Dynamic Reconfigurationユーザーズガイド I/Oデバイス編
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上へ第4章 ネットワーク関連デバイス
上へ4.1 交換手順

4.1.1 非冗長構成の場合

PCIカードの冗長化を行うソフトウェアを使用しない環境でPCIカードを交換する場合、PCIカードを使用しているアプリケーションなどの上位製品(サービス)を停止する必要があります。

非冗長構成でのPCIカード交換手順を以下に示します。

  1. PCIカードとシステムボードの特定

    以下の手順により、PCIカードの交換で影響を受けるシステムボードとインタフェースを特定します。

    1. コンソールに出力されたWARNINGメッセージなどから、交換対象となるインタフェース(例:hme2)名を確認します。

    2. drcstat(1M)コマンドによって交換対象となるPCIカードが搭載されているシステムボードを特定し、そのシステムボードに搭載されているすべてのPCIカードに関するインタフェースの一覧を表示します。
      # /opt/FJSVhwr/sbin/drcstat -device | grep hme <Return>
      00-ONBOARD "/pci@83,4000/network@1,1" 0 "hme"
      01-PCI#3B "/pci@87,4000/SUNW,hme@2,1" 2 "hme"
      01-ONBOARD "/pci@87,4000/network@1,1" 1 "hme"
      # /opt/FJSVhwr/sbin/drcstat -device sb01 <Return>
      01-PCI#0B "/pci@84,4000/scsi@2" 2 "glm"
      01-PCI#0B "/pci@84,4000/scsi@2,1" 3 "glm"
      01-PCI#0B "/pci@84,4000/scsi@2/sd@1,0" 1 "sd"
      01-PCI#0B "/pci@84,4000/scsi@2/sd@3,0" 20 "sd"
      01-PCI#3B "/pci@87,4000/SUNW,hme@2,1" 2 "hme"
      01-ONBOARD "/pci@87,4000/ebus@1/FJSV,scfc@14,200000" 1 "FJSVscf2"
      01-ONBOARD "/pci@87,4000/ebus@1/FJSV,se@14,400000" 1 "se"
      01-ONBOARD "/pci@87,4000/network@1,1" 1 "hme"

      上記の例の場合、該当インタフェースがhme2("/pci@87,4000/SUNW,hme@2,1" 2 "hme")になるため、システムボード#01 PCIスロット#3B に搭載されているPCIカードが交換対象のPCIカードとなります。

      さらに2番目のコマンドの実行結果より、該当システムボードにはhme2以外にhme1とSCSIのデバイスが存在することが判断できます。
      seドライバとscfドライバ(FJSVscfX)については、自動的に冗長構成になっているため、無視して構いません。
      seドライバおよびscfドライバの詳細については、"Enhanced Support Facilityユーザーズガイド"を参照してください。

  2. 上位製品(サービス)の停止

    1.の手順で特定したインタフェースを使用している上位アプリケーションを停止します。

    なお、前例のようにSCSIのデバイスが存在する場合、SCSIのデバイスが使用されている可能性があります。ファイル関連デバイスの停止方法は「第3章 ファイル関連デバイス」を参照してください。

    1. 上位プロトコルがTCP/IPの場合
      1) 停止するインタフェースのIPアドレス(host名)の確認
      ifconfig(1M)コマンド、/etc/hostname.interfaceファイル、/etc/inet/hostsファイルなどで、停止するインタフェースのIPアドレスまたはホスト名を確認します。
      # ifconfig hme2 <Return>
      hme2: flags=1000843<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4> mtu 1500 index 2
      inet 192.168.10.1 netmask ffffff00 broadcast 192.168.10.1
      ether 0:0:e:25:0:d6
      # grep 192.168.10.1 /etc/inet/hosts <Return>
      192.168.10.1 kscl05
      2) 上位アプリケーションの該当インタフェースの使用停止
      netstat(1M)コマンドにより、該当インタフェースを使用して通信を行っているリモートホストを確認します。
      # netstat | grep kscl105 <Return> (ホスト名がkscl05の場合)
      kscl105.32790 kscl103.9798 24820 0 24820 0 ESTABLISHED
      kscl105.telnet kscl103.56528 24820 0 24820 0 ESTABLISHED
      kscl105.32945 kscl105.fjwv_s 32768 0 32768 0 ESTABLISHED
      kscl105.fjwv_s kscl105.32945 32768 0 32768 0 ESTABLISHED
      kscl105.33075 kscl105.32776 32768 0 32768 0 TIME_WAIT
      kscl105.33076 kscl105.32776 32768 0 32768 0 TIME_WAIT
      kscl105.33077 kscl105.32776 32768 0 32768 0 TIME_WAIT
      kscl105.33078 kscl105.32776 32768 0 32768 0 TIME_WAIT
      kscl105.telnet kscl101.1888 63949 3 24820 0 ESTABLISHED
      kscl105.33079 kscl105.32776 32768 0 32768 0 TIME_WAIT
      kscl105.33080 kscl105.32776 32768 0 32768 0 ESTABLISHED
      kscl105.32776 kscl105.33080 32768 0 32768 0 ESTABLISHED
      確認したリモートホストとの通信を停止させます。リモートホスト側から接続を行っている場合は、リモートホスト側からの通信を停止し、該当インタフェースへのアクセスを停止します。
      3) 上位ドライバの非活性化
      TCP/IPの該当インタフェースを非活性化します。
      # ifconfig hme2 down <Return>
      # ifconfig hme2 unplumb <Return>
    2. 上位プロトコルがFNA(Fujitsu Network Architecture)またはSNA(System Network Architecture)の場合

      非冗長構成で上位プロトコルにFNAまたはSNAを使用している場合、交換対象のインタフェースのみの交換はできず、システム全体のインタフェースを非活性化することになるためご注意ください。

      また特定のインタフェースのみを交換するためには、SafeLINKまたはPRIMECLUSTER GLSのマルチパス機能によって冗長構成にする必要があります。

      1)上位アプリケーションの停止
      Netcompoアプリケーション会話サービスなど、FNAまたはSNAを使用している上位アプリケーションを停止します。
      上位アプリケーションの停止方法は各製品のマニュアルを参照してください。
      2)上位ドライバの非活性化
      Netcompo FNA-BASEなどの上位ドライバを非活性化します。
      上位ドライバの非活性化の方法は、各上位ドライバ製品のマニュアルを参照してください。
      3)下位ドライバの非活性化
      Netcompo FNA-LANなどの下位ドライバを非活性化します。
      下位ドライバの非活性化の方法は、各下位ドライバ製品のマニュアルを参照してください。
  3. システムボードの切離し
    1. drc(1M)コマンドによって、交換対象のPCIカードが搭載されているシステムボードを切り離します。
      なお、切り離すシステムボード上のPCIカードドライバが使用中の場合、drc(1M)コマンドが異常終了するため、上位製品の停止処理からやり直してください。
      # /opt/FJSVhwr/sbin/drc -disconnect sb01 -keep <Return>

      注意

      ATMカード(GP7B8AT1)が複数のシステムボードに搭載されている場合、ATMカードが搭載されているシステムボードに対して以下の操作を行うことはできません。
      本操作を行うと、ATMカードでの通信ができなくなる場合があります。

      1) リブートによる構成変更でシステムボードを切り離す操作
      # drc -connect sb01 -reset <Return>
      <システムリブート>
      2) システムボードのパーティション間を移動する操作
      # drc -disconnect sb01 -next 1 -reset <Return>
      <システムリブート>
    2. システムボードの状態(Status)が"Unconfigured"になったことを確認します。
      # /opt/FJSVhwr/sbin/drcstat -board sb01
      SB BN Status (Detail) PID Next_PID Board_Type CPU(MHz)
      -- -- --------------- --- -------- ---------- --------
      01 0 Unconfigured 00 00 10 300

  4. PCIカードの交換

    切り離したシステムボードを取りはずし、1.の手順で特定したPCIカードを交換した後、システムボードを元の位置に実装します。本作業は当社技術員が行います。

  5. システムボードの組込み
    1. drc(1M)コマンドにより、交換したPCIカードを搭載したシステムボードを組み込みます。
      # /opt/FJSVhwr/sbin/drc -connect sb01 <Return>

    2. システムボードの状態(Status)が"Configured"になったことを確認します。
      # /opt/FJSVhwr/sbin/drcstat -board sb01
      SB BN Status (Detail) PID Next_PID Board_Type CPU(MHz)
      -- -- --------------- --- -------- ---------- --------
      01 0 Configured 00 00 10 300

  6. 上位製品(サービス)の起動
    1. 上位プロトコルがTCP/IPの場合
      1) 上位ドライバの活性化
      該当インタフェースに対してTCP/IPの活性化を行います。
      # ifconfig hme2 plumb <Return>
      # ifconfig hme2 hostname netmask netmask up <Return>
      2) 上位アプリケーションの使用再開
      該当インタフェースを使用している上位アプリケーションの使用を再開します。
    2. 上位プロトコルがFNAまたはSNAの場合

      以下の手順により上位製品の起動を行います。

      1) 下位ドライバの活性化
      Netcompo FNA-LANなどの下位ドライバを活性化します。
      下位ドライバの活性化の方法は、各下位ドライバ製品のマニュアルを参照してください。
      2) 上位ドライバの活性化
      Netcompo FNA-BASEなどの上位ドライバを活性化します。
      上位ドライバの活性化の方法は、各上位ドライバ製品のマニュアルを参照してください。
      3) 上位アプリケーションの起動
      Netcompo アプリケーション会話サービスなど、FNAまたはSNAを使用している上位アプリケーションを起動します。
      上位アプリケーションの起動方法は各製品のマニュアルを参照してください。

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