ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 テープバックアップ連携編 13.0 -Microsoft(R) Windows(R) 2000/Microsoft(R) Windows Sever(TM) 2003-, -Solaris-, -HP-UX-, -Linux-, -AIX-
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第1章 AdvancedCopy Managerテープバックアップの概要

本章は、AdvancedCopy Managerテープバックアップの概要について説明しています。

1.1 AdvancedCopy Managerとは 

AdvancedCopy Managerは、オープン系システムのストレージ管理を実現する製品であり、以下の機能を持った製品です。

高速バックアップ機能では、業務無停止のデータベースバックアップを実現します。

AdvancedCopy Managerテープバックアップは、これらの機能のうち、高速バックアップ機能を拡張するものです。

以下に、高速バックアップ機能について説明します。

■高速バックアップ(24H対応)

富士通ストレージシステム ETERNUSのハードウェア機能【アドバンスト・コピー機能(OPC,EC)】を利用して、データを高速にバックアップします。アドバンスト・コピー機能はデータ容量に依存しない高速のデータコピー機能ですので、バックアップするデータ量が増加しても常に一定の高速のバックアップ時間を保てます。このためデータ量が増大してもバックアップ時間が増加することはありません。
また以下のDBMSと連携しているため、業務を停止することなく、かつ、高速でバックアップすることができます。
上記以外のデータベースや通常の一般ファイルシステムで構築されている業務に関しては、バックアップ作業に必要とする業務停止時間が従来に比べて飛躍的に短くなります。
ETERNUS ディスクアレイのリモートコピー機能を利用して、遠隔地のディスクアレイ装置に対して、バックアップを行うことも可能です。

■業務無停止のデータベースバックアップ

AdvancedCopy Managerテープバックアップの利用によって、Symfowareのデータベースのバックアップを業務無停止で行うことができます。

1.2 AdvancedCopy Managerテープバックアップ機能とは 

1.2.1 テープバックアップ機能とは 

テープバックアップ機能は、AdvancedCopy Managerのバックアップ機能を次のように拡張したものです。

テープバックアップ機能を利用すると、ディスクとテープのバックアップ履歴を一元管理できます。テープへのバックアップを行うには、テープサーバという専用のサーバを導入する必要があります。

なお、レプリケーション機能は、テープサーバを導入しても拡張されません。

1.2.2 テープサーバを導入すると何ができるか 

テープサーバの導入により、ディスクへのバックアップに加えてテープへのバックアップが可能となります。その特長について説明します。

■ディスクおよびテープへのバックアップの簡便化

ディスクおよびテープへのバックアップ運用を簡便に行うことができます。
従来のAdvancedCopy ManagerとISV製品を組み合わせた、ディスクおよびテープへのバックアップ運用では、AdvancedCopy ManagerのコマンドとISV製品のコマンドを組み合わせる必要がありました。
テープサーバを導入すると、そのような組み合わせが不要となります。1アクションで、ディスクおよびテープの両媒体へバックアップすることが可能です。

■業務停止時間を短縮したテープへのバックアップ

ディスクへのバックアップはETERNUSのハードコピー機能【アドバンスト・コピー機能】を使用して行い、テープへのバックアップはアドバンスト・コピー先(バックアップボリューム)から行うため、業務ボリュームへのアクセスが抑止される時間は、従来のAdvancedCopy Managerと同様に数秒となります。(データベーススペースの場合は、無停止)
ただし、ディスクへのバックアップを行わずにテープのみにバックアップを行う運用では、業務停止時間はテープへの書き込み完了までの時間となります。

■バックアップ履歴の一元管理

ディスクおよびテープに格納されたデータのバックアップ履歴が一元管理できます。

■業務サーバに負荷をかけないバックアップ

テープへのバックアップはテープサーバ上で行われるため、業務サーバに負荷がかかりません。

■複数プラットフォーム環境に対応

SAN環境に接続された複数の業務サーバがそれぞれ異なるプラットフォームの場合でも、テープサーバをプラットフォームごとに用意する必要はありません。1台のテープサーバ上で、異なる複数プラットフォームのバックアップができます。

■バックアップ先ディスク容量の節約

アドバンスト・コピー機能を使用して業務の停止時間を短くしたい場合でも、ディスクおよびテープの両媒体へのバックアップを行い、ディスクのバックアップ履歴を削除することにより、バックアップ先ディスクを別の業務ボリュームのバックアップ先ディスクとして使用することが可能となります。これにより、バックアップ先ディスクの容量を最小限に抑えることができます。

1.3 製品構成

1.3.1 機能体系 

AdvancedCopy Managerテープバックアップによるバックアップ運用を構成する機能および要素について説明します。

[表1.1 機能]

機能名

説明

AdvancedCopy Managerのマネージャー

Storage管理サーバ上で動作し、複数のStorageサーバを管理します。
AdvancedCopy Managerのエージェントを含んでいます。

AdvancedCopy Managerのエージェント

ストレージ装置が接続されたStorageサーバ上で動作します。バックアップ管理を行います。本製品は、Solaris版、Windows版またはLinux版のAdvancedCopy Managerのマネージャーと組み合わせて利用します。

AdvancedCopy Managerのテープマネージャー

ストレージ装置およびテープチェンジャー・テープライブラリが接続されたテープサーバ上で動作します。
テープへのバックアップ、テープからのリストアを行います。

AdvancedCopy Managerのテープエージェント

ストレージ装置が接続されたStorageサーバ上で動作します。
バックアップ媒体としてディスクおよびテープを利用したバックアップ管理を行います。本製品はAdvancedCopy Managerのエージェントと同時にインストールされますが、本機能が有効となるのはテープマネージャー導入時点です。

ETERNUS ディスクアレイ

アドバンスト・コピー機能(EC/OPC)を搭載したディスクアレイ装置です。

テープチェンジャー・テープライブラリ

テープサーバに接続します。AdvancedCopy Managerテープバックアップでは、テープチェンジャー・テープライブラリのテープにデータを保存します。

Webサーバ

AdvancedCopy Managerテープバックアップでは、構成管理およびTSMの機能を簡易操作するGUIをWebベースで提供します。WebサーバはStorage管理サーバおよびテープサーバ上で構築します。

Webクライアント

GUI操作をするためのネットワーク端末です。

ETERNUS SF TSM

ファイルのバックアップ管理を行う製品であり、テープサーバでは、TSMを内部的に呼び出すことによりバックアップ管理を実現します。
また、テープバックアップで使用するテープチェンジャー・テープライブラリ、ストレージプールの設定はTSMのコマンドにより行います。

AdvancedCopy Managerテープバックアップでは、運用形態により、サーバ種別を次のように区別しています。

以下に、各サーバおよび機能の関連を示します。

[図1.1 各サーバと機能の関連]

1.3.2 システム構成 

AdvancedCopy Managerテープバックアップのシステム構成を示します。

AdvancedCopy Managerテープバックアップでは、テープサーバを次に示す運用形態を構築できます。Storage管理サーバとStorageサーバの運用形態は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の「機能体系」を参照してください。

また、運用形態の選択基準は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager テープバックアップ導入手引書』の「運用形態に応じた導入手順の概要」を参照してください。

1.3.3 製品組み合わせ 

テープバックアップ機能を使用するシステム環境におけるAdvancedCopy Managerの製品組み合わせについて説明します。

1.3.3.1 製品バージョンの組み合わ 

以下に製品レベルの組み合わせ条件を示します。
なお、テープサーバをStorage管理サーバまたはStorageサーバと兼用させたバックアップ運用を行う場合、インストールするテープマネージャーのバージョンは、AdvancedCopy Managerのマネージャーまたはエージェントのバージョンと同じである必要があります。

■エージェントのプラットフォームがSolarisの場合

[表1.2 バージョン組み合わせ]

テープマネージャーのバージョン

エージェントのバージョン

13.0

11.1

11.0

11.0以前

13.0

△1

△3

×

11.1

×

△2

×

11.0

×

×

○:テープバックアップ運用可能
△1:テープバックアップ運用可能(QuickOPC機能によるテープバックアップ運用は不可)
△2:テープバックアップ運用可能 (VxVMボリュームに対するテープバックアップ運用は不可)
△3:テープバックアップ運用可能(QuickOPC機能およびVxVMボリューム対するテープバックアップ運用は不可)
×:テープバックアップ運用不可

■エージェントのプラットフォームがLinuxの場合

[表1.3 バージョン組み合わせ]

テープマネージャーのバージョン

エージェントのバージョン

13.0

11.1

11.0

11.0以前

13.0

×

11.1

×

×

11.0

×

×

○:テープバックアップ運用可能
△:テープバックアップ運用可能(QuickOPC機能によるテープバックアップ運用は不可)
×:テープバックアップ運用不可

■エージェントのプラットフォームがHP-UX/AIX/Windowsの場合

[表1.4 バージョン組み合わせ]

テープマネージャーのバージョン

エージェントのバージョン

13.0

11.1

11.0

11.0以前

13.0

×

×

×

11.1

×

×

×

×

11.0

×

×

×

×

○:テープバックアップ運用可能
×:テープバックアップ運用不可

1.3.3.2 各サーバとプラットフォームの組み合わ 

各サーバ種別のサポートプラットフォームについて以下に示します。

[表1.5 各サーバとプラットフォーム組み合わせ]

プラットフォーム

Storage管理サーバ

Storageサーバ

テープサーバ

Solaris

Linux

×

Windows

×

HP

×

×

AIX

×

×

○:サポート
×:未サポート

サポートプラットフォームのバージョンについて以下に示します。

■Storage管理サーバ

上記OSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の「ソフトウェア条件」を参照してください。

■Storageサーバ

上記OSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の「ソフトウェア条件」を参照してください。

■テープサーバ

『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager テープバックアップ導入手引書』の「AdvancedCopy Managerのテープマネージャーのインストール」を参照してください。

1.4 機能概

1.4.1 管理機能 

■TSMによるテープライブラリ管理

AdvancedCopy Managerテープバックアップでは、バックアップ/リストア時に使用するドライブをバックアップ/リストアの処理内で自動割当します。この管理は、TSMによって行われます。

■TSMによるテープのストレージプール管理

AdvancedCopy Managerテープバックアップでは、バックアップ/リストア時に使用するテープをバックアップ/リストアの処理内で自動割当します。この管理は、TSMによって行われます。

■Storageサーバとテープサーバの対応付け

テープサーバを複数台導入した場合は、Storageサーバとテープサーバの対応付けを行う必要があります。これにより、Storageサーバからのバックアップ要求は、対応付けされたテープサーバで処理されます。

■ポリシー管理

ストレージプール、履歴管理の設定を行います。

■ストレージ構成管理機能

バックアップを行うボリューム、バックアップの退避先ボリュームの構成を管理します。AdvancedCopy Managerテープバックアップでは、バックアップを行うボリュームを「業務ボリューム」、バックアップの退避先ボリュームを「バックアップボリューム」と呼びます。

1.4.2 バックアップ/リストア機能 

■バックアップの方法

以下の2つの方法を提供しています。
ディスクへの高速バックアップとは、ディスクアレイ装置のアドバンスト・コピー機能(OPC/EC機能)を使用して、ボリューム容量に関わらず、高速にボリューム間(業務ボリュームからバックアップボリュームへ)バックアップを行う機能です。テープへのバックアップはバックアップボリュームから行うため、バックアップのための業務停止時間を大幅に短縮できます。ECを利用したバックアップでは、アドバンスト・コピー機能による更新差分コピーを行うことも可能なため、より高速なバックアップが可能です。
この方法でのバックアップには、バックアップボリュームが必要となります。
以下に、ディスクおよびテープへのバックアップの動作を示します。

ディスクアレイ装置のアドバンスト・コピー機能を使用せずに、業務ボリュームから直接テープへバックアップをします。このため、業務停止時間は長くなります。
以下に、テープへのバックアップの動作を示します。
なお、ディスクへ採取したバックアップデータを後からテープへコピーすることも可能です。

■リストアの方法

以下の2つの方法を提供しています。
バックアップデータがディスクに格納されている場合、ディスクアレイ装置のアドバンスト・コピー機能(OPC/EC機能)を使用してリストアを行います。このため、業務ボリュームの容量に関わらず、業務データの復旧を瞬時に行うことができます。
バックアップデータがテープに格納されている場合、テープから業務ボリュームへ直接データを書き込みます。このため、リストアの時間はディスクからのリストアに比べて長くなります。

■業務との連携

■履歴管理機能

■実行状況確認機能

実行したバックアップ、リストア、およびテープコピーの進捗状況や結果を確認できます。

■ミドルウェア連携

1.4.3 その他の機能 

■1テープサーバによる複数プラットフォーム対応

1台のテープサーバで複数の異なるプラットフォームの業務ボリュームのバックアップを行うことができます。この運用形態では、プラットフォーム毎にテープサーバを用意する必要がありません。

■複数テープサーバによる負荷分散

複数台のテープサーバを導入することにより、業務ボリューム数の増大によるテープサーバの負荷を分散させることができます。

1.5 AdvancedCopy Managerテープバックアップの動作環境 

1.5.1 ハードウェア条件 

ハードウェア条件については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager テープバックアップ導入手引書』の「ハードウェア環境」を参照してください。

1.5.2 ソフトウェア条件 

ソフトウェア条件については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager テープバックアップ導入手引書』の「ソフトウェア環境」を参照してください。

加えて、テープバックアップ機能を利用してバックアップ運用を行う業務サーバに対するソフトウェア条件については、業務サーバのOSに対応する『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の「ソフトウェア条件」を参照してください。

1.6 AdvancedCopy Managerテープバックアップにおけるサポートデバイスについて

AdvancedCopy Managerテープバックアップにおけるサポートデバイスは、各OSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の「AdvancedCopy Managerにおけるサポートデバイスについて」を参照してください。

1.6.1 通常デバイス

AdvancedCopy Managerテープバックアップにおけるサポートデバイスは、各OSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の「AdvancedCopy Managerにおけるサポートデバイスについて」を参照してください。

1.6.2 PRIMECLUSTER GDS/SafeDISKのSDXオブジェクト

PRIMECLUSTER GDS(以降、GDSと記します)/SafeDISKは、主にディスク装置間のミラーリング機能を持ったソフトウェアです。
AdvancedCopy Managerテープバックアップでサポートする運用は以下です。

論理ボリューム単位の運用は行えません。
サポートするOSは、Solaris、Linuxです。

1.6.3 Symfowareのデータベース

Symfowareのデータベースをロググループ単位、データベーススペース単位で運用することができます。運用できるSymfowareのバージョンを以下に示します。

Storageサーバプラットフォーム

Symfowareのバージョン

Solaris

  • SymfoWARE Server Enterprise Extended Edition 6.x以降
  • SymfoWARE Server Advanced Backup Controller 6.x以降

Linux

  • SymfoWARE Server Enterprise Extended Edition 7.x以降
  • SymfoWARE Server Advanced Backup Controller 7.x以降

1.6.4 VxVM(VERITAS Volume Manager)配下のボリュームについて 

詳細は、各OSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の「VxVM(VERITAS Volume Manager)配下のボリュームについて」を参照してください。

1.6.5 LVM(Logical Volume Manager)配下のボリュームについて 

詳細は、各OSに対応した『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書』の「LVM(Logical Volume Manager)配下のボリューム」を参照してください。


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