災害対策(Disaster Recovery)システム構成における、リモートコピー(またはエクステンデット・リモート・アドバンスト・コピー)について説明します。
DR構成のリモートコピーは、災害などの障害時に備えて、ローカルサイトのETERNUS DX90とリモートサイトのETERNUS DX90との間でコピーを実行します。障害が発生した場合は、ローカルサイトのETERNUS DX90がリモートサイトのETERNUS DX90に切り替わるので、システムを継続して運用することができます。
リモートコピーには3つの動作モードがあり、運用形態にあわせて動作モードを選択します。動作モードの詳細は「B.7 リモートコピー(REC)」を参照してください。
また、データの転送距離が長い構成や、転送経路にWANを含む構成では、データの転送時間が長くなる場合があります。
同期モードでは、業務サーバの入出力要求の応答時間内に応答を返せないことがあります。
一方、非同期転送方式では、業務サーバの入出力要求の応答時間が短くなります。
このため、DR構成では、非同期転送方式のStackモードでリモートコピーを運用することを推奨します。
図6.9 DRシステム構成の概要図
リモートコピーは、以下の手順で実行してください。
リモートコピー(REC)を実行します。
リモートコピー(REC)の操作手順は以下のとおりです。
ここでは、非同期転送方式のStackモードで運用する場合の手順を記載します。
コピーを開始します。
Remote[REC]タブを開きます。
[アクション]ペインで[アドバンスト・コピー]-[順方向コピーの開始]を選択して、リモートコピー(REC)を実行します。
リモートコピーの操作モードを指定します。
転送モード
Splitモード
Recoveryモード
転送モードは、非同期転送方式である、Stack(Stackモード)またはConsist(Consistencyモード)の指定を推奨します。
反対方向のコピーを開始する場合は、[アドバンスト・コピー]-[逆方向コピーの開始]を選択してください。
進捗率が100%になるのを待ちます。
[進捗率]が"100%"となるのを確認してください。
コピーモードを変更します。
[アクション]ペインで[アドバンスト・コピー]-[コピーモード変更]を選択して、転送モードをThroughモードに変更します。
等価状態になるのを待ちます。
[状況]が"Paired"、かつ[進捗率]が"100%"になるのを確認してください。
コピーを一時中断します。
[アクション]ペインで[アドバンスト・コピー]-[一時中断]を選択して、コピーを一時中断します。
コンカレントサスペンドを実行する場合は、[コンカレントサスペンドを実行します。]にチェックを入れてください。
コピーモードを変更します。
[アクション]ペインで[アドバンスト・コピー]-[コピーモード変更]を選択して、転送モードをStack(Stackモード)またはConsist(Consistencyモード)に戻します。
コピーを再開します。
[アクション]ペインで[アドバンスト・コピー]-[再開]を選択し、コピーを再開します。
必要に応じて、手順2から手順7を繰り返してください。
ローカルサイトが被災した場合、リモートサイトで運用を継続します。ローカルサイトのコピーグループの定義をあらかじめ取り出しておき、リモートサイトに設置したExpressマネージャーに取り込むことができます。
以下の手順でコピーグループの定義を取り出します。この操作はローカルサイトで実施します。
注意
取り出せるコピーグループは、ETERNUS ディスクアレイがETERNUS DX90、かつコピーグループのタイプがRemote[REC]のコピーグループです。
Express Web GUIの[監視]ペインで[サーバ]タブを選択して、コピーグループの一覧を表示します。
コピーグループを取り出すETERNUS ディスクアレイを選択します。
[アクション]ペインで[ディスクアレイ]-[コピーグループの取り出し]を選択します。
コピーグループの一覧から、コピーグループ定義を取り出すコピーグループを選択します。
[取り出し]ボタンをクリックします。ファイル選択ダイアログが表示されますので、ダウンロード先を指定してください。
注意
Internet Explorerを使用していてファイル選択ダイアログが表示されない場合は、以下の手順で設定します。
[インターネットオプション]を選択して、"インターネットオプション"画面を表示します。
[セキュリティ]タブを選択します。
管理サーバが存在するゾーンの[レベルのカスタマイズ]を選択して、"セキュリティ設定"画面を表示します。
[ダウンロード]セクションの[ファイルのダウンロード]と[ファイルのダウンロード時に自動的にダイアログを表示]を有効にします。
以下の手順で「6.4.6.2.1 コピーグループ定義の取り出し」で取り出したコピーグループの定義を取り込みます。
この操作はリモートサイトで実施します。
注意
コピーグループ定義の取り込みは、リモートサイトに登録されているETERNUS DX90ディスクアレイに対して実施します。コピーグループ定義を取り込めるディスクアレイは、コピーグループを取り出したディスクアレイです。
リモートサイトのExpressマネージャーに同じ名前のコピーグループが存在している場合、コピーグループ一覧に表示されません。
Express Web GUIの[監視]ペインで[サーバ]タブを選択して、コピーグループの一覧を表示します。
取り出したETERNUS ディスクアレイを選択します。
[アクション]ペインで[ディスクアレイ]-[コピーグループの取り込み]を選択します。
「6.4.6.2.1 コピーグループ定義の取り出し」でダウンロードしたファイル名を指定します。
コピーグループの一覧から、コピーグループ定義を取り込むコピーグループを選択します。
[取り込み]ボタンをクリックします。
ETERNUS ディスクアレイは、ハードウェア障害によりアドバンスト・コピーを継続できない状態になると、自動的にアドバンスト・コピーを中断します。
また、リモートコピーセションは自動的に“Error Suspend”、または“Hardware Suspend”になります。
Hardware Suspendが発生した場合
以下の状態をすべて満たす場合は、Suspend操作を実施して、リモートコピーセションを一時停止します。
転送モードが "Synchronous"
コピー状態が等価性維持状態
Splitモードが "Manual Split"
エラーを取り除きます。
Recoveryモードが“Manual Recovery”の場合、Suspend操作を実施して、一時中断状態にします。
その後、Resume操作を実施してリモートコピーセションを復旧します。
ポイント
Recoveryモードが“Automatic Recovery”の場合、リモートコピーセションは自動的に復旧するので、操作は必要ありません。
ローカルサイトに存在するETERNUS ディスクアレイが原因で、Error Suspendが発生した場合
Expressマネージャーが存在するサーバから、リモートサイトのETERNUS DX90ディスクアレイへのアクセスパスを設定します。
Express Web GUIの[監視]ペインの[サーバ]タブで、ボリュームの一覧を表示します。
以下の操作で、Copy Control Moduleが保持しているサイト情報を変更します。
ローカルサイトのETERNUS DX90ディスクアレイを選択します。
[アクション]ペインで[ディスクアレイ]-[ディスクアレイ場所の変更(CCM)]を選択し、サイト情報をローカルからリモートに入れ替えます。
リモートサイトのETERNUS DX90ディスクアレイを選択します。
[アクション]ペインで[ディスクアレイ]-[ディスクアレイ場所の変更(CCM)]を選択し、サイト情報をリモートからローカルに入れ替えます。
注意
メッセージ「esfmgr10836 The location of the storage was not switched. StorageName=<ディスクアレイ名>」が表示された場合、Express Managerが存在するサーバからETERNUS DX90ディスクアレイへのアクセスパスが設定されていません。「D.1.1 acarray add (ETERNUS ディスクアレイの登録コマンド)」を使用して、アクセスパスを設定してください。
Suspend操作を実施してリモートコピーセションを一時中断状態にするか、または、Cancel操作を実施してリモートコピーセションを終了します。
これにより、業務サーバからボリュームにアクセスできるようになります。
業務サーバがアクセスするボリュームをコピー先のボリュームに変更します。
コピー元のボリュームが存在するETERNUS ディスクアレイの復旧を確認して、コピー先のボリュームをコピー元のボリュームに復元します。
ETERNUS ディスクアレイが復旧した場合
Reverse操作を実施して、コピー先のボリュームからコピー元のボリュームにデータを復元します。
復元が完了したら、コピー先のボリュームに対する業務サーバのアクセスを停止します。
Suspend操作を実施して、リモートコピーセションを一時停止状態にします。
Reverse操作を実施して、コピー方向をコピー元のボリュームからコピー先のボリュームに変更します。
Resume操作を実施して、リモートコピーセションを再開します。
業務サーバがアクセスするボリュームを、コピー元のボリュームに戻します。
ETERNUS ディスクアレイを交換した場合
Cancel操作を実施して、すべてのリモートコピーセションを終了します。
交換前のETERNUS ディスクアレイをExpressから削除します。
交換後のETERNUS ディスクアレイをExpressに登録します。
コピーペア、コピーグループを作成します。
Start Backward操作を実施して、リモートコピーセションを開始します。
「ETERNUS ディスクアレイが復旧した場合」の手順2から手順6の操作を実行します。
リモートサイトに存在するETERNUS ディスクアレイが原因で、Error Suspendが発生した場合
コピー先のボリュームが存在するETERNUS ディスクアレイを復旧します。
Resume操作を実施して、リモートコピーセションを復旧します。