クラスタシステム:SunClusterが1:1の運用待機構成である場合の設定方法について説明します。
以下に設定手順を図に示します。
注意
Systemwalker for OracleおよびSunClusterのコマンドを実行する際は、スーパーユーザ(root)で実行する必要があります。
本項の設定手順では、以下のように構成されているクラスタシステムに対してSystemwalker for Oracleのクラスタ環境設定を実施する場合を例としています。
クラスタシステム上のデータサービスに2つのOracleインスタンスが定義・管理されている
[図4:クラスタシステムリソース構成図(運用待機)]
環境設定手順で使用するOracleのリソース情報は、以下の情報を例としています。
[表6-1:データサービスに登録されているリソース情報(Oracle)]
リソースグループ名 | USER_APP1 | |
Oracleクラスタリソース1 | リソース名 | ORACLE_APP1 |
インスタンスのSID名 | ora10_ins1 | |
Oracleクラスタリソース2 | リソース名 | ORACLE_APP2 |
インスタンスのSID名 | ora10_ins2 |
クラスタシステムに登録するSystemwalker for Oracleのリソース情報には以下の情報を設定してください。
[表6-2:データサービスに登録するリソース情報(Systemwalker for Oracle)]
リソースタイプ | MPOR |
リソース名 | FJSVmpor |
リソースタイプ登録ファイル | /opt/FJSVmpor/sample/cluster/suncl/hot/sfosc30_rsc |
Systemwalker for Oracleのクラスタ環境設定コマンドを実行します。
以下のコマンドを実行してください。
コマンドは運用系および待機系ノードで実行してください。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporsetclst -s suncluster3 -t hot_standby <ENTER> |
クラスタ環境設定コマンドの実行後、以下を実行してクラスタ環境設定の設定状態を確認してください。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporsetclst -v <ENTER> mporsetclst : mporsetclst information. Configured cluster system on suncluster3. (The cluster configuration is ‘hot_standby’.) |
suncluster3:クラスタシステムが「SunCluster」で設定されていることを示しています。
hot_standby:運用モードが「運用待機モード」で設定されていることを示しています。
データサービスへSystemwalker for Oracleのクラスタリソースを登録します。
以下を実行してください。
# /opt/FJSVmpor/bin/mpor_setrc_sun3.sh <リソースグループ名> <Systemwalker for Oracleのリソース名> <Systemwalker for Oracleのリソースタイプ> <Systemwalker for Oracleのリソースタイプ登録ファイルパス> <ENTER> |
[パラメタ説明]
リソースグループ名
監視対象のOracleインスタンスのデータサービスが登録されており、かつ、Systemwalker for Oracleのリソースを登録するリソースグループ名を指定します。
リソースグループ名はSunClusterのscstatコマンドで確認可能です。
Systemwalker for Oracleのリソース名
リソースグループに登録するSystemwalker for Oracleのリソース名を指定します。
Systemwalker for Oracleのリソースタイプ
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースのリソースタイプ名を指定します。
Systemwalker for Oracleのリソースタイプ登録ファイルパス
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースのリソースタイプ登録ファイルをフルパスで指定します。
実行例を以下に示します。
以下の例では、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表6-1:データサービスに登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
クラスタシステムに登録するSystemwalker for Oracleのリソース情報は、[表6-2:データサービスに登録するリソース情報(Systemwalker for Oracle)]の内容を設定してください。
# /opt/FJSVmpor/bin/mpor_setrc_sun3.sh USER_APP1 FJSVmpor MPOR /opt/FJSVmpor/sample/cluster/suncl/hot/sfosc30_rsc <ENTER> |
監視対象とするOracleの構成(アラートログファイル格納先ディレクトリ、トレースファイル格納先ディレクトリ)によって、Systemwalker for Oracleの内部データを格納するために、共有ディスク上(ファイルシステム)に存在する領域(約300KB)が必要となります。共有ディスクを必要とするか否かについては、以下の項を参照してください。
Systemwalker for Oracleの内部データを格納するための共有ディスク上の領域は、すでに存在する共有ディスク上の領域を使用することも可能です。また、Systemwalker for Oracle専用に共有ディスク上の領域を作成・使用する場合、事前に共有ディスクに対する論理ボリューム作成操作等が必要となります。共有ディスクに関する設定方法については、SunClusterのマニュアルを参照してください。
注意
共有ディスクの論理ボリュームについて
Systemwalker for Oracleが内部データを格納するために使用する共有ディスクの論理ボリュームは、Oracleパッケージのフェールオーバ等のノード切り替え時に追従し、切り替え先ノードで使用可能となるように制御される必要がありますので注意してください。
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースが登録されたことを確認します。
クラスタリソースの登録確認は、クラスタシステムのscstatコマンドを使用します。
“3.2.1.2 データサービスへの登録[運用系/待機系のいずれかのノードでの操作]”の操作で指定したSystemwalker for Oracleのクラスタリソースが存在し、指定したリソースグループに登録されていることを確認してください。
以下にscstatコマンドの実行結果例を示します。
実行結果例は、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表6-1:データサービスに登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
また、クラスタシステムに登録したSystemwalker for Oracleのリソース情報は、[表6-2:データサービスに登録するリソース情報(Systemwalker for Oracle)]の内容である場合を例としています。
なお、表示される情報は、クラスタシステムに登録されているデータサービスおよびクラスタリソースの設定によって表示内容は異なります。
# /usr/cluster/bin/scstat -g <ENTER> -- Resource Groups and Resources -- Group Name Resources ---------- --------- Resources: USER_APP1 jpsuncls1 ORACLE_APP1 ORACLE_APP2 FJSVmpor } (*1) -- Resource Groups -- Group Name Node Name State ---------- --------- ----- Group: USER_APP1 mpor01 Online Group: USER_APP1 mpor02 Offline -- Resources -- Resource Name Node Name State Status Message ------------- --------- ----- -------------- Resource: jpsuncls1 mpor01 Online Online - LogicalHostname online Resource: jpsuncls1 mpor02 Offline Offline Resource: FJSVmpor mpor01 Offline Offline } (*2) Resource: FJSVmpor mpor02 Offline Offline } (*2) Resource: ORACLE_APP1 mpor01 Online Online Resource: ORACLE_APP1 mpor02 Offline Offline Resource: ORACLE_APP2 mpor01 Online Online Resource: ORACLE_APP2 mpor02 Offline Offline |
(*1)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor」が 監視対象のOracleデータベースのデータサービス(本例では「ORACLE_APP1」および「ORACLE_APP2」)が登録されているリソースグループ(本例では「USER_APP1」)に登録されているか確認してください。
(*2)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor」が クラスタシステムの各ノードに登録されているか確認してください。
Systemwalker for Oracleのデータサービスを開始します。
データサービスの起動はクラスタシステムのscswitchコマンドを使用し、“3.2.1.2 データサービスへの登録[運用系/待機系のいずれかのノードでの操作]”を行ったノードで行います。
# /usr/cluster/bin/scswitch -e -j <Systemwalker for Oracleリソース名> <ENTER> |
“3.2.1.2 データサービスへの登録[運用系/待機系のいずれかのノードでの操作]”で指定したSystemwalker for Oracleのリソース名を指定します。
以下を実行してください。
# /usr/cluster/bin/scswitch -e -j FJSVmpor <ENTER> |
注意
データサービスを開始した際の注意事項
データサービスを開始した場合、SystemwalkerコンソールにSystemwalker for OracleのOracle環境情報が作成されていないことを示す、「FOR-00416 Oracle環境情報の設定をしてください。」または「FOR-05000 Oracle environment information has not been configured.」のメッセージが通知される場合がありますが、無視してください。
Systemwalker for Oracleのクラスタリソースが起動されていることを確認します。
クラスタリソースの起動確認は、クラスタシステムのscstatコマンドを使用します。
以下にscstatコマンドの実行結果を示します。
以下の例では、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表6-1:データサービスに登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
また、クラスタシステムに登録したSystemwalker for Oracleのリソース情報が[表6-2:データサービスに登録するリソース情報(Systemwalker for Oracle)]の内容である場合を例としています。
なお、表示される情報は、クラスタシステムに登録されているデータサービスおよびクラスタリソースの設定によって表示内容は異なります。
# /usr/cluster/bin/scstat -g <ENTER> -- Resource Groups and Resources -- Group Name Resources ---------- --------- Resources: USER_APP1 jpsuncls1 ORACLE_APP1 ORACLE_APP2 FJSVmpor -- Resource Groups -- Group Name Node Name State ---------- --------- ----- Group: USER_APP1 mpor01 Online Group: USER_APP1 mpor02 Offline -- Resources -- Resource Name Node Name State Status Message ------------- --------- ----- -------------- Resource: jpsuncls1 mpor01 Online Online - LogicalHostname online Resource: jpsuncls1 mpor02 Offline Offline Resource: FJSVmpor mpor01 Online Online } (*) Resource: FJSVmpor mpor02 Offline Offline } (*) Resource: ORACLE_APP1 mpor01 Online Online Resource: ORACLE_APP1 mpor02 Offline Offline Resource: ORACLE_APP2 mpor01 Online Online Resource: ORACLE_APP2 mpor02 Offline Offline |
(*)Systemwalker for Oracleのクラスタリソース「FJSVmpor」が運用系ノード「mpor01」ではOnline状態であり、待機系ノード「mpor02」ではOffline状態であることを確認します。
以下の手順でクラスタリソース情報の設定を実行してください。
クラスタシステムリソース情報の確認
Systemwalker for Oracleのリソースが登録されているデータサービスの情報を確認します。データサービスの情報確認は、クラスタシステムのscstatコマンドで行います。
scstatコマンドの実行結果については、“3.2.1.6 クラスタリソースの起動確認[「データサービスの開始」を行ったノードでの操作]”を参照してください。
“3.2.1.6 クラスタリソースの起動確認[「データサービスの開始」を行ったノードでの操作]”の結果からは、リソースグループ名が「USER_APP1」、Systemwalker for Oracleのクラスタリソース名が「FJSVmpor」であることが確認できます。
クラスタリソース定義ファイルの作成
クラスタシステムに登録されたSystemwalker for Oracleのクラスタリソースの情報を定義する外部ファイルを「クラスタリソース定義ファイル」とよびます。
クラスタリソース定義ファイルは、業務サーバ上でサンプルファイルを複写して作成してください。
クラスタリソース定義ファイルは、以下のコマンドで複写して作成します。
コマンドはスーパーユーザ(root)で実施する必要があります。
# cp -p /opt/FJSVmpor/sample/cluster/swfo-cl.env \ |
注意
クラスタリソース定義ファイルを作成する際の注意事項
製品のインストールを行ってもクラスタリソース定義ファイルは存在しません。
必ずサンプルファイルを複写してクラスタリソース定義ファイルを作成してください。
クラスタリソース定義ファイルのサンプルファイル(/opt/FJSVmpor/sample/cluster/swfo-cl.env)は、削除しないでください。
クラスタリソース定義ファイルの属性、権限、およびオーナー情報は、サンプルファイルと同じにしてください(必ず、-pオプションで複写してください)。
クラスタリソース定義ファイルの修正
クラスタリソース定義ファイルには、Systemwalker for Oracleのクラスタリソースが登録されている「リソースグループ名」、Systemwalker for Oracleの「リソース名」、およびSystemwalker for Oracleが監視対象とする「Oracle SID名」の情報を設定します。
注意
クラスタリソース定義ファイルを修正する際の注意事項
設定する各項目は必ずコロン(:)で区切って設定してください。
クラスタリソース定義ファイルの文字コードはASCIIコードで指定します。
行の最後には必ず改行を設定してください。
セミコロン(;)から始まる行はコメント行となります。
行の途中からコメントを記入することはできません。
空白行は挿入可能です。
各定義は以下の形式で設定します。
USER_APP_NAME:FOR_ORACLE_RESOURCE_NAME:ORACLE_SID <改行> |
以下に設定項目の詳細を示します。
項目 | 説明 |
USER_APP_NAME | Systemwalker for Oracleのリソースが登録されているリソースグループ名を指定します。“3.2.1.2 データサービスへの登録[運用系/待機系のいずれかのノードでの操作]”で追加したリソースグループ名を指定してください |
FOR_ORACLE_RESOURCE_NAME | 上記のリソースグループに登録したSystemwalker for Oracleのリソース名を指定します。 「1.クラスタシステムリソース情報の確認」の操作で確認したSystemwalker for Oracleのクラスタリソース名を指定してください。 |
ORACLE_SID | Systemwalker for Oracleで監視するOracleインスタンスのORACLE_SIDを指定してください。 |
以下に、クラスタリソース情報ファイルの設定例を示します。
以下の例では、クラスタシステムに登録されているOracleのリソース情報が[表6-1:データサービスに登録されているリソース情報(Oracle)]の内容である場合を示しています。
また、クラスタシステムに登録したSystemwalker for Oracleのリソース情報が[表6-2:データサービスに登録するリソース情報(Systemwalker for Oracle)]の内容である場合を例としています。
USER_APP1:FJSVmpor:ora10_ins1<改行> |
クラスタリソース定義ファイルの確認
作成および修正したクラスタリソース定義ファイルの内容確認を以下のコマンドを実行して行います。
なお、クラスタリソース定義ファイルの確認を実施する場合、両ノードでデータサービスが起動されている必要があります。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporclst_check <ENTER> |
各々のノードで確認コマンドを実行した結果の例を以下に示します。
注意
クラスタリソース定義ファイル確認時の注意
実行結果の表示内容は、クラスタシステムのデータサービスの状態によって異なります。
本コマンドはリソース定義行内に指定されたOracle SIDが実際に存在するか否かの確認までは行いません。本コマンドの実行結果の[Oracle SID]のフィールドに表示された内容で確認を行ってください。
例
[例1]運用系ノードで、リソースグループ(USER_APP1)がOnline状態である場合
以下は、運用系ノードで、リソースグループ(USER_APP1)がOnline状態である場合を示しています。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporclst_check <ENTER> ============================================================= Determine cluster system status ============================================================= [ Cluster Service name : USER_APP1 ] ← ソースグループ名 [ for Oracle resource name : FJSVmpor ] ← Systemwalker for Oracleのリソース名 [ Oracle SID : ora10_ins1 ] ← 監視対象のOracleのOracle SID名 Cluster system is currently Online. (1) ← データサービスの状態 ------------------------------------------------------------ [ Cluster Service name : USER_APP1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor ] [ Oracle SID : ora10_ins2 ] Cluster system is currently Online. (1) |
例
[例2]待機系ノードで、リソースグループ(USER_APP1)がOffline状態である場合
以下は、待機系ノードで、リソースグループ(USER_APP1)がOffline状態である場合を示しています。
# /opt/FJSVmpor/bin/mporclst_check <ENTER> ============================================================= Determine cluster system status ============================================================= [ Cluster Service name : USER_APP1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor ] [ Oracle SID : ora10_ins1 ] Cluster system is currently Offline. (0) ------------------------------------------------------------ [ Cluster Service name : USER_APP1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor ] [ Oracle SID : ora10_ins2 ] Cluster system is currently Offline. (0) |
注意
クラスタリソース定義ファイルの設定に誤りがある場合
クラスタリソース定義ファイルの設定に誤りがある場合、指定された情報に誤りがある旨のメッセージが通知されます。
通知されたメッセージを確認後、再度クラスタリソース定義ファイルを修正してください。
以下に例を示します。
リソースグループ名またはSystemwalker for Oracleのリソース名の指定に誤りがある場合
: [ Cluster Service name : Application1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor ] [ Oracle SID : ora10_ins1 ] The specified resource ‘Application1’ does not exist. ← リソースグループ「Application1」が存在しない ------------------------------------------------------------ : [ Cluster Service name : USER_APP1 ] [ for Oracle resource name : FJSVmpor_APP1 ] [ Oracle SID : ora10_ins2 ] The specified resource ‘FJSVmpor_APP1’ does not exist. ← リソース「FJSVmpor_APP1」が存在しない |
クラスタリソース定義ファイルが存在しない、またはサイズがゼロである場合
============================================================= Determine cluster system status ============================================================= Cannot find the cluster resource file 'swfo-cl.env'. |
クラスタリソース定義ファイル内に有効な定義情報が存在しない場合
(リソース定義行が全てコメントアウトされている場合)
============================================================= Determine cluster system status ============================================================= Cluster resource is not defined. Check the cluster resource file 'swfo-cl.env'. |
注意
クラスタ環境設定コマンドの実行(設定)が未実施の場合
“3.2.1.1 クラスタ環境設定コマンドの実行(設定)[運用系/待機系ノードでの操作]”が未実施の場合、以下に示すメッセージが通知されます。“3.2.1.1 クラスタ環境設定コマンドの実行(設定)[運用系/待機系ノードでの操作]”を実施してください。その他の手順については再度実施する必要はありません。
============================================================= |