接続 1” | 1 |
“ローカル エリア接続 2” | 2 |
-t all
すべてのping監視の設定を削除する場合に指定します。
注意事項
ping監視を停止してから実行してください。ping監視の停止は、offサブコマンドを使用します。詳細は、“6.2.4.6 off”を参照してください。
使用例
例1
物理アダプター(ローカル エリア接続 1)のping監視の設定を削除します。
> hanetpoll delete -t "ローカル エリア接続 1" |
例2
すべての物理アダプターに対するping監視の設定を削除します。
> hanetpoll delete -t all |
ping監視先の設定内容を表示するには、printサブコマンドを使用します。
形式
hanetpoll print
機能説明
ping監視先の設定内容を表示します。
出力形式
以下に出力形式を示します。
> hanetpoll print Polling Status = ON interval(idle) = 3( 60) sec times = 5 times Adapter Fo Target ip +-------------------------------+---+-----------------------------------------+ ローカル エリア接続 1 YES 192.168.10.10 ローカル エリア接続 1 NO 192.168.10.100 ローカル エリア接続 2 YES 192.168.10.20 ローカル エリア接続 2 NO 192.168.10.100 |
以下に出力項目の意味を示します。
出力項目 | 内容 | |
---|---|---|
Polling Status | ping監視の状態 | |
ON | 監視が有効です。 | |
OFF | 監視が無効です。 | |
interval(idle) | ping監視の間隔(監視開始までの待機時間) | |
interval | pingの監視間隔です。 | |
idle | ping監視開始直後から監視状態のチェックを始めるまでの待ち時間です。 | |
times | pingにより異常と判断するまでの最大実行回数 | |
Adapter | 物理アダプター名 | |
Fo | ping監視による異常が検出された場合の切替え設定 | |
YES | ping監視による異常が検出された場合、ネットワークアダプターを切り替えます。 | |
NO | ping監視による異常が検出された場合、ネットワークアダプターを切り替えません。異常の検出は、メッセージによってユーザーに通知します。 | |
Target ip | ping監視の監視先のIPアドレス |
ping監視の監視時間を設定するには、paramサブコマンドを使用します。
形式
hanetpoll param [-s sec|-c times|-p sec]
機能説明
ping監視の監視時間を設定します。
オプション
-s sec
pingを送信する間隔を指定します。設定可能な範囲は1~300秒です。ただし、本オプションと-cオプションの積が300以内になるよう設定する必要があります。
初期値は3秒です。なお、本オプションを省略した場合、前回の設定値が有効になります。
-c times
ネットワークに異常が発生したと判断するまでのping実行回数を指定します。設定可能な範囲は、1~300回です。ただし、本オプションと-sオプションの積が300以内になるよう設定する必要があります。
初期値は5回です。なお、本オプションを省略した場合、前回の設定値が有効になります。
-p sec
ping監視の開始から最初の監視先へのチェックを行うまでの待ち時間を設定します。設定可能な範囲は、1~300秒です。
監視間隔(-sオプション)と監視回数(-cオプション)の積よりも値が小さい場合は、本オプションで設定された時間は無視され、-sオプションと-cオプションで設定されている時間が採用されます。初期値は60秒です。
注意事項
ping監視を停止してから実行してください。ping監視の停止は、offサブコマンドを使用します。詳細は、“6.2.4.6 off”を参照してください。
-sオプションと-cオプションの積が300以内になるように設定してください。
監視間隔と監視回数は短く設定しないでください。短く設定すると、ネットワークでパケットロストが発生した場合、ネットワークが正常にもかかわらず、ping監視が異常になることがあります。
以下を目安にして設定してください。
L3スイッチ(ルータ)の先にあるネットワーク機器をpingの監視先にする場合
3秒間隔×5回
同一ネットワーク内にあるネットワーク機器をpingの監視先にする場合
2秒間隔×5回
本コマンドは、セーフモードでは使用できません。
使用例
例
ping監視の監視間隔を2秒に設定します。
> hanetpoll param -s 2 |
ping監視を開始するには、onサブコマンドを使用します。
形式
hanetpoll on
機能説明
ping監視を開始します。
注意事項
ping監視を開始する前に、すべての仮想アダプターに対してIPアドレスが設定されているか確認してください。
本コマンドは、セーフモードでは使用できません。
使用例
ping監視を開始にします。
> hanetpoll on |
ping監視を停止するには、offサブコマンドを使用します。
形式
hanetpoll off
機能説明
ping監視を停止します。
使用例
ping監視を停止します。
> hanetpoll off |
注意事項
本コマンドは、セーフモードでは使用できません。