jobschmsgeventコマンドを使って、メッセージ事象発生の通知と同時に、可変パラメタを利用したジョブネット連携を行う場合について説明します。
メッセージ事象発生の通知と同時に、可変パラメタを渡すジョブネット連携が可能です。コマンドやパラメタ、ジョブの実行を依頼するホストのみ異なる複数のジョブネット(業務)を運用する場合に、大量にジョブネットを定義する必要がなくなります。
メッセージ事象により起動するジョブネットに対して、メッセージ事象の通知とともに可変パラメタを渡すジョブを登録します。また、可変パラメタを受信するジョブネットのジョブでは、あらかじめ変数を定義しておくことで、変数を受信した可変パラメタに置き換えて、ジョブを起動します。
可変パラメタを受信できるのは、以下の条件をすべて満たすジョブネットとなります。
グループに登録されていない
ジョブ実行制御属性である
起動条件がメッセージ事象発生時のみ起動であり、かつ、以下のいずれかの条件を満たしている
1つのメッセージ事象を待ち合わせている
登録された複数のメッセージ事象のうち、いずれかのメッセージ事象を待ち合わせている
一時変更により設定された定義内容が上記条件を満たしている場合も、可変パラメタを受信できます。
なお、階層化されたジョブネットの場合、可変パラメタは、2階層目以降のジョブネットにも引き継がれ、使用できます。
ジョブの定義
可変パラメタを利用する場合に、可変パラメタを渡す側および可変パラメタを受信する側、それぞれのジョブの定義について説明します。
なお、手動で可変パラメタを指定して起動する場合については、“7.4 ジョブネットを可変パラメタ起動する”を参照してください。
可変パラメタを渡すジョブの定義
[登録-ジョブ]ウィンドウの[基本情報]シートで、メッセージ事象発生コマンド(jobschmsgeventコマンド)に可変パラメタ(-pオプション)を指定してジョブ情報を設定します。または、jobschsetnetコマンドを利用して定義します。
jobschmsgeventコマンド、jobschsetnetコマンドの詳細については、“Systemwalker Operation Manager リファレンスマニュアル”を参照してください。
可変パラメタにジョブ定義変数(@変数名@)が存在していた場合、通常の文字列として扱われます。ジョブ定義変数として扱われません。
可変パラメタには、起動するジョブネットのジョブ定義中にある変数“@.VPARAM@”が置き換えられたときに、その定義項目の使用不可文字が使われたり、文字列長の上限値を超えることがないようにしてください。置き換えの結果、ジョブの定義が不正になった場合には、ジョブは実行されず、異常終了となります。
なお、可変パラメタの詳細については、Systemwalker Operation Manager リファレンスマニュアル”の“jobschmsgeventコマンド”を参照してください。
可変パラメタを受信するジョブの定義
[登録-ジョブ]ウィンドウの[基本情報]シートで、受信した可変パラメタに置き換えたい項目に変数“@.VPARAM@”を指定して、ジョブ情報を設定します。または、jobschsetnetコマンドを利用して定義します。
変数“@.VPARAM@”は、[基本情報]シートの以下の項目で利用できます。なお、変数を指定する項目の上限値はありません。複数の項目に指定することも、1項目内に変数を複数指定することも可能です。
コマンド
パラメタ
依頼ホスト名
以下のジョブでは、変数“@.VPARAM@”を使用できません。
Interstage属性のジョブ
PowerAIM属性のジョブ
旧バージョン互換(旧・標準)属性のジョブ
グローバルサーバMSPジョブ
グローバルサーバXSPジョブ
バッチフレームワークジョブ
ジョブ定義内に変数を使用したジョブネットが可変パラメタなしで起動された場合、変数部分は空文字に置き換えられた状態でジョブが起動されます。
メッセージ事象発生の通知と同時に可変パラメタを渡してジョブネットを起動する場合に、起動対象のジョブネットを複写し、複写されたジョブネットを起動することができます(以降、複写起動と呼びます)。複写されたジョブネット名およびジョブネット名称には、複写元の名前に指定したサフィックスが付加されます。このため、パラメタが異なる複数のジョブネットを、異なるサフィックスを指定して平行で実行したり、ジョブネットの実行結果を上書きすることなく、異なるパラメタでジョブネットを実行することができます。
上記のように、ジョブネットを複写起動したい場合は、メッセージ事象発生コマンド(jobschmsgeventコマンド)に可変パラメタ(-pオプション)とサフィックス(-cオプション)を指定してジョブ情報を設定してください。
joschmsgeventコマンドの詳細については、“Systemwalker Operation Manager リファレンスマニュアル”を参照してください。
複写起動について
ジョブネットが起動されるタイミングで複写されます。
階層化されたジョブネットの場合、2階層目以降も複写されます。
以下の場合、複写起動されません。
グループ内ジョブネットの場合
複写元ジョブネットの状態が以下の場合
無効
停止
実行中([ジョブネット実行中も有効]が指定されていても複写起動されません)
終了遅延
警告
異常終了([確認操作の詳細設定]ウィンドウで[ジョブネットの確認操作を有効とする]が指定されているとき)
強制終了([確認操作の詳細設定]ウィンドウで[ジョブネットの確認操作を有効とする]と[強制終了を確認操作の対象とする]が指定されているとき)
複写先に同名のジョブネットが手作業により作成されていた場合
複写先に同名のジョブネットが存在し、かつジョブネットの状態が以下の場合
実行中([ジョブネット実行中も有効]が指定されていても複写起動されません)
終了遅延
警告
異常終了([確認操作の詳細設定]ウィンドウで[ジョブネットの確認操作を有効とする]が指定されているとき)
強制終了([確認操作の詳細設定]ウィンドウで[ジョブネットの確認操作を有効とする]と[強制終了を確認操作の対象とする]が指定されているとき)
[ジョブネットのプロパティ]ウィンドウ-[メッセージ]シートで[日変わり時刻到来時に持ち越し処理を行う]が指定されているジョブネットを複写起動した場合、そのジョブネットが起動済みでなくても、複写起動されたジョブネットが一つでも起動済みであれば、起動済みとして扱われます。
複写されたジョブネットについて
複写されたジョブネット名およびジョブネット名称は、以下のようになります。
複写元ジョブネットの名前_-cオプションで指定したサフィックス
複写されたジョブネットには、複写元の起動条件、基準ジョブネットの設定情報は継承されません。起動条件 “なし”の設定となります。
複写されたジョブネット内のジョブについては、操作による状態(無効・停止)が継承されます。
複写されたジョブネットに対して、以下の操作はできません。
[操作]メニューの[停止]、[停止解除]、[無効]、[無効解除]、[終了取消]、[持越解除]
[変更]
[再利用]
[コピー]
[起動日]
[ジョブネットのプロパティ]ウィンドウでの変更
[ジョブネットの一時変更]
[ジョブネットの一時変更解除]
jobschsetnetコマンドの -nent/-nche/-ncop/-sent/-sdel オプション
jobschcontrolコマンドのpause/continue/disable/enable/reinstate/revokeオプション
複写されたジョブネットは、業務選択ウィンドウの業務ツリーに即座に反映されません。ウィンドウを再表示したタイミングで、業務ツリーに反映されます。
メッセージ事象発生コマンド(jobschmsgeventコマンド)に可変パラメタ(-pオプション)やサフィックス(-cオプション)を指定した場合、可変パラメタの受信とメッセージ事象の受け付けにおいて、通常とは異なる動作をすることがあります。
可変パラメタを受信できないジョブネットについて
メッセージ事象が受け付けられても、可変パラメタ(-pオプション)やサフィックス(-cオプション)情報が無視されることがあります。
以下のジョブネットが可変パラメタありのメッセージ事象を受け取った場合に、可変パラメタやサフィックス情報が無視されます。
待ち合わせるメッセージ事象の数が1つ以上、かつ、[ジョブネットのプロパティ]ウィンドウ-[メッセージ]シートの[待ち合わせ条件]が[すべてのメッセージ事象が発生した時に起動]の場合
待ち合わせるメッセージ事象の数が1つ以上、かつ、[ジョブネットのプロパティ]ウィンドウ-[基本情報]シートの[起動条件]が以下の場合
時刻起動
間隔起動
サーバ起動時に起動
メッセージ事象を受け付けられないジョブネットについて
可変パラメタ(-pオプション)やサフィックス(-cオプション)を指定した場合に、メッセージ事象が受け付けられないことがあります。
以下に、メッセージ事象が受け付けられない場合の、ジョブネットの設定や状態の組み合わせを示します。
なお、通常のメッセージ事象の受け付けについては、“14.3.3 メッセージ事象の受け付けについて”を参照してください。
メッセージを受信するジョブネットの状態 | 複写起動された | メッセージ事象のカウント | 備考 | |
---|---|---|---|---|
可変パラメタありの場合 | 可変パラメタおよびサフィックスありの場合 | |||
実行中でない | 実行中/終了遅延/警告 | ○ | × |
|
異常終了/強制終了でない | 異常終了/強制終了(*) | ○ | × | *1 |
実行中/終了遅延/警告 | 実行中でない | × | × | *2 |
停止中 | 停止中でない | × | × |
|
○:メッセージ事象は通常の場合と同様に受け付けられる ×:メッセージ事象は受け付けられない *1:異常終了は、[確認操作の詳細設定]ウィンドウの[ジョブネットの確認操作を有効とする]が 設定されている場合。 強制終了は、[確認操作の詳細設定]ウィンドウの[ジョブネットの確認操作を有効とする]および [強制終了を確認操作の対象とする]が設定されている場合。 *2:[ジョブネットのプロパティ]ウィンドウ-[メッセージ]シートの[ジョブネット実行中も有効]に チェックがある場合でも、メッセージ事象は受け付けられません。