FUJITSU Linkexpress 解説書 |
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第3章 運用システムの設計を行う | > 3.1 運用システムの設計とは |
ネットワークの設計では、相手システムに合わせて以下の項目を取り決めます。
Linkexpressは、通信プロトコルとしてTCP/IPプロトコル(FTP+、FTPM、FTP、HTTP、HTTPS)、FNAプロトコル(HICS)およびSANプロトコルをサポートしています。この中から相手システムに合わせて通信プロトコルを選択します。
通信プロトコルは、分散業務の種類や相手システムと関係があります。表3.3および表3.4に通信プロトコルとこれらとの関係を示します。
通信プロトコル種別 |
接続可能な相手システム |
相手システムのソフトウェア |
|
TCP/IP |
FTP+ |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress |
グローバルサーバ/PRIMEFORCE |
Linkexpress File Transfer |
||
FTP |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress |
|
グローバルサーバ/PRIMEFORCE |
Linkexpress File Transfer |
||
ASP |
DTS |
||
他社機 |
FTPサポート製品 |
||
HTTP |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress Advanced Edition |
|
他社機 |
HTTPサポート製品 |
||
HTTPS |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress Advanced Edition |
|
FNA |
HICS |
グローバルサーバ/PRIMEFORCE |
Linkexpress File Transfer |
ASP |
HICS |
||
他社機(MVS) |
HICS |
||
SAN |
SAN |
グローバルサーバ/PRIMEFORCE |
Linkexpress File Transfer |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress |
注1) FTP+をサポートしているDTS、DB-EXPRESSを指します。
注2) DB-EXPRESS、DB-EXPRESS/CはDTSを使用してLinkexpressと連携します。
通信プロトコル種別 |
接続可能な相手システム |
相手システムのソフトウェア |
|
TCP/IP |
FTP+ |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress |
グローバルサーバ/PRIMEFORCE |
Linkexpress File Transfer |
||
FTP |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress |
|
グローバルサーバ/PRIMEFORCE |
Linkexpress File Transfer |
||
ASP |
DTS |
||
他社機 |
FTPサポート製品 |
||
FNA |
HICS |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress |
グローバルサーバ/PRIMEFORCE |
Linkexpress File Transfer |
||
SAN |
SAN |
PC/UNIXサーバ |
Linkexpress |
注1) FTP+をサポートしているDTS、DB-EXPRESSを指します。
注2) DB-EXPRESSはDTSを使用してLinkexpressと連携します。
TCP/IP通信では、計算機システムごとにIPアドレスを付与します。このIPアドレスの上位に、TCP/IP通信でのエンド・ポイントとなるポート番号を付与します。
TCP/IPを使用する場合の通信パスの概念について、図3.6に示します。
TCP/IPを使用する場合、以下の値を相手システムと調整する必要があります。
IPアドレスとホスト名は、サーバ間接続で相手システムを識別するため、相互のシステムで設定してください。
ポート番号は、TCP/IPが使用する番号で、通信のエンド・ポイントを識別します。
業務番号は、1つのポート番号で複数の通信パスを定義するための識別番号です。1つのポート番号に1つの通信パスを対応させる場合には、業務番号で使い分ける必要はありません。また、他社計算機システムのFTPサポート製品と接続する場合には、業務番号は利用できません。
業務番号を使用する場合は、自システムと相手システムで同じ値を定義してください。
FTP+、FTPプロトコルを使用する場合、データコネクション接続モード(注)が指定できます。データコネクション接続モードには、PASVモード、PORTモードがあります。
PASVモードを使用する場合は、相手システムがPASVモードをサポートしている必要があります。
PASVモードの利用可能な範囲は以下のとおりです。
- Linkexpress V3.0L10 相当以降
注)FTPプロトコルでは、コントロールコネクション、データコネクションの2つのコネクションを使用してファイル転送をおこないます。データコネクションとは、データを転送するコネクションのことです。
通信プロトコルにFNAを利用する場合、Linkexpressの通信パスは、自システムからのファイル転送などの要求発行時に使用する起動側LUと、相手システムからのファイル転送などの要求を受け付ける際に使用するLUの2つのLUで1つの通信パスを構成します。
FNA通信を使用する場合、以下の値を相手システムと調整する必要があります。
FNAを使用する場合の通信パスの概念について、図3.7に示します。
Linkexpressは、FNA3手順を使用します。また、FNAプロトコルでは、一方のシステムを1次側システム、もう一方のシステムを2次側システムと呼びます。1次側として動作するシステムとして、DB-EXPRESSからDTSを利用する形態、Linkexpress File Transfer、およびHICSがあります。Linkexpressは、2次側として動作します。
通信バッファは、相手システムとのデータ送受信時に使用するバッファのことで、1回の転送単位となります。この値は、自システムと相手システムで同じ値を指定する必要があります。
コミュニケータ名は、相手システムのネットワーク製品がその上位製品を識別するための名前です。コミュニケータ名は、自システムと相手システムのそれぞれに定義し、同じ名前を定義する必要があります。
通信プロトコルにSANを利用する場合、Linkexpressの通信パスは、自システムからのファイル転送などの要求発行時に使用する業務番号で1つの通信パスを構成します。
SAN通信を使用する場合、以下の値を相手システムと調整する必要があります。
SANを使用する場合の通信パスの概念について、図3.8に示します。
業務番号は、複数の通信パスを定義するための識別番号です。
業務番号は、自システムと相手システムで同じ値を定義してください。
デバイス名は、自システムのネットワーク製品が接続先デバイスを識別するための名前です。デバイス名は、自システムと相手システムのそれぞれに定義する必要があります。
Linkexpressの途中再送機能を利用する場合、以下の点について考慮する必要があります。
- 通信プロトコル
- 相手システムが当該機能をサポートしているかどうか
- どの機能から途中再送を利用するか
次に、各項目について説明します。
途中再送機能を使用できる通信プロトコルはFTP+です。FNA、HTTP、HTTPSおよびSANでは使用できません。
Linkexpressがサポートする途中再送機能はファイル転送の起動側と応答側の双方で途中再送機能をサポートしている必要があります。
途中再送の利用可能な範囲は以下のとおりです。
- Linkexpress for Windows NT V2.1L10以降
- Linkexpress File Transfer V10L10 L00031以降
- Linkexpress Advanced Edition
途中再送機能はLinkexpressの以下の機能から利用することができます。
- PC/UNIXサーバの場合、業務、利用者プログラム、およびファイル転送コマンドから行うファイル転送
- グローバルサーバ/PRIMEFORCEの場合、利用者プログラム、コンソールコマンド、およびJCLから行うファイル転送
なお、DB連携機能として提供する分散型システム連携、およびダウンロード型システム連携から途中再送を利用することはできません。
Linkexpress Advanced EditionがサポートするSSL通信はHTTPプロトコルによるSSL通信です。Linkexpress Advanced EditionでSSL通信を行う場合、以下の点について考慮する必要があります。
- 相手システムがSSL通信をサポートしているかどうか
次に、当該項目について説明します。
Linkexpress Advanced EditionがSSL通信を行うには、相手システムもLinkexpress Advanced Editionである必要があります。
Linkexpressでは、以下の当社独自のデータ圧縮方式をサポートしています。
- SLCA
- FLDC
- HICS
SLCA方式とFLDC方式には、ファイル転送時に自動的にファイルを圧縮する転送連動圧縮と、ユーティリティを利用してファイルを圧縮する転送非連動圧縮の2種類があります。HICS方式は、転送連動圧縮だけです。
どのデータ圧縮機能を使用するかは、次の項目をもとに決定します。
- 相手システムが当該機能をサポートしているかどうか
- 通信路の転送速度
- 転送するデータの内容
次に、各項目について説明します。
データ圧縮機能は、送信側でデータを圧縮し、受信側でデータを伸長します。したがって、双方のシステムがこの機能をサポートしている必要があります。
データ圧縮機能の利用可能な範囲を、表3.5および表3.6に示します。
通信 |
接続相手システム(製品名) |
圧縮方式 |
TCP/IP |
・ グローバルサーバ/PRIMEFORCE ・ UNIXサーバ(Linkexpressまたは ・ PCサーバ(Linkexpressまたは |
SLCA(注5) |
FNA |
・ グローバルサーバ/PRIMEFORCE ・ UNIXサーバ(Linkexpressまたは ・ PCサーバ(Linkexpressまたは ・ IBMホスト(HICS)(注4) ・ その他自社計算機システム |
HICS |
注1) FTP+をサポートしているDTSの場合に利用可能です。また、DB-EXPRESSはDTSを利用してLinkexpressと連携します。
注2) DB-EXPRESSと組み合わせてDB連携業務を行う場合、使用できません。
注3) 自システムがグローバルサーバ/PRIMEFORCEのLinkexpress File Transferの場合に利用できます。PC/UNIXサーバのLinkexpressまたは
Linkexpress Advanced EditionはFNA3手順の2次側として動作するため、自システムがPC/UNIXサーバの場合はFNA接続ができません。
注4) グローバルサーバ/PRIMEFORCEのLinkexpress File Transferがサポートしています。
注5) SLCA圧縮は製品の版数により利用の可否が異なります。また、DTSではSLCA圧縮をサポートしていません。
通信 |
接続相手システム(製品名) |
圧縮方式 |
通信プロトコルを問わない(注1) |
・ グローバルサーバ/PRIMEFORCE ・ UNIXサーバ(Linkexpress、Linkexpress Advanced Edition、Linkexpress SAN optionまたはDB-EXPRESS) ・ PCサーバ(Linkexpress、Linkexpress Advanced |
SLCA |
注1) ユーティリティとして提供しているため、通信プロトコルに依存しません。
注2) 製品の版数により利用の可否が異なります(製品の版数により圧縮機能および圧縮方式のサポート状況が異なります)。また、DB-EXPRESSではSLCA圧縮をサポートしていません。
データ圧縮は通信路の転送速度が低い場合に圧縮による効果が期待できます。データ圧縮を利用すると圧縮・伸長の際にCPU時間を使用するため、通信路の転送速度が高い場合は結果的に全体の運用性能が劣化することがあります。
通信路の転送速度で判断する際は、100KB/S程度より低ければ圧縮の効果が期待できます。
なお、時間課金を行う回線交換網を通信路として使用する場合、通信路の転送速度にかかわらず、転送非連動方式による圧縮・伸長を行うことをお勧めします。
転送するデータがすでに圧縮されている場合、Linkexpressのデータ圧縮機能で再度圧縮しても圧縮効果はありません。したがって、このような場合には圧縮機能を利用しないでください。
Linkexpressがサポートしているコード変換は以下の2種類があります。これらのコード変換機能を利用する際に考慮する点について説明します。
- DBに対する格納データのコード変換。PC/UNIXのLinkexpressがサポートしています。
- テキストを対象とするファイル転送時のコード変換(1バイト系のみ)。グローバルサーバ/PRIMEFORCEのLinkexpress File Transferがサポートしています。
コード体系が異なるシステム間でデータ転送を行う場合、データのコード系を送信元か受信先のどちらかで変換する必要があります。どちらのシステムでコード変換を行うかは、次の項目をもとに決定します。
- 相手システムがコード変換機能をサポートしているかどうか
- どちらのシステムのCPUに余裕があるか
Linkexpressと接続可能なファイル転送製品の中には、コード変換機能をサポートしていない製品があります。このような製品と接続する場合には、自システムの方でコード変換を行います。
コード変換機能の利用可能な範囲を、表3.7に示します。
(格納データのコード変換)
計算機システム(製品名) |
サポート状況 |
グローバルサーバ/PRIMEFORCE (DB-EXPRESS) |
○(注) |
UNIXサーバ (Linkexpress、Linkexpress Advanced Edition) |
○ |
UNIXサーバ (DB-EXPRESS) |
○ |
PCサーバ (Linkexpress、Linkexpress Advanced Edition) |
○ |
PCサーバ (DB-EXPRESS) |
○ |
その他自社・他社計算機システム(FTPサポート製品) |
− |
○ :サポート済み
− :不明
注) ダウンロード型システム連携の場合、コード変換が可能です。
(テキストのコード変換)
計算機システム(製品名) |
サポート状況 |
グローバルサーバ/PRIMEFORCE (Linkexpress File Transfer) |
△ |
グローバルサーバ/PRIMEFORCE (DTS) |
△ |
その他自社・他社計算機システム(FTPサポート製品) |
− |
△ :TCP/IPプロトコルの場合、EBCDIC(ASCII)-ASCIIのコード変換が可能
(1バイト系のみ)
− :不明(FTPサポート製品によりサポート状況が異なります)
双方のシステムがコード変換機能をサポートしている場合、どちらのシステムでコード変換を行うかを決定する必要があります。
コード変換処理では、全体データの走査と変換処理を行うためにCPU資源を使用します。CPU能力の低いシステムの方でコード変換を行ったり、1つのシステムで集中してコード変換を行ったりするとCPUがボトルネックとなり業務が円滑に運用できない場合があります。したがって、コード変換処理はCPUに余裕のあるシステムの方で行います。また、「1:n」接続で、「n」側システムの方でコード変換を行うと負荷が分散されます。
Linkexpressの一括ファイル転送機能を利用する場合、以下の点について考慮する必要があります。
- 通信プロトコル
- 相手システムが該当機能をサポートしているかどうか
次に、各項目について説明します。
一括ファイル転送機能を使用できる通信プロトコルはTCP/IP(FTP+、FTP、HTTP、HTTPS)です。FNAおよびSANでは使用できません。
Linkexpressがサポートする一括ファイル転送機能は、起動側で各ファイルをアーカイブ形式に束ね、単一ファイルとして転送し、応答側で各ファイルに分割します。したがって、ファイル転送の起動側と応答側の双方で一括ファイル転送機能をサポートしている必要があります。
一括ファイル転送機能の利用可能な範囲は以下のとおりです。
- Linkexpress V3.0L10 相当以降
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