このユーティリティは、エンタープライズディレクトリにあるユーザの情報を、V5.2形式でファイルに移出します。移出される情報は、ほかのエンタープライズディレクトリにあるユーザ情報と同期を取るために使用される同期情報、ユーザアカウント、および外部エントリです。Directoryユーティリティを使って外部エントリとして移入されたユーザに対しては、移出は行いません。
情報が移出されたファイルを移出ファイルといいます。移出ファイルはテキストファイルなので、テープやフロッピィディスクにコピーしたり、電子メールで送るなどの方法で送信することができます。V5.2形式で移出した情報は、ほかのエンタープライズディレクトリに外部エントリとして移入できます。移出ファイルを作成するディレクトリサーバを移出元ディレクトリサーバ、その移出ファイルの情報を移入するディレクトリサーバを移入先ディレクトリサーバと呼びます。V5.2形式の移出ファイルについての詳細は、"B.6.3 TeamWARE Office V5.2形式の移出/移入ファイル"を参照してください。
注意
このユーティリティはディレクトリサーバの稼働中のみ使用できますが、使用中はシステムのパフォーマンスを低下させるので、システムがフル稼働していない時間帯に使用してください。
このユーティリティを使用する場合、以下の資格でシステムにログインしてください。
UNIX系システムを使用している場合、UNIXログイン名には、TeamWARE Officeシステム管理者用IDを使用してください。
Windows Server®を使用している場合、TeamWARE Officeのシステム管理者のユーザ名でログインしてください。
同じエンタープライズに属するサイト間での外部エントリの移出入は行わないでください。
システム名が設定されていないユーザの移出はできません。
X.400簡易記述アドレスとして印刷可能文字のみを持つ外部エントリを移出した場合、ほかのエンタープライズに移入することはできません。また、X.400簡易記述アドレスとしてベース部分のみを持つユーザを移出した場合、ほかのエンタープライズに移入することはできません。
V5.2形式で移出ファイルにユーザ情報を移出するには、サーバインストールディレクトリで、以下のコマンドを実行します。
todirmov <パラメータファイル名>
注意
[todirmov]コマンドは、TeamWARE Officeサーバをインストールしたディレクトリで実行してください。
パラメータファイルを、ftpによって別のコンピュータにファイル転送する場合は、バイナリモードで行ってください。
パラメータファイルは、以下に示す形式で作成します。なお、パラメータファイルのコード系にはシフトJISコードを使用します。
オプションのパラメータは角かっこ([ ])でくくられています。
utility=EXPORT |
ポイント
パラメータの値が空白文字を含む場合、アポストロフィ(')で囲みます。そのほかのパラメータ値も、アポストロフィで囲むことができます。
"EXPORT"と指定します。
移出するユーザアカウントや外部エントリの種類を指定します。
値としては、LOCAL、LOCAL_TW、LOCAL_ALIENがあります。
LOCAL: 現在のサイトで作成されたローカルユーザ全員を移出します。
LOCAL_TW: 現在のサイトで作成されたローカルユーザ、および現在のサイトに外部エントリで作成され、システム名が"TeamWARE"のユーザを移出します。システム名が"TeamWARE"のユーザとは、外部エントリのシステム名入力フィールドに"TeamWARE"または"TW"と入力して作成されたユーザです。
LOCAL_ALIEN: 現在のサイトに外部エントリとして作成されたユーザのうち、システム名が"TeamWARE"以外のユーザを移出します。
特定の日以降に変更されたエントリを移出する場合に指定します。エントリの変更日、あるいは日付カウントを記入します。変更日として指定する場合、現在および未来の日付は指定できません。
日付カウントは、-1から-3650までの整数で表します。日付カウントとして日付を記入する場合、実際の変更日は<現在の日付+日付カウント>になります。たとえば、現在の日付が2008-08-05であり、日付カウントが-3である場合、実際の変更日は2008-08-02です。
上記の例を使って、dateの設定方法を2通り示します。
date=2008-08-02
あるいは
date=-3
これにより、指定した変更日や、日付カウントから計算した変更日以降に変更されたエントリが移出されます。これを省略すると、変更日は選択基準になりません。
sync_type=FULLというパラメータを選択すると、日付は定義できません。
移出ファイルの同期種別を設定します。値としては、NONE、UPDATE、FULLの3つがあります。
初回はFULLで移出入を行い、そのあと、移出入の際には、UPDATEを使用してください。省略値は、NONEです。
NONE
新規ユーザや、既存ユーザへの変更が行われたエントリ(whatやdateのパラメータで指定された条件に該当するもの)を移出します。この設定で移出を行ったファイルを指定して移入した場合、以前に移入したユーザで移出元ディレクトリから削除されたユーザについては、移入先ディレクトリからの削除を行いません。
UPDATE
新規ユーザや、既存ユーザへの変更が行われたエントリ(whatやdateのパラメータで指定された条件に該当するもの)を移出します。この設定で移出を行ったファイルを指定して移入した場合、移入先ディレクトリの情報は、移出元のディレクトリと差し替えます。
FULL
新規ユーザや、既存ユーザへの変更が行われたエントリ(whatのパラメータで指定された条件に該当するもの)を移出します。この設定で移出を行ったファイルを指定して移入した場合、移入先ディレクトリサーバの、以前に移入したユーザ全体を差し替えます。
移出するユーザアカウントや外部エントリのロケーションの識別名を指定します。指定した識別名配下に存在するユーザアカウントや外部エントリの情報を移出します。
移出する範囲を指定します。値としては、ONELEVELまたはSUBTREEのどちらかを指定します。省略値は、SUBTREEです。
ONELEVEL
search_baseパラメータで指定した識別名直下のユーザデータのみ移出します。
SUBTREE
search_baseパラメータで指定した識別名直下のユーザデータだけでなく、指定した識別名配下にあるすべてのユーザデータを移出します。
移出ファイル名を指定します。移出ファイルは、移出されるユーザ情報が書き込まれるファイルです。ファイルは、TeamWARE Officeのインストールディレクトリに作成されます。インストールディレクトリ以外に作成する場合は、フルパス名で指定します。ファイル名は、最長で256文字までです。
移出ファイルの形式については、"B.6.3 TeamWARE Office V5.2形式の移出/移入ファイル"を参照してください。
ログイン名を指定します。ログイン名は、最長で48文字までです。ログインユーザには、システム管理者の権限が必要です。
ログインユーザのパスワードを指定します。パスワードは、最長で48文字までです。ログインユーザがパスワードを持っていない場合は省略します。
ログイン時に使用するトランスポート番号を指定します。トランスポート番号は、TeamWARE Officeをインストールしたディレクトリ配下の初期化ファイル(to.ini)の[TOSERVER]セクションのtransportsフィールドに記述されています。
以下に示す例の場合、tp_numberは1になります。
例:
[TRANSPORT]
1 = tcpip,240,0,
ログイン時に使用するディレクトリサーバのトランスポートアドレスを指定します。このサーバのディレクトリが、移出元ディレクトリサーバとして使用されます。tp_addressは、最長で128文字までです。
パラメータファイルの例を以下に示します。この場合、移出ファイルは、exportfile.txtというファイル名でサーバインストールディレクトリに作成されます。
utility=EXPORT |
ポイント
移出処理が終了すると、移出したユーザアカウントと外部エントリの総計が画面に表示されます。同期種別に"UPDATE"を設定している場合、移出ファイルに出力された同期情報の総計も表示されます。