ここではSolarisサーバとLinuxサーバの設定情報が共通であるため、SolarisとLinuxを合わせてUNIXと記述しています。
UNIXアプリケーションのリモート開発時に、UNIXサーバ側の設定が必要な環境変数の詳細と、その設定方法について説明します。
コード変換
アプリケーション資産の送受信に必要なコード変換をUNIXサーバ側のInterstage Charset Managerを使用する場合には、次に示す環境変数を設定する必要があります。なお、以下の説明では、{CHARSET_BASED}がInterstage Charset Managerのインストール先を示すものとして説明します。
LD_LIBRARY_PATH
Interstage Charset Managerの共用ライブラリを格納したパスを指定するために、以下の指定を環境変数LD_LIBRARY_PATHに追加します。
${CHARSET_BASED}/lib
ビルド
リモート開発のビルドは、UNIXサーバ側のcobol翻訳コマンドを使用して、COBOLアプリケーションの翻訳・リンクが行われます。このため、次に示す4つの環境変数の指定は必須です。なお、以下の説明では、{COB_BASED}がNetCOBOLのインストール先を示すものとして説明します。
PATH
cobol翻訳コマンドの格納パスを指定するため、以下の指定を環境変数PATHに追加します。
${COB_BASED}/bin
LD_LIBRARY_PATH
COBOLランタイムの共用ライブラリを格納したパスを指定するために、以下の指定を環境変数LD_LIBRARY_PATHに追加します。
${COB_BASED}/lib
NLS_PATH
COBOL翻訳時およびCOBOLアプリケーション実行時に出力されるメッセージの格納先を指定するため、以下の指定を環境変数NLS_PATHに追加します。
${COB_BASED}/lib/nls/%L/%N.cat:{COB_BASED}/lib/nls/C/%N.cat
LANG
COBOLアプリケーションで使用する文字コード系を指定します。翻訳時はこの指定がCOBOLソース中の日本語文字の有無とそのコード系の判定に使用されます。
COBOLアプリケーションで使用する文字コード系環境変数LANGの指定値を以下に示します。
システム | 日本語の使用の有無と文字コード | |||
---|---|---|---|---|
無し | 有り | |||
EUC | Shift_JIS | Unicode(UTF8) | ||
Solaris | C | ja | ja_JP.PCK | ja_JP.UTF-8 |
Linux(x86) | C | ja_JP.eucJP | - | ja_JP.UTF-8 |
Linux(Itanium) | C | ja_JP.eucJP | - | ja_JP.UTF-8 |
Linux(x64) | C | - | ja_JP.WINDOWS-31J | ja_JP.UTF-8 |
LANGを除く環境変数の設定は、そのためのシェルスクリプトが各UNIX系システムのNetCOBOL製品に用意されており、通常はそれを使用します。
翻訳・リンク時に必須の環境変数を設定するためのシェルスクリプトを以下に示します。
システム | 格納場所 | ファイル名 | 備考 |
---|---|---|---|
Solaris | /opt/FJSVcbl/config | cobol.csh | csh用 |
Linux(x86) | /opt/FJSVcbl/config | cobol.sh | sh/bash用 |
Linux(Itanium) | cobol.csh | csh/tcsh用 | |
Linux(x64) | /opt/FJSVcbl64/config | cobol.sh | sh/bash用 |
cobol.csh | csh/tcsh用 |
その他、必要に応じて次のような環境変数を指定します。詳細はサーバの"NetCOBOL 使用手引書"を参照してください。
COBOLOPTS
開発対象の個々のアプリケーションに依存せず共通に指定する必要のある翻訳オプションがある場合、この環境変数を使用します。次のようなオプションを指定するのに有効です。
COBOLのデバッグ機能に関するオプション
翻訳リストに関するオプション
COBCOPY/FORMLIB/FILELIB
複数の開発者が共用する必要があるCOBOL登録集、画面帳票定義体、ファイル定義体などがある場合、その格納ディレクトリを指定します。
登録集名
IN/OFで指定した登録集名を環境変数名とした環境変数に、登録集ファイルの格納されているディレクトリを設定します。
環境変数設定用のシェルスクリプト例
ここでは、設定する必要のある環境変数が次のようであると仮定して、その環境変数を設定するためのスクリプトの例を示します。
資産の転送時に関係する環境変数
サーバ側でInterstage Charset Managerを使用するための設定を環境変数LD_LIBRARY_PATHに追加する。
ビルドに関係する環境変数
COBOLアプリケーションの翻訳・リンクに必須の環境変数は、NetCOBOLで提供されているシェルスクリプトで設定する。
開発対象のアプリケーションが使用する文字コードはEUCとし、それを環境変数LANGに指定する。
COBOLソースの翻訳リストは、共通のフォルダに保存する。
開発者が共通して参照する登録集の格納フォルダを指定する。
Solarisサーバを使用してリモート開発する場合、ログインシェルとしてcshを使用する必要があります。各開発者の使用するホームディレクトリにある".cshrc"に以下のテキストを追加編集してください。
Solarisサーバでの".cshrc"への修正例を示します。
## COBOL環境設定 source /opt/FJSVcbl/config/cobol.csh ## Interstage Charset Managerのための環境設定 if(${?LD_LIBRARY_PATH}) then setenv LD_LIBRARY_PATH /opt/FSUNiconv/lib:${LD_LIBRARY_PATH} else setenv LD_LIBRARY_PATH /opt/FSUNiconv/lib endif ## 開発者共通の翻訳・リンク時設定 setenv COBOLOPTS "-dp ../list" setenv COBCOPY ../COPYLIB:${COBCOPY} ## 開発対象アプリケーションの使用する文字コード setenv LANG ja
Linuxサーバを使用してリモート開発する場合、ログインシェルとしてcshまたはbashを使用できます。
ログインシェルとしてcshを使用する場合、各開発者の使用するホームディレクトリにある".cshrc"に以下のテキストを追加編集してください。
".cshrc"への修正例を示します。
## COBOL環境設定 source /opt/FJSVcbl/config/cobol.csh ## Interstage Charset Managerのための環境設定 if(${?LD_LIBRARY_PATH}) then setenv LD_LIBRARY_PATH /opt/FSUNiconv/lib:${LD_LIBRARY_PATH} else setenv LD_LIBRARY_PATH /opt/FSUNiconv/lib endif ## 開発者共通の翻訳・リンク時設定 setenv COBOLOPTS "-dp ../list" setenv COBCOPY ../COPYLIB:${COBCOPY} ## 開発対象アプリケーションの使用する文字コード setenv LANG ja_JP.eucJP
ログインシェルとしてbashを使用する場合、各開発者の使用するホームディレクトリにある".bashrc"に以下のテキストを追加編集してください。
".bashrc"への修正例を示します。
## COBOL環境設定 source /opt/FJSVcbl/config/cobol.sh ## Interstage Charset Managerのための環境設定 if [ ${LD_LIBRARY_PATH:-""} = "" ] ; then LD_LIBRARY_PATH=/opt/FSUNiconv/lib; export LD_LIBRARY_PATH else LD_LIBRARY_PATH=/opt/FSUNiconv/lib:${LD_LIBRARY_PATH};export LD_LIBRARY_PATH fi ## 開発者共通の翻訳・リンク時設定 COBOLOPTS="-dp ../list";export COBOLOPTS COBCOPY=../COPYLIB:${COBCOPY}; export COBCOPY ## 開発対象アプリケーションの使用する文字コード LANG=ja_JP.eucJP; export LANG
Windowsサーバを使用してリモート開発を行う場合、サーバ環境上のユーザアカウントを使って開発作業が実行されます。リモート開発作業のために既存のユーザアカウントを使用しない場合は、リモート開発用の新規ユーザアカウントをサーバ環境上に作成する必要があります。新規ユーザアカウントを作成するには、そのサーバの管理者に相談してください。一般に、サーバのローカルユーザアカウントを追加する場合は、管理者アカウントでサーバにログオンし、[スタート] > [管理ツール] > [コンピュータの管理]を選択して[コンピュータの管理]を表示し、その中の[ローカルユーザとグループ]を使用します。
リモート開発の作業のために追加の環境設定が必要になった場合は、そのユーザアカウントの環境に設定を追加してください。
注意
ユーザアカウントはユーザグループのメンバーとして登録してください。
ローカルPCからサーバへの接続時にパスワードの変更はできません。このため、ユーザアカウントの設定で、ローカルPCからサーバへ接続するときにパスワードを変更する設定はしないでください。
Windows(Itanium)の場合
ユーザアカウントの環境変数に、NetCOBOLおよびMicrosoft Platform SDKの情報を設定する必要があります。設定する情報は使用するソフトウェア開発キットにより違いがあります。
環境変数と設定する値を、次の表に示します。
"%NetCOBOL%"はNetCOBOLのインストール先フォルダ名です。
"%MSSdk%"はMicrosoft Platform SDKのインストール先フォルダ名です。
環境変数名 | 設定する値 |
---|---|
Path | %NetCOBOL% |
Lib | %MSSdk%\Lib\IA64 |
Include | %MSSdk%\Include\crt |
環境変数と設定する値を、次の表に示します。
"%NetCOBOL%"はNetCOBOLのインストール先フォルダ名です。
"%MSSdk%"と"%VCRoot%"はWindows SDK for Windows Server 2008 and .NET Framework 3.5 (V6.1)のインストール先フォルダ名です。"%MSSdk%"と"%VCRoot%"のデフォルトインストール先は以下になります。
%MSSdk%: C:\Program Files\Microsoft SDKs\Windows\v6.1 %VCRoot%: C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio 9.0\VC
環境変数名 | 設定する値 |
---|---|
Path | %NetCOBOL% |
Lib | %MSSdk%\Lib\IA64 |
Include | %MSSdk%\Include |
注意
ソフトウェア開発キットのインストール先のパス名に含まれるフォルダ名"IA64"は、サーバのCPUアーキテクチャにより"x64"、"amd64"などになっている場合があります。このため、ソフトウェア開発キットのインストール先のパス名を確認してから設定してください。
Windows(x64)の場合
ユーザアカウントの"PATH"環境変数にNetCOBOLのインストール先フォルダ名を設定します。リモートビルドはサーバ側NetCOBOLの"NetCOBOLコマンドプロンプト"と同じ環境で実行されます。