テープバックアップを行うために考慮すべき事項と設定手段を、以下に示します。
テープサーバの台数および運用分散
全Storageサーバの業務ボリューム数に応じて、テープサーバを複数台導入して、テープサーバの負荷を分散させます。全体のバックアップスケジュールを考慮して、どのStorageサーバの要求をどのテープサーバ上で実行させるのかを決定します。
3.2 Storageサーバとテープサーバの対応付けにより設定します。
バックアップ先媒体
ディスクおよびテープの両方、もしくはテープのみにバックアップをするのかを決定します。
バックアップ先ディスクを確保できるか、業務の停止可能時間はどれだけか(停止可能時間が短い場合はディスクが必要)を考慮して決定します。
14.2.2.1 acmbackup(バックアップ実行コマンド)のオプションで指定します。
ディスクおよびテープの両方にバックアップする場合、14.2.2.1 acmbackup(バックアップ実行コマンド)の-mオプションには“BOTH”を指定してください。
テープのみにバックアップする場合、14.2.2.1 acmbackup(バックアップ実行コマンド)の-mオプションには“TAPE”を指定してください。
ディスクのみバックアップした後、ディスクに採取したバックアップデータのテープへのコピーする場合、14.2.2.1 acmbackup(バックアップ実行コマンド)の-mオプションには“DISK”を指定してください。
その後、14.2.2.2 acmtphistcopy(テープコピー実行コマンド)を実行してください。
ディスクのみバックアップする場合は、swstbackupコマンドを使用しないでください。
ポイント
テープにバックアップする場合は、テープの種類によって記憶容量が異なるため、必要となるテープ数の見積りには、以下の値を参考にしてください。
LTO Generation 1 ≒ 100GB
LTO Generation 2 ≒ 200GB
LTO Generation 3 ≒ 400GB
LTO Generation 4 ≒ 800GB
保存世代数
保存するバックアップデータの最大数を決めます。バックアップ先のディスクおよびテープをどれだけ準備できるかにより決まります。保存世代数と必要なバックアップ先ディスク(バックアップボリューム)の容量については、StorageサーバのOSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の各バックアップ運用の章の「運用設計」を参照してください。
3.5.2.1 テープバックアップ管理クラスおよび3.5 バックアップポリシーにより行います。
保存日数
テープに採取したバックアップデータをいつまで保存しておくかを決めます。
3.5.2.1 テープバックアップ管理クラスにより行います。保存日数は、ディスクのデータに対して設定することはできません。
TOCの見積り
NASディレクトリ単位/NASファイル単位リストアを実現するためには、NASのバックアップ時にNAS装置からバックアップされた目次情報(以降、TOC)のデータをディスク、または、テープに保存しておく必要があります。
このため、ディスク、または、テープに保存するTOCの容量の見積りについて説明します。
ファイルおよびディレクトリの名前に日本語を含まない場合
TOCサイズ = 700byte×(総バックアップファイル数+総バックアップディレクトリ数) |
ファイルおよびディレクトリの名前に日本語を含む場合
TOCサイズ = 2000byte×(総バックアップファイル数+総バックアップディレクトリ数) |
バックアップの多重度と使用するドライブ数
バックアップを多重に実行するような運用では、ドライブの割当てに偏りが生じないよう、使用するドライブ数を制限することができます。
全体のバックアップスケジュールを考慮して決定します。たとえば、複数のStorageサーバのバックアップを同時に実行する場合、あるStorageサーバのバックアップが先に全ドライブを使用してしまうと、他のStorageサーバのバックアップ完了時間が遅延して、業務の開始時間に影響が出ることが考えられます。各Storageサーバで同時に使用するドライブ数を制限することにより、使用ドライブ数のバランスを図ることができ、このような遅延を防ぐことができます。
ドライブ数の制限は、3.3 デバイス・クラスの設定により行います。また、このデバイス・クラスを使用するストレージ・プールを作成し、業務ボリュームのバックアップポリシーで、このストレージ・プールを設定します。
ポイント
テープへのバックアップ運用では、同時に実行するバックアップ数がドライブ数より多い場合、後から動作したバックアップがドライブ空き待ちとなります。(バックアップコマンドは、この時点では復帰しません。)
この場合、先に動作したバックアップが完了すると、自動的にテープへの書き込みが開始されます。
スナップショット型か同期型か
ディスクへのバックアップにおいて、スナップショット型か同期型のどちらを使用するかを決めます。
スナップショット型、同期型の詳細については、StorageサーバのOSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の各バックアップ運用の章の「概要」を参照してください。