ETERNUS SF AdvancedCopy Manager テープバックアップ導入手引書 13.0 -Microsoft(R) Windows(R) 2000/Microsoft(R) Windows Sever(TM) 2003-, -Solaris-, -HP-UX-, -Linux-, -AIX-
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第4章 テープサーバの導入とカスタマイズ

本章では、テープサーバの導入および環境設定の方法について説明します。

クラスタ環境への導入手順については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Managerクラスタ適用ガイド』を参照してください。

4.1 テープサーバのカスタマイの流れ

以下の手順でセットアップしてください。

  1. ソフトウェアのインストール (CD-ROMより)
  2. StorageサーバまたはStorage管理サーバとしてのカスタマイズ
  3. アクセスパスのパーティションの作成
  4. ポート番号の割り当て
  5. カーネルパラメーターのチューニング
  6. テープサーバの初期設定
  7. TSMの設定(デーモンの自動起動設定前に行う設定)
  8. デーモンの自動起動設定
  9. TSMの設定(デーモンの自動起動設定後に行う設定)

4.2 StorageサーバまたはStorage管理サーバとしてのカスタマイズ

テープサーバでは、Storageサーバとしてのカスタマイズも必要です。ただし、テープサーバとStorage管理サーバを兼用する場合は、Storage管理サーバとしてのカスタマイズが必要です。この作業は、テープサーバのカスタマイズ前に実施します。
詳細は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 導入手引書(Solaris版)』の「Storageサーバのカスタマイズ」または「Storage管理サーバの導入とカスタマイズ」を参照してください。

4.3 アクセスパスのパーティションの作成

テープサーバを運用するためには、各ディスクアレイ装置にアクセスパスのパーティションが必要となります。

本節では、本マニュアルの「動的ディスク資源」に示したパーティション(デバイス)を作成します。

アクセスパスのパーティション上にはファイルシステムを構築する必要はありません。
ディスクアレイ装置ごとに4つのパーティションが必要です。
アクセスパスはマルチパス構成で作成してください。

テープサーバから参照可能なようにパーティションを作成してください。テープサーバがクラスタシステムの場合は、各ノードから同一のパーティションとして参照できるように設定してください。
パーティションの作成方法については、Solaris関連のマニュアル等を参照してください。

4.4 ポート番号の割り当

テープサーバを運用するためには、ETERNUS SF TSM のためのポート番号が必要となります。
ポート番号の記述方法については、本章の「TSMの設定 (デーモンの自動起動前に行う設定)」内に記述されている以下の項を参照してください。

4.5 カーネルパラメーターのチューニング

テープサーバでは、運用時に必要となるカーネルパラメーターのチューニングを行う必要があります。設定するシステム種別に応じてチューニング方法が異なります。

StorageサーバまたはStorage管理サーバとしてのカスタマイズ」を実施する場合は、そこで行うカーネルパラメーターの値と、以下で示す値を加算する必要があります。

カーネルパラメーターを編集するには、/etc/systemファイルへチューニングのためのレコードを追加または現在のレコードの値を変更することで行います。

[表4.1カーネルパラメーターのチューニング値]

資源

パラメーター

チューニング値

設定基準

共有メモリ

shmsys:shminfo_shmmax

268435456

最大値

shmsys:shminfo_shmseg (*1)

テープバックアップ多重度x2 (*2)

最大値

セマフォ

semsys:seminfo_semmap

50

加算

semsys:seminfo_semmni

50

加算

semsys:seminfo_semmns

300

加算

semsys:seminfo_semmnu

150

加算

semsys:seminfo_semopm

50

最大値

semsys:seminfo_semume

50

最大値

semsys:seminfo_semmsl

125

最大値

(*1) Solaris 9以降では設定不要です。

(*2) バックアップ多重度とは実際に行われるテープへのバックアップおよびテープリストアの多重度です。運用中に行われるバックアップ多重度の最大値を指定してください。通常業務ボリュームの場合1つのバックアップコマンドにつき1つの多重度となります。Symfowareバックアップの場合、ロググループ1つにつき、そのロググループに含まれる全データベーススペース数が多重度となります。

/etc/systemファイルの編集例を以下に示します。(あくまでも例ですので、環境に合わせた設定を行ってください。)

set shmsys:shminfo_shmmax = 268435456
set shmsys:shminfo_shmseg = 60
set semsys:seminfo_semmni = 320
set semsys:seminfo_semmns = 670
set semsys:seminfo_semmnu = 542
set semsys:seminfo_semmsl = 35

カーネルパラメーターのチューニングを反映させるため、システムを再起動します。
システムを再起動するコマンドを以下に示します。

# cd /
# /usr/sbin/shutdown -y -i6 -g0

4.6 テープサーバの初期設定

ここではテープサーバの運用に必要な初期設定を示します。

4.6.1 必須設定

テープサーバ運用に必須の設定項目を示します。

4.6.1.1 アクセスパス定義ファイの設定

本章の「アクセスパスのパーティションの作成」によって作成されたデバイス名を/etc/opt/FJSVswstm/conf/devpath.confファイルに記述します。
手順は以下の通りです。

  1. /etc/opt/FJSVswstm/conf/devpath.conf.sampleファイルを/etc/opt/FJSVswstm/conf/devpath.confとしてコピーします。
  2. /etc/opt/FJSVswstm/conf/devpath.confファイルを編集します。
    一つのパスを一行で記述します。パスの最後には、"s2"を追加してください。
    /etc/opt/FJSVswstm/conf/devpath.confファイルの編集例を以下に示します。
    # devpath.conf
    # AccessPath for E6000#1
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2053s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2054s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2055s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2056s2
    # AccessPath for E6000#2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2057s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2058s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2059s2
    /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2060s2

4.6.1.2 TSM連携定義ファイの設定

ETERNUS SF TSMのサーバおよびETERNUS SF TSMのクライアントに接続するための情報を、/etc/opt/FJSVswstm/conf/tsm.confファイルに記述します。
手順は以下の通りです。

  1. /etc/opt/FJSVswstm/conf/tsm.conf.sampleファイルを/etc/opt/FJSVswstm/conf/tsm.confとしてコピーします。
  2. /etc/opt/FJSVswstm/conf/tsm.confファイルのオーナーとファイルモードを変更します。
    スーパーユーザ以外からはアクセスできないように設定してください(オーナー:root、ファイルモード:0600)。
    オーナーとファイルモードの変更と確認を行うコマンド実行例を、以下に示します。
    # cd /etc/opt/FJSVswstm/conf
    # chown root tsm.conf
    # chmod 600 tsm.conf
    # ls -l tsm.conf
    -rw-------   1 root     other         66  5月 21日  17:17 tsm.conf
    #
  3. /etc/opt/FJSVswstm/conf/tsm.confファイルを編集します。
    編集例を以下に示します。
    SERVER_USERID="admin"
    SERVER_PASSWD="admin"
    CLIENT_PASSWD="admin"

    各項目の意味は以下のとおりです。

    項目

    意味

    SERVER_USERID

    TSMのサーバと接続するためのユーザIDを「=」に続けて""で括って定義します。本ユーザIDは、TSMの管理クライアントの登録(register admin)で指定するのと同じ管理者IDを定義します。
    SERVER_PASSWD TSMのサーバと接続するためのユーザIDに対するパスワードを「=」に続けて""で括って定義します。本パスワードは、TSMの管理クライアントの登録(register admin)で指定するのと同じ管理者パスワードを定義します。
    CLIENT_PASSWD TSMのクライアントのシステムオプションファイル(dsm.sys)に記述されているサーバ名(SERVERname)に対するパスワードを「=」に続けて""で括って定義します。本パスワードは、TSMのクライアントの登録(register node)で指定するのと同じパスワードを定義します。

先頭が#で始まる行は、コメント行とみなします。

4.6.1.3 定義ファイルの検

アクセスパス定義ファイル(devpath.conf)およびTSM連携定義ファイル(tsm.conf)の検査を行います。
手順を以下に示します。

  1. テープサーバ定義ファイルチェックコマンド(tbochkconf)を実行します。
    # /opt/FJSVswstm/bin/tbochkconf
    tbochkconf completed
    #

エラーが発生した場合、エラーの発生したファイル名とその行数を示すメッセージが出力されます。
エラー該当箇所を修正し、再度tbochkconfコマンドを実行してください。
テープサーバ定義ファイルチェックコマンドの詳細は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 テープバックアップ連携編』の「テープサーバ定義ファイルチェックコマンド(tbochkconf)」を参照してください。

4.6.1.4 ETERNUS3000の情報取得

テープサーバに接続されたRAID装置がETERNUS3000の場合、ディスクの構成情報を取得しておく必要があります。

テープサーバに接続されたRAID装置がETERNUS6000、ETERNUS4000、ETERNUS8000、およびGR seriesの場合は、この作業は不要です。

ディスクの構成情報の取得手順を、以下に示します。

[GR720/730が混在していない環境の場合]

  1. ETERNUS3000の情報取得コマンドを実行します。
    # /opt/FJSVswstm/bin/tbogetoluinfo -l <ETERNUS3000のIPアドレス>
    tbogetoluinfo completed
    #

    <ETERNUS3000のIPアドレス>には、ETERNUS3000のIPアドレスをIPv4の形式で指定します。以下に実行例を示します。

    # /opt/FJSVswstm/bin/tbogetoluinfo -l 10.124.6.10
    tbogetoluinfo completed
    #
  2. GRマルチパスドライバへ情報を読み込ませます。
    # mplbconfig -q
    #

[GR720/730が混在している環境の場合]

テープサーバに接続されたRAID装置がGR720/GR730とETERNUS3000を含む混在環境の場合、ETERNUS3000情報取得コマンドtbogetoluinfoおよびmplbconfig -q の機能を使用することが出来ません。以下の手順を実施します。

  1. ETERNUS3000のETERNUSmgrへログインします。
  2. メインメニューから[RAID設定/ホスト設定]を選択します。
  3. RAID設定/ホスト設定メニューから[RAIDグループ担当CM変更]を選択します。
  4. RAIDグループ担当CM動的切替設定を[RAIDグループ担当CMの動的切替を行わない]に設定します。
  5. [Set]ボタンを選択します。

4.6.1.5 バックアップ対象TSM環境ファイの作成 

テープ管理情報のバックアップを行うために必要なバックアップ対象TSM環境ファイルを作成します。
以下に手順を示します。

  1. /etc/opt/FJSVswstm/conf/tsmbkfile.sampleファイルを/etc/opt/FJSVswstm/conf/tsmbkfileとしてコピーします。
  2. 必要に応じて/etc/opt/FJSVswstm/conf/tsmbkfileを編集します。

    本マニュアルの「必要とするディスク容量」で見積もった“$DIR4”(ETERNUS SF TSMのデータベース格納ディレクトリ)が、TSMの標準ディレクトリと異なる場合は、tsmbkfileの内容を編集します(標準ディレクトリは/opt/tivoli/tsm/server/binです)。
    編集内容の詳細は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 テープバックアップ連携編』の「テープ管理情報のバックアップ」を参照してください。

テープ管理情報のバックアップの詳細は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 テープバックアップ連携編』の「テープ管理情報バックアップコマンド(tboresback)」を参照してください。

4.6.2 オプション設定

現在有効なオプション設定はありません。

4.7 TSMの設定 (デーモンの自動起動設定前に行う設定)

ここではデーモンの自動起動設定前に行うTSMの設定を示します。

以下のファイルおよびデータベースは、本マニュアルの「必要とするディスク容量」で見積もった“$DIR4”(ETERNUS SF TSMのデータベース格納ディレクトリ)に配置をします。

以降では、このETERNUS SF TSMのデータベース格納ディレクトリを「DB格納ディレクトリ」と呼びます。通常は/opt/tivoli/tsm/server/binを指定します。

4.7.1 テープライブラリのドライバ設定

テープサーバのTSMが使用するテープライブラリ装置のドライバ設定を行います。
以下の作業を実施してください。

  1. ロボットの設定を行います。
  2. IBM Tape Driverの設定を行います。
  3. FC-SW接続の設定を行います。 (FC-SW接続の場合のみ)
  4. FC直結接続の設定を行います。 (FC直結接続の場合のみ)

テープライブラリ装置の種別によって定義の方法が異なります。
詳細は『ETERNUS SF TSM ETERNUS LTライブラリ運用手引書』を参照してください。

4.7.2 サーバオプションファイルの設定

TSMのサーバ動作に関する定義をdsmserv.optファイルに記述します。dsmserv.optファイルを保存する場所は、本マニュアルの「必要とするディスク容量」で見積もった“$DIR4”(「DB格納ディレクトリ」)です。
手順は以下のとおりです。

  1. /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmserv.opt (サンプル)を「DB格納ディレクトリ」にコピーします。
    dsmserv.optファイルを/opt/tivoli/tsm/server/binに配置する場合はこの作業は不要です。
    # cp /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmserv.opt <DB格納ディレクトリ>
    #
  2. 「DB格納ディレクトリ/dsmserv.opt」ファイルを編集します。

    「DB格納ディレクトリ/dsmserv.opt」ファイルの編集例を以下に示します。

    VOLUMEHistory    /opt/tivoli/tsm/server/bin/volhist.out
    DEVCONFig    /opt/tivoli/tsm/server/bin/devconfig.out
    EXPInterval   1
    COMMmethod    SHAREDMEM
    SHMPort       1510

    各項目の意味は以下のとおりです。

    項目

    意味

    VOLUMEHistory

    順次ボリューム情報のコピーを保管するファイル名をフルパスで指定します。ディレクトリは、「DB格納ディレクトリ」を指定します。ファイル名はvolhist.outです。
    通常は「/opt/tivoli/tsm/server/bin/volhist.out」を指定します。

    DEVCONFig

    デバイス構成情報のコピーを保管するファイルをフルパスで指定します。ディレクトリは、「DB格納ディレクトリ」を指定します。ファイル名はdevconfig.outです。
    通常は「/opt/tivoli/tsm/server/bin/devconfig.out」を指定します。

    EXPInterval

    有効期限切れファイルを自動的にチェックする間隔(日)を指定します。TSMのデーモン起動時を起点に指定した間隔(日)で期限切れをチェックします。
    通常は1を指定します。

    COMMmethod

    通信プロトコルを指定します。以下の記述を行ってください。
    SHAREDMEM

    SHMPort

    共用メモリーのTCP/IP ポート番号を指定します。以下の記述を行ってください。
    1510

    1510がシステムで使用されている場合は、1000から32767のうち、空いているポート番号を指定してください。

    MAXSessions

    TSMサーバに接続可能なTSMクライアントの同時セッション数を指定します。以下の値としてください。
    テープバックアップ多重度 x 2 (*1)

    計算値が25以下となる場合は、25に設定します。これはTSMのデフォルト値です。

    (*1) バックアップ多重度とは実際に行われるテープへのバックアップおよびテープからのリストアの多重度です。運用中に行われるバックアップ多重度の最大値を指定してください。通常業務ボリュームの場合1つのバックアップコマンドにつき1つの多重度となります。Symfowareバックアップの場合、ロググループ1つにつき、そのロググループに含まれる全データベーススペース数が多重度となります。

    先頭が*で始まる行は、コメント行とみなします。
    SHMPort、HTTPportに指定したポート番号は、他のソフトウエアでは使用しないよう注意してください。
    サーバオプションファイルの設定の詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』および『ETERNUS SF TSM 管理者のための解説書』を参照して下さい。

4.7.3 クライアントシステムオプションファイルの設定

TSMのクライアント動作に関する定義を/usr/bin/dsm.sysファイルおよび/usr/bin/dsm.optファイルに記述します。
手順は以下のとおりです。

  1. /usr/bin/dsm.sysファイルを編集します。

    /usr/bin/dsm.sysファイルの編集例を以下に示します。nodename以降の項目には必ず行頭に半角の空白(またはタブ)が必要です。

    SERVERname     tapeserver1
    nodename       tapeserver1
    COMMmethod     SHAREDMEM
    SHMPort        1510
    PasswordAccess generate

    各項目の意味は以下のとおりです。

    項目

    意味

    SERVERname

    テープサーバのノード名を記述します。

    nodename

    テープサーバのノード名を記述します。

    COMMmethod

    通信プロトコルを指定します。以下の記述を行ってください。
    SHAREDMEM

    SHMPort

    共用メモリーのTCP/IP ポート番号を指定します。以下の記述を行ってください。
    1510

    1510がシステムで使用されている場合は、1000 から32767 のうち、空いているポート番号を指定してください(dsmserv.optで指定した値と同じ値を指定します)。

    PasswordAccess

    TSMのクライアントが使用するパスワードの更新方法を指定します。以下の記述を行ってください。
    generate

    先頭が*で始まる行は、コメント行とみなします。
    SHMPortに指定したポート番号は、他のソフトウェアでは使用しないよう注意してください。
  2. /usr/bin/dsm.optファイルを編集します。

    /usr/bin/dsm.optファイルの編集例を以下に示します。

    SERVERname     tapeserver1

    各項目の意味は以下のとおりです。

    項目

    意味

    SERVERname

    テープサーバのノード名を記述します。

    先頭が*で始まる行は、コメント行とみなします。
    クライアントシステムオプションファイルの設定の詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』および『ETERNUS SF TSM 管理者のための解説書』を参照して下さい。

4.7.4 データベースとログファイルのフォーマット

データベースとログファイルのフォーマットを行います。データベースとログファイルを保存する場所は、本マニュアルの「必要とするディスク容量」で見積もった“$DIR4”(「DB格納ディレクトリ」)です。

TSMのデータベースおよびログファイルの容量拡張(extend dbおよびextend log)は使用することができません。今後のバックアップ運用変更を加味し、十分に余裕のある値を指定してください。
TSMのデータベースおよびログファイルの容量拡張に関する詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』および『ETERNUS SF TSM 管理者のための解説書』を参照して下さい。

手順は以下の通りです。

  1. 以降の作業に必要なシェル変数および環境変数を設定します。
    以下は/bin/shまたは/bin/kshのプロンプトでのコマンド実行例です。
    # TSMDB=<DB格納ディレクトリ>; export TSMDB
    # DSMSERV_DIR=/opt/tivoli/tsm/server/bin; export DSMSERV_DIR
    # DSMSERV_CONFIG=$TSMDB/dsmserv.opt; export DSMSERV_CONFIG
    #
  2. インストール時生成されたデータベースとログファイルを削除します。
    # cat /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmserv.dsk
    #dsk_comment#page_shadow_token:1050524192947   ←これはコメント行です
    /opt/tivoli/tsm/server/bin/log.dsm             ←これはログファイルです
    /opt/tivoli/tsm/server/bin/db.dsm              ←これはデータベースです
    #
    # rm /opt/tivoli/tsm/server/bin/log.dsm
    # rm /opt/tivoli/tsm/server/bin/db.dsm
    # rm /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmserv.dsk
    #

    まず、データベースとログファイルを記述したファイル(dsmserv.dsk)の内容を参照し、log.dsmファイルとdb.dsmファイルのパス名を調べます。
    log.dsmファイルとdb.dsmファイルを削除した後、データベースとログファイルを記述したファイル(dsmserv.dsk)も削除します。

  3. データベースとログ用のファイルを生成し、フォーマットします。
    # cd $TSMDB
    # /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmfmt -m -db <データベースのファイル名> <フォーマットするデータベースのサイズ>
    # /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmfmt -m -log <ログのファイル名> <フォーマットするログファイルのサイズ>
    #

    指定する項目の意味は以下の通りです。

    項目

    意味

    データベースのファイル名

    作成するデータベースのファイル名をフルパスで指定します。ディレクトリは「DB格納ディレクトリ」を指定します。ファイル名はdb.dsmです。
    通常は「/opt/tivoli/tsm/server/bin/db.dsm」を指定します。

    ログのファイル名

    作成するログのファイル名をフルパスで指定します。ファイルを作成するディレクトリは、ディレクトリは「DB格納ディレクトリ」を指定します。ファイル名はlog.dsmです。
    通常は「/opt/tivoli/tsm/server/bin/log.dsm」を指定します。

    フォーマットするデータベースのサイズ

    作成するデータベースのサイズを指定します(Mbyte単位)。本マニュアルの「動的ディスク資源」にて見積もった値を指定します。今後のバックアップ運用変更を加味し、余裕のある値を指定してください。

    フォーマットするログファイルのサイズ

    作成するログファイルのサイズを指定します。以下の値以上を指定します(Mbyte単位)。今後のバックアップ運用変更を加味し、余裕のある値を指定してください。
    128

    以下に実行例を示します。

    # cd $TSMDB
    # /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmfmt -m -db $TSMDB/db.dsm 129
    # /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmfmt -m -log $TSMDB/log.dsm 128
    #
  4. データベースとログファイルをフォーマットします。
    # cd $TSMDB
    # /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmserv format 1 $TSMDB/log.dsm 1 $TSMDB/db.dsm
    #

    log.dsmとdb.dsmは、dsmfmtコマンドで指定したファイル名を指定してください。

データベースとログのフォーマットに関する詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』および『ETERNUS SF TSM 管理者のための解説書』を参照して下さい。

4.7.5 TSM管理クライアントおよびTSMのサーバ名の登録

TSM管理クライアントおよびTSMのサーバ名の登録を行います。「データベースとログファイルのフォーマット」にて使用した、シェル変数および環境変数をそのまま使用します。
手順を以下に示します。

  1. TSMサーバデーモンを手動で起動します。起動に成功すると、"TSM> "というプロンプトが表示されます。
    # cd $TSMDB
    # /opt/tivoli/tsm/server/bin/dsmserv
      :
      :
    TSM>

    ここでの設定を行うためには、TSMサーバデーモンは手動で起動する必要があります。自動起動されていても設定は行えませんので注意してください。
  2. TSMの管理者のIDとパスワードを登録します。
    TSM> register admin <管理者ID> <管理者パスワード> passexp=<パスワードの有効期限>

    TSMの<管理者ID>および<管理者パスワード>には、本章の「TSM連携定義ファイルの設定」にて設定した値を使用します。
    <パスワードの有効期限>には0(無期限)を指定します。

    以下に実行例を示します。

    TSM> register admin admin admin passexp=0
    TSM>
  3. 管理者への権限の付与を行います。
    TSM> grant authority <管理者ID> class=system

    <管理者ID>には、上記で設定した管理者IDを指定します。以下に実行例を示します。

    TSM> grant authority admin class=system
    TSM>
  4. TSMのサーバ名の設定を行います。
    TSM> set servername <サーバ名>

    TSMの<サーバ名>には、クライアントシステムオプションファイル(dsm.sys)で設定したSERVERnameの値を指定します。以下に実行例を示します。

    TSM> set servername tapeserver1
    TSM>
  5. TSMサーバデーモンを停止します。
    TSM> halt

    haltコマンドは、TSMサーバデーモンを起動したプロンプト上で実行してください(シェルのコマンドプロンプトではありません)。

TSM管理クライアントおよびTSMのサーバ名の登録に関する詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』および『ETERNUS SF TSM 管理者のための解説書』を参照して下さい。

4.8 デーモンの自動起動設定

テープサーバには以下のデーモンがあります。

デーモンの自動起動を行うための設定を以下に示します。

4.8.1 StorageサーバまたはStorage管理サーバとしてのデーモン

StorageサーバまたはStorage管理サーバとしてのデーモンに関する情報は、各OSの『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 導入手引書』の「デーモンの自動起動」を参照してください。

4.8.2 テープサーバデーモン

本章の「テープサーバの初期設定」によりテープサーバデーモンは自動起動されるようになります。

本章の「テープサーバの初期設定」が全て完了するまではシステムの起動を行ってもテープサーバデーモンの起動に失敗する場合があります。この場合は、本章の「テープサーバの初期設定」を完了させた後、システムの再起動を行ってください。
テープサーバデーモンのみの起動/停止を行うこともできます。この場合は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 テープバックアップ連携編』の「デーモンの起動と停止」を参照してください。

4.8.3 TSMサーバデーモン

TSMサーバデーモンを自動起動するためには、以下の設定を行います。

  1. /opt/tivoli/tsm/server/bin/initTSMを/etc/init.d/initTSMにコピーします。
    # cp /opt/tivoli/tsm/server/bin/initTSM /etc/init.d/initTSM
    #
  2. /etc/init.d/initTSMファイルのオーナーとファイルモードを変更します。
    スーパーユーザ以外からはアクセスできないように設定し、かつ実行可能なモード変更にします(オーナー:root、ファイルモード:0700)。
    オーナーとファイルモードの変更と確認を行うコマンド実行例を、以下に示します。
    # cd /etc/init.d
    # chown root initTSM
    # chmod 700 initTSM
    # ls -l initTSM
    -rwx------   1 root     other       1228  5月 26日  17:05 initTSM
    #
  3. システム起動/停止時のために、TSMサーバデーモンの起動スクリプト(/etc/rc2.d/S99tsmsv)と停止スクリプト(/etc/rc0.d/K00tsmsv)のシンボリックリンクファイルを作成します。

    以下に実行例を示します。

    # ln -s /etc/init.d/initTSM /etc/rc2.d/S99tsmsv
    # ln -s /etc/init.d/initTSM /etc/rc0.d/K00tsmsv
    #
  4. /etc/init.d/initTSMを編集します。

    /etc/init.d/initTSMファイルの編集例を以下に示します。(この時、環境変数LANGも以下のように設定してください)

    LANG=C; export LANG
    :
    :
    'start')
            TSMDB=/opt/tivoli/tsm/server/bin   →DB格納ディレクトリ
    :
    :
    'stop')
            ID=admin        →TSMのサーバと接続するためのユーザID
            PA=admin        →TSMのサーバと接続するためのユーザIDに対するパスワード
    :
    :

    指定する項目の意味は以下の通りです。

    項目

    意味

    TSMDB

    TSMサーバデータベースの格納パス名を「=」に続けて定義します。本パス名には「DB格納ディレクトリ」を指定してください。

    ID

    TSMのサーバと接続するためのユーザIDを「=」に続けて定義します。本ユーザIDは、TSMの管理クライアントの登録(register admin)で指定するのと同じ管理者IDを定義します。

    PA

    TSMのサーバと接続するためのユーザIDに対するパスワードを「=」に続けて定義します。本パスワードは、TSMの管理クライアントの登録(register admin)で指定するのと同じ管理者パスワードを定義します。

4.9 TSMの設定 (デーモンの自動起動設定後に行う設定)

ここではデーモンの自動起動設定が完了した後に行うTSMの設定を示します。

デーモンの自動起動設定が完了したら、システムを再起動し、テープサーバ上の全てのデーモンを起動しておいてください。

以下で示す設定は全てTSM管理クライアントコマンド(dsmadmc)を起動した後に行う操作です。実行例に"tsm> "プロンプトが表示されている場合は、TSM管理クライアントコマンド(dsmadmc)起動後に操作を行ってください。

TSM管理クライアントコマンドおよびTSMクライアントコマンドの起動/停止方法を以下に示します。

[TSM管理クライアントコマンドの起動方法]

  1. TSM管理クライアントコマンド(dsmadmc)を起動します。起動後に"tsm> "プロンプトが表示されます。
    実行例を以下に示します。
    # cd /opt/tivoli/tsm/client/ba/bin
    # ./dsmadmc
    IBM Tivoli Storage Manager
    コマンド行管理インターフェース - バージョン 5、リリース 3、レベル 3.0
    (c) Copyright by IBM Corporation and other(s) 1990, 2006. All Rights Reserved.
    
    ユーザー ID の入力:  admin
    
    パスワードの入力  :
    
    セッションの確立、サーバー:*****: Solaris 8/9
      :
      :
    tsm>

    「ユーザー ID の入力」にはTSMの管理者IDを入力しリターンキーを押します。「パスワードの入力」にはTSMの管理者パスワードを入力しリターンキーを押します。

[TSM管理クライアントコマンドの停止方法]

  1. TSM管理クライアントコマンド(dsmadmc)を停止します。
    "tsm> "プロンプトでquitを入力します。実行例を以下に示します。
    tsm> quit

4.9.1 ライセンスパスワードの登録

TSMにライセンスパスワードの登録を行います。以下に手順を示します。

  1. ライセンスパスワードを登録します。
    tsm> register license file=<ライセンスファイル名> number=<ライセンス数>
  2. 登録したライセンス情報を確認します。
    tsm> query license

    ライセンスの登録に関する詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』の「サーバー操作の管理」を参照して下さい。
    複数のテープサーバ間でライブラリ共用するかどうかにより、必要なライセンスが異なります。ライセンスに関する詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』を参照して下さい。

4.9.2 クライアントノードの登録

TSMにクライアントノードの登録を行います。以下に手順を示します。

  1. TSMの管理者のIDとパスワードを登録します。
    tsm> register node <クライアントID> <パスワード> passexp=<パスワードの有効期限> maxnummp=<最大マウントポイント数>

    TSMの<クライアントID>にはテープサーバのノード名を指定します。
    <パスワード>には本章の「TSM連携定義ファイルの設定」にて設定した値を使用します。
    <パスワードの有効期限>には0(無期限)を指定します。
    <最大マウントポイント数>には999 (最大値)を指定します。

    以下に実行例を示します。

    tsm> register node tapeserver1 admin passexp=0 maxnummp=999
    tsm>
  2. クライアントノードの情報を確認します。
    tsm> query node format=detail
    tsm>

    クライアントノードの登録に関する詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』を参照して下さい。

4.9.3 TSMの環境関連の設定

TSMの環境関連の設定を行います。以下に手順を示します。

  1. 活動記録ログの保存日数を定義します。
    tsm> set actlogretention <保存する日数>

    以下に実行例を示します。

    tsm> set actlogretention 100
    tsm>

    TSMの環境関連の設定に関する詳細は、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き』を参照して下さい。

4.9.4 テープライブラリの設定

TSMでテープライブラリ装置の設定を行います。

4.9.4.1 テープサーバ間でテープライブラリを共有しない場合

テープサーバ間でテープライブラリ装置を共有しない場合(テープサーバが1台の場合を含む)の設定手順は以下の通りです。

  1. テープライブラリ(コントローラ)の設定を行います (define library)。
  2. テープライブラリパスの設定を行います (define path)。
  3. ドライブの設定を行います (define drive)。
  4. ドライブのパスの設定を行います (define path)。
  5. それぞれのテープサーバで手順1から手順4を行います。

テープライブラリ装置の種別によって定義の方法が異なります。
詳細は、『ETERNUS SF TSM ETERNUS LTライブラリ運用手引書』を参照してください。

4.9.4.2 テープサーバ間でテープライブラリを共有する場合

テープサーバ間でテープライブラリ装置を共有する場合の設定手順は、以下の通りです。

  1. ライブラリマネージサーバでの設定
    1. 共用するテープライブラリ(コントローラ)の設定を行います (define library)。
    2. ライブラリマネージサーバのためのテープライブラリパスの設定を行います (define path)。
    3. ドライブの設定を行います (define drive)。
    4. ドライブのパスの定義を行います (define path)。
  2. ライブラリクライアントサーバでの設定
    1. 共用するテープライブラリ(コントローラ)の設定を行います (define library)。
  3. ライブラリマネージサーバでの設定
    1. ライブラリクライアントサーバのためのテープライブラリパスの設定を行います (define path)。

テープライブラリ装置の種別によって定義の方法が異なります。
詳細は、『ETERNUS SF TSM ETERNUS LTライブラリ運用手引書』を参照してください。

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