SSF/Backup Facility 導入手引書
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第4章 シングル構成での導入

4.6 ダイレクトバックアップの設定

本章では、ダイレクトバックアップの環境設定について説明します。

 

4.6.1 カーネルパラメタのチューニン 

チューニングが必要なカーネルパラメタとその値については、以下の表を参照してください。

[カーネルパラメタのチューニング値]

資源

パラメタ

説明

チューニング値

セマフォ

semsys:seminfo_semmni

セマフォ識別子の数

1

semsys:seminfo_semmns

システム内のセマフォ数

30

semsys:seminfo_semmnu

システム内のundo造体の数

最大バックアップ要求多重度×2

  • 最大バックアップ要求多重度の見積もり方法については、『SSF/Backup Facility 運用手引書』の「1.3.1.7 最大バックアップ要求多重度の見積もり」を参照してください。

 

カーネルパラメタを編集するには、/etc/systemファイルにチューニングのためのレコードを追加します。既にカーネルパラメタが設定されている場合は、編集前の値(設定されていなければSolaris OSのデフォルト値)に上記の値を加算してください。

  • カーネルパラメタのチューニング値については、『SSF/Backup Facility 運用手引書』の「付録H カーネルパラメタ見積もりワークシート」を参照してください。

設定内容を反映させるため、システムを再起動します。

# shutdown -y -g0 -i6 <Return>

 

4.6.2 テープライブラリとテープドライブの設 

ダイレクトバックアップで使用するすべてのテープライブラリとテープドライブを設定ファイルに登録します。

設定は以下の手順で行います。

  • ダイレクトバックアップを利用したバックアップ運用において、バックアップデータをテープで管理する場合、この設定作業が必須となります。

 

4.6.2.1 設定手順 

設定は、以下の手順で行います。

  1. ファイル編集エディタで、ダイレクトバックアップで使用するすべてのテープライブラリの名前を“使用テープ装置設定ファイル(TapeLibrary.conf)”に追加し、テープライブラリの共用/非共用を設定します。以下は、ファイル編集エディタとしてvi(1)コマンドを利用する例です。

    # vi /sp/dbu/adm/setup/TapeLibrary.conf <Return>

     

  2. ファイル編集エディタで、“使用テープ装置設定ファイル(TapeLibrary.conf)”の項目 Modeにおいて"SHARE"と記述したテープライブラリのテープドライブについて、“使用ドライブ装置設定ファイル(TapeDrive.conf)”にテープドライブの使用/不使用を設定します。以下は、ファイル編集エディタとしてvi(1)コマンドを利用する例です。

    # vi /sp/dbu/adm/setup/TapeDrive.conf <Return>

     

  3. ファイル編集エディタで、“テープ制御汎用設定ファイル(TapeGeneral.conf)"に必要な設定を記述します。以下は、ファイル編集エディタとしてvi(1)コマンドを利用する例です。

    # vi /sp/dbu/adm/setup/TapeGeneral.conf <Return>

    導入時には、磁気情報未消去のテープにダイレクトバックアップが書き込みを行うことを禁止します。(禁止しない場合は、運用開始時に禁止を解除してください。)

    テープ制御汎用設定ファイルに、以下の行を追加する。

    "ERASED_CHECK" "1"

     

  4. 設定完了後、設定を反映させるためにシステムを再起動します。

    # shutdown -y -g0 -i6 <Return>

     

使用テープ装置設定ファイルの書式説明

“使用テープ装置設定ファイル(TapeLibrary.conf)”は、以下のような書式のテキストファイルです。

#LibraryName   Mode    LibraryController   Server      Kind
"machine1"     "USE"   "LMF-LITE"          "hostA"     "LT160"

書式と記述内容を説明します。

  • 使用テープ装置設定ファイルが存在しない場合や記述形式に誤りがある場合、ダイレクトバックアップサーバの起動が失敗します。
  • テープライブラリの名前の記述が誤っていた場合、ダイレクトバックアップサーバの起動は成功しますが、テープライブラリは認識されません。使用テープ装置設定ファイルを変更した時は、テープライブラリ一覧画面で、テープライブラリが表示されることを確認してください。

 

使用ドライブ装置設定ファイルの書式説明

 

  • 記述できるテープドライブは、使用テープ装置設定ファイルで項目 Modeを“SHARE”にしたテープライブラリに属するものだけです。

 

“使用ドライブ装置設定ファイル(TapeDrive.conf)”は、以下の書式を持つテキストファイルです。

#LibraryName    DriveName   Mode
"machine1"      "drive1"     "USE"
"machene1"      "drive2"     "NOTUSE"

 

書式と記述内容を説明します。

  • 使用ドライブ装置設定ファイルが存在しない場合や記述に誤りがある場合、ダイレクトバックアップサーバの起動が失敗します。

  • 使用テープ装置設定ファイルで項目 Modeを“SHARE”にしたテープライブラリに属するテープドライブのうち、使用ドライブ装置設定ファイルに記述のないものはすべて“NOTUSE”として扱われます。

 

テープ制御汎用設定ファイルの書式説明

“テープ制御汎用設定ファイル(TapeGeneral.conf)”は、以下の書式を持つテキストファイルです。

#Parameter_Name    Value
"ERASED_CHECK"     "1"

 

書式と記述内容を説明します。

  • テープ制御汎用設定ファイルが存在しない場合や記述に誤りがある場合、ダイレクトバックアップサーバの起動が失敗します。

 

4.6.3 SP論理ユニット制御機能の環境構

以下の論理ユニットに対して、その用途を設定します。

なお、論理ユニットプールを使用しないテープへのバックアップの場合には、SPシリーズに接続するETERNUS ディスクアレイの名前のみで論理ユニット情報は記述する必要はありません。

/sp/uty/conf/diskadm/luinfo.confに論理ユニットとその用途を記述します。以下の書式にしたがってください。

GR (<GR name>) {
<volume type> <volume number> <usage>
<volume type> <volume number> <usage>
    ・
    ・
    ・
}

GR (<GR name>) {
<volume type> <volume number> <usage>
<volume type> <volume number> <usage>
    ・
    ・
    ・
}
    ・
    ・
    ・

論理ユニットプールを使用しないテープへのバックアップの場合には、以下の書式に従ってください。

GR (<GR name>) {
}

GR (<GR name>) {
}
    ・
    ・
    ・

 

項目

意味

GR name

SPシリーズに接続するETERNUS ディスクアレイの名前を指定してください。

  • 名前の長さは24文字以内です。
  • 名前に使用できる文字は、ASCII文字コード表で定義されている文字のうちの、印刷可能文字です。
  • ETERNUS ディスクアレイごとにユニークな名前を付けてください。

volume type

volume number で指定する論理ユニットの、ハードウェア上種類を指定します。

  • 1 … OLU (UNIX/IAサーバで使用する論理ユニット)

本書による導入作業では、1を指定してください。

volume number

論理ユニット番号(16進数)です。論理ユニット番号とは、論理ユニットを登録した時にETERNUSmgrによって付けられる値です。
ETERNUS3000,ETERNUS4000,ETERNUS GR seriesの場合16進数3桁で "0〜fff"、ETERNUS6000の場合16進数4桁で "0〜1fff"、,ETERNUS8000の場合16進数4桁で "0〜3fff" の数を指定可能です。また、ETERNUS6000,ETERNUS8000の場合でも16進数 1000未満の論理ユニット番号については、16進数3桁で指定可能です。

Usage

バックアップ運用における使用用途を指定します。

  • 0 … 未使用
  • 1 … ファイルシステム用
  • 2 … プール領域用

本書による導入作業では、マルチパスを作成した論理ユニットには1を、バックアップ論理ユニットには2を指定してくさだい。

 

  • luinfo.confには、SP論理ユニット(SPシリーズで使用する管理ファイルを配置した論理ユニット)及びアクセスパス用論理ユニット(ダイレクトバックアップがETERNUS ディスクアレイにアクセスするためのパスとして使用する論理ユニット)は定義しません。"Usage" の "1"は、前記以外の用途でSPシリーズから参照可能なファイルシステムを作成している場合に使用します。
  • オプションのSystemwalker Centric ManagerとStorage CruiserまたはSystemwalker Resource Coordinatorを導入し、これらを連携する場合には、GR nameには、英数字とマイナス(-)とピリオド(.)のみで名前を付けてください。

 

  • 同一ディレクトリ配下に雛型ファイルがあります。コピーし、環境に合わせて修正し利用が可能です。

# cp /sp/uty/conf/diskadm/luinfo.conf.sample /sp/uty/conf/diskadm/luinfo.conf <Return>

 

各項目間は、空白文字で区切ってください。なお、先頭文字が“#”で始まる行は、コメント行として扱われます。以下に記述例を示します。

# This line is a comment
GR (GR001) {
1 0 2
1 1 2
1 aa 1
} 

GR (GR002) {
1 1 2
1 2 2
1 ab 1
}

論理ユニットプールを使用しないテープへのバックアップの場合の記述例を示します。

# This line is a comment
GR (GR001) {
}

GR (GR002) {
}

 

4.6.4 アクセスパスの設 

ダイレクトバックアップがETERNUS ディスクアレイにアクセスするために使用するマルチパスを、/sp/uty/conf/diskadm/devpath.confファイルに記述してください。(管理ファイル領域を構築するETERNUS ディスクアレイは、管理ファイルを配置する論理ユニットを使用します。5本全てを指定してください。それ以外のETERNUS ディスクアレイは、アクセスパス用の論理ユニットの4本を指定してください。)

一つのマルチパスを一行で記述します。マルチパスの最後には、"s2"を追加してください。

  • ETERNUS ディスクアレイが2台接続されている時の devpath.confの例です。下線部で示す5本が管理ファイル領域をもつETERNUS ディスクアレイのパスで、その下の4本がもう一つのETERNUS ディスクアレイのパスです。

/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb0s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb1s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb3s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb4s2

/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb5s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb6s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb7s2
/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb8s2

 

  • 同一ディレクトリ配下に雛型ファイルがあります。コピーし、環境に合わせて修正し利用が可能です。

# cp /sp/uty/conf/diskadm/devpath.conf.sample /sp/uty/conf/diskadm/devpath.conf <Return>

 

4.6.5 ディスクアレイ装置名の設定(手動 

ダイレクトバックアップが使用するディスクアレイ装置を特定するために、各装置毎の識別名を設定します。ここでは、オプションのストレージシステム管理機能を使用しない場合の手順を示します。

  1. rootでログインします。

     

  2. ディスクアレイ装置名の設定

    以下のように、ディスクアレイ装置名の設定を行います。

    • ディスクアレイ装置名は、SP論理ユニット制御機能の環境構築で、luinfo.confに設定した“GR name”と同一の名称を指定してください。

     

    ディスクアレイ装置名とBOXIDの対応をGRinfo.db ファイルに定義します。

    1. ETERNUS ディスクアレイの BOXID を取得します。

      各ETERNUS ディスクアレイごとに、マルチパスを1つ引数に指定して、STXGetBoxIDコマンドを実行します。コマンドの引数にする時は、マルチパスの末尾に"s2"を追加してください。

      コマンドの出力は以下のようになります。下線部で示す文字列がBOXIDです。

       # /opt/FJSVgrapi/64/bin/STXGetBoxID /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb0s2 <Return>
       BoxID                                          OLU    EXTENT      SIZE
       00GR740#######GR74B01#####BP47##########       90h        0h   9f8000h
       Device information Dump
       0000 : 00000000 00000000 00000000 00000000
                            ・
                            ・
                            ・
       00f0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
       #

       

    2. ETERNUS ディスクアレイの名前をGRinfo.db ファイルに記述します。

      名前は、以下の形式で/sp/dbu/adm/setup/GRinfo.db ファイルを作成し、2行目から記述します。1行目は"update: manual"と記述してください。

      <GR name> <設定対象となるETERNUS ディスクアレイのBOXID>

       

      <GR name>はluinfo.confの設定で名づけた名前です。<設定対象となるETERNUS ディスクアレイのBOXID>には前手順で取得したBOXIDを指定します。

      • <GR name>と<設定対象となるETERNUS ディスクアレイのBOXID>の間は、空白文字1文字で区切ってください。

      以下に例を示します。

      # vi /sp/dbu/adm/setup/GRinfo.db <Return>
      update: manual
      GR001 00GR740#######GR74B01#####BP47##########
      #

      ETERNUS ディスクアレイが複数台ある場合、同じように3行目、4行目、・・・と名前を追加してください。

       

    3. GRinfo.db ファイルのファイル属性を確認します。

      GRinfo.db ファイルのファイル属性が以下の値になっていることを確認してください。

        オーナ :root
        モード :644
        グループ:sys

      上記の値になっていない場合は、以下のコマンドで変更してください。

      # chown root /sp/dbu/adm/setup/GRinfo.db <Return>
      # chmod 644  /sp/dbu/adm/setup/GRinfo.db <Return>
      # chgrp sys  /sp/dbu/adm/setup/GRinfo.db <Return>

       

    4. chkluinfoコマンドを実行します。

      chkluinfoコマンドで、luinfo.confファイル、devpath.confファイルの設定および、ディスクアレイ装置名とBOXIDの関係をダイレクトバックアップに認識させます。

      # /opt/FJSVsputl/bin/chkluinfo <Return>

 

4.6.6 ETERNUS ディスクアレイの情報取 

SSF/Backup Facilityと接続されているETERNUS ディスクアレイがETERNUS3000、ETERNUS4000の場合で、以下の状態が発生した場合、ETERNUS ディスクアレイの情報取得を行う必要があります。

  1. SSF/Backup Facilityに、rootでログインします。

    • SSF/Backup Facilityの複数稼働している場合は、情報取得を行うETERNUS ディスクアレイを担当(制御)するSSF/Backup Facility上で操作を行ってください。

     

  2. 環境設定を行ったETERNUS ディスクアレイの情報を取得します。

    # /opt/FJSVsputl/bin/dbu_get_oluinfo -l GRIPAddress <Return>

    GRIPAddress は、環境設定を行った当該 ETERNUS ディスクアレイのIPアドレスです。

     

    • SSF/Backup Facilityの複数稼働している場合は、そのSSF/Backup Facilityが担当(制御する)のETERNUS ディスクアレイのIPアドレスのみ指定してください。

     

  3. GRマルチパスドライバへ情報を読み込ませます。

    # mplbconfig -q <Return>

     

    • dbu_get_oluinfoコマンドについては、『SSF/Backup Facility 運用手引書』の「A.5 dbu_get_oluinfo (ETERNUS ディスクアレイの情報取得)」を参照してください。

 


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