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PRIMECLUSTER Wizard for Oracle (PRIMEQUEST) 4.3 導入運用手引書

2.2.6 データベースの作成/設定

データベースは共用ディスク上に作成します。またその作成は運用ノード上にて行い、待機ノードではデータベースを動作させる設定のみ行います。

次の手順概要に従い、データベースの作成と設定を行ってください。

相互待機や N:1 運用待機構成の場合も、1:1 運用待機と同様にデータベースの作成はそれぞれの運用ノードから行い、待機ノードでは、運用ノードから作成した共用ディスク上のデータベースを動作させる設定のみ行います。その他の運用形態も同様です。

  • 相互待機

      

  • 2:1運用待機

  

  1. userApplication の起動

    データベースを作成するノード (運用ノートとします) 上で、「2.2.5 userApplication の動作確認」にて動作確認を終えた userApplication を起動させてください。(Online 状態にしてください。)

      

  2. データベースの作成

    運用ノードから共用ディスク上にデータベースを作成してください。

    参考

    • データベースの作成は、Oracle のマニュアルを参照してください。

    • データベース作成前に、共用ディスクに Oracle ユーザーの書き込み権限があることを確認してください。

    • 第5章 留意事項」に関連情報を記載していますので、事前にご確認ください。

      

    • 各資源の配置先

      ファイル

      場所

      備考

      初期化パラメータ・ファイル(PFILE)

      ローカル

      各ノードのローカルディスクに配置してください。

      サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)

      共用

        

      制御ファイル

      共用

        

      データファイル

      共用

        

      REDO ログ・ファイル

      共用

        

      アーカイブ REDO ログ

      任意

      共用ディスクとローカルディスクとで多重化しておくことを推奨します。

      フラッシュ・リカバリ領域

      共用

        

      アラート・ログ、トレース・ログ、ダンプファイルなど

      ローカル

      各ノードのローカルディスクに配置してください

        

    • 初期化パラメータ

      初期化パラメータ LOCAL_LISTENER の設定が、listener.ora、tnsnames.ora の設定と整合性が保たれている必要があります。Oracle のネットワークの設定を行う場合も、注意してください。

        

    • サーバー・パラメータ・ファイル

      Oracle のサーバー・パラメータ・ファイル (永続初期化パラメータ・ファイル) を使用する場合、サーバー・パラメータ・ファイルは共用ディスク上に配置してください。共用ディスク上に配置しない場合、運用・待機ノードで同一の設定で動作できなくなります。サーバー・パラメータ・ファイルの配置先は、初期化パラメータ・ファイルに指定してください。

      初期化パラメータ・ファイル (<$ORACLE_HOME>/dbs/init<$ORACLE_SID>.ora) の設定例

      spfile=<共用ディスク上の格納先>/spfile<$ORACLE_SID>.ora

      注意

      dbca (Database Configuration Assistant) を使用してデータベースを作成する場合、サーバー・パラメータ・ファイルの格納先を指定できない場合があります。

      このような場合、以下の例を参考にして、データベース作成後にサーバー・パラメータ・ファイルを共用ディスク上に移動してください。

      1. 共用ディスクがマウントされていなければ、マウントします。

        2.2.5 userApplication の動作確認」にて動作確認を終えた userApplication を起動することでも可能です。

      2. サーバー・パラメータ・ファイルを共用ディスク上に移動します。

        # mv <$ORACLE_HOME>/dbs/spfile<$ORACLE_SID>.ora  <共用ディスク上の格納先>/
      3. 初期化パラメータ・ファイル <$ORACLE_HOME>/dbs/init<$ORACLE_SID>.ora を編集します(上記「例」参照)。

        この手順は、運用・待機両ノードにて実施してください。
        または運用ノードで実施後、cloracpy コマンドを使用することもできます。詳しくは、「4.4 cloracpy - Oracle 設定ツール(待機ノード用)」を参照してください。

        

    データベース作成に関するその他の注意事項です。

    注意

    • ASM (Automatic Storage Management) を使用する場合、後で ASM を RMS リソースとして登録する必要があります。「2.4.2 ASM(Automatic Storage Management)を使用する場合」を参照してください。

    • Oracle ユーザーの login.sql に、システム変数の設定以外の処理を記述しないでください。

      PRIMECLUSTER Wizard for Oracle では、SQL*Plus を使用して Oracle を制御しています。そのため、login.sql にSQL 文などが記述されていると、制御時に自動的に実行してしまい誤動作する可能性があります。
      ただし、SET コマンドによりシステム変数を設定することは可能です。

      

  3. Oracle Net Services の構成 (リスナーの作成)

    運用ノード上で Oracle Net Services の構成を行ってください。

    • Oracle リスナー

      listener.ora ファイルを編集するか、

      $ORACLE_HOME/network/admin/listener.ora

      または netca (Oracle Net Configuration Assistant) を使用するなどしてリスナーを作成してください。
      スタンバイ運用などで論理IPアドレスを使用した、リスナーの切替え運用を行う場合は、リスナーの IPアドレスに論理IPアドレスを設定します。

      listener.ora ファイルで、HOST に論理IPアドレスが設定されるようにしてください。

      LISTENER =
          (DESCRIPTION =
              (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = <論理IPアドレス>)(PORT = 1521))
          )
      
      SID_LIST_LISTENER =
          (SID_LIST =
              (SID_DESC =
                  (GLOBAL_DBNAME = ora)
                  (ORACLE_HOME = /u01/app/oracle/product/db)
                  (SID_NAME = ora)
              )
          )

        

    • ネット・サービス名

      Oracle リスナーの監視において、tnsping による Oracle リスナー動作監視を行う場合は、tnsnames.ora ファイルを編集するか、

      $ORACLE_HOME/network/admin/ tnsnames.ora

      または netca (Oracle Net Configuration Assistant) を使用するなどしてネット・サービス名を設定してください。tnsnames.oraで設定したネット・サービス名をPRIMECLUSTER Wizard for Oracle の Oracle リスナーの環境設定で指定します。
      tnsnames.ora で設定する $ORACLE_SID、ホスト (論理IPアドレス) およびポート番号は、監視対象の Oracle リスナーと同一にします。

      tnsnames.ora ファイルに設定する $ORACLE_SID、ホスト (論理IPアドレス) およびポート番号は、監視対象の Oracle リスナーと同一にします。

      ネット・サービス名 =
          (DESCRIPTION =
              (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = <論理IPアドレス>)(PORT = 1521))
              (CONNECT_DATA = (SID = ora))
          )

      

    注意

    • TWO_TASK 環境変数は使用しないでください。

      TWO_TASK 環境変数は、データベースへの接続時に接続識別子を付加し、自動的にネットワーク接続にて接続するための環境変数です。PRIMECLUSTER Wizard for Oracle では、ローカル接続 ("/ as sysdba") にてデータベースに接続する必要があるため、ネットワーク接続は使用できません。
      業務などでネットワーク接続を行う場合は、TWO_TASK 環境変数を使用せず、ログイン時に"@接続識別子" を指定してください。

    • Oracle 10g 以降では、リスナーのオペレーティング・システム認証 (OS認証) を有効にしてください。

      デフォルトでは OS 認証が有効になっています。listener.ora ファイルに以下を定義するか、もしくは定義自体を行わない場合に OS 認証が有効になります。

      LOCAL_OS_AUTHENTICATION_<LISTENER_NAME> = ON

      

  4. スタンバイ運用のための事前準備

    運用ノード側の構成情報を待機ノード側に反映してください。

    • 構成内容の同一化

      データベースや Oracle Net Services の構成内容が運用ノード側と同一になるように、待機ノード側でディレクトリの作成やファイルのコピー、リンクの設定を行ってください。

      • <$ORACLE_HOME>/dbs 配下

      • <$ORACLE_BASE>/admin/<$ORACLE_SID> 配下

      • <$ORACLE_BASE>/diag 配下 (Oracle 11g の場合)

      • <$ORACLE_HOME>/network/admin 配下

      上記で作成したディレクトリとファイルのアクセス権限を運用ノードと同一にしてください。
      アーカイブ REDO ログ出力先などの設定を運用ノードで行った場合は、待機ノードでも同一の設定を行ってください。

      参考

      cloracpy コマンドを使って、運用ノードの必要なファイルを tar 形式にバックアップすることができます。 詳しくは「4.4 cloracpy - Oracle 設定ツール(待機ノード用)」を参照してください。

    • SYSTEM ユーザーパスワードの登録

      PRIMECLUSTER Wizard for Oracle では、Oracle の SYSTEM ユーザーとして Oracle に接続し、Oracle の監視を行っています。そのため、SYSTEM ユーザーのパスワードを、PRIMECLUSTER Wizard for Oracle に登録する必要があります。「4.3 clorapass - 監視用パスワードの登録」を参照して、SYSTEM ユーザーのパスワードを登録してください。

        

  5. 動作確認

    Oracle インスタンス (データベース)、リスナーを手動で起動、停止し、正しく動作することを確認してください。これは、運用、待機両ノードで行ってください。

    注意

    userApplication を運用ノードから待機ノードへ切替える場合は、事前に運用ノード上で稼働中のデータベース、リスナーを必ず停止してください。データベースが共用ディスク上のデータにアクセス中に切替えてしまうと、Oracle バックグラウンド・プロセスが強制終了されます。

    動作確認終了後は、全ての Oracle インスタンス (データベース)、リスナーを停止し、更に全ノード上の RMS を停止してください。