PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.2 (Linux版)
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第6章 バックアップとリストア> 6.6 ドメイン外サーバからのバックアップとリストア> 6.6.4 ディスク装置のコピー機能を使用したバックアップとリストア

6.6.4.7 バックアップ手順

3) 業務用ボリュームのディスク切離し

運用ドメインにおいて、業務用ボリューム Volume1 が属しているクラス Class1 に登録されているディスクのうち、バックアップの対象となるディスク Disk1 以外のディスク (Disk2) を、Class1 から切り離します。以下のコマンドを運用ドメインのノード Node1 または Node2 で実行します。

# sdxswap -O -c Class1 -d Disk2

 

4) BCV の切離し

BCV デバイス emcpowerc をスタンダードデバイス emcpowera から切り離します。以下の作業を運用ドメインのノード Node1 または Node2 で実施します。


ここでは、BCV を切り離す際に、業務を停止することによってデータの整合性を確保します。ボリュームのデータを管理しているファイルシステムやデータベースシステムといったソフトウェアが、切り離された BCV のデータの整合性を保証する機能や整合性を修復する機能を備えている場合は、手順 4-3) および 4-5) を実施する必要はありません。その代わりに、それらのソフトウェア固有の方法で、整合性を確保する操作を行います。「スナップショットデータの整合性」を参照してください。

4-1) 業務用ボリュームの状態の確認

業務用ボリューム Volume1 のスライスのうち、BCV デバイス emcpowerc のコピー元のスタンダードデバイス emcpowera (ディスク Disk1) 上のスライスが、データが正当な状態 (ACTIVE または STOP) であることを確認します。また、手順 3) で切り離したディスク Disk2 上のスライスが SWAP 状態であることを確認します。

# sdxinfo -S -c Class1 -o Volume1
OBJ    CLASS   GROUP   DISK    VOLUME  STATUS
------ ------- ------- ------- ------- --------
slice  Class1  Group1  Disk1   Volume1 ACTIVE
slice  Class1  Group1  Disk2   Volume1 NOUSE

データが正当な状態 (ACTIVE または STOP) ではない場合は、「スライス状態に関する異常」を参照してスライスの状態を復旧してください。

4-2) BCV ペアの状態の確認

スタンダードデバイス STD001 (emcpowera) と BCV デバイス BCV001 (emcpowerc) が同期化された (Synchronized) 状態であることを確認します。

# symmir -g DevGroup query
Device Group (DG) Name: DevGroup
DG's Type             : REGULAR
DG's Symmetrix ID     : 000285502123
     Standard Device                 BCV Device                  status
------------------------ ------------------------------------ --------------
                Inv.                                 Inv.
Logcal      Sym Tracks   Logical                Sym  Tracks    STD <=> BCV
------------------------ ------------------------------------- -------------
STD001      005       0  BCV001                 073 * 61754    Synchronized

4-3) 業務の停止

切り離した後の、BCV デバイス上のデータの整合性を確保するため、ノード Node1 および Node2 において、業務用ボリューム Volume1 を使用しているアプリケーションを停止します。

Volume1 をファイルシステムとして使用している場合は、アンマウントします。

4-4) BCV ペアのスプリット (切離し)

BCV ペア (スタンダードデバイス STD001 と BCV デバイス BCV001) をスプリットします。

# symmir -g DevGroup split

4-5) 業務の再開

手順 4-3) でファイルシステムをアンマウントした場合は、再度マウントします。

手順 4-3) で停止したアプリケーションを再開します。

 

5) 業務用ボリュームのディスク再組込み

手順 3) で業務用ボリューム Volume1 が属しているクラス Class1 から切り離したディスク Disk2 を、Class1 に再度組み込みます。

# sdxswap -I -c Class1 -d Disk2 -e nowaitsync

コマンドが復帰した後、ボリューム Volume1 の Disk1 上のスライスから Disk2 上のスライスへの等価性コピー処理が実行されます

 

6) 業務用ボリュームの構成の確認

運用ドメインのノード Node1 または Node2 において、バックアップの対象となる業務用ボリューム Volume1 の構成を確認します。

# sdxinfo -c Class1
OBJ    NAME    TYPE     SCOPE       SPARE
------ ------- -------- ----------- -----
class  Class1  shared   Node1:Node2     0
OBJ    NAME    TYPE   CLASS   GROUP   DEVNAM    DEVBLKS  DEVCONNECT     STATUS
------ ------- ------ ------- ------- --------- -------- -------------- -------
disk   Disk1  mirror Class1  Group1  emcpowera  8380800 Node1:Node2    ENABLE
disk   Disk2   mirror Class1  Group1  emcpowerb  8380800 Node1:Node2    ENABLE
OBJ    NAME    CLASS   DISKS               BLKS     FREEBLKS SPARE
------ ------- ------- ------------------- -------- -------- -----
group  Group1  Class1  Disk1:Disk2          8290304  7176192     0
OBJ    NAME    CLASS   GROUP   SKIP JRM  1STBLK   LASTBLK   BLOCKS   STATUS
------ ------- ------- ------- ---- ---  -------- --------  -------- --------
volume *       Class1  Group1  *    *           0    65535     65536 PRIVATE
volume Volume1 Class1  Group1  off  on     65536  1114111  1048576 ACTIVE
volume *       Class1  Group1  *    *     1114112  8290303   7176192 FREE
OBJ    CLASS   GROUP   DISK    VOLUME  STATUS
------ ------- ------- ------- ------- --------
slice  Class1  Group1  Disk1   Volume1 ACTIVE
slice  Class1  Group1  Disk2   Volume1 ACTIVE

 

7) バックアップ用シャドウボリュームの作成

バックアップサーバ Node3 において、BCV デバイス emcpowerc 上にバックアップ用のボリューム (シャドウボリューム) を作成します。以下の設定をバックアップサーバ Node3 で実施します。


不適切な構成のシャドウボリュームに書込みを行うと、業務用ボリュームのデータが破損することがあります。手順 7-4) において、シャドウボリュームの構成が適切であることを必ず確認してください。

7-1) シャドウディスクの登録

ディスク (BCV デバイス) emcpowerc をシャドウクラス Class2 に登録し、Disk1 というディスク名を付けます。

# sdxshadowdisk -M -c Class2 -d emcpowerc=Disk1

7-2) シャドウグループの作成

シャドウディスク Disk1 をミラータイプのシャドウグループ Group1 に接続します。

# sdxshadowdisk -C -c Class2 -g Group1 -d Disk1

7-3) シャドウボリュームの作成

シャドウグループ Group1 に、シャドウボリューム Volume1 を作成します。

# sdxshadowvolume -M -c Class2 -g Group1 -v Volume1 -s 1048576

7-4) シャドウボリュームの構成の確認

sdxinfo コマンドを実行し、グループ情報の DISKS フィールド、ボリューム情報の 1STBLK フィールドおよび BLOCKS フィールドなどから、グループ構成やボリューム構成が適切であることを確認します。

# sdxinfo -c Class2
OBJ    NAME    TYPE     SCOPE       SPARE
------ ------- -------- ----------- -----
class  Class2  local    Node3           0
OBJ    NAME     TYPE   CLASS   GROUP   DEVNAM    DEVBLKS  DEVCONNECT      STATUS
------ -------  ------ ------- ------- --------- -------- --------------- -------
disk   Disk1   mirror Class2  Group1  emcpowerc  8380800 Node3           ENABLE
OBJ    NAME    CLASS   DISKS               BLKS     FREEBLKS SPARE
------ ------- ------- ------------------- -------- -------- -----
group  Group1  Class2  Disk1               8290304  7176192     0
OBJ    NAME    CLASS   GROUP   SKIP JRM  1STBLK   LASTBLK   BLOCKS   STATUS
------ ------- ------- ------- ---- ---  -------- --------  -------- --------
volume *       Class2  Group1  *    *           0    65535     65536 PRIVATE
volume Volume1 Class2  Group1  off  off    65536  1114111  1048576 ACTIVE
volume *       Class2  Group1  *    *     1114112  8290303   7176192 FREE
OBJ    CLASS   GROUP   DISK    VOLUME  STATUS
------ ------- ------- ------- ------- --------
slice  Class2  Group1  Disk1   Volume1 ACTIVE

 

8) テープへのバックアップ

バックアップサーバ Node3 において、シャドウボリュームのデータをテープにバックアップします。シャドウボリューム Volume1 のデータをテープ装置 /dev/st0 のテープ媒体にバックアップする例を示します。


バックアップ方法の詳細については、バックアップするファイルシステムや使用するコマンドのマニュアルを参照してください。

8a) dd(1) コマンドを使用してデータをバックアップする場合

# dd if=/dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 of=/dev/st0 bs=32768

8b) tar(1) コマンドを使用して ext3 ファイルシステムをバックアップする場合

8b-1) シャドウボリューム Volume1 を読書き用のアクセスモード (rw) で起動します。

# sdxshadowvolume -F -c Class2 -v Volume1
# sdxshadowvolume -N -c Class2 -v Volume1 -e mode=rw

8b-2) シャドウボリューム Volume1 上の、ext3 ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。

手順 4) において BCV を切り離す際にファイルシステムをアンマウントした場合は、本手順を実施する必要はありません。

# fsck -t ext3 /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1

8b-3) シャドウボリューム Volume1 上の ext3 ファイルシステムを、一時的なマウントポイント /mnt1 に読取り専用モードでマウントします。

# mkdir /mnt1
# mount -t ext3 -o ro /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 /mnt1

8b-4) ファイルシステムのデータをテープにバックアップします。

# cd /mnt1
# tar cvf /dev/st0 .

8b-5) 手順 8b-3) でマウントしたファイルシステムをアンマウントします。

# cd /
# umount /mnt1
# rmdir /mnt1

 

9) シャドウボリュームの削除

バックアップが完了したら、シャドウボリュームへの不当なアクセスを防ぐため、シャドウボリュームを削除します。バックアップサーバ Node3 で以下の作業を実施します。

9-1) シャドウボリュームの停止

シャドウボリューム Volume1 を停止します。

# sdxshadowvolume -F -c Class2 -v Volume1

9-2) シャドウボリュームの削除

シャドウボリューム Volume1 を削除します。

# sdxshadowvolume -R -c Class2 -v Volume1

9-3) シャドウグループの削除

シャドウグループ Group1 を削除します。

# sdxshadowgroup -R -c Class2 -g Group1

9-4) シャドウディスクの削除

シャドウディスク Disk1 を削除します。

# sdxshadowdisk -R -c Class2 -d Disk1

 

10) BCV の再同期化

次のバックアップに備えて、スタンダードデバイス STD001 と BCV デバイス BCV001 を再同期化します。以下のコマンドを運用ドメインのノード Node1 または Node2 で実行します。

# symmir -g DevGroup establish STD001 bcv ld BCV001

再度バックアップを行う場合は、手順 4) から実施してください。



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