Dynamic Reconfiguration ユーザーズガイド 2.6

3.1 drc(1M)

【名前】

drc - DRオペレーションの実行

【形式】

/opt/FJSVhwr/sbin/drc -connect sbXY | sbXY-N [-reset]
/opt/FJSVhwr/sbin/drc -disconnect sbXY | sbXY-N [-reset]
/opt/FJSVhwr/sbin/drc -disconnect sbXY | sbXY-N -next PID [-reset]
/opt/FJSVhwr/sbin/drc -disconnect sbXY | sbXY-N -keep
/opt/FJSVhwr/sbin/drc -abort

【使用条件】

本コマンドはrootユーザ権限でのみ実行が可能です。
本コマンドの実行可能環境については、“1.2 DRの動作環境”を参照してください。

【機能説明】

システムボードの切離し・組込み・移動等のパーティション構成変更、および活性交換時のシステムボードの切離し・組込みを支援する為のコマンドです。

自パーティションに属するシステムボード、およびパーティション未定義のシステムボードに対してのみ操作が可能です。

【オプション】

以下のオプションがあります。
Status, PID, Next_PID, Board_Type, CPU(MHz)は、drcstat(1M)コマンドにより表示された該当システムボード(sbXYまたはsbXY-N)に対応する値を意味します。

-connect

sbXYまたはsbXY-Nで指定するシステムボードの自パーティションへの組込みを行います。
活性増設・移動後の組込み・活性交換後の組込み時に指定します。以下に示す状態のシステムボードに対してのみ指定可能です。

• GP7000F モデル1000/2000, PRIMEPOWER800/1000/2000の場合

  前提条件として、Board_Type、CPU(MHz)が自パーティションと同じ値であることが必要です。

• PRIMEPOWER900/1500/2500の場合

  Board_Typeが0x2Xの場合は、Board_Type、CPU(MHz)が自パーティションと同じ値であることが必要です。また、Board_Typeが0x3Xの場合は、Board_Typeのみ自パーティションと同じ値である必要があります。

他オプション	コマンド実行前			コマンド完了後			備考
	Status	PID	Next_PID	Status	PID	Next_PID
無し	Waiting	自	自	Configured	自	自
	Disconnected	--	--
	Disconnected	--	自
-reset	Configured	自	他	Configured	自	自	1．
	Configured	自	--				2．
	Disconnected	--	--	Disconnected	--	自	3．

自：自パーティションID（コマンドを投入したバーティションのID）

他：移動先パーティションID

--：未定義

1. 次回のリブートでの移動(drc -disconnect sbXY(またはsbXY-N) -next PID -reset)をキャンセルする場合に使用します。
2. 次回のリブートでの切り離し(drc -disconnect sbXY(またはsbXY-N) -reset)をキャンセルする場合に使用します。
3. コマンド完了後、自パーティションのリブートにより、StatusがConfigured、PID/Next_PIDが自パーティションIDとなります。

-disconnect

sbXYまたはsbXY-Nで指定するシステムボードの自パーティションからの切離しを行います。
活性削除・別パーティションへの移動・活性交換時に指定します。以下に示す状態のシステムボードに対してのみ指定可能です。

他オプション	コマンド実行前			コマンド完了後			備考
	Status	PID	Next_PID	Status	PID	Next_PID
無し	Configured	自	自	Disconnected	--	--
	Waiting	自	自
-next	Configured	自	自	Waiting, または、 Unconfigured	他	他	1. 5.
	Waiting	自	自
-keep	Configured	自	自	Unconfigured	自	自
-reset	Configured	自	自	Configured	自	--	2.
	Disconnected	--	自	Disconnected	--	--	3.
-next -reset	Configured	自	自	Configured	自	他	1. 4.

自：自パーティションID（コマンドを投入したパーティションのID）

他：Next_PIDで指定した移動先のパーティションID

--：未定義

1. -nextオプション有りの場合、切り離すシステムボードのBoard_Type が0x1Xまたは0x2Xの時、Board_Type、CPU(MHz)が移動先のパーティションと同じ値である必要があります。
   切り離すシステムボードのBoard_Type が0x3Xの場合、Board_Typeのみ移動先のパーティションと同じ値である必要があります。
2. コマンド完了後、自パーティションのリブートにより、StatusがDisconnected、PID/Next_PIDが未定義("--")となります。
3. 次回のリブートでの組み込み(drc -connect sbXY(またはsbXY-N) -reset)をキャンセルする場合に使用します。
4. コマンド完了後、自パーティションのリブートにより、StatusがDisconnected/Unconfigured、PIDが未定義("--")、Next_PIDが移動先のパーティションIDとなります。
5. 移動先のパーティションが電源OFFの場合、StatusはUnconfiguredとなります。

-abort

組み込み・切り離し操作を強制終了します。
本オプションは、DR処理が下記の状態になり、処理を中断したい場合のみ使用してください。

• "Execute connection script ####"を表示したまま、コマンド処理が進行しない場合。
• "Waiting the completion of memory releasing. ( XXXX / YYYY )"を表示し続け、コマンドが終了しない場合。
  

上記以外の条件で、本オプションを指定してコマンドを実行した場合、その後の動作は保証されません。

システムが異常となった場合は、システムのリブートが必要となります。

sbXY

システムボード番号を指定します。Xは筐体番号(0-3)を指定し、Yは筐体内のシステムボード番号(0-7)を指定します。

sbXY-N

システムボード番号を指定します。XPAR使用時に有効です。Xは筐体番号(0-3)を指定し、Yは筐体内のシステムボード番号(0-7)を指定し、さらにNはシステムボード内オフセット番号(0-3)を指定します。

-next PID

移動先のパーティションを指定します。（PIDは10進数で、0〜14）
切り離すシステムボードのBoard_Type が0x1Xまたは0x2Xの場合、Board_Type、CPU(MHz)が移動先のパーティションと同じ値である必要があります。
切り離すシステムボードのBoard_Type が0x3Xの場合、Board_Typeのみ移動先のパーティションと同じ値である必要があります。
-resetオプション無しの場合、本コマンド終了時、該当システムボードは移動先パーティションでの組み込み待ち状態(StatusがWaiting)となり、移動先パーティション側での組み込み操作が必要となります。
-resetオプション有りの場合、該当システムボードのStatusはConfigured状態、Next_PIDは移動先のパーティションIDとなります。

-keep

システムボードの活性交換を行う場合に指定します。
-disconnectオプション指定時のみ有効です。
StatusがConfiguredでPID/Next_PIDが自パーティションのシステムボードに対してのみ指定が可能です。
本オプションを指定してコマンドが完了するとStatusはUnconfiguredとなります。
システムボードの交換作業を実施しStatusがWaitingとならないと、交換後の組み込み操作を行うことは出来ません。
また、本オプションを指定してコマンドが完了後、システムボードの活性交換を中止する場合は、システムコンソール側での操作が必要となります。
詳細は、「System Console Softwareユーザーズガイド」を参照してください。

-reset

組込みまたは切離しを次のリブート時に行う場合に指定します。
省略した場合は、動的に組込みまたは切離しを行います。
"-next PID"と共に指定した場合、以下の順序で操作を行います。

1. コマンド実行(drc -disconnect sbXY(またはsbXY-N) -next PID -reset)
2. 移動元パーティションのリブート
3. 移動先パーティションのリブート

【実行例】

• sb02を組み込む。
  # drc -connect sb02
  
• sb02を次回のリブート時に組み込む。
  # drc -connect sb02 -reset
  
• sb02をシステムボードプールに戻す。
  # drc -disconnect sb02
  
• sb02を次回のリブート時にシステムボードプールに戻す。
  # drc -disconnect sb02 -reset
  
• sb02をパーティション2に移動する。
  <自パーティション>
  # drc -disconnect sb02 -next 2
  <パーティション#2>
  # drc -connect sb02
• sb02を次回のリブート時にパーティション2に移動する。
  <自パーティション>
  # drc -disconnect sb02 -next 2 -reset
  [自パーティションリブート(移動元)]
  [パーティション#2リブート(移動先)]
  
• sb02を活性交換する。
  # drc -disconnect sb02 -keep
  [システムボード交換作業]
  # drc -connect sb02
  
• XPAR使用時、sb02-1を組み込む。
  # drc -connect sb02-1
  
• XPAR使用時、sb02-1をシステムボードプールに戻す。
  # drc -disconnect sb02-1

【終了ステータス】

以下の終了ステータスを返します。

0

正常終了

>0

エラーが発生（エラーの内容は、コンソールメッセージ、またはコマンドのエラーメッセージを参照してください）。

【関連情報】

drcstat(1M)、adrc(1M)

【注意事項】

• 本コマンドを実行する前に、drcstat(1M)を実行して操作を行うシステムボードが、切り離し、または組み込み可能な状態であることを確認してください。
• DR未サポートのOS(Solaris 7 OS等)のパーティションに、誤ってシステムボードを移動した場合の復旧方法は、以下のとおりです。

  <動的にシステムボードの移動を行った場合(drc -disconnect sbXY -next PID)>

  1. 移動先のパーティションのリブートを行い、システムボードを一旦移動先のパーティションに組み込みます。
  2. システムコンソールにおいて、"パーティションからのシステムボード削除"で、該当システムボードの削除を行います。
  3. 移動先のパーティションのリブート、またはシャットダウンを行います。
  4. 移動元のパーティションにおいて、以下の操作を行います。
     # drc -connect sbXY
     

  <次回のリブートによる移動を行った場合(drc -disconnect sbXY -next PID -reset)>

  移動元のパーティションにおいて、該当のシステムボードに対して、以下の操作を行います。
  # drc -connect sbXY -reset

• 複数のパーティションから、同時に、同一のシステムボードに対しての組み込み指示(drc -connect sbXY)を行った場合に、以下のコンソールメッセージが表示される場合がありますが、ハードエラーではありません。
  

    FJSVscf: WARNING: /pci@#,#/#@#/FJSV,scfc@#,#(scfc#),SCF command (0x11a2) error.Status register = 0xXXXX

Status register= 0xXXXX の値は、各モデルで異なります。

• GP7000F モデル1000/2000, PRIMEPOWER800/1000/2000の場合

  Status register = 0xXXX9

• PRIMEPOWER900/1500/2500の場合

  Status register = 0xXX9X

なお、上記以外のメッセージまたはStatus register値が表示された場合は、"Enhanced Support Facility ユーザーズガイド" を参照し、対処してください。