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Interstage Application Server 運用ガイド(基本編)

3.3.1 基本的な設計項目

  マルチサーバ管理機能を使用してサイトを運用する場合の基本的な設計項目について説明します。


■ 資源と配置先の関係

  マルチサーバ管理機能では、一括操作機能の対象となるサービスやワークユニットなどの資源に対して、配置先を指定します。配置先は、サーバグループまたは単体運用の管理対象サーバです。



  配置先を指定することにより、その資源の操作対象サーバが決定されます。
  同一の業務を運用するサーバ群を、一つのサーバグループとして管理することにより、そのサーバ群に対して、一括した運用管理を行うことができます。また、IJServerは、多階層(Webサーバ、Servletコンテナ、EJBコンテナ)で構成されることがありますが、このような場合に、階層ごとにサーバグループを構成して配置することにより、一つのIJServerとして運用管理を行うことができます。

  たとえば、ワークユニットAの配置先をサーバグループAとした場合、ワークユニットAはサーバグループAに所属するすべての管理対象サーバに配置されます。このワークユニットAに対する起動操作を行うと、サーバグループAに所属する各管理対象サーバ上に配置されたワークユニットAをすべて起動できます。



  Interstageシステムなどのように、サーバに対して1対1で存在する資源の場合、サーバグループや単体運用の管理対象サーバが、直接の操作対象となります。
  たとえば、サーバグループAに対してシステムの環境設定を更新した場合は、サーバグループAに所属するすべての管理対象サーバのシステム環境設定が更新されます。



■ 異なるバージョンのInterstageがインストールされている配置先の資源

  マルチサーバ管理機能では、管理サーバのバージョンを含めて、5世代古いバージョンの管理対象サーバ(管理サーバのバージョンがV12.0の場合、バージョンがV8.0以上のサーバ)を同時に管理できます。

  Interstageの資源は、インストールされているバージョンにより機能範囲が異なる場合があります。この場合、資源の機能範囲は、指定された配置先にインストールされているInterstageのバージョンの機能範囲となります。たとえば、Interstage V7.0の配置先に配置されたIJServerはInterstage V7.0の機能範囲となり、Interstage V8.0の配置先に配置されたIJServerはInterstage V8.0の機能範囲となります。


  IJServerは、多階層(Webサーバ、Servletコンテナ、EJBコンテナ)で構成され複数のサーバグループまたは単体運用の管理対象サーバを配置先とすることがあります。この場合、IJServerの配置先はすべて同じバージョンのInterstageがインストールされている必要があります。


■ サイト内の同名資源の扱い

  ワークユニットなどのように名前を付けることができる資源は、配置先を分けることで、サイト内に同名の資源を複数作成できます。この場合、資源名は同名でも別の資源として管理されます。
  したがって、業務内容の異なる同名のワークユニットでも、同一サイト内で運用することができます。



リレーション(ライン型/メッシュ型/IPCOMを使用する)

  IJServerを多階層システムで運用する場合、各階層のサーバ間の連携方式(リレーション)を以下の方式から選択します。


ライン型

  ライン型は、前段のサーバグループに所属する管理対象サーバと、後段のサーバグループに所属する管理対象サーバを1対1で関連付ける方式です。関連付けられる管理対象サーバは、サーバグループ内通番が同じ管理対象サーバです。業務データは、関連付けられたサーバ間で通信されます。
  ライン型は、IJServerを運用する以下のサーバ間で指定できます。

  • Webサーバ(Webサーバコネクタ)とServletコンテナの間

  • ServletコンテナとEJBコンテナの間


  ライン型で1対1に関連付けられた管理対象サーバのうち、一方をサーバグループから削除した場合は、削除された管理対象サーバに割り当てられたグループ内通番は欠番となるため、関連付けが解除されます。ライン型のリレーションを選択したサーバグループ間で、関連付けられた対象が存在しない管理対象サーバは、一括操作によるIJServerワークユニットの起動/停止操作時に操作対象外となります。


メッシュ型

  メッシュ型は、前段のサーバグループに所属する管理対象サーバと、後段のサーバグループに所属する管理対象サーバを網羅的にn対mで関連付ける方式です。業務データは、前段のサーバから後段のサーバ群に対し、分散して通信します。
  メッシュ型は、IJServerを運用するWebサーバ(Webサーバコネクタ)とServletコンテナの間で指定できます。

  Webサーバ(Webサーバコネクタ)からServletコンテナへのリクエスト振り分けは、Webサーバごとに処理中リクエストが最も少ないところに振り分けられます。ただし、セション管理を使用している場合は、セションを生成したServletコンテナと同じServletコンテナに以降のリクエストも振り分けられます。


IPCOMを使用する

  IPCOMを使用して負荷分散を行う方式です。IPCOMを使用する場合は、前段のサーバグループに所属する管理対象サーバと後段のサーバグループに所属する管理対象サーバを網羅的にn対mで関連付ける方式です。業務データは、前段のサーバから後段のサーバ群に対し、分散して通信します。
  “IPCOMを使用する”は、以下のサーバ間で指定できます。

  • Webサーバ(Webサーバコネクタ)とServletコンテナの間

  • ServletコンテナとEJBコンテナの間



  ライン型、メッシュ型、IPCOMの使用は、サーバグループ間ごとに指定します。たとえば、WebサーバとServletコンテナ間はメッシュ型とし、ServletコンテナとEJBコンテナ間はライン型とするシステム構成を構築できます。


■ 業務LANのIPアドレスと管理LANのIPアドレス

  サイトに所属する管理対象サーバには、IJServerで業務を運用する場合に使用する業務LANのIPアドレスと、管理サーバから管理対象サーバを操作/管理するために使用する管理LANのIPアドレスを指定できます。
  業務用のLANと管理用のLANを分けた環境を構築して、マルチサーバ管理機能を運用する場合は、各LAN上のIPアドレスを指定します。このように、LANを分けない場合は、同一のIPアドレスを指定します。


IPアドレスの種類

説明

管理LANのIPアドレス

システムの運用管理のために使用するIPアドレスです。管理サーバが管理対象サーバのInterstage JMXサービスに対して要求を送信するときに、宛先のIPアドレスとして使用します。
プロトコルは、RMIまたはHTTPSを選択できます。
管理サーバのInterstage管理コンソールを操作した場合や、Interstage管理コンソールを操作しているサーバまたは管理サーバ上のIJServerの配備資源を配備する場合に使用します。
管理LANのIPアドレスは、IPv4だけ指定できます。

業務LANのIPアドレス

業務で使用するためのIPアドレスです。業務用のLANと管理用のLANを分ける場合は、業務用のLAN上のIPアドレスを指定します。
本IPアドレスは、IJServerを運用する場合に使用します(IJServerを多階層のサーバに跨って運用している場合などに、そのサーバ間の通信に使用されます)。
業務LANのIPアドレスは、IPv4だけ指定できます。



  管理対象サーバに複数のIPアドレスが存在する場合で、かつすべてのIPアドレスに対して、管理サーバからpingコマンドを実行しても接続できない場合は、管理対象サーバでisjmxchangedefコマンドを使用してInterstage JMXサービスをカストマイズする必要があります。isjmxchangedefコマンドの詳細については、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”の“isjmxchangedef”を参照してください。


■ 運用設計

  Interstage管理コンソールは、基本的に、以下のような開発や保守などのフェーズで使用します。

  業務の定常運用では、Systemwalkerなどの運用管理製品を使用して、管理サーバやサイトに所属する管理対象サーバの運用操作および監視を行うことを推奨します。


■ サイトへのサーバ追加時の認証について

  サイトにサーバを追加する場合、その操作者が追加対象サーバの管理者権限を持つ必要があります。本権限に対する認証は、サーバの追加操作時に、追加対象サーバの管理者権限を持つユーザのユーザ名・パスワードを指定することにより行われます。サーバの追加が成功した場合は、管理サーバのInterstage管理コンソールにログインすることにより、追加したサーバ(管理対象サーバ)に対して操作することができるようになります。
  なお、この認証は、サーバの追加操作時にだけ行われるため、サーバの追加操作完了後は、指定したユーザ名・パスワードを変更しても問題ありません。


  ユーザ名・パスワードには、JIS2004で追加になった文字を含む文字列は、指定できません。