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Interstage Application Server OLTPサーバ運用ガイド

3.1.3 ワークユニットの環境設定(コマンドを使用する場合)

  CORBAワークユニットを使用するために必要な環境設定手順について説明します。
  ここでは、コマンドをした設定手順について説明します。

3.1.3.1 アプリケーションモジュールの格納

  作成したアプリケーションモジュールをクライアント環境およびサーバ環境に格納します。

CORBAクライアントアプリケーションの格納

  作成したCORBAクライアントアプリケーションモジュールを、動作させるクライアント環境上の任意のディレクトリ上に格納します。

CORBAサーバアプリケーションの格納

  作成したCORBAサーバアプリケーションモジュールを、動作させるサーバ環境上の任意のディレクトリ上に格納します。
  格納したディレクトリは後述のワークユニット定義で指定します。

3.1.3.2 インプリメンテーションリポジトリの登録

  インプリメンテーションリポジトリの登録は、CORBAサーバアプリケーションを動作させるサーバ上で行います。
  なお、CORBAクライアントアプリケーションについては、本操作は不要です。

  インプリメンテーションリポジトリの登録は、OD_impl_instコマンドにより行います。登録方法には、コマンドのパラメタにCORBAサーバアプリケーション情報指定して登録する方法と、CORBAサーバアプリケーション情報を記載した“CORBAアプリケーション情報定義ファイル”を作成して登録する方法の2種類あります。
  ここでは“CORBAアプリケーション情報定義ファイル”を作成する登録方法について説明します。
  なお、インプリメンテーションリポジトリを登録する、OD_impl_instコマンドの詳細については、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。

CORBAアプリケーション情報定義ファイルの作成

  以下に示す項目を記載した定義ファイルの作成を行います。

  rep_id = IDL:test1:1.0
  type = persistent
  proc_conc_max = 10
  thr_conc_init = 5
  thr_conc_maximum = 30
  thr_decrease = ON
  mode = SYNC_END
  ior = 1.1
  locale = SJISMS
  ssl = OFF

  定義項目とその内容について、以下に示します。

定義項目名

設定内容

rep_id

サーバアプリケーションのインプリメンテーションリポジトリIDを指定します。
システムで一意な、最大255文字までのASCIIコード(印字可能文字)からなる文字列を指定します。

type

ワークユニット上で動作させる場合、persistentを設定します。

proc_conc_max

サーバアプリケーションの最大プロセス多重度を設定します。
本項目は後述のワークユニット定義で指定するプロセス多重度(Concurrency)よりも大きい値を設定します。
なお、ワークユニットのプロセス多重度変更(ismodifyprocnum)によりワークユニット動作中にプロセス多重度を変更させる場合、変更を行う最大プロセス多重度を想定して設定する必要があります。

thr_conc_init

1つのサーバアプリケーションプロセスで動作する、スレッドの初期多重度を指定します。
CORBAワークユニットが起動時に、アプリケーションのプロセス上に本項目で設定されたスレッド数が作成されます。
なお、プロセスモードで作成されたアプリケーションの場合は1を設定します。

thr_conc_maximum

スレッド最大多重度を指定します。
リクエスト数の増加により、ここで指定された数まで自動拡張します。自動拡張を行わない場合、thr_conc_initと同じ値を設定します。
省略した場合は、thr_conc_initと同じ値が設定され、自動拡張を行いません。
なお、プロセスモードの場合は、1を指定するか省略してください。

thr_decrease

thr_conc_maximumにthr_conc_initと異なる値を指定してスレッドの自動拡張機能を使用する場合に、スレッドの縮退を行う場合は“ON”を指定します。
縮退を行わない場合は“OFF”を指定します。
省略した場合は“ON”が設定され、自動拡張機能有効時にスレッドの縮退を行います。
通常は“ON”を指定します。スレッドと資源を関連付けてリソース制御を行うサーバアプリケーションなどにおいて、スレッドの縮退を行うと問題が発生する場合には“OFF”を指定してください。

mode

ワークユニットの通常停止時のアプリケーションの動作モードを指定します。
通常は“SYNC_END”を指定します。

ior

連携するCORBAのバージョンを指定します。“1.1”を指定します。

locale

コード変換を行う場合設定します。
コード変換を行う場合は、サーバアプリケーションが処理を行うコード系を指定します。
コード変換を行わない場合は設定する必要はありません。
代表的なコード系は以下のとおりです。
コード変換については、“2.2.11 コード変換”を参照してください。

  指定値

コード系

  EUC

EUC

  UNICODE

UNICODE

  UTF8

UTF8

  SJISMS

Windows(R)用ShiftJIS

SSL

サーバアプリケーションのオブジェクトリファレンス作成時、SSL情報付加のルールを指定します。
SSL情報を付加する場合は“ON”を指定し、SSL情報を付加しない場合は“OFF”を指定します。

OD_impl_instコマンドによる登録

  作成したCORBAアプリケーション情報定義ファイルをOD_impl_instコマンドに指定して、インプリメンテーションリポジトリの登録を行います。


CORBAアプリケーション情報定義ファイルが“implfile”の場合

  OD_impl_inst -ax implfile

インプリメンテーションリポジトリへの登録情報の確認

  インプリメンテーションリポジトリの登録内容を確認し、正しく登録されているか確認を行います。

インプリメンテーションリポジトリIDが“IDL:test1:1.0”の場合

  OD_impl_inst -p -r IDL:test1:1.0

出力例

  rep_id = IDL:test1:1.0
  type = persistent
  proc_conc_max = 10
  thr_conc_init = 5
  thr_conc_maximum = 30
  …

  指定した値が正しく設定されているか確認してください。

  設定値に誤りがある場合、“CORBAアプリケーション情報定義ファイルの作成”から再度実施してください。

3.1.3.3 オブジェクトリファレンスの登録

  作成したサーバアプリケーションを他のアプリケーションからオブジェクトとしてアクセスできるようにするために、そのオブジェクトを識別するためのオブジェクトリファレンスを作成します。同時に作成したオブジェクトリファレンスをネーミングサービスに登録します。

オブジェクトリファレンスの作成/登録

  オブジェクトの作成/登録はOD_or_admコマンドにより行います。OD_or_admコマンドの詳細については、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。

  OD_or_adm -c IDL:test1:1.0 -L SJISMS -n IDL::test1

オブジェクトリファレンスの登録情報の確認

  オブジェクトの登録内容を確認し、正しく登録されているか確認を行います。

  odlistns -l

  出力例

  Name(Type) Object information(detail)
   Default object information(detail)
  …
  IDL::test1(o) IDL:test1:1.0, IDL:test1:1.0, (hostA:8002:1.1:SJISMS)
  …

  設定した内容が正しく登録されているか確認してください。
またオブジェクトのホスト名等(上記出力例ではhostAの部分)についても、正しく設定されているか確認してください。
  設定内容に誤りがあった場合は、再度“オブジェクトリファレンスの作成/登録”を行ってください。

3.1.3.4 ワークユニット定義の作成/登録

  CORBAアプリケーションをワークユニットで運用するためには、ワークユニット定義の登録が必要です。ワークユニット定義は、テキストファイルで作成し、コマンドでInterstage Application Serverに登録します。
  ワークユニット定義の定義項目とその内容について、以下に示します。

  ワークユニット定義の構文規約については、“付録A ワークユニット定義”を参照してください。

セクション名

定義項目名

必須項目

設定内容

WORK UNIT

Name
(ワークユニット名)

ワークユニット名を設定します。

Kind
(ワークユニット種別)

ワークユニット上でCORBAアプリケーションを動作させる場合に“CORBA”と設定します。

Control Option

Path
(アプリケーションライブラリパス)

サーバアプリケーションの実行モジュールが格納されているフォルダのパスを設定します。
[Application Program]セクションの“Path”が設定されている場合は、[Application Program]セクションの“Path”が優先されます。

Current Directory
(カレントディレクトリ)

アプリケーションカレントディレクトリを作成するためのパスを設定します。

Path for Application
(アプリケーション使用パス)

アプリケーションが動作時に使用するパス(環境変数“PATH”)を設定します。
アプリケーションの動作に環境変数“PATH”の設定が必要な場合は、必ず設定してください。


Library for Application
(アプリケーション使用ライブラリパス)

アプリケーションが動作時に使用するライブラリパス(環境変数“LD_LIBRARY_PATH”)を設定します。
アプリケーションの動作に環境変数“LD_LIBRARY_PATH”の設定が必要な場合は、必ず設定してください。
本項目はWindows以外の場合に有効です。

Environment Variable
(環境変数)

アプリケーションが動作時に使用する環境変数を設定します。
アプリケーションの動作に環境変数設定が必要な場合は、必ず設定してください。
[Application Program]セクションの“Environment Variable”に同じ環境変数が設定されている場合は、[Application Program]セクションの値が有効になります。


Output of Stack Trace
(タイムアウト検出時のスタックトレース取得の有無)

アプリケーションおよび各種出口プログラムにおいて、タイムアウト(最大処理時間オーバ)を検出した場合にプロセスのスタックトレースを出力するか否かを設定します。
本項目はSolarisの場合のみ有効です。
アプリケーションのスローダウンやハングアップのトラブルが発生した場合に備えて、Solarisの場合は、必ず“Yes”を設定することを推奨します。

Startup Time
(ワークユニット起動待ち時間)

ワークユニットの起動が完了するまでの監視時間(秒)を指定します。

Shutdown Time
(プロセス強制停止時間)

ワークユニットの停止が完了するまでの監視時間(秒)を指定します。

Start Log
(プロセス起動ログ採取)

CORBAワークユニットのプロセス起動時のログを採取します。

Process Degeneracy
(プロセス縮退運用)

ワークユニット運用中に、プロセスの異常終了が発生した場合、自動再起動機能によりプロセスは再起動されます。この時、何らかの原因によりプロセスの再起動に失敗した場合、プロセス数が1つ少ない状態で運用を継続(縮退運用)するか否かを指定します。

Application Retry Count
(連続異常終了回数)

自動再起動不可となるまでのアプリケーションの連続異常終了回数を設定します。

Maximum Processing Time for Exit Program
(出口プログラム最大処理時間)

出口プログラムの最大処理時間の監視値を設定します。

WorkUnit Exit Program
(ワークユニット出口プログラム名)

ワークユニット起動時と終了時に、1回ずつ発行される出口プログラムの名前を設定します。

Executable File of Exit Program for Salvage
(プロセス回収出口プログラム実行モジュール名)

ワークユニット出口プログラム、プロセス回収出口プログラムの実行ファイル名を設定します。

Request Assignment Mode
(要求メッセージ振り分け方式)

クライアントからの要求メッセージを、要求待ちのサーバアプリケーションプロセスに振り分ける方式を指定します。

Traffic Director Monitor Mode
(IPCOM連携時の監視有無)

IPCOM連携時に、本ワークユニットをダウン監視対象とするか否かを設定します。

Number of Revision Directories
(カレントディレクトリの退避世代数)

ワークユニットのカレントディレクトリの退避世代数を指定することができます。

Application Program

Impl ID
(インプリメンテーションリポジトリID)

ワークユニットで起動するCORBAアプリケーションのインプリメンテーションリポジトリIDを指定します。

Executable File
(実行ファイル名)

CORBAアプリケーションの実行モジュールを指定します。

Param for Executable File
(起動パラメタ)

アプリケーション起動時に渡すパラメタを設定します。
パラメタを複数設定する場合は、当項目を複数設定してください。

Concurrency
(プロセス多重度)

アプリケーションのプロセス多重度を設定します。

Maximum Processing Time
(アプリケーション最大処理時間)

アプリケーションの最大処理時間の監視値(秒)を設定します。
アプリケーションのスローダウンやハングアップトラブルが発生した場合に備えて、必ず最大処理時間を設定することを推奨します。

Terminate Process for Time out
(最大処理時間超過時強制停止の有無)

アプリケーションの最大処理時間超過時に、当該アプリケーションが動作しているプロセスを強制停止するかどうかを指定します。
“Maximum Processing Time”が設定された場合、デフォルトで“Yes”(強制停止する)が設定されます。強制停止しない場合は、“No”を設定してください。

Environment Variable
(環境変数)

アプリケーションが動作時に使用する環境変数を設定します。
[Control Option]セクションの“Environment Variable”に同じ環境変数が設定されている場合、[Application Program]セクションの値が有効になります。

CLASSPATH for Application
(アプリケーション使用クラスパス)

アプリケーションが動作時に使用するクラスパスを設定します。
Javaアプリケーションの場合は、必ず設定してください。

Path
(アプリケーションパス)

実行可能ファイルが格納されているフォルダのパスを設定します。
[Control Option]セクションの“Path”が設定されている場合、[Application Program]セクションの“Path”が優先されます。
どちらか一方に設定してください。

Request Assignment Mode
(要求メッセージ振り分け方式)

要求メッセージ振り分け方式

Maximum Queuing Message
(最大キューイング数)

キューに滞留できる最大キュー数を設定します。

Queuing Messages To Notify Alarm
(監視キューイング数)

アラーム通知を行う滞留キュー数を設定します。滞留キュー数が、この値になるとアラーム通知します。

Queuing Messages To Notify Resumption
(監視再開キューイング数)

アラーム通知の監視を再開する滞留キュー数を設定します。滞留キュー数が監視キューイング数を超えた後、本設定値と同じになった時に、滞留キュー数の監視を再開します。

Buffer Number
(通信バッファ数)

キューのバッファ数を設定します。

Buffer Size
(通信バッファ長)

1要求に対してキュー操作を行う1データ長を設定します。

Maximum Processing Time for Exit Program
(出口プログラム最大処理時間)

出口プログラムの最大処理時間の監視値(秒)を設定します。

Exit Program for Process Salvage
(プロセス回収出口プログラム名)

プロセス回収出口プログラム名を設定します。ただし、C言語のプログラム名しか指定できません。

Executable File of Exit Program for Salvage
(プロセス回収出口プログラム実行モジュール名)

プロセス回収出口プログラムの実行ファイル名を設定します。

[◎:必須  ○:推奨  △:省略可]


  ワークユニット定義ファイルの記述例

  # SAMPLE PROGRAM WU DEFINITION

  [WORK UNIT]
  Name:ODSAMPLE
  Kind:CORBA

  [Control Option]
  Path:C:\Interstage\JDK5\bin
  Current Directory:C:\tmp

  Path for Application:C:\DB\bin
  Environment Variable:OD_IMPLID=IDL:ODsample/anytest:1.0
  Output of Stack Trace:Yes
  Startup Time:150
  Shutdown Time:60
  Start Log:Yes
  Process Degeneracy:Yes


  [Application Program]
  Impl ID:IDL:ODsample/anytest:1.0
  Executable File:java.exe
  Concurrency:2
  Param for Executable File:simple_s
  CLASSPATH for Application:C:\INTERSTAGE\ODWIN\src\sample\complex\samplelist.Java\data\any
  Maximum Processing Time:60
  Terminate Process for Time out:No
  Environment Variable:APLENV=AAA

ワークユニット定義の登録

  isaddwudefコマンドでワークユニット定義を登録します。

  isaddwudef -o simple.wu