リストアの注意事項について説明します。
リストアのタイミングについて
最新のバックアップボリューム採取時点からリストア操作を行うまでに、業務ボリュームの内容を書き換えたとしても、書き換えられたデータについては保証されません。
図10.1 AdvancedCopy Managerのリストア注意事項
TD:業務ボリューム
BD:バックアップボリューム
バックアップボリュームをマウントする手順
AIXではすべてのデバイスをLVMで管理しています。このためバックアップを実行すると、バックアップボリュームのLVM管理情報が、業務ボリュームのLVM管理情報で書き換えられてしまうため、そのままではバックアップボリュームを活性化することや、バックアップボリューム上の論理ボリュームをマウントできなくなります。
バックアップボリュームをマウントするためには、バックアップボリュームのLVM管理情報を書き換える必要があります。バックアップボリュームのLVM管理情報を書き換えると、通常手順で業務ボリュームに対するリストアを実施できなくなりますのでお勧めしません。しかし運用上どうしてもバックアップボリュームをマウントしなければならない場合は、以下の手順を実施することでマウント可能となります。手順を誤ると業務データを破壊する危険性があるので、細心の注意を払って実施してください。各コマンドの詳細については、AIXのマニュアルを参照してください。また次項「バックアップボリュームのLVM管理情報を書き換えた場合のリストア手順」についても合わせて参照してください。
lspvコマンド等を使用して、バックアップボリュームの物理ボリューム名を控えてください。
# /usr/sbin/lspv hdisk0 0004f10aa92e686c rootvg hdisk1 0004f10a1c7879c5 vg01
バックアップボリュームのボリュームグループ名がvg01の場合、上記の例では物理ボリューム名がhdisk1になります。
chdevコマンドを使用して、一時的にバックアップボリュームをLVMから削除します。
# /usr/sbin/chdev -l hdisk1 -a pv=clear
exportvgコマンドを使用して、バックアップボリュームをエクスポートします。
# /usr/sbin/exportvg vg01
recreatevgコマンドを使用して、バックアップボリュームのLVM管理情報を書き換えます。
# /usr/sbin/recreatevg -y vg01 hdisk1
recreatevgコマンドを実行することで、ボリュームグループ内の論理ボリューム名が変更されるため、lsvgコマンドを使用して変更後の論理ボリューム名を確認します。
# /usr/sbin/lsvg -l vg01 vg01: LV NAME TYPE LPs PPs PVs LV STATE MOUNT POINT fslv01 jfs 2 2 1 closed/syncd N/A
手順5で確認した論理ボリューム名を指定してファイルシステムをマウントします。マウントした論理ボリュームは、次回バックアップを行うまでにアンマウントしてください。バックアップボリューム内の論理ボリュームがマウントされていると、バックアップに失敗します。
バックアップボリュームのLVM管理情報を書き換えた場合のリストア手順
バックアップボリュームのLVM管理情報を書き換えると、業務ボリュームとバックアップボリュームでLVM管理情報が一致しなくなるため、通常の手順でリストアできなくなります。その場合、以下の手順でリストアしてください。手順を誤ると業務データを破壊する危険性があるので、細心の注意を払って実施してください。各コマンドの詳細については、AIXのマニュアルを参照してください。
「付録A バックアップ/リストアの前後処理」を参照して、リストアの後処理スクリプトを編集してください。
リストア処理を実行します。手順1により、この時点では業務ボリュームは非活性の状態となります。
lspvコマンド等を実行し、業務ボリュームの物理ボリューム名を控えてください。
# /usr/sbin/lspv hdisk0 0004f10aa92e686c rootvg hdisk1 0004f10a1c7879c5 vg01
業務ボリュームのボリュームグループ名がvg01の場合、上記の例では物理ボリューム名がhdisk1になります。
chdevコマンドを使用して、一時的に業務ボリュームをLVMから削除します。
# /usr/sbin/chdev -l hdisk1 -a pv=clear
exportvgコマンドを使用して、業務ボリュームをエクスポートします。
# /usr/sbin/exportvg vg01
recreatevgコマンドを使用して、業務ボリュームのLVM管理情報を書き換えます。
# /usr/sbin/recreatevg -y vg01 hdisk1
recreatevgコマンドを実行することで、ボリュームグループ内の論理ボリューム名が変更されるため、lsvgコマンドを使用して変更後の論理ボリューム名を確認します。
# /usr/sbin/lsvg -l vg01 vg01: LV NAME TYPE LPs PPs PVs LV STATE MOUNT POINT fslv01 jfs 2 2 1 closed/syncd N/A
手順7で確認した論理ボリューム名を指定してファイルシステムをマウントします。
業務ボリューム以外のボリュームへリストアする場合の手順
業務ボリューム以外のボリュームに対してリストアを行う場合は、リストアの前後処理スクリプトが実行されません。またリストア先ボリュームとバックアップボリュームでLVM管理情報が一致しないため、LVM管理情報の書き換えが必要となります。このため業務ボリューム以外のボリュームへリストアする場合は、以下の手順を実施してください。手順を誤ると業務データを破壊する危険性があるので、細心の注意を払って実施してください。各コマンドの詳細については、AIXのマニュアルを参照してください。
リストア先ボリュームのボリュームグループに含まれる、全ての論理ボリュームをアンマウントしてください。
varyoffvgコマンドを使用して、リストア先ボリュームのボリュームグループを非活性化します。以下の実行例では、リストア先ボリュームのボリュームグループ名をvg01としています。
# /usr/sbin/varyoffvg vg01
リストア先ボリュームに対してリストアを実行します。手順については、「4.5.3 リストアの実行」を参照してください。
lspvコマンド等を実行し、リストア先ボリュームの物理ボリューム名を控えてください。
# /usr/sbin/lspv hdisk0 0004f10aa92e686c rootvg hdisk1 0004f10a1c7879c5 vg01
リストア先ボリュームのボリュームグループ名がvg01の場合、上記の例では物理ボリューム名がhdisk1になります。
chdevコマンドを使用して、一時的にリストア先ボリュームをLVMから削除します。
# /usr/sbin/chdev -l hdisk1 -a pv=clear
exportvgコマンドを使用して、リストア先ボリュームをエクスポートします。
# /usr/sbin/exportvg vg01
recreatevgコマンドを使用して、リストア先ボリュームのLVM管理情報を書き換えます。
# /usr/sbin/recreatevg -y vg01 hdisk1
recreatevgコマンドを使用することで、ボリュームグループ内の論理ボリューム名が変更されるため、lsvgコマンドを使用して変更後の論理ボリューム名を確認します。
# /usr/sbin/lsvg -l vg01 vg01: LV NAME TYPE LPs PPs PVs LV STATE MOUNT POINT fslv01 jfs 2 2 1 closed/syncd N/A
手順8で確認した論理ボリューム名を指定してファイルシステムをマウントします。