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Interstage List Works V11.0.0 インストールガイド
FUJITSU Software

A.3.4 scsmakeenv

名前

scsmakeenv - CSR(証明書取得申請書)の作成、テスト用サイト証明書、Interstage証明書環境の作成

形式
[CSR(証明書取得申請書)作成]
scsmakeenv -n nickname -f filename [-c] [-k keysize] [-g group] [-p password]
           [-cn CommonName [-ou OrganizationalUnit] [-or Organization] [-lo Locality]
           [-st State]
           [-cc CountryCode]]
[テスト用サイト証明書作成]
scsmakeenv -n nickname [-c] [-k keysize] [-v valday] [-g group] [-p password]
           [-cn CommonName [-ou OrganizationalUnit] [-or Organization] [-lo Locality]
           [-st State] [-cc CountryCode]]
[Interstage証明書環境の作成、変更]
scsmakeenv -e [-p password] [-c] [-g group]
機能説明

scsmakeenvコマンドは、RSA暗号アルゴリズムの公開鍵・秘密鍵の鍵ペアを作成し、CSR(証明書取得申請書)をファイルへ出力します。また、オプション(-f filename)を省略することによりテスト用サイト証明書を作成することもできます。scsmakeenvコマンドで作成した、テスト用の鍵・サイト証明書はInterstage証明書環境に登録されます。本コマンドをシステムで初めて実行したとき、Interstage証明書環境を作成し、パスワードを設定します。以後は、その設定したパスワードでInterstage証明書環境を使用します。

CSR(証明書取得申請書)を作成してから自分のサイト証明書を入手し登録するまでの間にInterstage証明書環境が破壊されたり、秘密鍵が削除されてしまうと、自分のサイト証明書は使用できなくなります。そのため、本コマンドでInterstage証明書環境を構築した後は、秘密鍵の保護のためにInterstage証明書環境をバックアップしてください。バックアップ方法については、Interstage Application Serverのマニュアルを参照してください。

指定可能なオプションを以下に示します。

-n nickname

秘密鍵のニックネームを指定します。英数字を先頭にし、後述する文字セットから1~32文字で指定してください。認証局から取得したサイト証明書を登録する時、ここで指定したニックネームをscsenterコマンドに指定する必要があります。忘れないようにしてください。なお、すでに使用されているニックネームと同じニックネームは指定できません。また、ニックネームに指定する英字は大文字と小文字は区別されません。

ニックネームに指定可能な文字については以下を参照してください。

カテゴリ

文字

英字

ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
abcdefghijklmnopqrstuvwxyz

数字

0123456789

記号

()-[]_

-f filename

作成されたCSR(証明書取得申請書)を格納するファイル名をフルパスで指定します。本オプションを指定した場合、CSRとRSA暗号アルゴリズムの鍵ペアが作成され、Interstage証明書環境に登録されます。本オプションを省略し、-nオプションを指定した場合は、テスト用サイト証明書が作成され、Interstage証明書環境に登録されます。

-c

本製品に組み込まれているルート証明書(CA証明書)を登録します。本製品に組み込まれているルート証明書を利用する場合には、本オプションを指定する必要があります。

なお、一度本オプションを指定して実行した後は、scsdeleteコマンドで認証局証明書を削除しない限り有効です。本コマンドを再実行する時に再指定する必要はありません。

本製品に組み込まれているルート証明書(CA証明書)については、“A.4 Interstage組み込み証明書一覧” を参照してください。

-k keysize

作成されるRSA暗号アルゴリズムの公開鍵と秘密鍵の鍵ペアの鍵の強度をビット長で指定します。省略時は2048bit長で作成されます。指定する場合は512、768、1024、2048、4096のどれかを指定してください。なお、今日では、マシンの処理性能の向上などにより、512、768、1024ビットのRSA暗号アルゴリズムの鍵は必ずしも安全とは言えなくなっています。そのため、2048ビット以上を指定することを推奨します。運用上やむを得ず512、768、1024ビットのRSA暗号アルゴリズムの鍵を使用する際には、その危険性を認識の上、ご使用ください。

-v valday

テスト用サイト証明書の有効日数を1~7300の範囲で指定します。省略時は365日です。有効期間を過ぎると、その証明書は使用できません。そのため、テスト完了予定日までの期間を指定することを推奨します。

-e

本コマンドでInterstage証明書環境だけを作成する場合に指定します。本オプションを指定した場合にはCSR(証明書取得申請書)およびテスト用サイト証明書は作成されません。

本コマンドをシステムで初めて実行した時に本オプションを指定した場合、ひきつづき、scsimppfxコマンドでサイト証明書と秘密鍵を移入してください。

すでにInterstage証明書環境が作成されている場合に本オプションを指定すると、Interstage証明書環境の変更を行うことができます。-cオプションとともに指定すると、本製品が確認済みのパブリック認証局のルート証明書(CA証明書)を追加登録します。-gオプションとともに指定すると、所有グループを変更します。

-p password

Interstage証明書環境にアクセスするためのパスワードを登録、もしくは登録したパスワードを指定します。

登録するパスワードは備考に記載する文字セットから6~128文字で指定してください。

本オプションを省略すると、パスワード入力を求めるプロンプトが表示されます。

本オプションで指定するパスワードはInterstage証明書環境へアクセスする際の認証情報です。

従って、バッチファイルなどに本オプションを記載する場合、バッチファイルの覗き見などによるパスワードの漏えいを防止するために、その格納場所や権限などファイルの取り扱いに十分注意するようにしてください。

-g group

Interstage証明書環境へのアクセスを許可する、所有グループまたは所有グループのIDを指定します。本コマンドをシステムで初めて実行するとき(Interstage証明書環境を作成するとき)に省略した場合は、本コマンドを実行したユーザの所属するグループが設定されます。また、Interstage証明書環境がすでに存在する場合に本オプションを指定した場合には、Interstage証明書環境の所有グループを、指定されたグループに変更します。
本オプションを省略した場合には、所有グループは変更されません。

以降は、テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)発行時に指定できるDN情報オプションです。省略するとDN情報の入力を求めるプロンプトが表示されます。

-cn CommonName

テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)の名前(CommonName)を指定します。

本オプションを指定すると、DN情報の入力を求めるプロンプトが表示されなくなります。

-ou、-or、-lo、-st、および-ccのいずれかを指定した場合、本オプションを省略できません。

後述する文字セットから、1~256文字で指定できます。

なお、空白のみを指定することはできません。

-ou OrganizationalUnit

テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)の組織単位名(OrganizationalUnit)を指定します。

-cnを指定し、かつ、本オプションを省略した場合、テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)に当該情報が設定されません。

後述する文字セットから、1~1024文字で指定できます。

なお、空白のみを指定することはできません。

-or Organization

テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)の組織名(Organization)を指定します。

-cnを指定し、かつ、本オプションを省略した場合、テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)に当該情報が設定されません。

後述する文字セットから、1~1024文字で指定できます。

なお、空白のみを指定することはできません。

-lo Locality

テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)の地域名(Locality)を指定します。

-cnを指定し、かつ、本オプションを省略した場合、テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)に当該情報が設定されません。

後述する文字セットから、1~1024文字で指定できます。

なお、空白のみを指定することはできません。

-st State

テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)の地方名(State)を指定します。

-cnを指定し、かつ、本オプションを省略した場合、テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)に当該情報が設定されません。

後述する文字セットから、1~1024文字で指定できます。

なお、空白のみを指定することはできません。

-cc CountryCode

テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)の国名コード(CountryCode)を指定します。

国名コード(ISO3166)は英字2文字で指定してください。

-cnを指定し、かつ、本オプションを省略した場合、テスト用サイト証明書、およびCSR(証明書取得申請書)に当該情報が設定されません。

なお、空白のみを指定することはできません。

備考

注意

  • CSR(証明書取得申請書)を作成しサイト証明書を入手し登録するまでの間、秘密鍵の保護のためにInterstage証明書環境をバックアップしてください。バックアップする方法については、Interstage Application Serverのマニュアルをご覧ください。

  • 本コマンドを最初に実行したときに設定したパスワードは、忘れないでください。忘れると、scsmakeenv、scsenter、scsdelete、scslistcrl、scsexppfx、scsimppfx、scslistコマンドは実行できなくなります。

  • パスワードは流出したり盗まれたりしないように管理してください。また、名前や単語などの推測しやすい文字列や、すべて同じ文字を使用した文字列を設定しないようにしてください。英数字や記号を混在させた、できるだけ長い文字列を設定することを推奨します。

  • 本コマンドで作成したサイト証明書は、テスト用証明書として使用できます。ただし、作成された証明書はテスト環境でのみ信用できるものであり、外部環境(例えばインターネットなど)に対しての信頼性を保証できるものではありません。従って、実際の運用でそのまま使用されてしまうことのないよう、十分に注意してください。

  • 本コマンドを初めて実行したときにエラー終了すると、Interstage証明書環境が正しく作成されない場合があります。その場合には、Interstage証明書環境を削除し、再度scsmakeenvコマンドを実行してInterstage証明書環境を作成しなおしてください。Interstage証明書環境のパス名と、Interstage証明書環境の再作成前に削除する資源は以下のとおりです。

    • Interstage証明書環境

      /etc/opt/FJSVisscs/security

    • 再作成前に削除する資源

      /etc/opt/FJSVisscs/security/env配下

    なお、Interstage証明書環境を作成後に環境が破壊された場合は、Interstage証明書環境を復元するようにしてください。なお復元方法については、Interstage Application Serverのマニュアルをご覧ください。

  • 本コマンドの実行時には環境変数JAVA_HOMEにOpenJDKのインストールパスを設定してください。ただし、環境変数JAVA_HOMEはシステムの環境変数には設定しないでください。

  • -gオプションで所有グループを変更する場合には、すべてのサービスを停止してから変更してください。また、変更前のグループに所属しているユーザは、変更後のグループに所属するように変更しないと、サービスの起動に失敗する場合があります。

  • -gオプションで指定するInterstage証明書環境の所有グループに関する詳細については、Interstage Application Serverのマニュアルを参照してください。

使用例