ユーザリストの作成
ユーザリストは、システム管理者が作成します。ユーザリストを作成するには、以下の2つの方法があります。なお、ユーザリストは、シフトJISコード形式です。
ユーザリストはテキストファイルなので、エディタで作成できます。ただし、移出機能では、同一ユーザ名を複数行に記述した場合のユーザリストに関するチェックは行いません。
エディタでユーザリストを作成する場合の例を、以下に示します。
移動対象者(1)
ユーザ名 | : | 中山 賢一 |
ロケーション | : | ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp |
移動対象者(2)
ユーザ名 | : | 岡 博文 |
ロケーション | : | ou=1gw,ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp |
ユーザリストは以下のようになります。
//op mail |
ユーザリストは、以下の規約と"表A.4 制御文"に従い記述します。後述する検索条件ファイルも同じ規約です。
オペランドと設定値の間は、1文字以上の空白文字(半角空白文字またはタブ文字。全角空白文字は不可)で間を空けてください。
各オペランドに指定できない文字の制限は、TeamWARE Officeクライアントと同じです。
指定した値の終わりには、改行コードを入力してください。
1行に複数の制御文を記述することはできません。
"=user"オペランドには、ユーザ名とロケーションが同じユーザの指定を複数記述してはいけません。
"=user"オペランドの内容は、移出処理完了後に変更してはいけません。
オペランドの先頭が"//","="以外の場合、その行をコメント行として扱います。
ユーザリスト、検索条件ファイルともに、ファイルの記述は、"//op"から始まらなくてはなりません。また、制御オペランドも"//op"から記述が始まらなくてはなりません。
制御オペランド"//~"は、先頭が"="のオペランドより前に記述しなくてはなりません。
1行につき、オペランド、オペランドに指定する値および空白文字をあわせて1024文字以内で記述します。各オペランドに指定可能な文字数の単位は、1文字=半角文字です。全角文字、半角カタカナを指定する場合は、1文字につき半角文字で2文字分必要であることを考慮してください。
オペランド名の英数字は、半角文字を指定しなければなりません。オペランド名の英字は、大文字、小文字いずれでも記述できます("//OP"や、"=USER"など)。
ユーザ名(cn=)、階層化組織名(ou=)、エリア名(l=)、組織名(o=)、国名(c=)で指定する名前の中に特殊文字", 、; 、< 、> 、+ 、= 、# "を含める場合には、名前の先頭から最後までをダブルクォーテーション(")で囲む必要があります。また、名前の中に" " "や"¥"を含める場合には、その文字の直前に"¥"文字を挿入し、名前の先頭から最後までをダブルクォーテーション(")で囲む必要があります。
オペランド | 必須/ | 最大長 | 設定値 |
---|---|---|---|
//op | 必須 | 8 | メール資源の移動処理を行うことを指示します。 指定可能な値は、"mail"または"personal"です。どちらの値を指定しても、資源移動の動作および結果は同じです。他サイトへの移動の場合には、個人情報の移出とリストファイルを共用するために、"personal"を使うことをお勧めします。個人情報の移動については、"付録G 組織再編成ユーティリティ"を参照してください。 |
=user | 必須 | 512 | メール資源の所有者であるユーザ名と所属するロケーションを指定します。 ユーザ名と所属するロケーションは、次に示すパラメータで記述します。各パラメータは、カンマ","で区切り、記述する順番を意識します。 記述する順番は、ユーザ名に続いて、下位のロケーションから記述します。 ユーザ名とロケーションの指定方法 =user cn=user1,ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp cn=移動するメール資源の所有者(ユーザ名) |
注意
一度の移出処理で移動できるユーザの人数は最高100人までです。これ以上のユーザを移動しようとする場合は、複数回に分けて移動してください。
コマンドを実行するサーバ上のTeamWARE Mailサービスを使用する、すべてのユーザ名をテキストファイルに出力する機能を使用します。なお、テキストファイルに出力したユーザ名の中に、移動させたくないユーザ名がある場合は、そのユーザ名をエディタで削除します。
この機能は、以下のコマンドを、ユーザ名の一覧を取得したいTeamWARE Mailサービスが動作するサーバ上で実行します。なお、コマンドの実行は、TeamWARE Officeの動作中に行ってください。
tomailst list_file
list_file :
list_fileに、ユーザリストの名前を指定します。
移動したいユーザのメール資源を、移動元サーバから中間ファイルへ移出します。なお、コマンドの実行は、TeamWARE Officeの動作中に行ってください。
tomaiexp [-s] [-w SIGN_file] IMF_file list_file
移出元と同じサイトのサーバへ移動するための中間ファイルを作成する場合に指定します。指定した場合、指定しない場合に比べて移出処理が速くなります。
移出元と異なるサイトのサーバへ移動する際には、このオプションを指定しないでください。指定した場合には、移動後に差し替えメールが届かないなどのトラブルが発生することがあります。
署名を移出したい場合に指定します。SIGN_fileに署名を格納する中間ファイル名を指定します。移出対象となる署名は、Webサービスの初期化ファイル(http.ini)の[Work]セクションのSignatureキーで指定されたディレクトリ配下に格納されている署名だけです。
IMF_fileに、メール資源を格納する中間ファイル名を指定します。
list_fileに、ユーザリストの名前を指定します。
注意
資源の移動中に起こるデータベースの変化を避けるため、処理が完全に終了するまで、サイト内のすべての運用管理機能の実行を行わないでください。また、TeamWARE Officeサーバにアクセスしないようにユーザに指示してください。
もし、移出処理中にメールが発信された場合、受信者は、メールを受け取ることができないにもかかわらず、送信者には、メールが配達されたように通知されてしまうことがあります。
移出開始から移入完了までの間は、移出元TeamWARE Mailサービスがメールを受信しないようにしてください。
もし、移出処理中に移出中のメールボックス宛のメールを受信した場合、そのメールを移動できない可能性があります。
他サイトへのメール資源の移動を行う際には、メール資源の移出を行ったあとに組織再編成ユーティリティの個人情報の移出を行ってください。先に個人情報の移出を行うと、移出したユーザのメール資源がデータベースより削除されます。
中間ファイル名(IMF_fileおよびSIGN_file)には、出力先のパスに存在しないファイル名を指定してください。すでに存在しているファイル名を記述するとエラーになります。この場合、存在しないファイル名に変更して、処理をもう一度行ってください。
署名格納用の中間ファイル(SIGN_file)がすでに存在しているためにエラーとなった場合、メール資源格納用中間ファイル(IMF_file)が不完全な状態で作成されます。このような場合は、作成されたIMF_fileを削除して、SIGN_fileを存在しないファイル名に変更して、処理をもう一度行ってください。
ユーティリティの性能負荷の理由から、一度に移動可能なユーザ数は、最大100人までとなります。また、100人以上指定した場合には、移出処理でエラーとなります。
移出前に、未配達のメールがメールキューに残っていた場合、そのメールはタイミングにより、移動後のユーザに配送されないことがあります。移出前に[to mailq]コマンドで、メールキューの状態を確認してから移出入を行ってください。
メール送信者が移動した先に、メール送信者から送られた未開封のメールを持った受信者がいた場合、移動後にメール送信者が差し替えを行っても未開封のメールは差し替えられません。この場合、開封済のメールに対して差し替えを行ったときと同じ処理が行われ、もう1通メールが届きます。これはメール資源の移動を行った場合の仕様のためです。
移出処理が正常に行われた場合、移動元サーバから移出したメール資源のうち、"送受信メールとその情報"および"添付ファイル"は、メールデータベースから削除されません。
中間ファイルに必要な容量見積もり
中間ファイルに必要な容量を出力します。このコマンドは、事前に中間ファイルの容量を把握しておきたいとき、たとえば、中間ファイル出力先の空き容量が十分かどうか確認したいときなどに使用します。
tomaiexp -e|-E list_file
メール資源を格納する中間ファイルの大きさの見積もり処理を行う場合に指定します。list_fileにユーザリストの名前を指定します。
メール資源および署名を格納する中間ファイルの大きさの見積もり処理を行う場合に指定します。list_fileにユーザリストの名前を指定します。
注意
移出処理と同じくらいの時間がかかります。移出処理と同じ環境条件で起動してください。
メール資源の移動中に起こるデータベースの変化を避けるため、処理が完全に終了するまで、サイト内のすべての運用管理機能の実行を禁止するようにしてください。
メール資源の移動中に起こるデータベースの変化を避けるため、処理が完全に終了するまで、TeamWARE Officeサーバにアクセスしないよう、ユーザに事前に連絡しておいてください。
資源移動ユーティリティで作成される中間ファイルは、2GBを超えて作成することができません。あらかじめ、-eまたは-Eオペランドを使用して中間ファイルの予測サイズを測定してください。2GBを超える場合は、リストファイルを分割してから、中間ファイルが2GBを超えないように、移出を行ってください。
以下に、-eで中間ファイルに必要な容量を見積もる機能を実行した場合の出力例を示します。"File size ="の右辺がメール資源を格納するのに必要な中間ファイルの大きさです。
D:¥to>tomaiexp -e test.txt |
以下に、-Eで中間ファイルに必要な容量を見積もる機能を実行した場合の出力例を示します。"IWF file size ="の右辺が署名を格納するのに必要な中間ファイルの大きさです。
D:¥to>tomaiexp -E test.txt |
移出処理の内部では、大きく分けて以下の2つの手順があります。
移動元サーバのメールデータベースからユーザのメール資源を抽出して、中間ファイルに出力します。-wが指定された場合は、署名も中間ファイルに出力します。
移動するメール資源の抽出が完了したら、移動するメール資源のうち、メールボックス、個人フォルダ、ごみ箱フォルダを移動元サーバのメールデータベースから削除します。-wが指定された場合は、署名もサーバから削除します。
1.の処理で失敗した場合は、移動元サーバのメールデータベースの状態は変更されません。したがって、移動元サーバのTeamWARE Officeサーバの状態に問題がない限り再度移出を始めることができます(たとえば、ユーザリストの定義を間違えた場合など)。
しかし、2.の処理で異常が発生した場合は、削除すべきメール資源の削除ができないので移動元サーバのメールデータベースに不必要なデータが残ります。
この問題に対応するため、tomaiexpコマンドの以下の機能を使用することでリカバリを行えます。このリカバリ機能は移出処理を行った移動元サーバ以外では使用できません。
メール資源および署名を移動元サーバに復元する
この機能は、2の処理で失敗した場合、移出処理のためのtomaiexpコマンドを実行する前の状態にデータベースを復元します。1の処理で作成されたメール資源格納用中間ファイルに含まれるメール資源を移動元サーバのメールデータベースに移入することと、署名格納用中間ファイルに含まれる署名をWebサービスの管理するディレクトリへ移入することで復元を行います。
tomaiexp -r [-w SIGN_file] IMF_file
メール資源および署名の復元によるリカバリを行う場合に指定します。
SIGN_fileに1.の処理で作成された署名格納用中間ファイル名を指定します。
IMF_fileに1.の処理で作成されたメール資源格納用中間ファイル名を指定します。
メール資源および署名を移動元サーバから削除する
この機能は、2.の処理で失敗し、移動元サーバから削除できなかったユーザのメール資源および署名を、1.の処理で作成された中間ファイルに含まれるメール資源および署名の情報を使用して削除します。
tomaiexp -d [-s] [-w SIGN_file] IMF_file
メール資源および署名の削除によるリカバリを行う場合に指定します。
移出元サーバと同じサイト内への移動のための移出に失敗した場合のリカバリを行うときに指定します。他のサイトへ移動するときに、-sをつけて削除によるリカバリを行った場合、移動後に差し替えメールが届かなくなるなどのトラブルが発生することがあります。
SIGN_fileに1の処理で作成された署名格納用中間ファイル名を指定します。
IMF_fileに1の処理で作成されたメール資源格納用中間ファイル名を指定します。
中間ファイルの転送
中間ファイルの作成完了後、中間ファイルを移動元サーバから移動先サーバへ、バイナリ形式で転送します。ファイルは圧縮して転送してもかまいませんが、転送後、解凍を忘れないようにしてください。ただし、異なるOS間での圧縮、解凍はできません。
移動元で移出した中間ファイルの情報を、移動先サーバへ移入します。移動先サーバの、TeamWARE Officeのインストールディレクトリ上で実行してください。なお、このコマンドの実行は、TeamWARE Officeの動作中に行ってください。
tomaiimp [-w SIGN_file] IMF_file
署名を移入したい場合に指定します。SIGN_fileで指定された署名格納用中間ファイル内に格納されているユーザの署名情報を移入します。移入先はWebサービスの初期化ファイル(http.ini)の[Work]セクションのSignatureキーで指定されたディレクトリです。
IMF_fileに、署名格納用中間ファイルのファイル名を指定します。
注意
資源の移動中に起こるデータベースの変化を避けるため、処理が完全に終了するまで、サイト内のすべての運用管理機能の実行を行わないでください。また、TeamWARE Officeサーバにアクセスしないようにユーザに指示してください。
移入処理が失敗した場合は、移動先のデータベースのバックアップ情報をリストアし、再度実行してください。移動処理を中断した状態で運用を開始すると、データベース間に不整合が発生することがあります。作業を中断した状態で運用を開始する場合には、サイト内のすべてのデータベースのリストアを実行してください。
移入時に、すでに移動対象ユーザのメール資源が存在した場合は、中間ファイルの情報により上書きされます。
メール送信者が移動した先に、メール送信者から送られた未開封のメールを持った受信者がいた場合、移動後にメール送信者が差し替えを行っても未開封のメールは差し替えられません。この場合、開封済のメールに対して差し替えを行った場合と同じ処理が行われ、もう1通メールが届きます。これはメール資源の移動を行った場合の仕様のためです。
複数サイト構成において、メール送信者が同一サイト内の別のMailサービスの利用者に対してメールを送信し、その後、組織再編成ユーティリティおよびメールの資源移動ユーティリティを使用して、その送信者が別のサイトに移動した場合、送信者がサイトを移動する前に出したメールを差し替え、あるいは流用して送信しても受信者には届きません。送信メールのプロパティでメールの状態を参照すると、「配達エラー」であると表示されます。この場合は、「配達エラー」になった宛先に対してメールを再送信してください。
tomaiexpコマンドのメール資源の移出機能は、中間ファイルにメール資源を移出した後に、その時点で削除可能な移出済み資源データを削除します。ただし、メールデータベース内部で共有使用している一部のデータについては、共有データの検索に時間がかかることと、サーバに高負荷をかけることがあるため、削除を行っておりません。このままでも移出・移入とその後の運用動作は問題がありませんが、移出元のメールデータベースの空き容量はあまり増えません。データベースの空き容量不足を回避する必要が生じた場合、移出元サーバ上でtomaidelコマンドを使用することで、メール資源の移動によって移動元Mailサービスのデータベースに残留したメール資源を削除することが可能です。
tomaidelコマンドはメール資源の移入処理が完了した後、TeamWARE Officeが動作中に実行してください。なお、このコマンドは削除を直ちに行うのではなく、移動対象ユーザのメール資源をすべて削除するようTeamWARE Mailサービスに依頼します。Mailサービスは指定された時刻または低負荷状態のときにバックグラウンドで削除処理を実行します。
また、tomaidelコマンドを実行中にユーザがTeamWARE Officeサーバにアクセスすることは可能ですが、TeamWARE Officeサーバに高負荷がかかる可能性がありますので、ユーザのアクセスが減少する時間帯(休日の深夜など)に実行するようにしてください。
tomaidel list_file [-t DateTime]
list_fileに、移出コマンドで指定したものと同じリストファイルを指定します。
TeamWARE Mailサービスが削除処理を開始する時間を指定します。
DateTimeは実行する時間を指定します。このオプションを指定しない場合は、このコマンドを実行後、TeamWARE Mailサービス自身が低負荷になったときに実行されます。TeamWARE Mailサービスの負荷状態を確認するには、[to status]コマンドを利用してください。
DateTimeの書式は、以下のとおりです。
-t YYYY-MM-DD.HH:MM
YYYY : 西暦(2001など)
MM: 月(01~12)
DD: 日(01~31)
HH: 時(00~23)
MM: 分(00~59)
DateTimeの指定例)
2008年8月10日の午前0時0分に実行する
tomaidel list_file -t 2008-08-10.00:00