負荷分散/QoS制御 テクニカルガイド
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第16章 付録> 16.2 cookie利用による負荷分散の一意性保証に関する留意事項

16.2.3 cookieを利用した一意性保証の運用指針

Traffic Directorの負荷分散機能で、cookie値を一意性保証のキーに利用する場合、アプリケーションにおいて以下の対応が必要となります。

■ブラウザの同時接続セッション数を1に変更する

ブラウザの同時セッション数を1に変更することで、cookie値の配布タイミングに関する問題が発生しなくなります。しかし、以下のデメリットが存在します。

※<補足説明>インターネット・ブラウザを利用して、画像ファイル等の構成部品が複数存在するHTMLページを表示する際、画像ファイルが1個づつ順番に表示されるのではなく、複数個が同時に表示されているのを見たことがあると思われます。これも、画像ファイルに対するHTTPアクセスを複数セッションで実施しているため、各々の画像ファイルが同時に読み込まれ、同時に表示されています。(各々の構成部品は、通常、HTTPアクセスで読み込まれるため、各々のHTTP要求に対してcookie値を付与するだけではなく、HTTP応答内に更新されたcookie値が返信されることもあります。)

■cookie値の配布タイミングで多重接続が発生しない構成にする

cookie値の配布タイミングで、ブラウザから同時セッションが発生しない構造としてシステム設計願います。なお、ブラウザから同時セッションが発生する可能性があるのは、以下のようなページ構成の場合と思われます。

負荷分散の一意性保証に、Traffic Directorが配布するcookie値を利用する場合、上記のような処理でcookie値を新規配布せずに、上記のようなHTTPページの表示前に業務開始HTTPページ等を表示させ、このHTTPページの表示時にcookie値を配布するようなページ構成にしてください。(Traffic Directorでは、cookie値が付与されていないHTTPセッションを新規セッションと見なし、新規に分散先を決定し、cookie値を新規配布します)

■HTTPサーバでcookie値を配布し、適正に管理する。

Traffic Directorがcookie値を付与する負荷分散機能では、トランザクション処理の開始と終了を把握できないため、以下のような状態が発生した時点で、新規セッションが開始されたと判断されます。その結果、新たに分散先を決定するため、従来までのセッションと一意性が保証されなくなります。この回避策として、Traffic Directorが配布するcookie値を利用するのではなく、HTTPサーバが配布したcookie値を利用することを推奨します。

例えば、HTTPサーバで以下のようなcookie値配布方式で、業務アプリケーションを実装した場合、上記のような異常発生時にも、業務アプリケーションでトランザクション異常を検出可能になります。

このとき、配布するクッキー値は、HTTPサーバを複数台構成にした場合でも、重複したcookie値を配布しないことが必須となります。(一意性保証のキーに利用するため、システムで重複があると予期しない負荷分散処理になります)


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