PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.1 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)
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付録A 留意事項> A.2 注意事項

A.2.31 FC-AL内蔵ディスクの交換

FC-AL内蔵ディスクを交換すると、交換したディスクのデバイス番号が変更される場合があります。このため、GDS運用管理ビューの[物理ディスク交換]と[物理ディスク復旧]、またはsdxswapコマンドを使用する物理ディスク交換手順では、FC-AL内蔵ディスクは交換できません。FC-AL内蔵ディスクを交換する場合は、当該ディスクをクラスから一旦削除してからディスク装置を交換し、交換したディスクをクラスに再度登録してください。

以下に、例として、ミラーグループに接続されているFC-AL内蔵ディスクの交換手順を示します。この例では、ミラーリングされているディスクを交換するため、交換前にディスク上のボリュームを削除する必要はありません。シングルディスクの場合や、最上位グループがミラーグループ以外の場合など、ミラーリングされていないディスクを交換する場合は、交換前にディスク上のボリュームを削除する必要があります。
この場合、必要に応じてボリュームのデータをバックアップしてからボリュームを削除し、ディスクをクラスから削除し、交換したディスクをクラスに登録した後、ボリュームの再作成とデータのリストアを行う必要があります。

  1. /var/adm/messagesファイルに出力されているGDSのI/Oエラーメッセージから、故障したディスクのデバイス名(devname)を確認します。

    GDSのI/Oエラーメッセージは、文字列sfdskをキーにして検索することができます。以下の例では、デバイス名はssd@w210000203716ee10です。

    WARNING: sfdsk: write error on mirror slice:
    volume info: devno(maj,min)=0x03f4002e(253,46)
    device info: devno(maj,min)=0x01d8001e(118,30)
    devname=/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0 (ssd3)
    error info: blk in disk=17308981, blk in slice=5232448
    length=8192, resid=8192, errno=5


  2. 交換するディスク(故障したディスク)の物理ディスク名を確認します。

    grepコマンドの引数には、手順1で確認したデバイス名を指定します。
    以下の例では、物理ディスク名はc2t4d0です。

    # ls -l /dev/rdsk | grep ssd@w210000203716ee10
    lrwxrwxrwx   1 root   root      78 Feb  3 18:49 c2t4d0s0 -> ../../devices/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0:a,raw
    lrwxrwxrwx   1 root   root      78 Feb  3 18:49 c2t4d0s1 -> ../../devices/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0:b,raw
    lrwxrwxrwx   1 root   root      78 Feb  3 18:49 c2t4d0s2 -> ../../devices/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0:c,raw
    lrwxrwxrwx   1 root   root      78 Feb  3 18:49 c2t4d0s3 -> ../../devices/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0:d,raw
    lrwxrwxrwx   1 root   root      78 Feb  3 18:49 c2t4d0s4 -> ../../devices/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0:e,raw
    lrwxrwxrwx   1 root   root      78 Feb  3 18:49 c2t4d0s5 -> ../../devices/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0:f,raw
    lrwxrwxrwx   1 root   root      78 Feb  3 18:49 c2t4d0s6 -> ../../devices/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0:g,raw
    lrwxrwxrwx   1 root   root      78 Feb  3 18:49 c2t4d0s7 -> ../../devices/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0:h,raw


  3. 交換するディスクのディスク名、クラス名、グループ名を確認します。

    sdxinfo -Dコマンドを実行し、手順2で確認した物理ディスク名がDEVNAMフィールドに表示されている行の、NAME, CLASS, GROUPフィールドでディスク名、クラス名、グループ名を確認します。

    以下の例では、物理ディスクc2t4d0のディスク名はDisk2、クラス名はClass1、グループ名はGroup1です。

    # sdxinfo -D
    OBJ     NAME    TYPE   CLASS   GROUP  DEVNAM  DEVBLKS  DEVCONNECT      STATUS
    ------ ------- ------ ------- ------- ------- -------- -------------- --------
    disk    Disk1   mirror Class1  Group1 c0t0d0  17682084  Node1          ENABLE
    disk    Disk2   mirror Class1  Group1 c2t4d0  17682084  Node1          ENABLE


  4. 交換するディスクをグループから切断します。


    sdxdisk -Dコマンドの-c, -g, -dオプションでは、手順3で確認したクラス名、グループ名、ディスク名を指定します。

    # sdxdisk -D -c Class1 -g Group1 -d Disk2


  5. 交換するディスクがグループから切断されたことを確認します。

    sdxinfo -Dコマンドを実行し、切断されたディスクの物理ディスク名がDEVNAMフィールドに表示されている行のGROUPフィールドに、アスタリスク(*)が表示されることを確認します。

    # sdxinfo -D
    OBJ    NAME   TYPE    CLASS   GROUP   DEVNAM  DEVBLKS   DEVCONNECT     STATUS
    ----- ------- ------- ------- ------- ------- --------- -------------- -------
    disk   Disk1  mirror  Class1  Group1  c0t0d0  17682084  Node1          ENABLE
    disk   Disk2  mirror  Class1  *       c2t4d0  17682084  Node1          ENABLE


  6. 交換するディスクをクラスから削除します。


    sdxdisk -Rコマンドの-c, -dオプションでは、手順3で確認したクラス名、ディスク名を指定します。

    # sdxdisk -R -c Class1 -d Disk2


  7. 交換するディスクがクラスから削除されたことを確認します。

    sdxinfo -Dコマンドを実行し、削除されたディスクの情報が表示されないことを確認します。

    # sdxinfo -D
    OBJ     NAME    TYPE    CLASS   GROUP  DEVNAM  DEVBLKS  DEVCONNECT    STATUS
    ------ ------- ------- ------- ------- ------- -------- ------------- -------
    disk    Disk1   mirror  Class1  Group1  c0t0d0 17682084  Node1        ENABLE


  8. システムを停止します。

    # shutdown -y -i0 -g0


  9. ディスクを交換します。

    当社技術員(CE)にディスク装置の交換を依頼します。

    CEは以下の手順でディスク装置を交換します。

    1. 交換するディスクに記載されているWWN (World Wide Name)を控えます。

    2. OpenBootのauto-boot?変数の設定を確認し、auto-boot?変数にtrueが設定されている場合は、falseに変更します。

    3. 本体装置の電源を切断します。

    4. ディスクを交換します。

    5. 本体装置の電源を投入します。

    6. 手順9の2でauto-boot?をfalseに変更した場合、auto-boot?をtrueに変更します。


  10. システムを起動します。


    FC-ALディスクには、ディスクごとに固有のWWN (World Wide Name)が割り付けられており、Solaris(TM)オペレーティングシステムはこのWWNを管理情報として使用しています。交換したディスクのWWNをSolaris(TM)オペレーティングシステムに認識させるために、boot -rコマンドで起動する必要があります。

    ok boot -r


  11. 当社技術員(CE)と、交換したディスクがSolaris(TM)オペレーティングシステムに認識されていることと、交換したディスクの物理ディスク名を確認します。

    以下の例では、WWNは0020370e35e5であり、物理ディスク名はc2t4d0です。

    # format
    Searching for disks...done
    
    
    AVAILABLE DISK SELECTIONS:
           0. c2t4d0 <sfdsk type1.0; SUN9.0G cyl 4924 alt 2 hd 27 sec 133>  00100004
              /sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w21000020370e35e5,0
    Specify disk (enter its number):


    GDSが管理しているディスクはformatコマンドでは表示されません。


  12. 交換したディスクのデバイス特殊ファイルが存在することを確認します。

    lsコマンドの引数では、手順11で確認した物理ディスク名の最後にアスタリスク(*)を付加したものを指定します。

    # cd /dev/rdsk
    # ls -lL c2t4d0*
    crw-r-----   1 root     sys      118, 32 Feb  3 17:09 c2t4d0s0
    crw-r-----   1 root     sys      118, 33 Feb  3 13:21 c2t4d0s1
    crw-r-----   1 root     sys      118, 34 Feb  3 17:09 c2t4d0s2
    crw-r-----   1 root     sys      118, 35 Feb  3 13:21 c2t4d0s3
    crw-r-----   1 root     sys      118, 36 Feb  3 13:21 c2t4d0s4
    crw-r-----   1 root     sys      118, 37 Feb  3 13:21 c2t4d0s5
    crw-r-----   1 root     sys      118, 38 Feb  3 13:21 c2t4d0s6
    crw-r-----   1 root     sys      118, 39 Feb  3 15:35 c2t4d0s7


  13. クラスタシステムの場合、以下の手順により、交換したディスクのリソースを再作成します。

    クラスタシステムではない場合は、手順14以降の作業を実施してください。

    1. 交換前のディスクのリソースを確認します。

      ノードNode1に接続されている、手順2で確認した交換前のディスクc2t4d0のリソースが、clgettreeコマンドで表示されることを確認します。

      # /etc/opt/FJSVcluster/bin/clgettree
      Cluster 1 cluster
                 Domain 2 Domain0
      ~
                         Node 3 Node1 ON
      ~
                                 DISK 33 c2t4d0 UNKNOWN 
      ~


    2. 交換前のディスクのリソースを削除します。

      # /etc/opt/FJSVcluster/bin/cldeldevice -n c2t4d0


    3. 交換前のディスクのリソースが削除されたことを確認します。

      手順13の1で確認したリソースが表示されないことを、clgettreeコマンドで確認します。

      # /etc/opt/FJSVcluster/bin/clgettree
      Cluster 1 cluster
                  Domain 2 Domain0
      ~
                          Node 3 Node1 ON
      ~


    4. 交換後のディスクのリソースを作成します。

      クラスタシステムを構成する任意の1ノードで以下のコマンドを実行します。

      # /etc/opt/FJSVcluster/bin/clautoconfig -r


    5. 交換後のディスクのリソースが作成されたことを確認します。

      手順11で確認した交換後のディスクc2t4d0のリソースが、clgettreeコマンドで表示されることを確認します。

      # /etc/opt/FJSVcluster/bin/clgettree
      Cluster 1 cluster
                 Domain 2 Domain0
      ~
                         Node 3 Node1 ON
      ~
                                 DISK 44 c2t4d0 UNKNOWN
      ~


  14. 交換したディスクをクラスに登録します。

    sdxdisk -Mコマンドの-cオプションでは、手順3で確認したクラス名を指定します。-dオプションでは、手順11で確認した物理ディスク名と手順3で確認したディスク名を指定します。

    # sdxdisk -M -c Class1 -d c2t4d0=Disk2


  15. 交換したディスクがクラスに登録されたことを確認します。

    # sdxinfo -D
    OBJ     NAME   TYPE   CLASS   GROUP   DEVNAM  DEVBLKS   DEVCONNECT  STATUS
    ------ ------- ------ ------- ------- ------- -------- ------------ -------
    disk    Disk1  mirror Class1  Group1  c0t0d0  17682084  Node1       ENABLE
    disk    Disk2  mirror Class1  *       c2t4d0  17682084  Node1       ENABLE


  16. 交換したディスクをグループに接続します。

    sdxdisk -Dコマンドの-c, -g, -dオプションでは、手順3で確認したクラス名、グループ名、ディスク名を指定します。

    # sdxdisk -C -c Class1 -g Group1 -d Disk2


  17. 交換したディスクがグループに接続されたことを確認します。

    # sdxinfo -D
    OBJ     NAME   TYPE   CLASS   GROUP   DEVNAM  DEVBLKS  DEVCONNECT    STATUS
    ------ ------ ------ ------- ------- -------- -------- ------------- -------
    disk    Disk1  mirror Class1  Group1  c0t0d0  17682084  Node1         ENABLE
    disk    Disk2  mirror Class1  Group1  c2t4d0  17682084  Node1         ENABLE


  18. 交換したディスクをグループに接続すると、交換したディスクに対して等価性回復コピーが実行されます。

    sdxinfo -Sコマンドを実行し、交換したディスクのディスク名がDISKフィールドに表示されている行のSTATUSフィールドに、COPYと表示されているときは、等価性回復コピーが実行されています。等価性回復コピーが完了すると、STATUSフィールドにACTIVEと表示されます。

    # sdxinfo -S
    OBJ    CLASS   GROUP   DISK   VOLUME  STATUS
    ----- ------- ------- ------- ------- --------
    slice  Class1  Group1  Disk1  Volume1  ACTIVE
    slice  Class1  Group1  Disk1  Volume2  ACTIVE
    slice  Class1  Group1  Disk2  Volume1  COPY
    slice  Class1  Group1  Disk2  Volume2  COPY

     


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