Systemwalker Centric Manager クイックガイド - UNIX/Windows(R)共通 -
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第3章 運用管理サーバの環境構築> 3.3 運用管理サーバの環境構築手順【Solaris版】

3.3.1 インストール前の作業

Systemwalker Centric Managerをインストールする前に必要な作業について説明します。

データベースのパーティションを作成する

運用管理サーバではデータベースパーティションを作成する必要があります。

SafeDISKを使用している場

RDB 管理情報専用パーティションを除くデータベース領域を、SafeDISKで管理しているボリューム上に作成する場合は、ボリュームの高速等価性回復機構を“なし”に設定します。
設定方法の詳細は、SafeDISKのマニュアルを参照してください。

Systemwalker Centric Managerを運用するためには、運用管理サーバに以下のデータベース領域が必要です。

基本的には、上記の4パーティションを使用しますが、どうしてもパーティションが足りない場合は、上記それぞれにレギュラーファイルを指定してデータベース領域を作成することにより、パーティションの数を削減することができます。また、Systemwalker Centric Manager V13.2.0からは専用パーティションを用意しなくてもフレームワークデータベースを作成することができます。詳細については、“Systemwalker Centric Manager導入手引書”の“フレームワークのデータベース作成【Solaris版/Linux版】”を参照してください。

性能を重視する場合は、専用パーティションを使用してください。
データベース用資源をレギュラーファイルに指定して作成する場合、高負荷環境では性能が低下する場合がありますので注意が必要です。

Systemwalker Centric Managerが使用するパーティションおよびファイルシステムの配置イメージは以下のようになります。

本書では、ヘルプデスクデータベーススペース用パーティション、およびインベントリ管理用データベーススペース用パーティションは、作成しません。

通常、作成したパーティションを指定する場合には、以下のデバイス名を使用します。

データベース領域の見積もり”で算出したディスク容量の見積もりを参考にして、データベース領域の容量が十分であるかを確認してください。

RDB管理情報パーティション以外のパーティショについて

ローデバイス作成時に、シリンダ0は指定しないでください。

本書ではRDBログファイル用パーティションをレギュラーファイルとして作成する場合の例を記載しています。この場合、運用管理サーバに以下のデータベース領域が必要になります。

作成方法については、“データベースパーティションの作成例【Solaris版】”を参考にしてください。

パーティションの作成について

パーティションはシステムにより異なるため、付録例をそのまま使用するとシステムを破壊してしまうことがあります。使用しているシステムの容量に応じた値で作成してください。

管理者アカウントを作成する

Systemwalker管理者アカウントをインストールする前に作成します。Systemwalker管理者アカウントは、インストール時に指定する必要があり、Systemwalker Centric Managerの各種操作を行う場合の管理者アカウントとして使用されます。Systemwalker管理者アカウントは、運用管理サーバで作成しておく必要があります。なお、システム管理者(スーパーユーザ)の権限は必要ありません。

アカウント、パスワードは、ともに8バイト以内で指定します。使用できる文字種は、OSのマニュアルを参照してください。

運用管理サーバに、Systemwalker管理者アカウントを作成する手順を以下に示します。

  1. スーパーユーザでログインします。
  2. 以下のコマンドを実行し、Systemwalker管理者アカウントを作成します。
    # /usr/sbin/useradd <Systemwalker管理者アカウント名>

  3. 以下のコマンドにより、Systemwalker管理者アカウントのパスワードを設定します。なお、コマンド実行後、設定するパスワードを2度正しく入力するプロンプトが表示されますので、指示にしたがい、パスワードを入力します。
    # /usr/bin/passwd <Systemwalker管理者アカウント名>

    New password: <パスワード>
    Re-enter new Password: <パスワード>
    passwd: password successfully changed for <Systemwalker管理者アカウント名>

    表示されるメッセージなどは、OSのバージョンにより異なる可能性があります。 また、useraddコマンドには、上記に記載した例以外にも、ユーザのホームディレクトリを指定するなどの多くのオプションを指定可能です。詳細は、OSのマニュアルを合わせて参照してください。

システムパラメタをチューニングする

運用管理サーバでは、システムパラメタのチューニングを行う必要があります。チューニングが必要なシステムパラメタとその値については、以下の表を参照してください。パラメタにより、すでに設定されている値(初期値)に加算する場合と、すでに設定されている値と比較し大きい方の値(最大)を設定する場合があります。(加算の場合、設定のシステム上限値も確認してください。)各パラメタがどちらに該当するかは、表の“種別”を参照してください。

詳細についてはSolarisのマニュアルを参照してください。

◆Solaris 7/8/9の場合

システムパラメタのチューニング値

共有メモリ

パラメタ

説明

種別

shmsys:shminfo_shmmax

共有メモリセグメントの最大サイズ

620756992

最大

shmsys:shminfo_shmmni

システム全体で作成できる共有メモリセグメントの最大数

512

加算

shmsys:shminfo_shmseg

プロセスごとのセグメント数 (注1)

512

最大

メッセージキュー

パラメタ

説明

種別

msgsys:msginfo_msgmap

message マップ内のエントリ数(注2)

式1

加算

msgsys:msginfo_msgmax

メッセージの最大サイズ

16384

最大

msgsys:msginfo_msgmnb

待ち行列上の最大バイト数

32768

最大

msgsys:msginfo_msgmni

メッセージ待ち識別子の数

1024

加算

msgsys:msginfo_msgtql

メッセージのヘッダ数 (注3)

式2

加算

msgsys:msginfo_msgseg

メッセージセグメント数 (注4)

32767

加算

セマフォ

パラメタ

説明

種別

semsys:seminfo_semmap

セマフォマップ内のエントリ数(注4)

2050

加算

semsys:seminfo_semmni

セマフォ識別子の数

2048

加算

semsys:seminfo_semmns

システム内のセマフォ数

2048

加算

semsys:seminfo_semmnu

システム内のundo構造体の数

2048

加算

semsys:seminfo_semmsl

セマフォ識別子ごとの最大セマフォ数

256

最大

semsys:seminfo_semopm

セマフォコールごとの最大操作数

100

最大

semsys:seminfo_semume

プロセスごとの最大undoエントリ数

2048

最大

入出力

パラメタ

説明

種別

rlim_fd_max

ファイル記述子数限度

1024

最大

rlim_fd_cur

ファイル記述子数

1024

最大

注1)
Solaris 9では設定不要です。
注2)
Solaris 8/9では設定不要です。
式1の詳細は、以下のとおりです。

式1=msgtqlのチューニング値+2

注3)
式2の詳細は、以下のとおりです。

式2=資源配付の通信宛先数+20+msgmnbのチューニング値/100

注4)
Solaris 8/9では設定不要です。

 

システムパラメタを編集するには、/etc/systemファイにチューニングのためのレコードを以下のように追加します。

なお、表にあるパラメタが既に設定されている場合、Solarisの各バージョンのマニュアルを参照し、チューニングを行ってください。

チューニング作業手順

  1. 以下のコマンドを使用して現在システムに設定されている上記表に該当するパラメタの設定値を確認します。

    #/usr/sbin/sysdef


  2. 上記の表(システムパラメタのチューニング値)を参照し、現在の設定値と比較を行い、パラメタごとに最大、加算の種別を考慮して、適切な設定値を算出します。

  3. /etc/systemを編集します。

    システムパラメタをチューニングするために、/etc/systemファイルにチューニングのためのレコードを、以下の例のように編集します。

    例: Solaris 9上に運用管理サーバだけを導入し、資源配付の通信宛先数が128の場合

    set shmsys:shminfo_shmmax = 620756992
    set shmsys:shminfo_shmmni = 612

    set msgsys:msginfo_msgmax = 16384
    set msgsys:msginfo_msgmnb = 32768
    set msgsys:msginfo_msgmni = 1074
    set msgsys:msginfo_msgtql = 516

    set semsys:seminfo_semmni = 2058
    set semsys:seminfo_semmns = 2108
    set semsys:seminfo_semmnu = 2078
    set semsys:seminfo_semmsl = 256
    set semsys:seminfo_semopm = 100
    set semsys:seminfo_semume = 2048

    set rlim_fd_max = 1024
    set rlim_fd_cur = 1024


  4. システムパラメタを変更した後は、システムの再起動が必要です。再起動のコマンドを以下に示します。

    # cd /
    # /usr/sbin/shutdown -y -i6 -g0


  5. システム再起動後、設定したシステムパラメタが反映されていることを、以下のコマンドの出力から確認します。

    # /usr/sbin/sysdef

    確認コマンド実行例

    #/usr/sbin/sysdef
       ・
       ・
      (省略)
       ・
       ・
    *
    * Process Resource Limit Tunables (Current:Maximum)
    *
    0x0000000000000400:0x0000000000000400   file descriptors
    *
    * Streams Tunables
    *
         9  maximum number of pushes allowed (NSTRPUSH)
     65536  maximum stream message size (STRMSGSZ)
      1024  max size of ctl part of message (STRCTLSZ)
    *
    * IPC Messages
    *
     16384  max message size (MSGMAX)
     32768  max bytes on queue (MSGMNB)
      1074  message queue identifiers (MSGMNI)
       516  system message headers (MSGTQL)
    *
    * IPC Semaphores
    *
      2058  semaphore identifiers (SEMMNI)
      2108  semaphores in system (SEMMNS)
      2078  undo structures in system (SEMMNU)
       256  max semaphores per id (SEMMSL)
       100  max operations per semop call (SEMOPM)
      2048  max undo entries per process (SEMUME)
     32767  semaphore maximum value (SEMVMX)
     16384  adjust on exit max value (SEMAEM)
    *
    * IPC Shared Memory
    *
     620756992      max shared memory segment size (SHMMAX)
       612  shared memory identifiers (SHMMNI)
       ・
       ・
      (省略)
       ・
       ・

◆Solaris 10の場合

Systemwalker Centric Managerは、以下のプロジェクト配下で動作します。

systemプロジェクト
OS初期設定状態で存在するデーモンなどが動作するプロジェクト
user.rootプロジェクト
OS初期設定状態でroot権限で動作するプロセスが所属するプロジェクト

システムパラメタのチューニング値

パラメタ

説明

種別

特権

project.max-msg-ids

メッセージ待ち識別子の数

1024

加算

特権レベル

process.max-file-descriptor

プロセスで使用できる最大のファイル記述子インデックス

1024

最大

特権レベル

process.max-msg-qbytes

待ち行列上の最大バイト数

32768

最大

特権レベル

process.max-sem-nsems

セマフォ識別子ごとの最大セマフォ数

256

最大

特権レベル

process.max-sem-ops

セマフォコールごとの最大操作数

100

最大

特権レベル

process.max-stack-size

プロセスで使用できるスタックメモリセグメントの最大サイズ

1000000

最大

基本レベル

project.max-sem-ids

セマフォ識別子の数

2048

加算

特権レベル

project.max-shm-memory

共有メモリセグメントの最大サイズ

620756992

最大

特権レベル

備考. 特権レベルは、/etc/projectに“privileged”を指定し、基本レベルは、“basic”を指定します。

システムパラメタの設定

システムパラメタを編集するには、/etc/projectファイルを編集します。

システムパラメタを設定する際には、システムの初期値および、設定可能名値の上限を確認した後、値を確認してください。確認方法の例は以下のとおりです。

# projects -l
system
projid : 0
comment: "System account"
users : (none)
groups : (none)
attribs:
user.root
projid : 1
comment: "root user"
users : root
groups : root
attribs:
noproject
projid : 2
comment: “”
users : (none)
groups : (none)
attribs:
default
projid : 3
comment: “Default project setting”
users : (none)
groups : (none)
attribs: ← “attribs”にエントリがないプロジェクトを確認
# newtask -p default
# prctl $$
process: 1000: sh
NAME PRIVILEGE VALUE FLAG ACTION RECIPIENT
process.max-port-events
privileged 65.5K - deny -
system 2.15G max deny -
process.max-msg-messages
privileged 8.19K - deny -
system 4.29G max deny -
system 16.8M max deny -
*

/etc/projectファイル編集例

system:0:System account:::project.max-msg-ids=(privileged,1152,deny);process.max-file-descriptor=(privileged,2048,deny);process.max-msg-qbytes=(privileged,64000,deny);process.max-sem-nsems=(privileged,512,deny);process.max-sem-ops=(privileged,512,deny);process.max-stack-size=(basic,8000000,deny);project.max-sem-ids=(privileged,2176,deny);project.max-shm-memory=(privileged,620756992,deny)
user.root:1:root user:root:root:project.max-msg-ids=(privileged,1152,deny);process.max-file-descriptor=(privileged,2048,deny);process.max-msg-qbytes=(privileged,64000,deny);process.max-sem-nsems=(privileged,512,deny);process.max-sem-ops=(privileged,512,deny);process.max-stack-size=(basic,8000000,deny);project.max-sem-ids=(privileged,2176,deny);project.max-shm-memory=(privileged,620756992,deny)

システムパラメタの確認

上記設定をした後、以下のコマンドにより設定情報を確認できます。

# projects -l

確認コマンド実行例


# projects -l
system
projid : 0
comment: "System account"
users : (none)
groups : (none)
attribs: project.max-msg-ids=(privileged,1152,deny)
process.max-file-descriptor=(privileged,2048,deny)
process.max-msg-qbytes=(privileged,64000,deny)
process.max-sem-nsems=(privileged,512,deny)
process.max-sem-ops=(privileged,512,deny)
process.max-stack-size=(basic,8000000,deny)
project.max-sem-ids=(privileged,2176,deny)
project.max-shm-memory=(privileged,620756992,deny)
user.root
projid : 1
comment: "root user"
users : root
groups : root
attribs: project.max-msg-ids=(privileged,1152,deny)
process.max-file-descriptor=(privileged,2048,deny)
process.max-msg-qbytes=(privileged,64000,deny)
process.max-sem-nsems=(privileged,512,deny)
process.max-sem-ops=(privileged,512,deny)
process.max-stack-size=(basic,8000000,deny)
project.max-sem-ids=(privileged,2176,deny)
project.max-shm-memory=(privileged,620756992,deny)
noproject
projid : 2
comment: ""
users : (none)
groups : (none)
attribs:
default
projid : 3
comment: "Default project setting"
users : (none)
groups : (none)
attribs:

SNMPエージェントをインストールする

SNMPエージェントをインストールする場合、以下のパッケージをインストールします。

【Solaris 7/8/9】

【Solaris 10】

インストール時に選択したソフトウェアグループが以下のどれかの場合、OSとともにインストールされるため、別途、インストールする必要はありません。

使用するコマンドについて

LANGを設定する

Systemwalker Centric Managerの出力メッセージを日本語で出力する場合、Systemwalker Centric Managerをインストールする前に、以下の作業を実施してください。

  1. 以下のファイルと環境変を確認します。

    ファイル名

    /etc/default/init

    環境変数の優先度

    環境変数

    優先度

    LC_ALL

    以下のすべてに優先されます。

    LC_MESSAGES

    LC_ALLが設定されていない場合に有効になります。

    LANG

    LC_ALL、LC_MESSAGESが定義されていない場合に有効になります。

    設定値とコード

    上記ファイルの設定値

    Systemwalkerのコード系

    ja

    EUC

    ja_JP.PCK

    SJIS

    ja_JP.UTF-8(GEEサポート対象外)

    UTF-8

  2. 上記の記述がない場合は、システム管理者(スーパーユーザ)のアカウントで、vi等のエディタを使用してシステムの動作環境に合わせた記述を追加します。

    例)

    1. 環境変数LANGにコード系EUCを指定する場合

      LANG=ja

    2. 環境変数LANGにコード系SHIFT-JISを指定する場合

      LANG=ja_JP.PCK

LC_ALL、LC_MESSAGESを定義する場合は、LANGの値と同じ値を設定してください。

ファイアウォールを設定する

Solaris 10では、標準でIP Filterというファイアウォール機能がインストールされています。本書では、Solaris 10のファイアウォール機能を利用している環境でファイアウォール機能を無効にし、Systemwalker Centric Managerをインストールします。、ファイアウォール機能を無効とします。以下の手順で無効の設定をします。

ファイアウォール機能を設定したい場合は、“Systemwalker Centric Manager 導入手引書”を参照してください。

# /usr/sbin/ipf -Fa


なお、次回リブート時にも恒久的に無効化したい場合は、上記の手順に加え、以下のファイルも削除してください。

上記ファイルについては、削除(コマンドでは“rm(1)”)ではなく、リネーム(コマンドでは“mv(1)”)により、別名で保存することをお勧めします。
上記ファイルを削除、またはリネームした後は、リブートを行い、ファイアウォールの設定が無効になっていることをipfstat(1M)で確認してください。


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