Systemwalker Centric Manager クイックガイド - UNIX/Windows(R)共通 -
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第4章 業務サーバの環境構築> 4.3 業務サーバの環境構築手順【Solaris版】

4.3.1 インストール前の作業

管理者アカウントを作成する

Systemwalker管理者アカウントをインストールする前に作成します。Systemwalker管理者アカウントは、インストール時に指定する必要があり、Systemwalker Centric Managerの各種操作を行う場合の管理者アカウントとして使用されます。また、Systemwalker管理者アカウントは、Systemwalker Centric Managerをインストールするそれぞれのサーバで作成しておく必要があります。なお、システム管理者(スーパーユーザ)の権限は必要ありません。

アカウント、パスワードは、ともに8バイト以内です。使用できる文字種は、OSのマニュアルを参照してください。

業務サーバに、ユーザアカウントを作成する手順を以下に示します。

  1. スーパーユーザでログインします。
  2. 以下のコマンドを実行し、Systemwalker管理者アカウントを作成します。

    # /usr/sbin/useradd <Systemwalker管理者アカウント名>

  3. 以下のコマンドにより、Systemwalker管理者アカウントのパスワードを設定します。なお、コマンド実行後、設定するパスワードを2度正しく入力するプロンプトが表示されますので、指示にしたがい、パスワードを入力します。

    # /usr/bin/passwd <Systemwalker管理者アカウント名>

    New password: <パスワード>
    Re-enter new Password: <パスワード>
    passwd: password successfully changed for <Systemwalker管理者アカウント名>

    表示されるメッセージなどは、OSのバージョンにより異なる可能性があります。 また、useraddコマンドには、ここにあげた例以外にも、ユーザのホームディレクトリを指定するなどの多くのオプションを指定可能です。詳細は、OSのマニュアルを合わせて参照してください。

システムパラメタをチューニングする

業務サーバでは、システムパラメタのチューニングを行う必要があります。チューニングが必要なシステムパラメタとその値については、以下の表を参照してください。パラメタにより、既に設定されている値(初期値)に加算する場合と、既に設定されている値と比較し大きい方の値(最大)を設定する場合があります。(加算の場合、設定のシステム上限値も確認してください。)各パラメタがどちらにあたるかは、表の“種別”を参照してください。

詳細についてはSolarisのマニュアルを参照してください。

◆【Solaris 7/8/9】

システムパラメタのチューニング値

共有メモリ

パラメタ

説明

種別

shmsys:shminfo_shmmax

共有メモリセグメントの最大サイズ

42240(SE版)

最大

83200(EE版)

shmsys:shminfo_shmmni

システム全体で作成できる共有メモリセグメントの最大数

5

加算

メッセージキュー

パラメタ

説明

種別

msgsys:msginfo_msgmap

message マップ内のエントリ数 (注1)

式1

加算

msgsys:msginfo_msgmax

メッセージの最大サイズ

4096

最大

msgsys:msginfo_msgmnb

待ち行列上の最大バイト数

16384

最大

msgsys:msginfo_msgmni

メッセージ待ち識別子の数

7

加算

msgsys:msginfo_msgtql

メッセージのヘッダ数 (注2)

式2

加算

msgsys:msginfo_msgseg

メッセージセグメント数 (注3)

16385

加算

セマフォ

パラメタ

説明

種別

semsys:seminfo_semmap

セマフォマップ内のエントリ数(注3)

11

加算

semsys:seminfo_semmni

セマフォ識別子の数

9

加算

semsys:seminfo_semmns

システム内のセマフォ数

9

加算

semsys:seminfo_semmnu

システム内のundo構造体の数

14

加算

注1)
Solaris 8/9では設定不要です。
式1の詳細は、以下のとおりです。

式1=msgtqlのチューニング値+2

注2)
式2の詳細は、以下のとおりです。

式2=資源配付の通信宛先数+20+msgmnbのチューニング値/100

注3)
Solaris 8/9では設定不要です。

システムパラメタを編集するには、/etc/systemファイにチューニングのためのレコードを以下のように追加します。

なお、表にあるパラメタが既に設定されている場合、Solarisの各バージョンのマニュアルを参照し、チューニングを行ってください。

チューニング作業手順

  1. 以下のコマンドを使用して現在システムに設定されている上記表に該当するパラメタの設定値を確認します。

    #/usr/sbin/sysdef


  2. 上記の表(システムパラメタのチューニング値)を参照し、現在の設定値と比較を行い、パラメタごとに最大、加算の種別を考慮して、適切な設定値を算出します。
  3. /etc/systemを編集します。

    システムパラメタをチューニングするために、/etc/systemファイルにチューニングのためのレコードを、以下の例のように編集します。

    例: Solaris 8上に業務サーバだけを導入し、資源配付の通信宛先数が128の場合

    set shmsys:shminfo_shmmni = 105
    set msgsys:msginfo_msgmax = 4096
    set msgsys:msginfo_msgmnb = 16384
    set msgsys:msginfo_msgmni = 57
    set msgsys:msginfo_msgtql = 352
    set semsys:seminfo_semmni = 19
    set semsys:seminfo_semmns = 69
    set semsys:seminfo_semmnu = 44


  4. システムパラメタを変更した後は、システムの再起動が必要です。再起動のコマンドを以下に示します。

    # cd /
    # /usr/sbin/shutdown -y -i6 -g0


  5. システム再起動後、設定したシステムパラメタが反映されていることを、以下のコマンドの出力から確認します。

    # /usr/sbin/sysdef

    表示例

    #/usr/sbin/sysdef
       ・
       ・
      (省略)
       ・
       ・
    *
    * IPC Messages
    *
    4096 max message size (MSGMAX)
    16384 max bytes on queue (MSGMNB)
    57 message queue identifiers (MSGMNI)
    352 system message headers (MSGTQL)
    *
    * IPC Semaphores
    *
    19 semaphore identifiers (SEMMNI)
    69 semaphores in system (SEMMNS)
    44 undo structures in system (SEMMNU)
    25 max semaphores per id (SEMMSL)
    10 max operations per semop call (SEMOPM)
    10 max undo entries per process (SEMUME)
    32767 semaphore maximum value (SEMVMX)
    16384 adjust on exit max value (SEMAEM)
    *
    * IPC Shared Memory
    *
    1048576 max shared memory segment size (SHMMAX)
    1 min shared memory segment size (SHMMIN)
    105 shared memory identifiers (SHMMNI)
    6 max attached shm segments per process (SHMSEG)
       ・
       ・
      (省略)
       ・
       ・

◆【Solaris 10】

Systemwalker Centric Managerは、以下のプロジェクト配下で動作します。

systemプロジェクト
OS初期設定状態で存在するデーモンなどが動作するプロジェクト
user.rootプロジェクト
OS初期設定状態でroot権限で動作するプロセスが所属するプロジェクト

システムパラメタのチューニング値

パラメタ

説明

種別

特権

project.max-msg-ids

メッセージ待ち識別子の数

7

加算

特権レベル

process.max-msg-qbytes

待ち行列上の最大バイト数

16384

最大

特権レベル

process.max-stack-size

プロセスで使用できるスタックメモリセグメントの最大サイズ

4000000

最大

基本レベル

project.max-sem-ids

セマフォ識別子の数

9

加算

特権レベル

project.max-shm-memory

共有メモリセグメントの最大サイズ

99180(SE版)

加算

特権レベル

181100(EE版)

備考.
特権レベルは、/etc/projectに“privileged”を指定し、基本レベルは、“basic”を指定します。

システムパラメタの設定

システムパラメタを編集するには、/etc/projectファイルを編集します。

システムパラメタを設定する際には、システムの初期値および、設定可能名値の上限を確認した後、値を確認してください。確認方法の例は以下のとおりです。

/etc/projectファイル編集例

system:0:System account:::project.max-msg-ids=(privileged,135,deny);process.max-file-descriptor=(privileged,2048,deny);process.max-msg-qbytes=(privileged,64000,deny);process.max-stack-size=(basic,8000000,deny);project.max-sem-ids=(privileged,136,deny);project.max-shm-memory=(privileged,1157627904,deny)
user.root:1:root user:root:root: project.max-msg-ids=(privileged,135,deny);process.max-file-descriptor=(privileged,2048,deny);process.max-msg-qbytes=(privileged,64000,deny);process.max-stack-size=(basic,8000000,deny);project.max-sem-ids=(privileged,136,deny);project.max-shm-memory=(privileged,1157627904,deny)

システムパラメタの確認

上記設定をした後、以下のコマンドにより設定情報を確認できます。

# projects -l

[確認コマンド実行例]

# projects -l
system
projid : 0
comment: "System account"
users : (none)
groups : (none)
attribs: project.max-msg-ids=(privileged,135,deny)
process.max-file-descriptor=(privileged,2048,deny)
process.max-msg-qbytes=(privileged,64000,deny)
process.max-stack-size=(basic,8000000,deny)
project.max-sem-ids=(privileged,136,deny)
project.max-shm-memory=(privileged,1157627904,deny)
user.root
projid : 1
comment: "root user"
users : root
groups : root
attribs: project.max-msg-ids=(privileged,135,deny)
process.max-file-descriptor=(privileged,2048,deny)
process.max-msg-qbytes=(privileged,64000,deny)
process.max-stack-size=(basic,8000000,deny)
project.max-sem-ids=(privileged,136,deny)
project.max-shm-memory=(privileged,1157627904,deny)
noproject
projid : 2
comment: ""
users : (none)
groups : (none)
attribs:
default
projid : 3
comment: "Default project setting"
users : (none)
groups : (none)
attribs:

SNMPエージェントをインストールする

SNMPエージェントをインストールする場合、以下のパッケージをインストールします。

【Solaris 7/8/9】

【Solaris 10】

インストール時に選択したソフトウェアグループが以下のどれかの場合、OSと共にインストールされるため、別途、インストールする必要はありません。

使用するコマンドについて

LANGを設定する

Systemwalker Centric Managerの出力メッセージを日本語で出力する場合、Systemwalker Centric Managerをインストールする前に、以下の作業を実施してください。

  1. 以下のファイルと環境変を確認します。

    ファイル名

    /etc/default/init

    環境変数の優先度

    環境変数

    優先度

    LC_ALL

    以下のすべてに優先されます。

    LC_MESSAGES

    LC_ALLが設定されていない場合に有効になります。

    LANG

    LC_ALL、LC_MESSAGESが定義されていない場合に有効になります。

    設定値とコード

    上記ファイルの設定値

    Systemwalkerのコード系

    ja

    EUC

    ja_JP.eucJP(注)

    EUC

    ja_JP.PCK

    SJIS

    ja_JP.UTF-8

    UTF-8

    (注) “ja_JP.eucJP”はSolaris8以降でサポートされます。

  2. 上記の記述がない場合は、システム管理者(スーパーユーザ)のアカウントでvi 等のエディタを使用してシステムの動作環境に合わせた記述を追加します。

    (例)

    1. 環境変数LANGにコード系EUCを指定する場合

      LANG=ja

    2. 環境変数LANGにコード系SHIFT-JISを指定する場合

      LANG=ja_JP.PCK

ファイアウォールを設定する

Solaris 10では、標準でIP Filterというファイアウォール機能がインストールされています。本書では、Solaris 10のファイアウォール機能を利用している環境でファイアウォール機能を無効にし、Systemwalker Centric Managerをインストールします。、ファイアウォール機能を無効とします。以下の手順で無効の設定をします。

ファイアウォール機能を設定したい場合は、“Systemwalker Centric Manager 導入手引書”を参照してください。

# /usr/sbin/ipf -Fa


なお、次回リブート時にも恒久的に無効化したい場合は、上記の手順に加え、以下のファイルも削除してください。

上記ファイルについては、削除(コマンドでは“rm(1)”)ではなく、リネーム(コマンドでは“mv(1)”)により、別名で保存することをお勧めします。
上記ファイルを削除、またはリネームした後は、リブートを行い、ファイアウォールの設定が無効になっていることをipfstat(1M)で確認してください。


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