Interstage Application Server 高信頼性システム運用ガイド
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第4章 クラスタサービス機能> 4.2 スタンドアロンサーバの環境設定> 4.2.5 クラスタサービスの設定

4.2.5.1 PRIMECLUSTERの場合

 クラスタシステムに関連する環境設定を行います。以下の作業を行います。
 なお、クラスタサービスは、PRIMECLUSTERではuserApplicationになります。

1) 状態遷移プロシジャの修正

●状態遷移プロシジャのサンプル

 Interstageでは状態遷移プロシジャを利用し、Interstageの起動/停止および切り替え処理を行います。Interstageでは以下のディレクトリ配下に状態遷移プロシジャのサンプルを提供します。使用者は状態遷移プロシジャを環境に合わせて修正する必要があります。

   /opt/FJSVisas/etc/HA/SynfinityCLUSTER
   /opt/FJSVisas/etc/HA/PRIMECLUSTER

 Interstageでは以下の状態遷移プロシジャのサンプルを提供します。
 これらの状態遷移プロシジャのうち、使用している機能に該当する状態遷移プロシジャを使用します。

カテゴリ

サンプル名

制御内容

サービス操作用

IS_INTERSTAGE

Interstage(Interstage統合コマンドの起動/停止制御対象のサービス)の操作のために使用します。

ES_INTERSTAGE

イベントサービスの操作のために使用します。

IREP_INTERSTAGE

Interstage ディレクトリサービスの操作のために使用します。

SSO_INTERSTAGE

Interstage シングル・サインオンの操作のために使用します。セション管理を行う場合のみ登録します。

OTS_RMP_INTERSTAGE

データベース連携サービス リソース管理プログラムの操作のために使用します。

SOAP_INTERSTAGE

SOAPサービスの操作のために使用します。

EBMS_INTERSTAGE

ebXML Message Serviceの操作のために使用します。

ワークユニット起動用

IJSERVER_INTERSTAGE

クラスタ切り替え時のIJServer起動操作のために使用します。

ODWU_INTERSTAGE

クラスタ切り替え時のCORBAワークユニット起動操作のために使用します。

UTYWU_INTERSTAGE

クラスタ切り替え時のユーティリティワークユニット起動操作のために使用します。

TDWU_INTERSTAGE

クラスタ切り替え時のトランザクションアプリケーションのワークユニット起動操作のために使用します。

マルチサーバ管理用

JMX_INTERSTAGE

マルチサーバ管理機能を使用している場合の操作のために使用します。

●サンプルの利用方法

 使用者は以下の手順で状態遷移プロシジャの修正を行います。

  1. 状態遷移プロシジャの複写
  2. 状態遷移プロシジャの内容の修正


 修正を行った後、修正したプロシジャには実行権限を付与してください。

1.状態遷移プロシジャの複写

 Interstageより提供している状態遷移プロシジャのサンプルの内、使用している機能に該当する状態遷移プロシジャを使用者の任意のディレクトリ配下に以下の命名で複写してください。
 なお、サンプルを複写するディレクトリはローカルディスク内に設定してください。また、プロシジャは各ノードで同一の位置に格納してください。

 userApplication名.状態遷移プロシジャ名

2.状態遷移プロシジャの内容の修正

 複写した状態遷移プロシジャのうち、いくつかの状態遷移プロシジャに関しては、使用条件により修正を行う必要があります。
 下表を参考に修正の実施有無を判断してください。また、修正が必要な場合には、以降の説明を参考に修正を実施してください。

カテゴリ

サンプル名

修正の
必要有無

修正実施の条件

サービス操作用

IS_INTERSTAGE

Interstageに対する監視条件を変更する場合。または、CORBA/SOAPクライアントゲートウェイを使用している場合。

ES_INTERSTAGE

状態遷移プロシジャからイベントチャネルを起動する場合。

IREP_INTERSTAGE

Interstageディレクトリサービスを使用している場合。

SSO_INTERSTAGE

修正の必要はありません。

OTS_RMP_INTERSTAGE

OTSのリソース管理プログラムを使用している場合。

SOAP_INTERSTAGE

SOAPサービスを使用している場合。

EBMS_INTERSTAGE

ebXML Message Serviceを使用している場合。

ワークユニット起動用

IJSERVER_INTERSTAGE

状態遷移プロシジャからIJServerを起動する場合。

ODWU_INTERSTAGE

状態遷移プロシジャからCORBAワークユニットを起動する場合。

UTYWU_INTERSTAGE

状態遷移プロシジャからユーティリティワークユニットを起動する場合。

TDWU_INTERSTAGE

状態遷移プロシジャからトランザクションアプリケーションのワークユニットを起動する場合。

マルチサーバ管理用

JMX_INTERSTAGE

マルチサーバ管理機能の管理サーバをクラスタ運用する場合。

記号の意味 = ○:修正の必要あり −:修正の必要無し

 複写した状態遷移プロシジャの内容の修正方法を以下に説明します。

●userApplication名.IS_INTERSTAGEの修正

 ネーミングサービスおよびインタフェースリポジトリが何らかの異常で停止した場合でも、待機側に切り替えたくない場合は、状態遷移プロシジャ内のIS_ISV_WATCH_MODEに“0”を設定してください。通常は“1”が設定されており、切り替えの対象となっています。切り替えたい場合は、修正の必要はありません。


 ネーミングサービスおよびインタフェースリポジトリが異常終了してもクラスタサービスを切り替えたくない場合

 IS_ISV_WATCH_MODE="0"


 SOAPサービスのCORBA/SOAPクライアントゲートウェイを連動起動するために以下の環境変数を追加してください。
 環境変数JAVA_HOMEは、使用するJava環境に合わせてしてください。

 LD_LIBRARY_PATH=/opt/FSUNod/lib
 export LD_LIBRARY_PATH
 SOAP_HOME=/opt/FJSVsoap
 export SOAP_HOME
 JAVA_HOME=/opt/FJSVawjbk/jdk5
 export JAVA_HOME
 CLASSPATH=$CLASSPATH:/etc/opt/FSUNod/class/ODjava4.jar:/opt/FJSVj2ee/lib/isj2ee.jar:/opt/FJSVsoap/lib/issoap4.jar:/opt/FJSVsoap/lib/issoapsec.jar:/opt/FJSVisscs/lib/isadmin_scs.jar
 export CLASSPATH

 LD_LIBRARY_PATH=/opt/FJSVod/lib:/opt/FJSVsoap/tools:/opt/FJSVisscs/lib
 export LD_LIBRARY_PATH
 SOAP_HOME=/opt/FJSVsoap
 export SOAP_HOME
 JAVA_HOME=/opt/FJSVawjbk/jdk5
 export JAVA_HOME
 CLASSPATH=$CLASSPATH:/etc/opt/FJSVod/class/ODjava4.jar:/opt/FJSVj2ee/lib/isj2ee.jar:/opt/FJSVsoap/lib/issoap4.jar:/opt/FJSVsoap/lib/issoapsec.jar:/opt/FJSVisscs/lib/isadmin_scs.jar
 export CLASSPATH

●userApplication名.ES_INTERSTAGEの修正

 イベントチャネルに「イベントサービス起動時にイベントチャネルを自動起動しない」という設定を行った場合は、当該状態遷移プロシジャにより、運用ノードで起動する、および切り替え時に動作するイベントチャネルを設定する必要があります。状態遷移プロシジャ内の“ES_CHNL”に起動するイベントチャネルグループ名を記述してください。
 ただし、すべてのイベントチャネルに初期値(省略値)である「イベントサービス起動時にイベントチャネルを自動起動する」という設定を行っている場合、当該状態遷移プロシジャを登録する必要はありません。
 また、不揮発運用を行うイベントチャネルの場合、ユニットはイベントチャネル起動時に自動起動されるため、記述する必要はありません。

 イベントチャネルグループmix1、mix2、mix3を起動したい場合

 ES_CHNL="mix1 mix2 mix3"

 注意)記述する項目は半角ブランクで区切ってください。

●userApplication名.IREP_INTERSTAGEの修正

 使用する共用ディスクパスを設定します。

 共用ディスクパスを“/repository”として指定する場合

DIRECTORY=/repository

注) 共用ディスクパスには、リソース登録済みのパスを指定してください。

●userApplication名.OTS_RMP_INTERSTAGEの修正

 当該状態遷移プロシジャにより、運用ノードで起動するリソース管理プログラムおよび切り替え時に動作するリソース管理プログラムを設定します。そのため、状態遷移プロシジャ内の“DEF_NAME”にリソース管理プログラムとリソース定義名を以下のように記述してください。

 /home/ots/resource1をresource1で、/home/ots/resource2をresource2で起動したい場合

 DEF_NAME="/home/ots/resource1 resource1 /home/ots/resource resource2"

 また、JTS用のリソース管理プログラムを使用する場合には、“JTS_USE”に“TRUE”を設定してください。

 JTSをクラスタ環境で使用したい場合

 JTS_USE="TRUE"

 注意)記述する項目は半角ブランクで区切ってください。

●userApplication名.SOAP_INTERSTAGEの修正

 使用するJava環境に合わせて環境変数JAVA_HOMEを設定します。

 JDK5.0を使用する場合

 JAVA_HOME=/opt/FJSVawjbk/jdk5

●userApplication名.EBMS_INTERSTAGEの修正

 使用するJava環境に合わせてJAVA_VERSIONを設定します。

 JDK5を使用する場合

 JAVA_VERSION=5

 JDK1.4を使用する場合

 JAVA_VERSION=14

●userApplication名.ODWU_INTERSTAGE/userApplication名.TDWU_INTERSTAGE/userApplication名.IJSERVER_INTERSTAGE/userApplication名.UTYWU_INTERSTAGEの修正

 運用ノードで起動するワークユニットおよび切り替え時に引き継ぐワークユニットを設定します。ワークユニットごとの状態遷移プロシジャは以下のとおりです。

 状態遷移プロシジャ内のWU_NAMEにワークユニット名を以下のように記述してください。

 WU1、WU2を起動および事前起動したい場合

 WU_NAME="WU1 WU2"


 注意)記述するワークユニット名は半角ブランクで区切ってください。

2) 状態遷移プロシジャの登録

1.リソース情報の設定

 状態遷移プロシジャのリソース情報を設定する場合、“プロセスの再起動回数”を“0”に、“プロセスの再起動間隔”を“0”に、“プロセスの再起動回数の初期化”を“しない”に設定してください。

設定については、claddprocrscコマンドで行ないます。Claddprocrscコマンドについては、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。

2.状態遷移指示タイミングの設定

 Interstageから提供している状態遷移プロシジャに対し、以下に示すタイミングで呼び出されるように設定してください。設定については、claddprocrscコマンドで行ないます。Claddprocrscコマンドについては、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。

 [START-RUN]
   ・AFTER
   ・CUTOFF/BUILDIN
 [START-WAIT]
   ・AFTER
 [STOP-RUN]
   ・BEFORE
 [STOP-WAIT]
   ・BEFORE
 [FAIL-RUN]
   ・BEFORE
 [FAIL-WAIT]
   ・BEFORE

3.状態遷移プロシジャをuserApplicationに登録

 状態遷移プロシジャをuserApplicationに登録します。「リソースの起動順序」については、以下の優先順位で呼び出されるように登録してください。


優先度の設定については、“userApplication Configuration wizard”の“Resourceの作成”より行います。“userApplication Configuration wizard”については、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。


優先度の設定については、“CUI(RMS Wizard)”より行います。“CUI(RMS Wizard)”については、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。

◆リソースの起動優先度


 *1:管理サーバ機能を利用する場合のみ登録してください。
 *2:セション管理の運用を行う場合のみ登録してください。
 *3: すべてのイベントチャネルに初期値(省略値)である「イベントサービス起動時にイベントチャネルを自動起動する」という設定を行っている場合、この状態遷移プロシジャを登録する必要はありません。

◆操作手順

 各手順で、状態遷移プロシジャを実行するすべてのノードにおいて以下に示す操作を行ってください。

  1. 状態遷移プロシジャの登録

    clsetproc -c BasicApplication *1
    -m IS_INTERSTAGE *2

    -o /etc/opt/FJSVisas/HA/SynfinityCLUSTER/IS_INTERSTAGE *2

    -o /etc/opt/FJSVisas/HA/PRIMECLUSTER/IS_INTERSTAGE *2

  2. 状態遷移プロシジャを使用するアプリケーションリソースの登録

    claddprocrsc -k IS_INTERSTAGE *2
    -m IS_INTERSTAGE *2
    -c BasicApplication *1
    -K AFTER -w -L AFTER -S BEFORE -T BEFORE -V BEFORE -W BEFORE -u 0 -t 0 -p 100 *3

  3. userApplicationに状態遷移プロシジャ用リソースのPRIMECLUSTER用リソースとして登録

    手順2.で作成したリソースをPRIMECLUSTER用のリソースとして登録します。

    操作は“userApplication Configuration wizard”の“Resourceの作成”より行います。
    リソースの名前は、上記「◆リソースの起動優先度」の形式にしてください。
    “userApplication Configuration wizard”については、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。

    操作はCUI(RMS Wizard)より行います。
    CUI(RMS Wizard)については、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。

  4. userApplicationへの状態遷移用プロシジャ用リソース登録

    手順3.で作成したすべてのリソースを"クラスタサービス(userApplication)の起動"で作成したuserApplicationに登録します。
    また「userApplicationの属性」については、「StandbyTransitions」に「ClearFaultRequest|StartUp|SwitchRequest」を設定してください。
    userApplicationへの登録方法およびuserApplicationの属性の設定方法については、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。


 オプションに指定するパラメタについて:

 *1: ODWU_INTERSTAGE/TDWU_INTERSTAGE/ IJSERVER_INTERSTAGE/ UTYWU_INTERSTAGEの場合は省略
 *2: 登録するリソースの名前に合わせて変更してください。
 *3: EBMS_INTERSTAGE の場合はパラメタを以下のようにしてください。
   -K BEFORE,AFTER -L BEFORE,AFTER -S BEFORE,AFTER -T BEFORE,AFTER -u 0 -t 0 -p 100


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